頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』万城目学

2010-02-28 | books

「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」万城目学 ちくまプリマー新書 2010年

小学校1年生になったばかりのかのこちゃん。かのこちゃんとお父さんとお母さんと家には犬の玄三郎、猫のマドレーヌがいる。かのこちゃんの視線からみた日々の驚きに満ちた生活、マドレーヌの視線からみた猫の生活。万城目ワールドはまるで童話のようになって・・・

いやいやいや。これは子供に独占させては勿体無い。童話っぽいけれど、新書じゃなくして装丁も変えれば内容は充分に大人向けの小説だ。なんと言ってもかのこちゃんがかわいい。小学校1年生の女の子ってこんな風なんだなー。ふむふむ&じわじわと染みこんで来る。文章も瑞々しい。

猫のマドレーヌから見た世界が描かれるのだからそこは吾輩は猫である的なモノであろうと予期していたら、だいぶ違う。いい意味で期待を裏切ってくれた。犬の玄三郎との触れ合いとか、近所の猫たちとの集会とかほのぼのを超えて、なんて言えばいいのか、ほのぼののー!(なんて日本語だ)猫ってそれほど好きじゃなかったのに、ちょっと好きになってしまったよ。

ちょっとした現実を離れた部分はファンタジーなんだけど、ファンタジーという言葉から連想する勧善懲悪な部分は全くないし、自分の思い通りを妄想するということでもないし。妙にリアリティがあって妙にリアルから飛躍してしまっている作品として元祖天才バカボンを連想した。読後感は似ていると思う。かのこちゃんを思い浮かべると、となりの晩御飯じゃなくて、となりのトトロのメイちゃんぽいなあなどとも思った。

万城目学はかれこれ5冊の本をレビューした。天才とはこういう人を言うのかも知れない。




「鹿男あをによし」
「鴨川ホルモー」
「ザ・万歩計」
「ホルモー六景」
「プリンセス・トヨトミ」




かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
万城目 学
筑摩書房

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アンドレア・ボチェッリとかTime To Say GoodbyeとかCon Te Partiroとか

2010-02-27 | music

私のかなり近いところというかまあようは親戚にゲイがいる。その事について特にここで語りたいわけじゃない。彼が来日したときにゲイ・パートナーを一緒に連れて来てくれた。その彼にとっては初めての日本だった。

そのときに秋葉原に連れて行ってあげた。経緯は全く記憶にないのだが、秋葉原のドンキホーテの店内で私はなぜかTime To Say Goodbyeを熱唱していた。アリスのチャンピオンを堀内孝雄と谷村新司を歌い分けるに続いて私が会得した、サラ・ブライトマンとアンドレア・ボチェッリの歌い分けをするという必殺技である。誰も聴いてくれないので、風呂場以外では炸裂したことがなかった。しかしオペラ好きだという彼に披露したのだ。

いたく喜んでいただいたことは言うまでもない。その時に彼に「アンドレア・ボチェッリって盲目なんだよ。彼がイタリアのどこかで野外ライブしたDVDで見たよ」教えて貰った。へぇ、目が見えないのに凄いなあ、と思いながらずいぶんと年月が経ってしまった。大きなあるいは小さな嘘と誇張が混じっている今回のblogだが気にしない気にしない。

グラミー賞の授賞式でMary J.Bligeと一緒に歌ったというのでその映像を探していたら、Time To Say Goodbyeの元のイタリア語のバージョンを発見した。Con Te Partiroは「君と一緒に旅に出る」という意味だそうなので別れの唄ではないそうだ。歌詞の英訳も発見したがそれはいいだろう。結婚式で歌っても問題のない内容なわけだ。






YouTubeでアンドレアのパフォーマンスを色々発掘したがこれがベストだと思う。なぜかこれを観ながら聴きながら涙が止まらくなってしまった。

こんなことも年に一度くらいある。私のような畜生であっても。


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『兇弾』逢坂剛

2010-02-26 | books

「兇弾」逢坂剛 文藝春秋社 2010年(初出別冊文藝春秋2008年7月号~2009年11月号)

「禿鷹の夜」「無防備都市 禿鷹の夜II」「銀弾の森 禿鷹III」「禿鷹狩り 禿鷹IV」の四部作で完結したのかと思っていたシリーズ。しかし・・・

悪徳刑事界に金字塔を打ち立てたハゲタカこと禿富警部補は死んだ。しかし、神宮署の裏帳簿の行方はまだ分からない。「兇弾」はここから始まる。渋六興業の水間や野田、神宮署の嵯峨と御子柴刑事、バーみはるのマヤ、ボニータ、警察庁の松国、岩動寿満子らシリーズのキャラクターがみな登場してのバトルロイヤル。さてさてどうなることやら・・・

