頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

映画「運命を分けたザイル」

2010-10-31 | film, drama and TV

英国人のジョーとサイモンは南米ペルーの、誰も登頂成功したことがない、シウラ・グランデの西壁に挑む。困難をものともせず登頂に成功。しかし下山で悪夢が。ジョーは滑落して足を骨折してしまったのだ。ザイルでつながっているジョーとサイモン。サイモンの下した決断とは、ザイルを切断することだった・・・

いやいやいや。こりゃすごい。たまたまDVDレンタル屋で見かけただけだったのに。ジョー・シンプソンが書いたノンフィクション「死のクレバス アンデス氷壁の遭難」を基にした映画。ジョーとサイモンによく似た俳優が演じ、ところどころでジョー、サイモンの本人のインタビューが入る。(ということは、ジョーは死ななかったのかということを知ったまま観ることになるけれど)

映像の迫力ったら腰を抜かしそうになるぐらい。監督のケヴィン・マクドラルドが言うように、一番近い村から三日もかかる山の上で撮影したのだから、スタジオのセットが作り出す「よく出来すぎてる感」がない。

自分が浸かっているぬるま湯じゃない、熱湯や氷水へわざわざ向かおうとする人たちに対してただただ尊敬してしまう。なぜそう思うのかよく分からないけれど。ある種の本能のようなものなのだろうか。





運命を分けたザイル [DVD]

ポニーキャニオン

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『カウントダウン』佐々木譲

2010-10-30 | books

「カウントダウン」佐々木譲 毎日新聞社 2010年(初出本の時間2008年2月~2009年11月)

夕張市の二の舞になりかけている北海道幌岡市。20年も市長をしているドン大田原は六期目も出馬するのだろうか。第三セクターは破綻寸前、不安と怒りでいっぱいの市民たち。そこへ、市議を勤める森下直樹に出馬の依頼が。夕張出身の佐々木譲が描く、破綻した地方都市の姿は・・・

いやいやいや。これは面白かったぞ。夕張市の中田鉄治元市長の名前も何度も登場し、もちろん批判されている。そんな夕張市の真似をした幌岡市という架空の市が、夕張はこうだった、で幌岡はこうという風に描かれていて夕張市の財政再建団体認定についてあまり詳しくない私もとてもよく分かった。

奇をてらったような作りではなく、現大田原体制がいかに腐っているか(=悪)、直樹と後援者たち、アドバイザーの北大の准教授(=善)の善悪対決が、ただそれだけが書かれていると言ってよい。それ以外の余計な要素がないにも関わらずこれだけの分量(357頁)になっているということは、一つ一つが丁寧に描かれているということ。

市議会で、共産党の女性市議が質問に立ったときに浴びせられるヤジを聞いていると、嫌な気分になるし、大田原市長が破綻についてする言い訳を聞くと殺意を覚える。そんな極端な気分にさせるのも作者の腕。

地方政治や自治についてもちょっと考えさせられた。しかし、ポリティカル・エンターテイメントとして堪能したことには変わりない。タイトルは連載の時は「二度死ぬ町」だったそうだが、そっちの方が良い(内容と合っている)ように思わないではないが。





カウントダウン
佐々木 譲
毎日新聞社

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店名等にツッコンでください41

2010-10-29 | laugh or let me die

スナック富士
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悩み

2010-10-28 | days

そうそう。秋と言えば悩み多き秋である。

みなさん、悩んでますか?

拙者のPCはシフト+mを入力しても反応しなくくなった。それも秋だからだろうか。いや、もう冬に入ってしまったのだろうか。さむいさむい。

今週はほんとに寒い。道路に立っているだけで凍ってしまうかと思った。前にも書いたかもしれないけれど、肋骨を痛めているので、なんとなく肉体的にも寒い。コートをもう着ないといけないのだろうか。

しかし、私の友人Y君はスゴイ。冬でも半袖である。できれば短パンでいたいそうだが社会的にそれが許されないから仕方なくの長ズボンだそうである。

うーむ。コートなど来たことがないし、セーターの類も着ない。うーむ。できれば一年中タンクトップ+短パン+裸足でいたいそうだ。

そんな彼はさまぁ~ずの大ファンで、出演する番組は全て録画し、DVDも全て購入しているそうだ。服に金を使わない代わりに別のところで使っているわけか。なるほど。

ところで、今回のタイトル「悩み」

私は何の悩みを書こうとしていたのだろうか?

