菅首相の逆襲

<菅首相>与野党協力まで退陣せず?
 菅直人首相は10日の参院予算委員会で、自身の退陣について「潔いという言葉は決して嫌いではないが、最後の最後まで責任を全うすることの方が政治家には必要だ」と述べ、早期退陣を改めて拒否した。さらに「次に責任を引き継げる形を取らなければいけない」と述べ、与野党協力の道筋がつかないことを、早期退陣拒否の理由の一つに挙げた。

 たちあがれ日本の片山虎之助氏が早期退陣を求めたのに対し、首相は自民党の谷垣禎一総裁の発言について「最近は『あなたが辞めようが辞めまいが、簡単には協力できない』と話している」と指摘。進まない与野党協力について、自民党にも責任があるとの論理を展開した。退陣までに一定の成果を上げたいとの思いからか、首相は11日に東日本大震災の被災地・岩手県釜石市を訪れるほか、12日には自然エネルギーの本格的普及を訴える孫正義ソフトバンク社長らと官邸で意見交換するなど、意欲満々の日程を続々と入れている。【松尾良】

毎日新聞 6月10日(金)22時19分配信


 冷静に見ると、一番筋を通しているのは自民党や公明党ではなく菅首相である。野党が出した不信任決議案は衆議院で圧倒的多数で否決された。菅首相が続投するのが筋である。菅首相が民主党の議員総会で「一定のメドがついたら、若い人に責任を継いでもらいたい」という発言は民主党内の問題であり、他党の自民党や公明党が民主党内の発言を自分勝手に解釈して早期退陣を迫るのは資格はない。

 意外と思うかも知れないが、管首相は民主党総会での発言は一言一句も撤回はしていない。予算委員会で激しく追及されたが、菅首相は民主党総会自で発言した文句は一語も変えていないと断言し、発言を繰り返し発言した。菅首相は民主党総会での発言は6月に辞めるとか7月に辞めると一言も発言していないし、辞める月日ではなく辞める時の条件を述べている。ところが自民党は自民党の解釈で6月に辞めると発言していると菅首相を攻撃した。しかし、菅首相何月に辞めるとは一言も言わないで、民主党総会で発言したことを繰り返し述べた。最良の答弁だった。菅首相は答弁のコツをマスターしてきたように考えられる。
 
菅首相が、お盆までに避難民全員が仮設住宅に入れるようにしたいと発言に対して、実現もできないのに発言した菅首相をほら吹きだと公明党は激しく非難したが、菅首相は今の発言を撤回していない。今も避難民全員が仮設住宅に入れるようにしたいと繰り返し発言している。

 発言を変更したのはむしろ自民党のほうだ。谷垣禎一総裁は、不信任決議案が否決される前までは、大連立に邪魔な存在は菅首相であり、菅首相が辞めれば大連立ができると断言した。ところが不信任決議案が否決された頃から、菅首相が辞めても、次の首相が決まらないと大連立に協力するかどうかわからないとトーンダウンしてきた。
 管首相は谷垣総裁の発言の変化をついて、進まない与野党協力について、自民党にも責任があるとの論理を展開した。これは自民党へのいい攻撃材料だ。菅首相は「私が辞めれば本当に大連立をやるのか。明確な大連立の構想やスケジュールを公表しろ」と自民党を攻めればいい。自民党は公表できないだろう
 菅首相を退陣に追い込み、民主党を分裂させるのが自民党の目的で、大連立の構想がないのに菅首相の即時退陣を迫ったのだ。大連立の提案は菅降ろしと民主党分裂が第一の目的であり、民主党と自民党の大連立を組むために菅首相退陣を迫ったのではない。

 菅首相は国会延長をしたら退陣に追い込まれるから、自己保身のために会期延長をしないと吹聴し、会期延長を主張していた自民党だったが、菅首相が年末まで会期延長すると発言した途端に今度は自分の首をつなぐために会期延長しようとしているから反対と発言が逆になった。
 ぶれているのは菅首相ではなく自民党である。しかし、マスコミは自民党のぶれを批判しない。

 菅首相が辞めれば民主党と自民党は大連立をすると断言していたマスコミ評論家の中に大連立は難しいというという評論家も出てきた。大連立ができないのに菅首相が辞める必要があるのかという司会者の質問には答えることができなかった。
  
