頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『刑罰』フェルナンド・フォン・シーラッハ

2019-07-19 | books
「犯罪」「罪悪感」に続く連作短編集。

自分の夫がウエットスーツを着て自慰したまま死んでいるのを発見した妻の話・・・「ダイバー」 金に困った弁護士が殺人事件の弁護することになった。妻が夫を射殺したのか・・・「逆さ」 ラブドールと暮らす男・・・「リュディア」 妻が亡くなり寂しく暮らしていたら、隣に美人が越して来た・・・「隣人」などなどなど。

個人的には、男性とうまくやっていけない女性が参審員に選ばれてしまう話のラストが一番気に入った。基本的に淡々と描きつつ強烈なラストでガツンと来る話ばかり。


 
今日の一曲

サザンオールスターズで、「思い過ごしも恋のうち」



では、また。


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『未必のマクベス』早瀬耕

2019-07-17 | books
行きつけの書店のPOPで、「こんな素晴らしい本を品切れにしてすみません」と表示され、また北上次郎の解説では激唱されている。ので読んでみた。

中井38歳、システムを作り販売する会社勤務。バンコクで成功すると、香港の支社の社長となった。そこはどうやら本社の裏金作りに利用されているらしい。そして何人も死人が出ていて、さらに昔の知り合いが関わっているらしい・・・

ううむ。ネタバレしないようにするとあまり面白くないように読めるかも知れないけれど、なかなか面白かった。

ちょっと複雑な企業小説+恋愛小説+村上春樹のような文体

「あなたは、私が最初に持った印象どおりの人ですね。法螺吹きでも小心者でもなく、興味のなさそうな顔をしながら、必要とあらば、壊れかけた石橋を細心の注意を以て渡ろうとする」


 


今日の一曲

作中に登場する。James Brantのカバー、Bei Xuで、"You're Beautiful"



では、また。


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『美しき愚かものたちのタブロー』原田マハ

2019-07-15 | books
元首相松方正義の三男松方幸次郎は川崎造船所の社長となり、大金を手にしてヨーロッパで絵画を大量に購入する。戦争を経てロンドンに保管していたものは焼失してしまったが、パリのは保管されていた。しかしフランス政府が敵国のものだから没収し返還しないと言う。上野の西洋美術館が出来るまでの経緯を描くドキュメント(風小説)・・・

松方の人柄がよく伝わってくる。絵の薀蓄にも満ち溢れてる。悪くない。ただ教科書を読んでいるような真面目な感じがちとマイナス。


 


今日の一曲

KATIEで、"Thinkin Bout You"



では、また。


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2019夏ドラマちょいとレビュー

2019-07-13 | film, drama and TV

「わたし旦那をシェアしてた」・・・忙しくてたまにしか一緒にいられないけどイケメンで優しい夫と事実婚中の小池栄子。夫が殺されたと知らせがあり、駆けつけると、他に二人の女が、自分の夫だと言う。なかなか面白い。先が読めない。

「ノーサイド・ゲーム」・・・原作とはあちこち変えられてるけれど違和感なし。滝川常務役の上川隆也の後ろ髪が長いのが気になるけど。

「監察医 朝顔」・・・上野樹里が法医学者、時任三郎が父親で刑事。月9というよりテレ朝の刑事ものっぽく地味。ネタは「アンナチュラル」の方が上か。行方不明の母(石田ひかり)の捜索というサブネタは今後化けるか?

「Heaven?〜ご苦楽レストラン〜」・・・石原さとみがわがままにスタートするレストランに、あちこちからスタッフがかき集められて、という話。面白みを発見できなかった。一応もう一週様子を見るけど。

「偽装不倫」・・・杏が、いくら婚活しても相手が見つからない役。飛行機内で出会ったイケメンに、人妻だと勘違いされながら、不倫を始める。これはなかなか面白かった。相手役の宮沢氷魚、自分が女性ならこの顔には惚れてしまう。

「サイン 法医学者 柚木貴志の事件」・・・大森南朋は日本法医学研究院の解剖医。有名歌手が楽屋で死亡していた事件で担当する予定だったのに、警視庁の意向で大学の仲村トオルへと変更。しかし大森は遺体を盗んで解剖。死因は窒息だと断定。しかし、後に仲村が青酸カリだと発表。という、なぜ?という展開。たぶん来週には理由が分かるのだろう。リアリティはないけれど、ストーリーは面白い。

「ルパンの娘」・・・深田恭子は泥棒一家、瀬戸康史は警察一家。二人が恋において、というコメディ。真面目な要素を排除して、おふざけに徹するのは清々しい。ストーリーはまあまあ、ビミョウ。

 

今日の一曲

Everything But The Girlで、"Love Is Here Where I Live"

