『橋本治と内田樹』筑摩書房 2008年
橋本治という人の書いた文章をほとんど読んだことがない。内田樹という人の文章はレヴィナス研究などのご専門の分野以外では結構読んだ。ブログでレビューするタイミングを逸した書籍がいくつかある。「ためらいの倫理学」とか「身体を通して時代を読む」「知に働けば蔵が立つ」や「街場の現代思想」など。
立花隆や佐藤優がカミソリのように鋭く斬り込んでくるとすると、鉈でドスンと来るのが内田樹であると思っている。
しかし桃尻娘のイメージや物腰の柔らかさから女性的な感じを勝手に抱いていた橋本治さんの言うことには興味が持てなかったのだ。ナヨナヨして気持ち悪い感じ。
しかし「橋本治と内田樹」を読んで偏見が一掃された。申し訳ないと思った。なにげなくかっこつけないですごくいいことを言う人なんだな。この本は二人の対談本である。
・カントのように毎日判で捺したような生活をしている方が知的パフォーマンスを最高値に高止まりさせたい人には良い。余計な知的リソースを割かなくて良いから(内田さん言う 129頁にて)
・少年ジャンプが100万部発売されていて、宇多田ヒカルのCDが800万枚売れていたとしても、ジャンプは皆で回すという回遊率が高かった。しかし音楽は人に貸さないから広がりがない。エンターテイメント系の機械の普及は人の孤立を深める(橋本さん言う 172頁にて)
・歴史は繰り返すじゃないけど、ちょうどいい具合に古くなったものって、漬物としてはおいしいんですよ(橋本さん言う 176頁にて)
最後の引用は少し古くなった(失礼)女性に今度言おうと心にメモした。自分が特になんの役にも立たない本を読んだりしていて「俺何してるんだろうなー」なんて思わないわけじゃないんだけど、特に橋本さんの話を読むと、人生=全てが無駄もしくは、人生=無駄なんて一つもない なんて勇気付けられた。
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