 マスコミは菅首相がなにをしても、菅首相は自己保身のために行動する人間であると決め付けているから、、「退陣までに一定の成果を上げたいとの思いからか、首相は11日に東日本大震災の被災地・岩手県釜石市を訪れるほか、12日には自然エネルギーの本格的普及を訴える孫正義ソフトバンク社長らと官邸で意見交換するなど、意欲満々の日程を続々と入れている」
 菅首相の行動を記事にするときは「退陣までに一定の成果を上げたいとの思いからか」という表現を必ず入れる。

 自然エネルギーの本格的普及を訴える孫正義ソフトバンク社長らと官邸で意見交換するのは活気的であり、自然エネルギーを開発する目標を立てた菅首相と孫正義の対談は日本のエネルギー政策の転換にとって歴史的な対談である。歴史対談を「退陣までに一定の成果を上げたいとの思いからか」という表現しかできない評論家は最低である。

 太陽光発電や風車発電が電気事業に参加するには高いハードルがあり、法律を根本的に改定しなくてはならない。送電と発電の分離、電力会社の独占の廃止などは電力会社だけではなく経済界や自民党との厳しいバトルを展開しなくてはならない。
 菅首相には自然エネルギー開発への道筋もつくってほしい。

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
« 裏通り・・・... 沈黙の・・・... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (Unknown)
2011-06-12 07:03:53
自民党は元より復興のために民主党と協力する考えなどないと思います。
ただ、特に今回の「菅おろし」は、菅首相が浜岡原発を停止の要請をしたり、電力会社の発電、送電の分離の検討をすると言ったり、また今後は(原発も続けるが)太陽光発電を大幅に増やすと G8などで言ったために、突然自民党などと民主党のかなりの議員が強力して「菅おろし」を始めたことが背景だと新聞で読みました。
次の首相や今後の政策の議論などもないまま、今まで菅首相を概ね支え、小沢氏のことを悪く言っていた渡部恒三氏が急に小沢氏と仲良くなったり、おかしなことがいっぱいありましたが納得できました。
渡部恒三氏は福島原発を誘致した人とのことですし、小沢氏も東電とは非常に関係が深いようです。
経済界は、浜岡原発の停止や今後の原発の運転に電力などの制限や料金で影響を受けますし、もちろん自民党は東電や産業界から多額の献金をもらっています。官僚も天下りなどで大きく関係してますし、民主党の支持母体の労働組合も東電(東電の労働組合)の影響が大きいようです。(東電や電力会社が送発電分離されたり原発を縮小されれば彼らも職場を失ったりするので。)
それで、とりあえず菅首相を辞めさせるために、異様なほどの協力体制ができたのだと思います。

菅首相が「一定のメドがついたら、若い人に責任を継いでもらいたい。」と時期も内容もあいまいな言い方で急に不信任案が否決になり、再度、こんなすぐに、民主党からも含めて「菅首相が辞めると言ったのに辞めない。」という世論を作って今月中にも辞めさせようとしているのは、菅首相が不信任案が可決されれば解散総選挙をすると言っていて、解散総選挙になって選挙で原発を停止すると言っている人や政党が勝ったりすると、そっちに進まざるを得なくなるので、それを阻止するために、元々こういう展開にもっていくことを最初から考えていたのではないかとも思います。
特に民放などのマスコミは、産業界や経済界とは広告などを通して強く関係しており、全然当てになりません。
自民、公明は元より、民主党も官僚なども特に原発の安全性に関しては当てにならず、菅首相が変わってしまえば、浜岡原発や他の原発も、しっかりと安全性が検証や対策のないまま再稼働など進められてしまうと思います。(そしてまた今回のような事故が起きると思います。)
浜岡原発の停止要請も突然発表しましたが、もう、今日開かれるような意見交換会や、国民に対する会見など、国民に直接伝えるしかないと思います。
(浜岡原発の停止要請も連休が始まったばかりで産業界や経団連が休みの時期に国民に直接発表したから上手く行ったのかと思います。)

ぜひとも菅首相にはできだけ首相を続けて欲しいと思っています。
また、もし再度不信任案が出され可決され辞めるときは、ぜひ解散総選挙をして国民の意見を表に出るようにしてほしいと思います。
(その後首相が誰になっても、日本の経済が悪く国の財政も悪いので、支持率はまた下がっていってしまうと思いますが。または無理して経済対策をやると国債が破綻したり。どちらにしても難しいと思います。)
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。