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ガルバレクのギタリスト共演連作時期の最後の作品

2014-06-02 19:24:17 | 音盤ノート
Jan Garbarek Group "It's OK to Listen to the Gray Voice" ECM, 1985.

  北欧ジャズ。ガルバレクのキャリアの中では、"Dis"(ECM, 1977)から始まる、様々なギタリストとの共演していた時期の最後にあたる作品。メンバーは、Michael Di Pasqua(drums), Ebarhard Weber(Bass), David Torn(guitar)という編成。デイヴィッド・トーン(参考)は、前二作のギタリストだったBill Frisellの後釜で、空間系の音使いがフリゼル的だというだけでなく、ソロまでカントリー調でフリゼルに似ている。

  全曲ガルバレクのオリジナルで、ぼんやりとした覇気にかける演奏が続く。まあ、彼らしいと言えば彼らしいが、緊張感まで欠いているためにちと退屈である。ガルバレクとギタリストの共演ならば、客演の"Soltice"(参考)や"Magico : Carta De Amor"(参考)の方が、メンバー間で氷をぶつけあっているかような冷ややかで打ち解けない感覚があって面白い。ただし、本作の4曲目の‘Mission: To Be Where I Am’だけは聴きやすい優れた曲となっており、ベタなメロディを普通にブロウしてくれるおおらかで暖かみのあるバラードとなっている。

  この作品の後の、ギターを従えた編成から、民族音楽系の打楽器隊とシンセパッドを多用する音楽への変貌はいったいどういう理由からなのだろうか。たぶん「本人が飽きた」ということなのだろう。だが、その時期がECMの欧州回帰(米国系ミュージシャンとの大量の契約解除)と重なることもあり、案外レーベルの意向だったりするかもしれない。
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