では、また。

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『指名手配』ロバート・クレイス

2019-07-11 | books
探偵エルヴィス・コールは、デヴォン・コナーから、高校生の息子タイソンが高価な物や多額の現金を持っていて怪しいから調べてくれと依頼される。タイソンの持っていたロレックスの番号から盗品だと分かる。しかも連続して金持ちの家から盗む事件があって、もしかするとタイソンはその犯人グループの一員なのだろうか。盗まれた物を追いかける悪党二人組は残忍に人殺しを続けていく・・・

マギーが出てこないという意味では東京創元社はサギじゃないかー、と文句を言いたいところだけれど、面白かったのでまあ良しとする。

コールが真相に迫ってゆく手法、ストーリー展開、人物造形、文体、どれも最高だった。


 


今日の一曲

Nulbarichで、"VOICE"



では、また。


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『ライフ』小野寺文宣

2019-07-09 | books
井川幹太27歳、コンビニ勤務、一人暮らし。大学生のときは同じ大学の同級生がたくさん暮らしていたアパートも、今では一人ぼっち。結婚式の代理出席のバイトをしたり、ばったり高校の同級生に会ったり、アパートの上に暮らす人の騒音に悩まされたり。平凡な男による、平凡ぽいけど、非凡な生活。

「ひと」も「その愛の程度」も、「夜の側に立つ」、「近いはずの人」も良かったけど、こっちも良かった。

基本的に、いい人が何をどう感じ行動をするかを読むという、私自身にはないものを知るみたいな体験。(名探偵の内面を体感したり、サイコキラーの内面を体感するのも、読書の意味?なのかもしれない)

なんでそんなにいい人なんだよー、ともどかしくなったり、あるいはあー良かったねー、と思ったり。気づけばドップリとハマっていた。

「やりたいことがあるのにやれなかった人と、やりたいこと自体を見つけられなかった人。どっちがいいんだろうね」


「わたしも仕事やめちゃおうかな。井川くんみたいに。それで、『東京フルボッコ』に入る」
自分のことは棚に上げ、言ってしまう。
「やめないほうがいいんじゃないかな。どうしてもやりたいことがあるなら別だけど」
人は他人には一般論を言う。
例えばの話し、自分が飛び降り自殺をするときに同じことをする人が隣に来たら、やめなさい、と言う。そんなふうに刷りこまれているのだ。
自殺をしてはいけないと刷りこまれるのはいいとして。やりたいことがなきゃいけないと刷りこまれるのは、どうなのだろう。


他人には一般論を言う。確かに。


 

今日の一曲


ライフだけに、キマグレンで、"LIFE"







では、また。


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店名にツッコんでください218

2019-07-07 | laugh or let me die
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『ノーサイド・ゲーム』池井戸潤

2019-07-05 | books
トキワ自動車で経営戦略に携わっていた君嶋は、常務が進めていた買収に意を唱えると、左遷されラグビー部のゼネラルマネージャーとなった。ラグビーのことは知らないが経営のプロから見ると、毎年16億円も費用がかかるのに、収入はゼロ。観客も一試合三千人ほどしか入らない。君嶋は、ラグビー部を変えるべく尽力する。ラグビー業界を良いものに変えていく気のない蹴球協会(日本ラグビー協会のこと?)との闘い、社内でラグビー部を廃止しようとする者との闘い。君嶋は勝者となるのか・・・

流石の池井戸品質。パターンとしては「ルーズベルトゲーム」などの、スポーツ+企業+善人+悪人と同様なのだけれど、結局目頭が熱くなってしまったりして、術中にはまる。同工異曲とはこのことか。

ラグビーのルールを丁寧に教えてくれるわけではなく、最低限の説明しかないので、モールとかラックとかラインインなど映像にならないと分かりにくいかも知れない。

7/7(日曜)からドラマの放送が始まるそう。主演の大泉洋は、原作のやや論理的思考の強いキャラとは少し違うような気がする。アナリスト役は舞台女優の笹本玲奈だそうで、最近あまりテレビでは見かけなかったので、ちと楽しみ。君嶋の妻役が松たか子だそうだけれど、原作には出てこない。



 


今日の一曲

Cyndi Lauperで、"True Colors"



では、また。


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『鯖』赤松利市

2019-07-03 | books
日本海の孤島に住み一本釣りで暮らす漁師船団員たち。その日暮らしの生活をする。良質の鯖が取れることに目を付けたIT社長と中国人。役に目が眩んだ者たちのバトルロイヤルの行く先は・・・

なかなか面白かった。

言わば、破綻していく者たちの物語。破綻はしていくのだろうと思いつつ読むと、意外なストーリーの転がり方が。そしてグロさはかなりのもの。好物だった。


 

