福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

乳幼児での歯の外傷

2008-09-18 | 歯のけが
乳歯の外傷は、子どもが歩き始めて暫くの間が頻度が高いといえます。1~2歳で上の前歯をぶつけたというケースが典型です。
乳歯の場合、歯を支える周囲の骨が相対的に軟らかいので、欠けるよりもグラグラになったりめり込んだりしてズレる場合が多いという特徴があります。
まずは外傷を受けた歯が抜けてしまったりしないように、グラグラがある程度大きい場合は隣り合った歯と矯正治療に使うワイヤーなどで固定します。期間的には2週間から1か月位です。グラグラが軽度の場合は1週間位すると自力でおさまってきますので、外傷後の消毒等はしますが、そのまま経過を観ることでOKです。
固定する場合はズレた歯を元の位置に戻してから行うのが通常ですが、めり込んだ場合、時間とともにまた出てきてほぼ元の場所に戻ることが期待されますので(通常数か月かかります)、そのまま経過を観ます。元の場所に戻すということは歯を引っ張り出すことになって、かえってグラグラが増して経過不良を起こすことにもなりかねません。
さて、永久歯への影響はあるのでしょうか? 永久歯前歯は生まれて間もなく乳歯の根の先付近で形成が開始されますので、より低年齢で歯がめりこむような外傷を受けると永久歯の形成や位置に影響が出る可能性があります。永久歯位置のズレの有無はX線で前もって確かめられますが、形成への影響は正直言って出てみないと分かりません。
また、外傷で歯の神経が死んだ状態になった場合、歯の変色が出てきます。神経が死んでしまって歯の根の部分に炎症像が出てきたら根の治療が必要になります。
明らかな炎症像がなければそのまま経過を観ますが、やはり神経が生きていないということは、永久歯との交換時期に不具合を起こすことがあります。乳歯の根が早々と溶けてしまって、早期に脱落することがある一方で、なかなか溶けずに永久歯が出てくる妨げになることもあります。
外傷後固定してしっかりなり、一見問題なく経過している場合でも、永久歯との交換時期には特にチェックが必要ではないかと思います。



0歳児で左上2番目の前歯(X線では一番右側の歯)がめり込んだ患者さん。X線的にはそれほどに見えませんが、実際にはほとんど歯が見えない状態です。そのまま経過を観ているところです。
他の歯を見ても、乳歯前歯はまだ充分根が完成していませんが、早くも永久歯はうっすらと出来始めています。



外傷後根の周りに炎症像がないのでそのまま経過観察をしていた患者さん。
左上永久歯(右側の歯)は自然に生え変わりましたが、右上(真ん中の歯)は根がほとんど溶けない状態で、永久歯が出るのを邪魔しています。数か月経過を見てもほとんど変化がなかったので、残念ながら乳歯を抜歯ということになりました。




ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/
                             http://www.futatsuki-dental.com/

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