郷秋<Gauche>の写真教室(白いクルマを撮る、編)

 昨日書いた「郷秋<Gauche>の写真教室(ホワイトバランス編)」を見てかどうかはわかりませんが、今度は友人のOさんからこんな相談を受けました。

 

D80を使っている、車のコーティング業者の知人が、ホワイト系のボディの車の仕上がりをきれいに撮影したいそうなのですが、私にはよいアドバイスができないのでお知恵があればぜひ。」

 

今日は、Oさんへのお返事をそのまま記事として掲載することにします(なんか工夫の足りないblogだなぁ・・・)。

 

Oさん、メイル、ありがとうございます。かなり具体的なご質問なのですが、撮影場所や照明関係の設備がどうなっているのかわからないので求めている答えになるかどうかわかりませんが、いただいたメイルの文面からは、ポイントは二つだと考えて良いと思います。一つは露出補正で、もう一つはホワイトバランスです。

 

まず露出補正について。

 

白い車が大写しで、背景も白っぽい(極端に黒く、暗くない)場合、プラスの露出補正(+0.71くらい)をしないと、白いはずのボディが暗く(グレーっぽく)写ります。これは、カメラの露出が、被写体が反射率18%の「グレー」の時に適正となるように設計されているからです。これよりの明るい(白い)物を撮る時にはプラスの露出補正、これより暗い(黒い)物を撮る時にはマイナスの露出補正をしないと本来の明るさ、色合いが表現されません。ですから、白い車を大写し(画面全体に写す)する時にはプラスの露出補正が必要となるのです。

 

ただし、クルマが比較的小さく、黒い(暗い)背景の面積が大きい場合には、背景の暗い部分に露出が引っ張られて、カメラは画面全体を明るく写そうとします。その結果、暗い部分は明るく写るようになりますが、白い車は明る過ぎ、つまり「白飛び」を起こしてしまいます。このような場合にはマイナスの露出補正(-0.31)が必要となります。このテクニックは、黒っぽい背景の前にして白い花(例えば梅や桜)を撮る場合にも応用できます。

 

次にホワイトバランスの問題です。

 

ホワイトバランスについては昨日書いた記事も参考にしていただきたいのですが、今回お尋ねのケースでは、どういう光の下で撮影するのかによって、白いはずの車が黄色がかって写ったり(電球による照明の場合)、青味がかって写ったり(蛍光灯による照明や曇天の日)するのを防ぐにはどうしたら良いのかと云う事だと思います。

 

昨日も書いた通り、ホワイトバランスをオートの設定のままで白い車が白く映らない場合には、その照明の種類により、ホワイトバランスを「電球」や「蛍光灯」「水銀灯」などにセットします。それでも白くならない場合には「プリセットマニュアル」で、その光の下で車のボンネットの上に乗せた白い紙を撮影し、ホワイトバランスのデータをカメラに入力し、そのデータをプリセットして撮影します。「プリセットマニュアル」の方法はカメラによって異なりますので、カメラのマニュアルを確認してください。

 

露出補正とホワイトバランス、この二点を適切に設定すれば、白い車が白く写るはずですが、他にも気になる点がいくつかありますので記しておきます。

 

屋内で撮影する場合にはシャッタースピードが遅くなり勝ちですので、手振れを起こさないように三脚を利用すると良いでしょう。カメラを三脚にセットしておきながら、シャッターボタンを指で押している方を見かけることがありますが、これでは三脚を使う意味がありません。三脚を使うときにはシャッターボタンを指で押すのではなく、リモートケーブルを使います。足が細い、見るからに華奢な(廉価な)三脚も本来の用途からすると好ましくありません。5万円のカメラには3万円の三脚、10万円のカメラには5万円程度の三脚が望まれます。奮発しましょう。

 

ストロボを使う場合には、必ずディフーザーを使います。屋内で天井が比較的低くて白い場合には「バウンズ」が有効です。できれば複数のストロボがリモートで同時点灯するようなシステムを使いたいところですが、専門的になり過ぎますし、今回のご質問の趣旨からも外れますので割愛します。って、郷秋<Gauche>も良く判りません(^^;

 

今回のご質問は「白い車を撮る場合」でしたが、ちなみにクルマの形が一番美しく見える色は赤だと云われています。イタリアの至宝、フェラーリが何故赤く塗られるのかと云えば、それはクルマが一番美しく見えるからだと云うのが定説です。一方ドイツの雄、ポルシェがシルバーアイボリーに塗られることが多いのは、ドイツの曇りがちな天気の中でより映えるようにするためだと聞いていますが、イタリアの明るい太陽のもとでの赤いフェラーリ、厚い雪雲に覆われたもとでのシルバーのポルシェを想像した時、確かに説得力のある説明だと、郷秋<Gauche>には思えます。

 

 

 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、「早春幻影(その4)」。昨日の記事の追記に「露出補正はしていない」と書きましたが、正確に18%のグレーなのかどうかは別にして、グレーの空をファインダーいっぱいに捉えていますので、カメラはこの雲の明るさに対してほぼ適正な露出を与えていることになりますので、補正なしで雲本来の色を表現していると云う事になるわけです。

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