農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

医食農の統一を考える(第8回)

2007-06-26 21:41:02 | 日本不耕起栽培普及会

藤崎水田は生き物の培養器、慣行田は希少生物になる

 報告書では不耕起栽培での収量粗玄米10a当たりで566キロ、慣行栽培で514キロであった。

 作業時間の比較では不耕起栽培で除草をする時間が10a当たり7時間で全体の作業時間に占める割合が慣行と比較して約2倍になっている。不耕起栽培で湛水にすることで草は生えないということであるが水田に高低があったり、水が1週間以上切れたりすることで実際には生える場合がある。ただ代をかく場合と比較して土中に含まれる雑草の種子が発芽する機会はすくなく「拾い草程度」で年3~4回の確認は必要である。水性のコナギオモダカ、セリ、イボクサ、ヨシ、ホタルイ、キシュウスズメノヒエなどが藤崎水田では問題にしている。

 生き物の数としては日本アカガエルが5300匹、トウキョウダルマガエル20匹であるのに対して慣行水田周辺で日本アカガエルが910匹であるがこれは藤崎水田が発生源でそこから逃げだしたものである。水田内の小動物では不耕起水田で10a当たりでイトミミズは113万匹、ミジンコ321万匹、ミズムシ2万匹、ドブシジミ3万匹などであるが、それに対して慣行栽培の水田ではイトミミズが23万匹、二枚貝が8万匹で種類、数とも極めて少なく生き物の活動は期待できない。


多古のイネの様子

2007-06-26 21:18:29 | 多古の里山

07625takokoshihikari 5月19日田植えのコシヒカリです。1株15から20本分けつして順調な生育をしております。昨年の秋から堪水して米ぬか30キロ、ミネラル20キロ、田植え後米ぬか6月10日に15キロ

散布しました。面積は6セ、2月には日本アカガエルの卵塊350個、今はオタマだらけです。雑草としてはコナギ昨日1時間ほどとりました。どうやら田植え機が深くはまってしまったところあたりが発芽がおおいようです。

天井田のほうは古代米、神丹穂、ミドリマイ、紫稲それにもち米を栽培写真は神丹穂です。07626kannihored


医食農の統一を考える(第7回)

2007-06-13 20:53:30 | 日本不耕起栽培普及会

不耕起栽培では、生き物でイネを育てる

 アカウキクサの存在も枯れれば1週間後には肥料としてイネに吸収され、穂肥、実肥になる。しかしこのアカウキクサも昨年暮れからの低温のせいか、藤崎水田から全部姿を消してしまった。近くの300メートル離れたいなほ会の木内さんの水田には今年あるというから行って確認したら2枚の水田にアカウキクサがありました。いづれにしてもこの不耕起、冬期湛水田の技術は生き物を利用しての栽培でその生き物がどのように作用するか、日常的に観察し、その時々の変化を見逃さないようにしていく必要がある。

 昨年香取の農林振興センターと千葉県の農業総合研究センターが3月から1年かけて藤崎水田と近くの慣行栽培の水田の稲の生育比較を月2回の割りで記録に残している。

 播種量の差不耕起栽培が1箱当たり70g、に対して慣行栽培では160g、10a当たりの植えつけ箱数では不耕起で30箱に対して慣行では23箱であった。

 実際の植えつけされた1株当たりの本数は不耕起が3~5本に対して慣行では8~10植えている。

 肥料としては不耕起で米ヌカ40キロと追肥は僅かな葉面散布であった。成分では窒素0.8キロ、リン酸1.6キロ、加里0.4キロであった。これに対して慣行栽培では元肥としてペースト1号10a当たり26キロ、穂肥として有機ひかり加里安 19キロで10a当たりの成分で窒素6.2キロ、リン酸3.5キロ、加里6.2キロであった。また慣行栽培では除草剤2種類、カメムシ防除、イモチ、紋枯れなどの無人ラジコンヘリにより散布している。


自然耕塾・オリザの生きもの調査

2007-06-13 20:39:43 | 日本不耕起栽培普及会

0762kumogakusyu 加藤輝代子・赤井裕両先生を講師に、クモの水田における調査をおこなった。30分で5人づつのチームを組んでどれだけの種を探しだすことができるか?ゲーム感覚できそいあった。香取の藤崎芳秀さんのオリザ周辺の水田を選んだチームが優勝したが徘徊性5種キクズキ・キバラコモリグモ、イナダハリゲグモ、ヒメカラスハエトリ、アズマカングモ造網種3種ナカムラオニグモ、ヨツボシヒメアシナガ、コサラグモsp。以上の結果であったが、農薬による空中散布も長年除外することで安定した生態系を形成し特定な害虫だけが異常に繁殖することを抑えている。写真は右端が赤井先生、冬期堪水を20年続ける水田の前での講義。


医食農の統一を考える(6回目)

2007-06-10 09:30:59 | 農を語る

「イトミミズ・ユスリカの養殖で米をつくる」

 岩澤信夫さんは千葉県の台地で大栄町や栗源(くりもと)町はサツマイモの産地であるがこうした台地で立派な農面道路ができているがこの便利なはずの道路がくせもので実際にはダムの働きをしていて排水が悪くサツマイモが湿害を受ける。

 最近では雨が降ると大雨であるが、北総では台地にありながら水が溜まり畑は浸水する。

 佐原の藤崎さんが岩澤信夫さんの指導のもと20年の不耕起移植栽培の実践で湛水化することで10aあたり40キロの米ヌカと米を美味しくする棚倉のミネラル50キロで他の肥料は入れない。

 米ヌカもイトミミズやユスリカに餌をやって小動物を養殖するという感じで水田を管理する。イトミミズの活動が強すぎる場合は、イネの葉の色をみながらその活動を押さえる必要もある。

登熟期の早い千葉の事例

 米ヌカもイトミミズやユスリカに餌をやって小動物を養殖するという感じで水田を管理する。イトミミズの活動が強すぎる場合は、イネの葉の色をみながらその活動を押さえる必要もある。

 3年前10a当たりの米ヌカは100キロで坪当たりの植えつけ株数は50株、1株当たり2~3本であった。「不耕起でよみがえる」に記録が有る。その時の葉色はいつまでも青々していて、不耕起栽培の特徴であると勝手に判断していたが、収穫後の食味計値で蛋白含量が多く、ベロ度計では美味しく感じるのに計測値が70前後で低い。そこで1昨年岩澤さんとの話し合いでこの蛋白含量を引き下げる手段として、蛋白をイネに多く吸収させる、1株当たりの植えつけ本数も4~5本と増やし分げつを減らし未熟粒の比率を押さえた。また坪あたりの株をこれまでの50株植えを60株とした。

 これまでの不耕起栽培の豪快なイネの姿は消えた。米ヌカ40キロ、100キロで他の肥料はやらない。こうなると収穫直前のイネの姿はみじめであった。しかし脱穀して玄米にすると9俵、10俵の数字が出てきた。岩澤さんが予想していたように株数を増やし、1株当たりの本数を増やすことで未熟粒が減った。玄米出荷が増えているなかで2人の決断は正しかった。