澤田教一「故郷と戦場」展を観て

 静岡県長泉町にあるIZU PHOTO MUSEUM開催されている澤田教一の写真展を観て来たことは昨日ご報告の通り。

 私が学生時代に憧れた戦場の報道カメラマン、澤田教一。若くしてピュリッツアー賞受賞と云う栄誉を受け、それが為に自身のカメラマンとしての力を試すためにあえて危険を犯したのか、34歳の若さで銃弾に倒れたかことが惜しまれます。戦場のカメラマンとしての活動期間はわずか5年。ピュリッツアー賞受賞の「安全への逃避」ほか、既に幾度も目にした作品が数多くありましたが、今回改めて300点に及ぶ澤田の作品を見てつくづく思うのは戦争の無意味さと悲惨さ。多くの言葉よりも一枚の写真がそのことを物語っていました。

 今回、特に心に残ったのは、傷ついた、恐らくは既に冷たくなっている我が子を抱きかかえて、顔を歪めてそれでもなおどこかに向かって歩き続ける母親の姿を正面から捉えた一枚だった。清潔で快適な部屋で楽しい会話とともに温かを食事をとる家族がある一方で、息絶えた子供を抱き泣くこともできずに歩きづけるける母親がいる。なんと云う不公平なのだ。この母と子が望んだ戦争、そして死ではないはず。彼らには何の責任もないにも関わらず非情な結末だけを押し付けられた親子。

 あれから50年を経てもなお、この地球上の戦火は止まない。市街地戦よりもある意味でたちの悪いテロの危険が、一見平和に見える街の中に潜んでいるのだ。戦争をするのは兵士だが、戦争を始めるのは政治家であり、その政治家を選ぶのは私たち市民である。教育や福祉も大切ではあるけれど、それは命があってのこと。私たちにできることは、戦争を始めない政治家を選ぶこと、政治家に戦争を始めさせないこと。一人ひとりの力は小さいけれど、力を合わせればできることがある。それができる日本であることを信じたい。


 と云う訳で今日は、IZU PHOTO MUSEUM前の銀杏並木。

 「恩田の森Now」 http://blog.goo.ne.jp/ondanomori に、ただいまは 11月4日に撮影した写真を7点掲載いたしております。晩秋の森の様子をどうぞご覧ください。

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