むむむむむ!これはタマラン!ハゲタカシリーズは大好きだったが、まさか死んだ後にこんなに話を膨らませられるとは、参った。冒頭報告書が握り潰され、とあるヤクザが殺害され、一体どういう話になっていくのか全く先が読めない。結局は太い軸を中心に進んでゆくので登場人物が多くても翻訳ミステリーのように読みにくくはない。

ネタバレしないように気をつけながら、○○○が食わせ者だとは分かっていたが、まさかXXXがこんなに重要な働きをするとは。腹立たしい悪キャラとスカッとする善役のコントラストが分かりにくいのもまたいい。西部劇のような壮絶なラストが待っている。しかしラストのラストにそう来たか。そうですかそうですか。

逢坂剛が他に書いていたシリーズと言えば、公安警察シリーズとWikipediaには書かれていたが、別名「百舌シリーズ」はどうなったんだ?「岡坂神策シリーズ」は?百舌シリーズほどドキがムネムネする小説群もあまりないと思うし、私が子供の頃からなりたいと憧れていたのは仮面ライダーではなく岡坂神策なのだよ。

まあそんなわけで逢坂さんにはぜひ時代ものだけじゃなく、スペイン内戦ものと公安警察シリーズを書いて貰いたいと強く願う。


↓あまりツッコミどころのない我が書棚






追記:後で読み返してみてなんとショボイレビューだと頭が痛くなった。すまぬ。調子が悪いらしい。いや永遠に調子が悪いのか。






兇弾
逢坂 剛
文藝春秋

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百舌シリーズは全6作。第一弾、第二弾が以下に。

裏切りの日日 (集英社文庫)
逢坂 剛
集英社

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百舌の叫ぶ夜 (集英社文庫)
逢坂 剛
集英社

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岡坂神策シリーズは全8作。短編集に初登場する。

クリヴィツキー症候群 (講談社文庫)
逢坂 剛
講談社

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水中眼鏡(ゴーグル)の女 (集英社文庫)
逢坂 剛
集英社

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これも面白かった。
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ジョイフル本田は安かった

2010-02-25 | days



だいぶ前に伊集院光がPodcastのラジオ深夜の馬鹿力で言っていた。

「ジョイフル本田に行ったんだけど本当に凄い」と。車で行ってどこに駐車すべきかと係の人に訊いたら「何を買いたいかによります」と言われたと。どんだけでかいのだろうか。

それから月日は流れ、突然行くことになった。何の目的もなく。東京ドーム2.6個分あるという瑞穂店。何しろ住所が東京都西多摩郡瑞穂町。見た事も聞いた事もない。卑怯だ。いや飛球だ。いや秘境に違いない。

遠い。果てしなく遠い。途中米軍の横田基地の横を通った。広大な敷地にカンファタブルでコージーでアメニティな雰囲気。貴重な日本の土地が、必要か不明な米軍のためにとられてしまっているのか。ちょっと言い方が子供っぽいか。

しかし横田基地の周囲は賑わいからは遠く荒んだ街のように見られた。夕張ほどではなかったけども。

そんなこんなで確か2時間半だかかかって到着。確かに広い広い。開店と同時くらいに着いたのだが、色々見て回って結局夕方までいた。実にワンダフルな店だ。

家の近くにあったら毎週行ってしまいそうだ。

大事なことを書き忘れた。ここはホームセンター。「ホームセンタージョイフル本田~夢と感動を与えるグローバルホームセンター」


帰りの車の中で、バックホームがセンターからホームへ球を投げることだから、ホーム・センターはキャッチャーがセンターに球を投げることになるけどそれはどういう状況なのだろうかとずっと考えていた。

なむなむ。
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『橋本治と内田樹』

2010-02-24 | books

『橋本治と内田樹』筑摩書房 2008年

橋本治という人の書いた文章をほとんど読んだことがない。内田樹という人の文章はレヴィナス研究などのご専門の分野以外では結構読んだ。ブログでレビューするタイミングを逸した書籍がいくつかある。「ためらいの倫理学」とか「身体を通して時代を読む」「知に働けば蔵が立つ」や「街場の現代思想」など。

