頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

店名にツッコんでください215

2019-05-26 | laugh or let me die
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『検事の信義』柚月裕子

2019-05-24 | books
検事が主人公の連作短編集。

・認知してくれない父親の家から高級時計を盗んだとして逮捕された男。無実の証拠があるのになぜ口にしないのか・・・「裁きを望む」
・覚せい剤所持を所持しているのを目撃した知人が通報。しかし日付が違う・・・「恨みを刻む」
・暴力団幹部を保釈にして、抗争を起こさせようと依頼される検事・・・「正義を質す」
・認知症の母を殺した男。情状酌量の余地があるのに、自分を悪者にしようとしているのはなぜか・・・「信義を守る」

どれもかなり面白かった。一見ありがちなリーガルサスペンスなんだけれど、事件の解決法が、想像だにしないやり方で驚く。そして主人公らしい生真面目な方法なのがまたいい。


 

今日の一曲

Susanna Hoffsで、"Eternal Flame"



では、また。


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『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』東畑開人

2019-05-22 | books
京都大で博士号を取り、臨床心理学を極めるべく就職先を探すが、カウンセリングがメインの仕事を探すと見つからない。やっと見つかったのは沖縄の精神科クリニックだった。実際に仕事を始めてみると、カウンセリングの仕事は少なく、ほとんどがデイケアの仕事だった。

ただそこに「居る」のだけでも難しい仕事を通して、考えるセラピーとケアの違いとは何か・・・

TBSラジオの「荻上チキSession22」で紹介されていた。

読んでみると、デイケアに来る人の話、従業員の話を全く深刻にならないように、むしろ面白おかしく進めてくれる。そして精神療法とか、國分功一郎の著作を引用しつつ暇について考えさせてくれたりする。何とも不思議な本だった。


 

今日の一曲

なぜか先日風呂場で熱唱してしまった。George Michaelで、"Careless Whisper"



では、また。


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『終焉の日』ビクトル・デル・アルボル

2019-05-20 | books
スペイン、1980年、弁護士マリアは警官セサルが情報屋を暴行した時間で警官を刑務所送りにし、売れっ子弁護士へ。しかしセサルは娘を拉致されていた。大物政治家が裏にいて、暗躍している。マリアはセサルに話を聞きにいくと・・・1941年、フランコ政権下、ファランヘ党幹部の妻イサベラ・モラは息子を連れて夫から逃げようとする。しかし・・・40年を経て、暴れ出す謀略、怨念とは・・・

ううむ。こういう話は大好物だ。ラスト近辺でややもたつくので全体としてやや長いけれど、それ以外は完璧に面白い。

イサベラはなぜ夫から逃げようとするのか、その結果どうなったか。それがどういう怨念を生んだのか。40年後、誰がどうなったのか。大物政治家は何を隠そうとしているのか。壮大な大河ドラマとなっている。スペイン近現代史とか重厚長大な物語がお好きな人には強くオススメしておきたい。ものすごくややこしいので、自分用のメモとして、下にネタバレあり。


 

今日の一曲

Lisa Stansfieldで、"All Around the World"



※以下ネタバレ

イサベラは精神的に問題のある次男アンドレス(夫に施設に入れられそう)を連れて逃げようとした。夫の部下のブブリオは、マリアの父ガブリエルにに殺害を命じる。偽の目撃者として脅迫されたレカセンスが偽証し、無実のマルセロ(セサルの父は)処刑される。イサベラの夫ギリェルモは次男アンドレスは施設に入れ、母を愛し自分を批判する長男フェルナンドは戦争に送る・・・ ブブリオは出世して大物政治家になる。セサルはブブリオの悪事の証拠を握るが、娘を拉致されてしまう。その件で近づいてきた情報屋を痛めつけ刑務所に行くが、ブブリオ側から、娘の命が大事なら悪事の情報を出すなと脅される。というような話。以下省略

では、また。


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『京都の平熱 哲学者の都市案内』鷲田清一

2019-05-18 | books
京都出身の鷲田センセイが、京都の美味いものや、思い出などを語るエッセイ。

若干哲学的なカタイ話もなくはないけれど、ほとんどは軽くて読みやすいものだった。旅行ガイドとしてはあまり役に立たないけれど、読み物としてなかなか面白かった。

以前にテレビで紹介されていたお好み焼き屋の夢屋に何年か前に行ったら、予約がないと入らないと言われ、昨年満を持して予約して行った。確かに美味かった。この店のこともこの本に出て来た。行ったことのない壱銭洋食という店が紹介されていて今度はここに行ってみたいと思った。


