頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『本を守ろうとする猫の話』夏川草介

2017-03-30 | books
古本屋を営む祖父が死んだ。親はいない。高校生の僕は、古本屋をたたもうとしていると、猫がやって来て言った、本を救えと・・・

本を読んだことを自慢するために読む者、本を読む暇のない者にあらすじを教えることを生業にする者、ただ売れる本を作るだけの者。そういう者たちへの批判を柔らかく柔らかく伝えてくれる、(ハート・ウォーミングなんて言葉を使うのは恥ずかしいけれど)ファンタジー。

自分が何のために本を読んでいるか、あらためて考えさせてくれた。

「読んで難しいと感じたなら、それは柚木にとって新しいことが書いてあるから難しいんだ。難しい本に出会ったからそれはチャンスだよ」
「なにそれ」
沙夜はむしろ困惑顔だ。
「読みやすいってことは、それは柚木が知っていることが書いてあるから読みやすいんだ。難しいってことは新しいことが書いてあるって証拠だよ」


本を守ろうとする猫の話

今日の一曲

本とは関係なく。Youtubeでオススメにあって、聴いてみたらなかなか好みだった、Awesome City Clubで、「アウトサイダー」



では、また。
コメント

『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』ピーター・トライアス

2017-03-28 | books
1948年、太平洋戦争に日本はアメリカに勝利した。原子力を使って。ドイツはヨーロッパで勝利し、世界は日本とドイツが支配するようになる。それから40年後。アメリカでは反日本のゲリラが暗躍するようになる。大日本帝国陸軍大尉、検閲局の石村は元上司の六浦賀将軍の行方を捜すよう言われる。六浦賀は反日本のゲームを開発したとされているのだ・・・

最初は読みにくいかと思ったのだけれど、決してそんなことはなく、フィリップ・K・ディックの「高い城の男」のパクリかとも思ったけれど、もっとずっと複雑な仕掛けがあった。すごい小説だった。

皇国日本の設定が巧い。作者はサンフランシスコ在住の韓国系アメリカ人だそうだけれど、日本の映画、アニメ、ゲームに詳しいそうだ。もし日本が戦争に勝っていたなら、こんな風になっていてもおかしくない。

SFと言っても、実際はテロリズムや犯罪、拷問など現代小説で使われるネタの方が、科学技術よりも多いぐらいなので、SF門外漢の私でも問題なく読める。

未来の歴史を描く時代小説のような、犯罪小説のような、不思議であり、非常に複雑なストーリーを持つ作品だった。

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

今日の一曲

本とは関係なく。なかなか素敵なドラマだった「バイプレーヤーズ」のラストで流れる歌。竹原ピストルで"Forever Young"



では、また。
コメント

『死してなお踊れ 一遍上人伝』栗原康

2017-03-26 | books
一遍の生涯を、読みやすくエネルギッシュな文体で描く。なにしろいきなりこう始まる。

わたしはセックスが好きだ。テクニックはない、うまいへたも関係ない。たがいに素っ裸になって、精液唾液をたれながす。そんなセックスが大好きだ。(中略) ああ、どうせオレはダメなんだ、たかだかオレは畜生だ。なにをやってもダメならば、とにかくなんでもやっちまえ。素っ裸だ。いつだって、ゼロからはじまるいまこのとき。そういう瞬間をなんどもなんどもつかみとっていくことが、ほんとうの意味での自由なんだとおもう。格言だ。つきせぬ自由は、がんじがらめの不自由さのなかにある。
さて、本書は鎌倉時代のお坊さん、一遍上人の評伝だ。じつは、わたしが一遍にひかれたのも、いまいったところにある。

全編こんな感じ。勢いがあってついつい読んでしまう。やめられないとまらない、えびせん評伝だ。

ここまでくると、もともと死者の供養であった踊り念仏が、一遍の念仏思想とかさなってくるのがわかる。臨終のよろこび。時計まわりの時間を生きて、いちから財産をつみかさねていくんじゃなくて、生きれば生きるほど、どんどんスッカラカンになっていく。いつだって、ゼロからはじまるこのとき。

なるほど。死=苦じゃなくて歓びなのか。ふーむ。

一遍や踊り念仏について学べるだけじゃなくて、一つの生き方指南みないな本だった。面白かった。

死してなお踊れ: 一遍上人伝

今日の一曲

踊り。ということで、Abbaで、"Dancing Queen"



