不耕起冬期湛水法の1番の悩みは水をいかに溜めるかである。厚い波板が普及する前に岩澤信夫さんにうかがった話で、薄い波板を畦の真ん中に埋め込み上から土を載せていくことで35センチの範囲はザリガニとかあの被害は防ぐことができる。問題点としては常に波板の中心点が真ん中にずれないことである。薄い波板の耐用年数が伸びることである。ただ周囲の農家の人の理解や経験が共有できないと摩擦の原因となる。ほかの人は米の作付が終われば水を早く干してしまいたいという要望があると理解を得るのが難しくなる。私はこの3,4年歩行用の田植え機も入らないほど軟らかい水田のため積極的に水をためたくないと考えているうちにやはり雑草が増えてしまった。あらためて池の上の水田に水を溜めたいと思い今年は岩澤方式に拘って35センチの波板を40メートル2日がかりでとりつけた。
イネの一生のうち1本の株は15枚の葉を育てる。4月の末に田植えをして9月に刈り取る5か月の期間であるが、ある葉が展開するとその葉の3枚下の3枚下から,一次分げつ茎が発生し発根もする。そして一方葉の再生と同時に先に出た葉は時間とともに枯れていき常に5枚だけが残る仕組みになっている。この葉が枯れるという仕組みがほかの生物群に結果的にエネルギーを与えることになり、ビオトープとしての役割をはたす。4,5年前土水路であった水田で6月大雨が降って冠水したとき大量の水が水路から水田に流れ込みフナやコイが一挙に侵入そこで産卵のための大運動会が繰り広げられた。水田が本来は生き物のゆりかごである。香取の藤崎水田では春先20、30匹メダカを離すと6月には数万と爆発的に増えた。耕さない水田の威力である。多古の天井田の池の周辺田んぼでは毎年の出来事である。