全く思い出せない。

秋だから、

予約してもアキがないアキかな。

うーむ。思い出せない。

そんな自分には

もうアキアキのアキ・・・

では、また。
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米国ドラマ「ハーパーズ・アイランド」#1

2010-10-27 | film, drama and TV

e2スカパーで放送がはじまったので録画して観た。

7年前に連続殺人事件が起こった島。そこで結婚式を行う大金持ちの娘。シアトルから船で渡った招待客たち。どうやら陰惨なことにまた・・・

うむ。悪くないけど・・・なんだかチープ。B級ホラーだと思えばよいんだと思うけど。2回目以降録画して観るか迷う。でも、船のスクリューに男が酸素ボンベをしょって口から吸いながら、しかも括り付けられているというシーンは衝撃的だった。ギリギリスクリューには絡まないのかと思ったら、船が出港して、後に海に血が。

しかし、アメリカという国は面白い。こんなチープな作品があれば、ダメージのようなややこしい作品もある。観る層が違うのだろうか。アメリカに住む友人は一人もドラマは観てないのでよく分からないが。




ハーパーズ・アイランド DVD-BOX

パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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『抱影』北方謙三

2010-10-26 | books

「抱影」北方謙三 講談社 2010年

ハードボイルド作家北方謙三が帰ってきた。

横浜の繁華街に住み、絵を描き金は持っているが、酒場を何件も経営する男、硲。自転車で伊勢佐木町界隈を毎日巡回している。絵を描くときにまるで魂を溶かすように描き、酒場を巡り、女と付き合い、しかしながら極めて内省的。チンピラだった頃に知り合った弟分が、外国から連れてこられて風俗で働いている女の足抜けを手伝っている。その彼を助けてしまってから・・・

うむうむ。久しぶりに国産ハードボイルドど真ん中を読んだ感じ。悪くない。しかしそれよりも、出てくるマイナーな地名が自分の庭のような地名ばかり。野毛、都橋、万国橋、弁天通り、松影町、日ノ出町・・・いくらなんでもここまで細かいと横浜市民でも分からない人は多いようの思う。

ハードボイルドとしても悪くない。いわゆる「ハードボイルドらしいラスト」はもうちょっと先からその伏線があるのかなと予期し、そしてそうならないので、そうはならないのかなと思ったら、急にそっちに進んで終わった。これもまた巧いやり方だ。

北方謙三、志水辰夫、船戸与一が日本のハードボイルド小説をリードしていた時期があった。三人とも後に時代小説の方角へ行ってしまったが。書棚を見てみたら北方志水船戸の古い小説が結構あった。また読み返してみようか。







抱影 (100周年書き下ろし)
北方 謙三
講談社

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『神様のカルテ2』夏川草介

2010-10-24 | books

「神様のカルテ2」夏川草介 小学館 2010年

「神様のカルテ」の続編。

92歳の仲の良い夫婦、糖尿病なのについ食べてしまう男、上司が重病、相変わらず忙しい本庄病院の内科医栗原。今回は大学の同級生が東京の大学病院を辞め本庄病院へ来たことと彼の様子がおかしい、というエピソードが中心に。

第一作と同様に、ほのぼのとした文体に、過酷な医療現場。そのギャップがいい。密かに栗原の妻ハルさんが私の理想の女性だったりする。

そして278頁で明らかになるラストの仕掛け。いいなあ。こういうことをしてあげたいとまで思う人が身近にいたり、あるいはしてくれる人が身近にいたり。すれば生きるということはずいぶんといい味がするのたろうなあ。うんうん

やっぱり映画化されるそうで書店で山積みになっている。櫻井翔君は原作よりかっこよすぎかと思うけれど、映像になればまた色々観る楽しみがある。ハルさん=宮崎あおいはハマリ役のように思う。


 「苦しいお酒はイチさんの分まで飲みます。おいしいお酒は、イチさんと一緒に飲みます」(259頁よりハルの台詞を引用)



ああ。ハルに言われたい。






神様のカルテ 2
夏川 草介
小学館

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『砂の上のあなた』白石一文

2010-10-23 | books

「砂の上のあなた」白石一文 新潮社 2010年

35歳主婦の美砂子。子供が欲しくて仕方がない。しかし夫の直志は昔と違って子供をそれほど欲しくなくなっているようだ。そんなとき、ある男が連絡してきて、亡くなった父が愛人に宛てた手紙を持っていると言う。それから美砂子の人生は大きく転がって行く・・・

