農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

戸邊家族農園訪問記3

2009-07-24 20:43:36 | 日本不耕起栽培普及会

箱苗を2年やって、ポット苗も体験している。無肥料で育てているので分げつ茎は初期のものは消え、根を伸ばすために働く。肥料が少なく根を伸ばし地中深くから吸う。

種子は自家採取で塩水選のみで1.17、浸種は5℃1ヶ月、催芽は25℃以下で半日から1日で出芽しはじめる。

秋には米糠を10a当たり30kg、できるだけそこでとれたものを水田に戻す考えで施している。いい苗を育てるようにしているから心配してはいない。

播種量は、どうしても厚まきにしていた。3年前1.m×18mで1kgまいていたが、700gから500gにしている。1箱当たりだと5g見当になる。7.5cm3cmおきぐらいにしたい。

バラまきでやっていたが、筋まきに切りかえた。

播種と同時にヒエの種がまざっているので筋まきの方がヒエの除去が簡単にすむ。

苗半作と言うが、苗7~8分作である。

筋まきと種がなくなったかヒエはたまにある程度。ヒエは根が少しずつ野生化して太くなったか見分けにくくなってきた。不耕起用だとイネの根も太い。切りわらを水田に入れたこともあったが端によってしまい中止したが、工夫して入れたいと考えている。

切りわらは畜産業者に買いとってもらい水田には戻さない。そのせいか藻類はあまり発生していない。

田面は真ん中を低くし田面をできるだけ均一にして排水口に向かって水が流れるようにする。レーキで押しながら草をうめ込み、草を消していく、草はトロトロ層にねり込むようにし水を少なめにもっていくと草は死んでしまう。マツバイなどは良い例である。

水が多かったり大雨が降ったりすると、コナギは浮き上がり再生する、浮いている状態では生きる可能性がある。

イネミズゾウムシも深水すると根の方へ動きやすくなるので産卵しやすくなる。深水作戦はやめて、ひたひた状態にする。

食事は朝は抜き、昼食は軽めにとる。夕食はたっぷり食べる、身体が要求するままに大食いもある。援農の昼食にカレーを作ってくれたが5杯も食べた。

石黒さんという若い研修生(女性)が昨年から同居している。奥さん聖子さん、同居の息子1人、娘1人、中学が終わるまでは家族労働として田植え、除草とか同等に働く、同日も東京理科大の同期生、渡辺さんが3年目になるが時々応援にやってくる。釣り好きで海、沢釣りとイネ作りに協力的である。

1枚の水田、例えば5畝の水田を家族で田植えを大人3人(3時間)子ども2人(1時間半)で朝仕事ですませる。

昔の一日中腰曲げ作業に比べ、123時間の工夫した作業だけで済ましており、快適自給農法と主張している。また体力の6割で作業することで少しづつ身体が鍛えられ戸邊ファミリーはスーパーマン集団と言われている。

[ 地すべり対策 ] 水田の横に円筒形のマスで水を抜いている。これは、新潟の粘土質地帯での地すべり対策として行っていた。

行きの鳥井は武田大五郎さん夫妻が案内してくれる。燕三条から戸邊さん宅まで子づれで車で送ってくれる。P.M.4:00-6:00

武田大五郎さんは父に頼んで3haの水田農家だが農薬はあまり使いたがらないが奥さんにやってもらうようにしむけている。

不耕起栽培は10a分を大五郎さんがかなり強引にやらしてもらうように頼み、なんとかやっているが、この頃直接本人に言わないで妻の好美さんに小言を言うらしい。

昨年神崎の餅つき大会でミドリマイの餅を食べたら非常においしく子どもの頃、祖母がつくってくれた頃の味を思い出し、最近モチを多く食べるようになりネットでミドリマイの種を頼み、試験的に栽培もはじめた。

生き物調査

14日帰りに自然活性化農法実験田の看板のかかる戸邊さんの田んぼの土を500ml田んぼのペットボトルで採取して持ち帰り、翌日朝に鳥井先生が生き物調査、小さなイトミミズ多数、小さなユスリカの幼虫もいて、イトミミズは反当たり、だいたい1000万匹程度いる様です、田んぼではエラミミズがゆらゆらしてるのを良く見られました。(今井追記)