立花隆や佐藤優がカミソリのように鋭く斬り込んでくるとすると、鉈でドスンと来るのが内田樹であると思っている。

しかし桃尻娘のイメージや物腰の柔らかさから女性的な感じを勝手に抱いていた橋本治さんの言うことには興味が持てなかったのだ。ナヨナヨして気持ち悪い感じ。

しかし「橋本治と内田樹」を読んで偏見が一掃された。申し訳ないと思った。なにげなくかっこつけないですごくいいことを言う人なんだな。この本は二人の対談本である。


・カントのように毎日判で捺したような生活をしている方が知的パフォーマンスを最高値に高止まりさせたい人には良い。余計な知的リソースを割かなくて良いから(内田さん言う 129頁にて)

・少年ジャンプが100万部発売されていて、宇多田ヒカルのCDが800万枚売れていたとしても、ジャンプは皆で回すという回遊率が高かった。しかし音楽は人に貸さないから広がりがない。エンターテイメント系の機械の普及は人の孤立を深める(橋本さん言う 172頁にて)

・歴史は繰り返すじゃないけど、ちょうどいい具合に古くなったものって、漬物としてはおいしいんですよ(橋本さん言う 176頁にて)


最後の引用は少し古くなった(失礼)女性に今度言おうと心にメモした。自分が特になんの役にも立たない本を読んだりしていて「俺何してるんだろうなー」なんて思わないわけじゃないんだけど、特に橋本さんの話を読むと、人生=全てが無駄もしくは、人生=無駄なんて一つもない なんて勇気付けられた。







橋本治と内田樹
橋本 治,内田 樹
筑摩書房

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女子高生の意見

2010-02-23 | days
朝日新聞の声欄より。


 高校生 田中千里(東京都墨田区16)
朝の電車で空いている席を求め、我先にと急ぐ30代くらいの女性がいた。降りようとしている人に突き当たったり、人の足を踏んだりして、なお席を取ろうとする姿に「こんな大人にはなりたくない」と思った。
ある日、女性は同年代と思われる男性と一緒に乗車して来た。女性はいつもとは打って変わって落ち着いていて、席を取るそぶりも見せずに男性と仲むつまじく離していた。私は心の中で「猫かぶって。こうやって男性は騙されてしまうのか」とつぶやいた。それからというモノ。毎朝男性と一緒に通勤するようになり、女性の席取りに走る姿を見ることがなくなった。
しばらくたったある日、女性は一人で乗車してきた。見つめていると、女性は席を取るそぶりは見せず、ただ悠然とつり革につかまっていた。
そのあとは一人で乗車するときも、男性と一緒の時も、席を取りに走ることもなく、とても落ち着いた姿は輝いていた。何が彼女を買えたのか.それはきっとこいだと思う。分からないけど。でも人ってこんなに変わるものかと、うれしくなった。




以上で引用終了。オチが二段になっていて、猫カブリだけで終わらないのが面白い。勝手に想像を膨らませる16歳の女子にツッコミを入れたい気もするが・・・・・・

しかし、季節の変わり目。体調を崩している人が多い。私もそう。メタボなので体型が崩れている。

いや、そういうことでなくて、季節の変わり目体調を崩しやすいですが、風邪などひかぬようみなさんご自愛下さいませ。
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『天地明察』冲方丁

2010-02-22 | books

「天地明察」冲方丁(うぶかたとう) 角川書店 2009年(初出野生時代2009年1月~7月号)

江戸時代、将軍で言うなら4代から5代の頃。囲碁を将軍家に教え、算術を得意とする者がいた。彼が次に挑むのか暦を変えるということ。ただそれだけの話。

いやいやいや。暦を変えるってそれだけの話なのになんて読ませるんだ。参った。参考文献を見ると、「渋川春海の研究」(春海は主人公)とか「関孝和の実像を求めて」等、本書に登場する人物の名前がそのままの資料にあるということだから、実際にあったことを小説にしているようだ。

ユリウス暦とかグレゴリオ暦(どう違うのか分からない)って時の権力者の力の誇示のために改暦があったのかと思っていたのだが「天地明察」を読むと暦のちょっとした違いが何をもたらすのかよく分かる。正しい暦を計算することに困難さとそしてより良い暦が存在することが分かったからといってそれを導入することの困難さなどちょっと考えたことすらないばかり。面白い。

冲方丁というひとはSF作家。本書は初の時代小説だそうだ。春海や他の登場人物の造形が実にいい。ほのぼのしていたり峻烈だったり。山鹿素行や保科正之などの歴史上人物も「そういう人だったのか!」と彼らの所作が顔が映像の如く生き生きと目の前に浮かび上がる。