いやいやいや。やはり白石一文。さすがである。面白くないわけがない。


 俺たちは何をやっていても常にその瞬間瞬間に「俺が今こういうことをしている」「俺が今こういうことをしていた」「俺はさっきこういうことをしていたということを思い出している」と言った自覚を反復し続けます。そしてしばらくたつと少し前のことなんてすっかり忘れて、次の瞬間の複雑な行動に没頭し、また「俺は今こういうことをしている」と気づく。いいですか、美砂子さん。俺たち人間はそんなふうにして「俺」とか「私」とかを不変の指標としながら、絶えず新しい認識を繰り返し獲得し続けているんですよ(97頁より美砂子に手紙を見せた謎の男浩之の台詞より引用)



白石哲学(もしくは哲学的なモノ)については、「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」で長たらしく書いたので繰り返さない。同じ様に私の大好きな白石哲学が展開されている。白石商店大開店中である。

今回割とハッキリしたと思ったのは、白石のそれは西洋哲学とかキリスト教的じゃなくて、極めて仏教的な世界観なんだなということ。ネタバレしないように書かないけれど、ラスト近辺で人の縁が大きなテーマになってくる。まさかああなるとは。そうだ。鳥取砂丘へ行こう。

ストーリーも先が読めない。そういう意味ではとてもミステリー的文法に則った純文学である。

冒頭で、美砂子が付き合った高遠という男性はロンドン留学の際鬱病を患ってしまい、後に別れるとある。どんな風に別れたかは小出しにされ178頁になって、やっと別れ際の二人の会話が出てくる


 「勃起したのは、美砂子と別れると決めて、少し心が軽くなったからだと思う。僕はそうやって大切なものをどんどん失いながら生きながらえる。誰にとっても価値のない、成長を止めた赤ん坊のようになっていくんだ。病気がよくなることもない。僕自身が、もう良くなるということがどういうことか忘れてしまった。行き先を見失った船は、永遠に広い海を漂流し続けるしかない。こうして正気でいられる時間が与えられているうちに美砂子と別れることが出来て本当に良かったと思っている」無言でなおいっそう強く高遠を抱きしめた。彼の言っていることが良く理解できた。「もう泣くことも忘れてしまったんだ」最後に高遠は言った(178頁より引用)


この箇所を読んで思わずため息をついてしまった。登場人物に感情移入するどころか、完全に自分が美砂子になってしまっていた。これが小説の力なのだろう。

この作品を10年前に読んでもたぶんそれほど楽しめなかったろう。やっと白石一文の作品は堪能できるぐらいに自分は大人になったようである。







砂の上のあなた
白石 一文
新潮社

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秋ドラマショートレビュー2

2010-10-22 | film, drama and TV
昨日の続き。


「ギルティ」#1 #2

復讐復讐復讐。(たぶん)無実なのに殺人で服役していた女がはじめた復讐の嵐。イケメン&美女が出ている割に、ビジュアルじゃなくてストーリーで魅せる。彼女の復讐の行く先はとても気になる。

「黄金の豚」#1

詐欺師が会計検査院に就職する。うーん。これはうまい。視聴率をとれるドラマってこういう作りだよなと思う。導入部からしてあーそういう経緯で就職したのかと納得。初回の老人ホームをめぐる汚職はいくらなんでもそんな露骨なことするかなと疑問に思わないでもないけど、あまりリアルな事件はドラマでは扱いにくいだろしその辺を割り引けばいいドラマだと思う。

「SPEC」#1 #2

うーむ。なんだこれは。大好きだぞ。好物だぞ。戸田恵梨香の鳥居みゆき的なイタイ女と加瀬亮の坊主頭。ケイゾクとTRICKを足して2乗したかのごとく。超常現象もしくは超能力が話の落としドコロになっているのだけが私は気に入らない。普通にミステリにすれば良いと思うんだが。今後の展開に期待。このドラマでの戸田恵梨香=絶対付き合いたくないけど、でも凄く気になる人界の頂点に立った、と知り合いに言ったら「なにそれ?」「いや、それはね」と説明したんだけど多分聞いてなかったと思う。

「ナサケの女」#1

国税局の話=マルサの女と同様。どうしても「黄金の豚」と較べてしまう。どちらも涼子だし。ついでに広末も主演してくれていたら三つ巴対決だったのに。肝心のストーリーは豚もナサケも同点。ビジュアルでは篠原より米倉の方が上。その代わり、元ヤンキーだったという余計なエピソードがナサケではやや邪魔。と、まあ同じような評価。しかし今後の展開についてはナサケは想像できてしまうが、豚は会計検査院という新しいジャンルだし、内閣や政党からの圧力をどう跳ね返してゆくかという部分に期待できるため、軍配は豚に。



