波と狛のつれづれ日記

日本スピッツ波と狛と、ときどき箔

奥山に響き渡る食事五観

2018-11-17 01:40:40 | その他
こんばんは、白黒茶々です。
前回の日記の予告通り、は湖北五山のうちの1つの浜松市北区引佐町奥山にある大本山方広寺を目指して走っていきました。 そのお寺は龍潭寺から車で20分ほど行ったところの山奥、いや、奥山にあり………



広大な山あいの中に、その堂宇が点在しています。 正面入口にある山門も、立派ですね。 方広寺は臨済宗方広寺派の大本山で、建徳2年(1371年)に後醍醐天皇の皇子無文元選によって開創されました。 東海屈指の名刹で、奥山半僧坊の名で親しまれています。



また、その境内はワンコと一緒に散策することができます。 そういう私たちは昨年の9月にも訪れていて、その時は箔もいました。そういったトコで、その参道を歩いていきますよ



今回は波ちゃと一緒に歩いていったら………



こちらのほうも先日の台風24号の被害があったみたいで、一部の大木が倒れていました。そのような中でも、御神木の半僧杉は大丈夫なのでしょうか?



気になって見に行ってみたら、枝の一部は折れたみたいでしたけど、なんとか無事に残っていました。



それから、境内のあちこちに「もののけ姫」のこだまのように点在している五百羅漢も、健在でした。それらの羅漢さんは夜な夜な動き出しているというウワサがあるので、パンフレットのものと見比べてみたら……… 石橋の上の数が違っていましたよ 3体あるハズなのに、実際には4体になっていますし。



ま、まあ、それは置いといて、さらにその先に進んでいきますよ こちらの参道は、未舗装なうえにまわりが鬱蒼としていて、独特な雰囲気があります。ここから先は上り坂となります。



その最頂部には駐車場があって、さらにその一角には、大正12年(1923年)に京都山口玄洞氏の寄進によって建立された、三重の塔が聳え立っています。 これ以上外に出たら有料ゾーンからはみ出してしまうので、このあたりで引き返します。その坂道から見える風景は………



このようになっています。ここからは、方広寺の全景を臨むことができるのですよ。 ということで、今から境内で最大規模の大本堂に向かいます。

そこに至るまでには、先程の全景の中にもあった、屋根が付いた赤い橋こと亀背橋を通っていきます。そこからは眼下に紅葉を見ることができるので、あの有名な京都東福寺の通天橋のつもりでお渡りくださいませ。 とはいっても、私は東福寺には行ったことがないのですけど。 と、とにかく、そこで私が見た風景は………



う~む……… 時季的には早かったみたいで、紅葉はまだ色付いていませんね。



いきなり大本堂に行くのもナンなので、段階を踏むようにして半僧坊真殿を拝んでおきましょう。 ちなみにこちらは、鎮守の半僧坊大権現を祀っています。



やはり大本堂は近くで見ると、デカいですね。 こちらの建物は、明治38年(1905年)から再建工事を始め、13年かけて大正7年(1918年)に完成しました。また、その中央には………



幕末から明治にかけて活躍し、静岡県にもゆかりのある山岡鉄舟が揮毫した、「深奥山」大額が掲げられています。ところで、この読み方をご存じの方はいらっしゃるでしょうか? 「ふかおくやま」ではありませんよ。 そういう私も、前にこちらを訪れた際に正しい読み方を覚えたハズなのに、今回思いっきり「ふかおくやま」と言ってしまいました。 それはさておき、正解発表まで5秒、4、3、2、………
※ブログの記事の中の問い(クイズ)で制限時間を設けるのは、無理があるような気がするのですけど。(編集部注)
正解は「じんのうざん」で、方広寺のある奥山の山号のことを示しています。

………と、ここまでは以前にもやった境内の散策とほとんど同じなのですけど、今回はそこからもう一歩踏み込む決意をして、こちらを訪れたのですよ。 2年前に訪問したときの日記に、私が「嗚呼、次に来たときには『食事五観』と精進料理のセットを味わいたい。」と書いていたことを覚えている方は、いらっしゃるでしょうか?そういう私は、ずっとそのことを心に留めていました。



こちらのお寺では、11時~14時に大本堂の前の受付に申し込めば、季節の精進料理(税込2160円)か精進うな重(税込1296円)をいただくことができるのですよ 当日でも受け付けてくれるのですけど、お寺の行事などで食べられないこともあるので、確実にいきたかったら電話で確認してからお越しくださいませ。 今回私が申し込んでみたら、30分後には準備ができているとのこと。私にとっては初めての精進料理となるので、精進うな重から入っていくことにしました。また、その際に「本物の鰻ではないのですけど、大丈夫でしょうか?」と聞かれました。私としては、そのことは重々承知だったのに。以前にそのことで、トラブルでもあったのでしょうか?
いずれにしても私が食事している間は、波には車の中で待機していてもらうことにしました。 彼女を駐車場の車のところに連れていったあとは………



まだ少し時間があるので、大本堂などを見学しながら、お寺の食事には付き物の「食事五観」の説明と、そのことに関する私の思い出や想い入れについて語らせていただきます。 話すと長くなるのですけど、ここまできたら諦めてお付き合いくださいませ。
食事五観は、お寺で出された料理をいただく前に唱えるお経みたいなもので、五つの文章で構成されています。それらには、食べ物をいただく意義と感謝の意味が込められていて、方広寺では来訪者でも食事の前には必ずやることになっています。