 

今日の一曲

Do As Infinityで、「柊」



では、また。


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『シーソーモンスター』伊坂幸太郎

2019-05-16 | books
嫁姑の対立と、実は元スパイだったという話を絡めた<シーソーモンスター>と、近未来自動運転や監視システムが進んだ時代に暴走する人口知能を止めようする<スピンモンスター>という二つの話。

つまらなくもなく、すごく面白いというわけでもなく、相変わらず伊坂幸太郎とは相性が良くないらしい。


 

今日の一曲

ピンク・レディーで、「モンスター」



この頃、二人は20歳か21歳ぐらいらしい。何とも大人っぽく見える。そのぐらいの歳だと今のアイドルでは、乃木坂46なら齋藤飛鳥とか星野みなみとか。欅坂46なら小池美波や長濱ねる、渡邉理佐とか。ずっと子供っぽく見える。昔の映画の女優さんたちもすごく大人に見える。(男性はよく分からないけれど)女性はどんどん子供っぽい(あるいは若い)見た目へと進化しているのだろうか。では、また。


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『姑の遺品整理は、迷惑です』垣谷美雨

2019-05-14 | books
望登子は亡くなった義母が一人暮らししていた団地で、遺品の整理をしようとする。片付けても片付けても物がなくならない。肝心の夫は役に立たない。必死で片付けている過程で知り合う義母の隣人たち。よく知らなかった生前の義母のことを知り、そして実の母親のことを知る。

いやあ、遺品の整理ってこんなに大変なのかと驚く。そして意外とハートウォーミングな話。

湯船に浸かりながら1時間ほどで読んでしまった。読みやすく、考えさせられる秀作だった。




 今日の一曲

Charlie Puth feat. Selena Gomezで、"We Don't Talk Anymore"



では、また。

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店名にツッコんでください214

2019-05-12 | laugh or let me die
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『恋愛中毒』山本文緒

2019-05-10 | books
現在は編集プロダクションに勤める水無月美雨が過去を振り返る。離婚し、弁当屋で働いていると偶然出会ったタレントであり作家でもある創路。彼の愛人件、秘書になってみると・・・

以前に読んだと思っていたけれど、書店で手に取ったら内容を全く覚えてないので、読んでみたら、すっかりずっぷりハマってしまった。

いわゆる「ストーカー」の話なんだけれど、単純な話じゃなく、ストーリーが分厚い。先がどうなるか読めず、その辺も好み。

ストーカーしている最中の話ではなく、愛人をしている最中の話がメイン。なので、ストーカー小説を求めて読むと肩透かしをくらう。女性のグログロとした内面を読み取る傑作だった。

<「弱い私の両親。年齢を重ねたからといって、人は必ずしも強くなるわけではないことを私は知った。彼らは現実を受け入れられない。自分達の娘が自分達の予定通りに育たなかったことを直視できないのだ。」

水無月は親を恨んでいる。しかし、創路に言われる。

「でも言っとくけどな、それはお前が勝手に溜めたんだからな。いい子なふりしておいて、あとで本当は嫌だったなんていうのは逆恨みだよ、逆恨み。子供だからって何でも許されると思うなよ」

言われたあとで気づく。

逆恨みだの被害者意識だのという言葉が頭の中でぐるぐるまわった。私は改めて自分が”ひどいめにあわされてきた”と強く思ったいたことに気がついた。私は親からも夫からもひどいめにあわされてきたと思っていた。

被害者意識。あなたも持ってますか?


 

今日の一曲

SIRUPで、"LOOP"



では、また。


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『トリニティ』窪美澄

2019-05-08 | books
60年代、斬新な男性雑誌の創刊とそれに関わった三人の女性たち。表紙のイラストを描く早川朔、ライターの登紀子、雑務の鈴子。それぞれのそのときの人生とその後の人生を描く。

これは面白かった。フィクションとしているけれど、「平凡パンチ」と「anan」のことを連想する。表紙のイラストを描いてたのは大橋歩。書かれていることのうちどれだけが事実でどれだけがフィクションだかはさっぱり分からない。

そういうことは置いておいて、イラストを描くということの大変さや、雑誌というものが作った時代など読みどころたくさん。

メインテーマの一つは、女性の生き方なのだろう。仕事をとるのか結婚をとるのかという古くからある二項対立。出産、家事、金を稼ぐこと。女性が生きるということをこれでもかと描いた、ドキュメント風小説だった。


 