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戸邊家族農園訪問記その2

2009-07-10 20:54:26 | 日本不耕起栽培普及会

基本・・・もう一つは厳密に基本にのっとって処理するということ、水田を平らにすること、水を落とし、尺角に30cm正方形に線を引く、水田を平らに正確に尺角に植えることは   ①田を均一に作ること ②草取り作業を容易にするため-草取りの決めて ③来年の作業のため-株の間への田植え ④日本人としての美意識と職人気質。

疎植、尺角植え、無肥料苗、収穫時1株15本、一本当たり100粒、1500粒、1000粒重20g10a当り5俵、豊作で6俵とれる。

反収を落とせば味は良くなるが、周りの人は落とせないため無肥料に挑戦する人はいない。

肥料をやれば固い味となるが無肥料だと優しい味になる。玄米でも白くやわらかめになる。2日目の朝には玄米おかゆを炊いてくれる。冬を越して2年目に入ると味が向上する。この玄米は2年目で借地であるため前の年の肥料が残っていて固い米となる。しかし冷蔵庫で味が熟成してくる。

年中水田に水が入る状態にし、トロトロ層を作らせモグラ、アメリカザリガニの被害もなく畦からの漏水はほとんど無い。雪で圧迫され畦がこわされることもない。畦シートの必要性もない。野生動物はタヌキ、テン、イタチ、ムジナ、ウサギ、リス、キツネ、ハクビシン、カモシカ、クマ。

人力、無農薬、無肥料栽培にこだわるのは、将来エネルギー危機になった時、誰にでも出来る技術として必要になるということで取り組んできた。

水苗代、クンタンを散布し、地温を高め、わりふ寒冷紗(鳥よけが一番おおきい)おおい50日目の苗で6葉まで育つ。

雪の恩恵を受けている。粘土質地帯、米、山菜がよくとれるし、おいしい。6俵/10aとれるが、米粒が大きく、クズ米が少ない。

岩澤信夫さんの会報で「佐竹」さんという古い篤農家の紹介があったが、その息子さんとしたしくしていた。佐竹さんは900kg15俵ラインまでは比較的実現可能だが16俵はむつかしいと聞いていた。

息子さんは有機栽培に取り組んでおられる。佐竹さんは最近亡くなられた。

農協とか観光バスでの見学者が多かった。「水田をまず平らに作り、同じ条件に設定し肥料を均一にもっていく」と教えられた。

肥料の効く時期を厳密に判定して決めていた。戸邊さんも1日でもずれたらダメで「平らにする」ことを目標にし、全部同じ姿にイネを育てる。冷たい水の入り口には畦をつくり水を温めた。

青森のリンゴの木村さん「ムー」の79号に宇宙人UFOに連れて行かれた体験がレポートされている。

戸邊さんは「戸邊教」ではないかと言われている。

手で植え、手で草をなでる。他からみると大変なことを家族で取り組み、まわりに支援者がかわるがわるやってくる。

集まってくるのは変わった人で共通点がないと集まってこない。

戸邊さんは、この方法が広がらなくても、いざという時、役に立つと考えている。

戸邊さんの所のカエル、オタマジャクシは他と比べ泳ぎ方が早い、水田のまわりに貯水池(ビオトープ)を作り、水を出し入れした時すぐに対応できるようにしている。

棚田状の水田の除草をする時は、下の水田から水を浅水にし、トロトロ層で雑草(コナギ、オモダカ)をねり込む。

多少多めの水で除草すると丁寧にやらないとだめなので時間が多くかかる。その上の水田からは水を多めに落とし作業をしやすくし、2~3日雑草が死ぬのをまつ。除草のあと雨にたたかれたり、水が入ると草は生き返るので、天気とも相談して助走作業をする。水のあるときは人力の手押しの2条除草機を使用する。

九州の熊本県から月10日、わざわざここへかよってくる75才のおじさんがいる。クワを2本もってきて、畦ぬりをしたり、進入路の道路づくりを行ってくれている。この人は電車での移動時間が休息の時間となる、本当にたすかっている。

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