農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

医食農の統一を考える(5回目)

2007-04-17 10:18:23 | 農を語る

大型の基盤整備は生き物の環境を壊している

 戦後60年で米づくりも一変してしまった。大型の補助金つきの基盤整備が押し進められ、暗きょ排水設備がとりつけられ水田の期間はたった4ヶ月であとは畑状態にかわる。佐原の藤崎さんの奥さんが嫁に来たときはあの界隈はまだ道路がなく水路を使って行き来していた。昭和38年頃の話である。それが現在では藤崎さんの周辺でも冬乾燥した年には水田の砂まで飛散して砂漠化する状態である。

 水田の1区画も最近の基盤整備は1ヘクタールとか大規模なものを20%を含むように計画されている。そこでは従来あった畦はすべて取り払われ排水路は直線化される。畦は小動物が生活の場にしていて、畦草も小動物が生存する時に何らかの役割を果たしていると思われる。そこで人間の生活の便利さを中心に計画が実行に移され、必要のない農面道路が作られたりする。30年も昔灰谷健次郎さんが沖縄の生活を紹介した本のなかでカニや亀が生きられるために水田の改造も生き物の目で生きていかれる空間を多少とも残すべきであると主張していたが、そのことは現代でも同じことが通用している気がする。

 このことは生き物をツルグレン装置にかけて調べている時代に畦には多様に小動物が生息していることを確かめた。宇根豊さんはトビムシたちを「ただの虫」と名付けたが、水中と畦、畦と周辺の溜池そして里山これらはまとめて生態系をおりなし環境を形成する一員である。


シュレーゲルアオゲルの交尾

2007-04-17 10:10:28 | 多古の里山

07415takosyuregerusannrann 07415takosyuregeru 多古の桜宮自然公園での畦で観察できるシュレーゲルアオガエルの産卵が今始まっている。山を抱えた谷津田ではハッポウスチロール状の卵を畦に産み付けている。たまたま07、4,15に観察撮影したものです。鳴き声も甲高く日本アマガエルと区別できます。


医食農の統一を考える(4回目)

2007-04-04 20:09:56 | 農を語る

不耕起水田は小動物が豊かに生息する環境私が佐原の藤崎さんの水田に始めて訪れたのは2001年の6月8日でその時すでに水田のなかにメダカが多数泳いでいてサヤミドロも一杯であった。当時は湛水技術が導入される直前であったため収穫後の水田はところどころ乾いていてイトミミズやユスリカ以外のトビムシやダニ類、アブの幼虫などツルグレン装置にかけると多種類の小動物が観察できた。これは慣行栽培、あるいは代をかいた無農薬でアイガモを除草に使う水田と比較して生き物の存在は圧倒的に多かった。

 そして佐原の藤崎水田では不耕起で20年、湛水化して4年目であるが不耕起20年の価値は他にない事例であり、尾瀬の湿原湿地のミズゴケで堆積している沼地と比較できるかもしれない。尾瀬の湿地は貧栄養帯であるが、常時水があって生き物がいて、そこにコメヌカと棚倉断層のミネラル(貝化石)(注)が施される。イトミミズやユスリカに秋からコメヌカの餌が与えられる。トロトロ層の形成はこれら小動物の糞である。そしてそのトロトロ層の下には稲株や切りワラ、古い根など有機物が厚く堆積している。

 田植え後の6月には水の色が白濁したり、ことしは紫色に透明に光っている。赤みを帯びた光合成細菌であるかもしれない。我々の目では色の変化しか判らないが様々な微生物の存在を予想できる。今年藤崎水田で消滅したアカウキクサは窒素を合成する共生菌が存在するらしく、繁殖後水を干しあげると窒素肥料として7~10日後にはイネの葉色が濃くなる。有機認証米でも開始して3年は転換期間としているが、不耕起栽培でも美味しくて本当の味がでるのには3年、5年とかかる。


日アカの卵塊発見

2007-04-04 19:57:44 | 日本不耕起栽培普及会

07327nihonnakagaerurannkai 日本アカガエルの涙ぐましい産卵、コサギに狙われ、川の水が補修工事で止められ産卵したはずの卵塊が干されてしまった。だが苗を水田に出して回りに水が入れられた直後3月27日には日本アカガエルが卵塊を産卵していた。だがこれもサギは見逃すはずはない。一時卵塊を安全地帯に避難させた。生き物の世界は厳しいと感じた。