今日の一曲

The Style Councilで、"You're The Best Thing"



では、また。



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『マジカルグランマ』柚木麻子

2019-05-06 | books
正子74歳、元女優、映画監督と結婚するも、夫とはここ4年も話していない。女優業を再開しようとすると、友人に白髪はむしろ染めない方がいいとアドバイスされる。そして、仕事がうまくいき、そして大嫌いな夫が死んでくれた!やっとこの家を売って自由になれる!しかし正子の人生は、信じられないような方は向かっていく・・・  

なんだこの小説は。タイトルから、何でもやってくれる素晴らしいおばあちゃんの話かと思っていた。そんな話じゃなく、弱気だったり、強気だったり、ケチケチしたり、嫉妬したりする「一人の女性の流転記」だった。

とにかく、どんどん予想もしない方角へどんどん転がって行く正子の人生が面白い。そして、こんなことあるわけないだろーと思いつつ、でもあるかもなーという抜群の「空想的リアリティ」が巧い。

理想的な優しいおばあちゃんじゃなくて、内に色々秘めた貪欲な74歳の話。「マジカルグランマ」というタイトルにも大いに考えさせられる。まさか「マジカル◯◯◯」から来てるとは。(バナナではないです。)


 

今日の一曲

The Jamで、"Town Called Malice"



では、また。


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『とめどなく囁く』桐野夏生

2019-05-04 | books
塩崎早樹は、41歳。夫庸介が海で行方不明になり8年経過して、72歳の大金持ち塩崎と再婚した。しかし、義母が庸介の姿らしいものを見かけたと言う。生きているのかそれとも思い違いか。元夫の釣り仲間から話を聞くと自分の知らない事が沢山あることに気づく。そして、塩崎の娘が塩崎と早樹を中傷するブログを書いていることが分かった・・・

何不自由のない生活だったはずなのに、あちこちに生じる亀裂。もがく彼女の心理をなかなか興味深く読んだ。長いけれど、彼女の内面をこれでもかと掘り下げる展開はなかなか好み。

元夫の失踪事件の顛末は、必ずしも自分好みではなかったけれど、アリだとは思う。ラスト原理主義者にとってはどうか分からないけれど、プロセス原理主義者の私には全体的にOKだった。(ミステリー好きなのに、ラスト原理主義者じゃないって変だと思われるかも知れないけれど、必ずしもラストのネタだけを求めて小説を読んでいるわけじゃないので、途中の描写だとか過程、意外な展開、あるいは人物描写、リアリティ、あるいはぶっ飛んだ設定などお楽しみのポイントはあちこちにあるわけである)


 

今日の一曲

家に侵入者がやってきたと歌う、早樹と同じような気持ちの、Men At Workで、"Who Can It Be Now?"



では、また


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『KID』相場英雄

2019-05-02 | books
城戸は、自衛隊の精鋭だったにもかかわらず、今は香港でリスクマネジメントの仕事をしている。中国の会社の専務、王のボディガードとして一緒に来日した。すると、王は殺害され、城戸は警察から逃げた。この会社は北朝鮮への密輸を手がけているようだ。追う週刊誌記者、公安。王が死ぬ時に残したbaitという言葉・・・城戸は謎を解けるのか・・・

評価が難しい。面白いと言えば面白いし、それほどでもと言えばそれほどでもない。

尾行や盗聴などの公安のテクニックが具体的で面白い。しかし、真相は想像していたものよりスケールが小さいような気がした。また犯行の動機もあまりピンと来なかった。


 

今日の一曲

タイトルのKIDは城戸のニックネーム。Radioheadで、"KID A"



では、また。


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『あなたのゼイ肉、落とします』垣内美雨

2019-04-30 | books
大庭小萬里の「あなたのゼイ肉、落とします」というダイエット本をめぐる連作短編集。太ってしまう、痩せられない男女四人。この本のことを知って、小萬里に連絡をとり、個別レッスンを頼む。すると、彼女の言うことはよくあるダイエット本に書いてあるような普通のことだけれど、単に肉体のダイエットだけじゃなく、心のダイエットも含んでいて・・・

さすが垣内美雨。とっても面白かった。

太っていようがいなかろうが、関係なく、こう考えた方がいいとか、こう生きた方がいいとか、生きる哲学みたいなものが、笑いをトッピングとしてかけられて隠されて在る。そんな小説。


 
今日の一曲

Official髭男dismで、"Pretender"



では、また。


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店名にツッコんでください213

2019-04-28 | laugh or let me die
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