ヒューマン・フェイル・セーフ機能

 今年に入ってから、大事には至らなかったけれど、これが30回繰り返えされると31回目には大きな事故になるぞというような航空機の小事故が頻発している。記憶に新しいところでは4月29日夜、閉鎖されているはずのA滑走路に管制官が誤ってJAL機を誘導着陸さてしまったと言うもの。これは管制官側に原因の多くがあったけれど、その他頻発している事故・トラブルの多くはJAL機に発生している。JR福知山線の事故以来、航空機を含めた公共交通機関のトラブルがすぐにニュースになってしまう傾向が続いているけれど、またまた起こってしまった。今度はANAだった。

 こんな事件だ。5月4日、午後2時前に勤務が終わり翌朝7時50分の羽田への折り返し便に乗務する予定で秋田に宿泊していた運航乗務員3名と客室乗務員5名が、社内規定の「乗務前12時間以内の飲酒禁止」を1時間半以上オーバーして飲食。まずいと判断した運航乗務員(つまりパイロットだ)が午前1時に社に連絡をし、交代要員に指名された副操縦士が機長を自分のクルマの助手席に乗せ、羽田を5月5日午前2時に出発。高速道路約550kmを飛ばし(高速道路を走ってという意味だ、勿論)、同7時半に秋田空港に到着。手早くブリーフィングを済ませ、同58分に羽田に向けて出発した。

 確かに事故にはならなかったし、社内規則の違反に気づいた後で社に連絡をし交代要員が駆けつけ代行運行したわけなので、果たして報道される程のものなのかという疑問もある。どうも大きな事故・事件の後はマスコミが過剰に反応するキライがあっていけない。社内規則違反であったことは事実でも「まずい」と判断し処分覚悟で社に報告した行為は、ヒューマン・フェイル・セーフが機能したともいえるわけで、無責任な隠蔽体質で凝り固まっている旧政府系企業の社員のモラルと比較すれば十分評価できよう。

 問題があるとすれば、深夜、秋田空港までの約550Kmを自分でクルマを運転し、その直後に満席ならば200名以上が搭乗しているヒコーキを飛ばしたことだろうな。10時間前にビールをジョッキ2杯と酒を2合飲んだのと、深夜の550Kmドライブの後の飛行機操縦、どちらが安全なのだろうか。

 もうひとつ郷秋<Gauche>として気になったのは羽田から秋田空港に駆けつけた副操縦士のクルマがどうなったんだろうかということ。きっと翌日のANA便で秋田まで飛んで、自分で運転して帰って来たんだろうな。クルマとヒコーキで羽田―秋田間2往復、お疲れさまでした。それにしても秋田から羽田まで会社の767を飛ばすのと自分の530i(郷秋<Gauche>の勝手な想像)を飛ばすの、どっちが疲れるんだろう。今度Mキャプテンに会ったときに聞いてみようっと。

 事件の詳細は こちら こちら をご覧ください。

 

 写真は今回話題になったANAの767の同型機(同一機の可能性は1/34)。2002年12月4日、福岡空港で撮影。
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