福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

過剰歯の抜歯は必要?

2018-03-02 | 口の中の問題

過剰歯といって、余計な歯が乳歯の時期に生えている、または永久歯の部類で、通常と異なる部位から生えてきたり埋まったままの場合もあります。
乳歯の過剰歯は珍しいのですが、永久歯の場合上の前歯裏側付近に見つかることがあり、発生頻度は数%です。
乳歯ですと永久歯が出る時期に根が溶けて来ますが、スムーズには生え変わらないことがあります。
永久歯では歯の方向がまちまちで、埋まったままのことも多々あります。埋伏過剰歯と呼ばれます。
永久歯の場合、根が溶けると言う現象がありませんので、埋まっている場所によっては正常な永久歯が出る邪魔になったり、出ても並びに影響が出たりします。




上の乳歯が生え変わる時期。以前、上の前歯をぶつけた折にX線を撮って過剰歯を発見。
向かって左側の永久歯の裏側に、逆向きの過剰歯があります。
過剰歯がある側の永久歯の生え変わりがやや遅めに見えますが、乳歯の根の溶け具合に異常はありませんので、そのまま経過観察。




永久歯前歯が4本出揃って来ました。逆向き過剰歯は根が完成していますので、今後位置の変化は無いと思います。
前歯間のわずかの隙間は、この時期特有の所見で今後の自然改善は期待できます。
さすがに将来前歯付近を含む矯正治療が必要になれば、その時点で過剰歯抜歯は検討します。
親知らずもそうですが、埋まっていても何も悪影響がなければ放置でOKです。




このX線写真は5歳の患者さんで、上の前歯を最近ぶつけて、ぐらぐらして来たとのことで来院。
こちらは通常の下向きで、正常な永久歯はまだ上の方にありますが、過剰歯が下りて来たため乳歯の根が短くなっています。
外傷はきっかけで、早めにグラグラが始まる歯であったということです。
多分近未来に乳歯が脱落、過剰歯が出て来ます。いずれ必ず、正常な永久歯が出て来る邪魔になりますので、タイムリーに抜歯することが必要になります。
このように同じ過剰歯といっても正常な永久歯に影響があるか否かで、抜歯の必要性は異なります。
私も大学病院に長年勤務していたので分かるのですが、開業医の先生方から過剰歯抜歯の依頼があると、それにお答えする形で抜歯します。
そのような日常ですと、過剰歯=抜歯というロジックに陥りがちです。
また、依頼を受ける過剰歯は横向き、上向きなど自然に出て来ないケースです。実際は下向きで自然に出て来る例も少なくありませんが、そのような例は開業医で抜歯を受け、大学病院への紹介はめったにない、というバイアス(ふるい)が考えられます。
ですから、過剰歯は大体埋まって出て来ないものだという錯覚も起こりますし、大学病院の来院患者で臨床統計をしても実態を反映していないということになります。
やはり、定期的な健診と、過剰歯影響の有無を観察して、処置の必要性と時期を判断するのが基本ではあります。





ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam

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