囲碁のタイトルに本因坊というのがあるが、あれは囲碁を教える名家の苗字だったそうだ。ふむふむ。「天地明察」というタイトルも意味不明だったが、読んでいるうちに実に内容に合ったいいタイトルだと思うようになった。







天地明察
冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)

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※追記: 川保さんの指摘により、作者の名前の読み方を「うぶかたてい」から「うぶかたとう」に訂正した。
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店名にツッコンでください8

2010-02-21 | laugh or let me die


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『犬の力』ドン・ウィンズロウ

2010-02-20 | books

「犬の力」(上下)ドン・ウィンズロウ 角川書店 2009年
THE POWER OF THE DOG, Don Winslow 2005

初めてドン・ウィンズロウを読んだのは「ストリート・キッズ」だった。爽やかで痛快。作者に常にそんな期待をしてしまうが、本作は全く違う。このミスでも週刊文春でも年間ベスト10で極めて高い評価をされていた。さてさて、

DEAのエージェントとして尋常でない力量と執念でドラッグと闘うアート・ケラーを中心として70年代から2005年に至る30年間の死闘を描く。アメリカ国内の政府組織内の対立、DEA対メキシコの麻薬カルテル、麻薬カルテル内の対立、メキシコ、ホンジュラス、コスタリカ、NY、サンディエゴ、香港と舞台は広く話も大きい。広げた大風呂敷はうまく収束に向かうのか・・・

いやいやいや。なんだこれは。これがドン・ウィンズロウなのか。凄いぞ。どこまでが現実でどこからがフィクションなのか分からない。イラン・コントラ事件とかノリエガ将軍のエピソードが軽く出て来るのだが、ノリエガもコントラもエルサルバドルもピッグズ湾事件もそれら全部を合わせても足りないくらいのスケールと人間の奥深さがどこまでも続く。

(中南米版ゴッドファーザー+アンタッチャブル)x2という譬えもあまり巧くないか。物凄く湿っぽい話なはずなのに、全然ウェットじゃない。同じドロドロしたモノを描いても梁石日の「血と骨」はとてもウェット代表なのに。船戸与一の大傑作「山猫の夏」を思い出した。舞台がラテンアメリカであるということと、全編に乾いた空気が流れているという共通点がある。

東江一紀さんの訳が実にいい。訳に恵まれる・恵まれないだけで、作品の質が変わってしまうというのが翻訳本に避けられない運命だ。もうほとんど終わりとなった下巻438頁の冒頭は、

この列車には聖人と罪人が乗っている
この列車には勝者と敗者が乗っている
この列車には娼婦と博徒が乗っている
この列車には地獄に墜ちた魂が・・・・・・


ふむ。我々の中にも聖人と罪人、勝者と敗者の両方が潜んでいるのではないだろうか。





犬の力 上 (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ
角川書店(角川グループパブリッシング)

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犬の力 下 (角川文庫)
ドン・ウィンズロウ
角川書店(角川グループパブリッシング)

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山猫の夏 (講談社文庫)
船戸 与一
講談社

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スピードスケート日本代表

2010-02-19 | sport

銀やら銅やらメダルを取ったそうだ。すごいすごい。

代表が着ているピタッとしたユニフォームだが、股間が妙に強調されているというか、ブーメラン型ビキニが貼り付いているように見えるのは私だけだろうか。

それも何らかの戦略なのだろうか。

などということを考えるのもまた私だけだろうか。

周囲に話したが誰もそんなところを見ていなかった。

「バカじゃないの?」という視線が痛いのも私だけだろうか。




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何に見えますか

2010-02-18 | days
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『カッコウの卵は誰のもの』東野圭吾

2010-02-17 | books

「カッコウの卵は誰のもの」東野圭吾 光文社 2010年(初出バーサス2004年10月~、小説宝石2006年12月~2008年2月号)

アルペンスキーの元名選手。娘が同じように有力選手への階段を登りつつある。二人の遺伝子から関連性を見い出そうとする研究者。遺伝子の優性からやりたくないクロスカントリースキーをやらされる少年。娘の出生の秘密を軸に、謎解きとスポーツが絡んで・・・

ふむ。直前まで「Nのために」を読んでいたのでつい比較ししまう。Nの方がネタとして大きくいけるのにやや読みにくい。カッコーはネタはそれほど大きくないのに読みやすいし読ませる。

アルペンスキー小説であるので、冬季オリンピック開催中の現在とてもタイムリーである。しかしスポーツがメインであると思っていると意外な展開。タイトルにもあるカッコウの卵は果たして誰のものなのだろうか?