こちらの建物は間口32m、奥行27mもあるので、内部も広いですね。 それから観音堂開山堂上天台舎利殿とは渡り廊下で繋がっているので、それらの場所には自由に行き来することができるのですよ。
今からン十年前、私の高校では入学式のあとに宿泊訓練がありました。 その際にこの奥山方広寺の研修所が使われたのですけど、やはり自動的に朝の清掃や座禅、食事五観は付いてきました。しかし、それで終わりではなく、私が高校2年の時には、希望者を募って同じ場所で勉強合宿をやることになりました。「お寺の合宿は規律が厳しいし………」私はほとんど行く気はなかったのですけど、友人のF君などに粘り強く説得され、しぶしぶ付き合うことにしました。

またしても食事五観は必須だったのですけど、何回も唱えているうちに私はその文面をすべて覚えてしまいました。 身に付けたらやはり、みんなの前でも活用したくなりますよね 私は食事の時間には自ら進んで、合宿の参加者全員の前に立ち、拍子木を手にして食事五観の音頭を取るまでになりました。

あれからン十年、食事五観を披露する機会はなかなかなくて、文面もすっかり忘れている……… と思いきや、今でもハッキリと言えるのですよ あの合宿では、私は受験に必要な勉強法以上に、食事五観のほうを身に付けていたのですね。
昨年は、そんな食事五観との思い出を振り返りながらお寺の境内を散策し、そのことをFacebookに載せたら……… あのF君が「白黒茶々が食事五観をやらないで帰ってくるなんて、どうしちゃったんだ 」という書き込みをしてきました。実は私もそのことが心に引っ掛かっていて、今回強い決意をして奥山を訪れたのでした。
そうしているうちに、いよいよ今回のお食事の時間となりました。



先程の受付から僧侶に案内され、円明閣という研修施設の食堂に通されました。 ただし、その室内は食事中の方もいるので、入口の様子だけでご了承くださいませ。それにしても「羅漢の間」なんて、奥山らしいネーミングですね。



お寺での食事とはいっても、お膳を前にして畳の上で正座ではなく、テーブルに椅子という手軽なスタイルとなっていました。 私の目の前には、すでに精進うな重も配膳されていますし。 そこで僧侶から食事五観の説明があり、いよいよそれを唱えることになりました。
「では、私と一緒にお唱えください」
よろしかったら、パソコンやスマホの前の皆さんもご一緒に



一つには功の多少を計り、彼の来処を量る。
(この食事が、自分の前に運ばれるまでには、数えきれない多くの方の労力と自然のお恵みを頂いている事に感謝いたします。)
二つには己が徳行の全欠をはかって供に応ず。
(自分の日々の行いが至らないが為にこの食事を頂くことを過分に思います。)
三つには心を防ぎ、過貧等を離るるを宗とす。
(この食事にむかって、貪る心・厭う心を起こしません。)
四つには正に良薬を事とするは、形枯を療ぜんが為なり。
(この食事を自分の体を形成するための良い薬だと思って頂きます。)
五つには道業を成ぜんが為に当に此の食を受くべし。
(今後の自分の成すべきことの成功の為にこの食事を頂きます。)
原文ママ、そのあとに「いただきます 」もお忘れなく。

私は食事五観には自信があったのですけど、念のために来る途中に車の中で予行演習をやってみました。そうしたら、三つの「過貧等(とがとんとう)を離るるを宗とす」と四つの「良薬を事とするは、形枯(ぎょうこ)を療ぜんが為なり」のあたりで噛んでしまいました。 ここで失敗したら、長年の想いを不意にしてずっと後悔することになるので、何回も練習しました。 その結果………

大々的に掲げられた文面も見ないでハキハキと唱えることができ、お付きの僧侶は「どこかで体験されたことがあるのですか?」と驚いていました。 「実は、ン十年前にこちらに合宿に来た時から覚えていて、ずっとやりたいと思っていたのですよ 」
その僧侶とのやり取りの様子を箔母さんに伝えたら「その時の白黒茶々さんのドヤ顔が目に浮かぶようだ」と言っていました。



そうしたら、精進うな重をいただくことにしましょう。 精進料理は肉や魚といった生臭物はもちろんのこと、宗派によっては、にんにくやニラ、生姜も使われていません。こちらの精進うな重も、豆腐・山芋・蓮根などを蒸して焼いてうなぎに見立て、その背面に付けられた海苔が、うなぎの皮の役割をしていました。それらに山椒の粉をかけて、はむっ………
うはっ、タレもよく染みていて、本物よりあっさりしているものの、味といいふんわりとした歯応えといい、うなぎそのものではありませんか 精進料理の象徴ともいうべき胡麻豆腐も、味が練り込まれているうえに、ちょこんと乗ったわさびがより美味しさを引き立てていますし。 これなら「今年も高くて本物のうなぎが買えなかったから、精進うな重でガマンして」という事態になったとしても、私としては大満足ですよ

今回の奥山訪問は、波との境内散策だけではなく、精進料理や食事五観などもあって、今まで以上に満たされました。 すっかり味をしめた私は、次回は季節の精進料理を試そうとする一方で、ワンコ仲間も巻き込み……… いや、誘い合わせて訪れようと目論んでいます。 なので、それらに興味を持たれた方は、私にご一報くださいませ お待ちしております。


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