そうそう。三谷幸喜脚本の人形劇「三銃士」録画していたのやっと見終わった。大収穫。ほんと面白かった。

以上駆け足な感じにて失礼。では、また。





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秋ドラマショートレビュー

2010-10-21 | film, drama and TV

毎回ドラマの初回はレビューしてたのですが、今回失念してました。ので、まとめて。

「獣医ドリトル」#1

高い金をとるけれど、腕は一流の獣医という、ブラックジャックを連想しないわけにはいかないドラマ。小栗旬でなくてもいいだろう感とストーリーがどうにもなーという不満感が残った。

「パーフェクト・リポート」#1

テレビ局の遊軍という名の左遷部屋でスクープをものにする松雪泰子と仲間たち。これは意外と悪くなかった。初回は首相のスキャンダルか?と思わせて実は人情あふれる首相だったという話。今後録画して観るかというと・・・ビミョウ。

「流れ星」#1

水族館に勤め、肝移植の必要な妹がいる男、兄の借金を返すため風俗で働く女。契約結婚すれば、という話。うーん。悪くない。上戸彩はさすが。風俗嬢役でも割りと違和感がない。ストーリーの先が想像できないこともないけれど、どういうわけか再放送がたぶんされないであろう名作「星の金貨」とテイストが似ていて嫌いじゃない。

「モリのアサガオ」#1

死刑囚と刑務官のふれあい?を通して死刑とは何かをたぶん考えさせられるドラマ。うむ。これが今クールでは一番良かった。私は食事しながら新聞読みながらとかPCやりながらとか本読みながらテレビを見ていることが多いんだけど、気がついたらこのドラマに集中してしまっていた。先が気になる。


以上短めで失礼。残りのドラマはまた明日。

急に寒くなってきたけれど、風邪などひかないようお互いにご自愛いたしませう。

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2010-10-20 | laugh or let me die


凡凡
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『読み解き「般若心経」』伊藤比呂美

2010-10-19 | books

「読み解き「般若心経」 」伊藤比呂美 朝日新聞社 2010年

彼女の身辺日記と般若心経と現代語訳が綴られている。

へぇ、という感じ。なんというかありそうでなかった本。タイトルが胡散臭い感じなので通常なら手に取らない<回避系>なはずなのに、手にとってしまった私はヤキガマワッタのか。

ちょうど自分の体がこのようなモノを求めていたらしくすぅっと入ってきた。

他の人も色々大変なのねーというおばちゃん気分で読み(つまり精神的におばちゃんになってた)、般若心経の現代語訳を田辺聖子的な気分もしくは林真理子的気分で読んだ(どんな気分やねん。)

伊藤比呂美の小説、読んでみやうかしらん。






読み解き「般若心経」
伊藤 比呂美
朝日新聞出版

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店名にツッコンでください39

2010-10-18 | laugh or let me die


幸を巻く美好 綱島
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『街場のマンガ論』内田樹

2010-10-17 | books

「街場のマンガ論」内田樹 小学館クリエイティブ 2010年

マンガについてのエッセイを集めた感じ。

井上雄彦論で熱く語り、少女マンガで熱く語り、BLについても語る語る。必ずしもマンガオタクとは言えない私だが、あちこちでふむふむと頷いたり、それはどうかなと思ったり。

少女マンガ=反米ナショナリズム(え?そんなアホな!?)、リーマン・ブラザーズやモルガン・スタンレーで8千万円稼ぐ男を描く「リーマン物語」のような作品はない(そりゃそうだ)とか。

マンガについて書いたのを雑多に集めてきたので、やや乱暴ではあるし、マンガ全体を網羅した感じも全くしないが、一つの読み物としてはそれなりのレベルに達している。

しかししかし、内田センセイ自身が少女マンガを愛する理由が「自分は少女」だからという部分にはひっくり返った。でも面白かったけど。

未読のくらもちふさこの「天然コケコッコー」というマンガを読みたくなったなー。







街場のマンガ論
内田 樹
小学館クリエイティブ

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アバウトな缶詰

2010-10-16 | days




カロリーがアバウトすぎる。

こんなアバウトでよいのなら、

バスト?

Aカップ~Fカップ

大学?

東大~日東駒専

性別?

男~女

牛丼?

汁だくネギだく~肉抜きご飯抜き

とかまで成立してしまふではなひか!


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