今日の一曲

先日「情熱大陸」で紹介されていたロンドン在住の日本人。Rina Sawayamaで、"Cherry"



では、また。


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『作家の人たち』倉知淳

2019-07-01 | books
作品を本にしてもらえない話、金銭的に大変な話、書評で褒めてもらうよう悪魔にお願いする話、いい加減な文学賞の選考会の話など、小説周辺の短編集。

ラストが予想できてしまうのが残念。ライトノベルでベストセラー連発の編集者のやり方を描く「らのべっ!」だけは意外性とブラックさが引き立っていた。


 


今日の一曲

Paradisで、"Toi Et Moi"



では、また。


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『ストーカーとの七〇〇日戦争』内澤淳子

2019-06-29 | books
「飼い喰い 三匹の豚とわたし」などの著作がある内澤は、小豆島に移住しヤギと暮らしていた。Yahoo!パートナーを通して付き合うようになった男性は、内澤の言うことを聞き入れず、仕事中に何度もメッセージを送り、電話をかけ続けてきた。別れようとすると、嫌がやらせが始まった。警察に相談すると、知ってる名前は偽名であることと、前科があることを知る。被害届を出したりして、さらに彼を激昂させるのは怖い。どうしたら良いのか・・・

週刊文春で連載されてるときにたまに読んでいて、単行本にならないかなと思っていた。

警察とどういう会話をするのか、どう対応してくれるのか、弁護士はどうか、あるいは他の行政機関はどうなのかを、リアルに、そして読みやすく書いてくれている。(不謹慎かも知れないけど)超面白本だった。

警官も検事も弁護士も、玉石混交。優秀な人もいるし、そうでもない人もいる。国家資格を持ってるから、全てを任せられるとは限らないと知った。

まさか自分がストーキングされるなんてことがあるわけないと皆思ってるだろうけれど、自分がストーカーになることだって充分あり得るとも知った。


 

今日の一曲

あいみょんで、「今夜このまま」



では、また。


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『文系と理系はなぜ分かれたのか』隠岐さや香

2019-06-27 | books
文系とは何か、理系とは何か。そもそもそんな風に二分できるものなのか。理系に男性が多いのはなぜか。17世紀ヨーロッパや、近世以降の日本を振り返り考える本。
 
素晴らしい労作。一冊に情報がパンパンに入ってる。
 
面白いなと思ったのは、「抗生物質の効き目を説明せよ」というようなあらかじめ知ってる知識を応用したり数学的な定式を減少に当てはめるような問題は男子が得意。ある病気について観察した文書から原因を解明するような、現象から科学的な問題を見つける場合、女子の方が得意だというもの。そうなのかー。
 
理系=男性、文系=女性の傾向の原因は、生まれつき、生活環境など様々因子が関わっていて何が原因かハッキリとは分からないらしい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今日の一曲
 
なんか最近聴きたくなる。Everything But The Girlで、"Rollercoaster"
 
 
では、また。
 
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『泥の銃弾』吉上亮

2019-06-25 | books
都知事狙撃事件の容疑者として難民が逮捕されたが冤罪ではないかと調査するジャーナリスの闘いと中東の内戦の過酷さを描く。

悪くないのだけれど、言葉の使い方が合わないのかやや読みにくかった。そして長かった。


 
 

今日の一曲

杉山清貴的なビジュアルがステキな、サカナクションで、「忘れられないの」



では、また。


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店名にツッコんでください217

2019-06-23 | laugh or let me die
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『ふたつのオリンピック』ロバート・ホワイティング

2019-06-21 | books
1952年府中の米軍基地で勤務を始めた著者。除隊し、英会話の先生をしたり、フリーライターになったり。当時の六本木の不良外人やヤクザの話、東京オリンピック渡辺恒雄、石原慎太郎、アニメ「巨人の星」、日本のプロ野球、力道山、プロレス、バブルの話など、ここ50年の日本の話。

これは激しく面白かった。

知らないことも多かったし、知ってることでも自分とは違う見方があって読んでいて全く飽きない。

知り合いのヒロキ・アレンが以下のように言ったそう。なぜ東京がこんなに上手く機能しているかの理由の一つとして、「単一文化的だから。欧州やアメリカで多文化が共存する試みがうまくいってないのと対照的に。日本は独自の文化を守っている。日本国民を改宗させるよりも中東全域をキリスト教に改宗させる方がまだ可能性がある。仏教や神道が浸透してるのではなく、"日本"という独自の宗教を確立してるのだ」

本来多様な文化を受け入れる多文化社会の方が「人に優しい」はずなのに、必ずしもそうとも限らないのかも知れない。



 

今日の一曲

Men At Workで、"Overkill"



では、また。


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