農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

究極の田んぼツアー第2弾の3回目を12月22日に行います

2012-12-09 07:34:56 | 日本不耕起栽培普及会

今回はSRIに関する実験を3年に渡って行いましたのでその結果報告とSRIで使う苗の育て方を簡単な衣装箱を使って作ってみようという試してみます。関心のある方はいらしてください。

2012.11.15 鳥井報恩
《 SRIのまとめ・2010~2012年 》
千葉県香取郡神崎町/日本不耕起栽培普及会実習田
2010年
2009年9月、岩澤信夫さんは突然、マダガスカルのSRI農法に興味、
関心をいだき、東大の山路教授の水田見学を普及会会員に呼びかけ14~
15人の人々をたずさえ東大の柏キャンパスに出かける。
そこで、乳苗で育てたイネを見て、成苗の苗との比較でかなり同一の生育
を確保できると判断し、このSRI方式を導入することとした。
しかし、マダガスカルのSRI方式は乳苗を使うと同時に田植して、活着
後土を乾かし、切裂が出来たら水を入れ、2~3日湛水してまた土を乾か
すということを繰返す。元々雑草の発生しやすい水田であったから秋から
耕やして、田面を平らにしても、どうしても水田に高低ができ、田面を乾かすと雑草が必然的に発生した。
普及会としての看板は耕さないで、自然にやさしいを主張して来たのに、それとは全く異なる方法で管理する
ということだったので、トラブルがたえなかった。
それでも水が抜けず、水がたまりやすい場所が
あって、そこで育ったイネは根の色が真白で、
農文協の人たちも乳苗の特徴をとらえていた。
本数も30本はあった。
岩澤さんの呼びかけに答え、SRI苗を使って
市民農園に参加した3組の家族も、乾かすこと
で発生した雑草においまくられて過した。
2011年
前年度の経験をふまえ、SRI圃場は3セに限定し、品種も協力者の希望で、いのちの壱を育てた。
播種は4月28日で、5月7日田植えを行った。
33cm角で、一回だけ田植え前に耕した。湛水は秋のうちから試みていたので、雑草に関しては、それほど
深刻ではなかった。
7月中旬頃までの分げつ終了時を見とどけて、その後の乾かすことはやめにした。
1株当りの茎数は平均で23本前後で、10a当り収量は5俵であった。
岩澤信夫さんは、SRIの多収で10a当り10俵、15俵をコシヒカリで目指していたので、落胆は大きか
ったかもしれない。それでも、いのちの壱の1本植えの姿は立派であり、食べてもおいしかったので、それな
りの評価を受けた。
2012年
岩澤信夫さんとの打ち合わせで、冬期湛水の不耕起に戻し、普及会らしい型での実験にもどした。
課題としては、田植え時期を早め、分げつの期間を長くとり、収量を高めることである。
冬期湛水・不耕起という方針が出たことで、SRIの考え方とは異なるものになったが、元々岩澤信夫さんは、
星川さんの乳苗の利点を最初から頭に描きつつ、SRIとのドッキングで多くの人の注目が得られるというこ
とではじめたものではないかと予想される。
私たちは星川さんの乳苗の研究については、この時点ではまだ気づいていなかったが、結果としては、星川さ
んの追試という形で終った。
即ち、7月中旬までのコシヒカリの分げつの終了時期を考慮すると、田植えの時期を5月7日に決めていたが、
それでは33cm角植えでは分げつの期間が短すぎる。分げつ肥、穂肥で追っていく方法もあるが、ここでは
元肥だけで対応した。
そこで田植時期を前だおしして、4月8、15、28日と3つにわけて田植を行った。
このことは星川さんの実験ですでに、乳苗が稚苗、中苗、成苗との比較で、平均気温(最高と最低の)で12℃
ラインで田植時期を設定でき、種子に胚乳を70%も保持しており、他の苗よりも乳苗がすぐれているとして
いる。
また苗を深植して水没した場合でも、自力で酸素を作り出すこともできる。そして稚苗では枯れてしまうが、
乳苗では生き伸びるとしている。
今回の結果では4月8、15、28日と田植を早めたが、その間での差はほとんどなかった。
そして3セでの収量から、10a当り換算しては8俵/10aのラインを確保できた。
しかし、岩澤さんが望んでいた15、20俵/10aは夢に終ってしまった。
このことは、市原の森重之さんが、長年乳苗の技術を取り組んで来たが、農協に勤めながら、土、日、百姓と
して稚苗の方式の苗作りだけを乳苗に切り換え、短期間に育苗が可能だと言う、その利点を大切にしている。
星川さんも稚苗との比較で、今後、苗作りをできるだけ短期間に済ませてしまいたいという観点から乳苗のや
り方が、すぐれているとしている。
岩澤さんも市民農園を普及させる目的に、成苗では60日もかかり、箱数も成苗では24~25枚/10aと
多く、育苗の経費がかかる。乳苗なら育成期間を7~8日で箱数も5~6枚/10aで済んでしまう。
実際の管理での問題点
・ 今年は不耕起・湛水で行ったが、古株と古株の間に新しいイネを植えたが、その古株のまわりにはえたヒ
エがおう盛で、歩行用除草機も古株のため平らに押すことができず、2~3割が、手におえない部分が出
てしまった。
・ 厚い波板を入れているが、8月中旬頃から湛水がとぎれ、刈り入れ後、ザリガニやモグラの穴等で湛水を
はじめようと試みているが、その穴を止めることが、できていない。