カッコウは産んだ卵を他の鳥の産卵した卵に混ぜて育てて貰うそうだ(託卵)育ての親と産みの親という単純な話ではなく、その辺りはぜひ読んでいただきたい。

と私らしくない(かどうか分からないが)、簡素なレビューにて失礼。





今日の教訓




カッコウの
カッコウをして
ガッコウへゆく。



カッコウの卵は誰のもの
東野 圭吾
光文社

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ZOOのChoo Choo TRAIN

2010-02-16 | music

EXILEがカバーしたのも悪くないが、オリジナルの方が時代を感じられて私は好きだ。ATUSHIのボーカルはまた別でいいんだけど、SATSUKIのボーカルとバックコーラスに流れる中西圭三の声(中西が作曲している)がまた良い。

時代は1991年。バブルはそろそろその形を崩していたわけだが、いやまだまだ盛り上がっていこうよ!という気分にさせてくれていた・・・ような記憶。







DA PUMPのチャンプルのような番組が当時あって、その中でのパフォーマンス。いかにもその当時という感じがいい。






長いけど、なかなかカッコいいPV。

あらためて聴いてみると、冒頭の「同じ風の中」という歌詞が、ZOOの方がすっと無理なく耳に入ってくるような気がする。





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『Nのために』湊かなえ

2010-02-15 | books

「Nのために」湊かなえ 東京創元社 2010年(初出ミステリーズ2009年2月~9月)

冒頭超高級マンションで夫婦が殺害される。容疑者は逮捕され懲役10年。その場にいた者たちの回想から誰が何のために行った殺人なのか、それぞれの思惑は何なのか、一見無関係に見えるその者たちの関係はなんだったのか・・・衝撃作「告白」「少女」「贖罪」に続く第四弾。

うむ。悪くないけどすごく良いとも思わなかった。面白かったと思う人も少なからずいるだろうし、そういう異見に対してリスペクトする。私には合わなかったんだよな。

全体に違和感が漂う。何と言えばいいか。狂っていない人が狂った人の気持ちになって心理描写をしている感じが近い。天才でない人が天才の気持ちを書く難しさとか天才が天才でない人の気持ちを書く難しさとか。登場人物は必ずしも作者の分身ではないのだから、虚構で構わないのだが、しかしその虚構に虚構らしさというかそのようなモノがあまり感じられずだからと言ってリアリティもあまり感じられない。感じる人もたくさんいるのだろうけど。

A→B→Cという物語の流れを演繹的に作っていくと最終的な落としどころは不明なので行く先に分からないジェットコースターに乗っているような気分になる。それが面白い。しかし本作は、想像するにC←B←Aというような帰納法的(使い方間違ってる?)な作り方をしたんだろう。最後のネタがまず先にありきでそれからそこに至る道筋を後から考えると、ネタの良さが重要なのと、過程に面白さをくっつけるのがやや困難だと思う。X君がこうして→こうやって→こうなった、という書き方(とストーリーの思いつき方)をした方が読む方は読み安いと思う。今読んでいる東野圭吾の「カッコーの卵は誰のもの」がそのタイプに思える。とても読みやすい。(東野さんが本当はどうストーリーをひねり出しているかは分からないんだけど)

確か内田樹さんが書いていたが、話術が一番いい状態なのは、最終的にはそこに持っていくんだけど、その途中はアドリブで喋っていて果たしてそこに行き着くのだろうか不安になりながらちょっと気分が浮遊しているようなイタコ状態になって、で、やっぱりちゃんとそこに行った、というような状態であると。それと同じで小説も最終的にそこに持っていくということを強く意識していないで無意識にそこに持っていけるとすごく良いものになると思った。「Nのために」がそうなっているとかいないとかいう話からジャンプして一般的な話になった。

しかし「Nのために」というタイトルなのですぐにNが誰か分かると思っていたら、登場人物がNだらけなので、ついつい気になって読んでしまう。リーダビリティは高い。

某登場人物の幼少期が結構おぞましかったりするのが良いのだが、鬼畜な読み手の私は「もっとおぞましく!もっともっとおぞましく!」と思ってしまった。

「告白」が凄く面白かったのでなかなかそれを超える作品が出て来ないけれど、それでもまた新作が出たら期待を大にして読んでしまうだろう。それだけ「告白」が良かったから。昔好きだった女性の事をなかなか忘れられないというのと同じ心理なのだろうか。経験不足の私にはよく分からない。








Nのために
湊 かなえ
東京創元社

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告白
湊 かなえ
双葉社

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そんなにたくさん

2010-02-14 | days
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