福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

何とか保存する

2011-01-05 | 歯のけが

昨年末、11月12月は歯の外傷の患者さんが多かったです。乳歯では、ぶつけて欠けるよりもグラグラや位置がずれる場合が多いという特徴があります。ところが同じグラグラでも、どうも歯の根が折れてグラグラの患者さんが、なぜか多かったんです。通常根が折れると歯自体の保存不可能と判断して、残念ながら抜歯というのが原則です。
原因を特定できない場合も多いのですが、もともと乳歯の根が指しゃぶり、歯ぎしり、過去の外傷などの原因で、短くなっていたり細っていたりすることがあります。そのような条件で歯をぶつけると、根の部分が折れたり、そこまで強くぶつけていないのにグラグラしているという症状が起こります。





X線の患者さんは上の乳歯の前歯2本をぶつけてグラグラしていたのですが、もともと根の部分が細っていたようで、向かって左の前歯は根が折れているように見えますね。急激に細っている場合、X線的に折れたような線が見えることがありますので必ずしも根が折れている、まずい、ということにはなりません。
当院ではこのような場合は、ギブアップせずに、まず歯の固定を試みます。通常のグラグラでは3週間くらいですが、長めに6週間位固定しています。根が折れていてもいなくても、根の先の部分が溶けて、そこが骨に置き換わる変化が起きれば、残った歯は結構保存できますし、神経血管もOKという場合も少なくありません。ちなみに向かって右側の歯は外傷1か月くらいで変色して来ましたが、固定をはずす6週間後にはほぼ元の色に戻ってきていました。
神経の処置をする、抜くというある種無難で積極的処置も歴史的にはあったと思いますが、経過を観ることで、生体の修復反応がみられることもあるわけです。下のX線は同じ患者さんの固定を外す直前、6週間後で、さすがに根の長さが半分くらいしかないので若干のグラグラは残っているものの、周囲の骨の修復が期待できる変化がみられています。もちろん今後の経過観察は必要です。








ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/
                           http://www.futatsuki-dental.com/



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 一応むし歯は減ったけど | トップ | みぞれ、そして相棒 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