では、また。

コメント

『テロリストの処方』久坂部羊

2017-03-24 | books
近未来、医療の勝ち組と負け組があると言われるようになった。混合診療や自由診療で稼ぐ勝ち組の医師。高額で安全な医療を受けられる勝ち組の患者。それに対して、負け組の患者たちは高騰する保険料を払えなくなり、医療を受けられなくなった。負け組の医師は患者が減り、経営難となっていった。そんな中、大学の同期だった狩野が全日本医師機構の総裁になった。医療ジャーナリストの浜川は狩野をサポートするのを頼まれる。狩野の打ち出す大胆な改革。医師免許の更新制、医師の年俸制、医療機関の経営統括など、反発の多いものばかりだった。そして勝ち組医師を狙ったテロ事件が続発する。浜川は、同期の医師が犯人ではないかと疑い・・・

ミステリーとしてはまあまあ。しかし、医療小説としては抜群に面白い。

現状を大きく変えないと、保険システムを含めた医療制度はいつか崩壊してしまうだろう。そして狩野の言うことはある程度合理的で頷ける部分が少なくない。その辺りが一番の読みどころだった。医療制度に興味がなくて、純粋にミステリーを読みたい人には特に薦めない。

テロリストの処方

今日の一曲

テロや戦争の歌。The Cranberriesで、"Zombie"



では、また。

コメント

店名にツッコんでください155

2017-03-22 | laugh or let me die
コメント (4)

『教科書一冊で解ける東大日本史』野澤道生

2017-03-20 | books
愛媛の高校の日本史の先生が、東大の入試問題が、教科書さえあれば、それ以上の知識はせず、まるでミステリーの謎解きをするように解答にたどり着けると説明してくれる本。

日本史はあまり詳しくないので、目から鱗がバリバリバリと落ちまくった。

取り上げられているのは

・吉備真備はなぜ長期にわたって政界で活躍できたか
・仏教は、神道の日本になぜ受け入れられたか
・律令制で、古くからのものを継承する「大伴的」なものと新しい「藤原的」なものとの違いは何か
・室町と鎌倉の守護はどう違うか
・後醍醐天皇の建武の新政に対して北畠親房はどう批判していたか
・江戸時代初期の幕府と朝廷の関係(幕府は朝廷を圧倒していたか)
・江戸時代の大船禁止令の理解の仕方の変化とは
・長州征伐に多くの藩が消極的な理由
・石橋湛山の考えとは

高校の時には世界史が必修で、日本史は選択だったのけれど、「日本のことを学ぶなんてカッコワリーゼ」と日本史を学ばなかった自分をぐーで殴りたい。日本史、面白い。思わず、呉座勇一の「応仁の乱」を買ってしまった。

教科書一冊で解ける東大日本史 (光文社新書)応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

今日の一曲

レキシで、「SHIKIBU feat. 阿波の踊り子」



では、また。
コメント

『失踪者』下村敦史

2017-03-18 | books
山岳カメラマンの真山は南米ペルーのシウラ・グランデ峰で親友のクライマー樋口の遺体を探しに行った。10年前に滑落したときには回収できなかったのだ。確かにそこにあった。しかし10年前よりも年をとっているように見える。まさか、一旦脱出した後にまた戻ったのか・・・ 大学時代に遡り、山岳部で真面目にやっていた真山と一匹狼の樋口の出会い。真山の就職と登山の料率の難しさ、二人で挑もうとするK2登攀。二人の離反。以後の登山カメラマンとしての樋口の活躍・・・ 登山界の新星としてメディアに大きく取り上げられるようになった榊知輝は日本人初の八千メートル峰十四座制覇を成し遂げようとしている。彼に同行し撮影しているカメラマンが樋口だったのだ。しかしあれだけの技量のあるはずの樋口が登攀途中でリタイアしており、結局登攀に成功しているのは榊だった。樋口はあんなに実力の劣るクライマーだったのか・・・

面白かった。非常に面白かった。

クライミングの技術の話がとても興味深いのだけれど、何よりミステリーとしてものすごくよく出来ている。謎の提示、伏線、そして伏線の回収。

山にまったく興味のない人でも、ミステリー好きなら確実に楽しめる傑作だった。

失踪者

今日の一曲

山の唄と言ってもいいのか。Eaglesで、"Rocky Mountain Way"



では、また。
コメント

『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』二宮敦人

2017-03-16 | books
東京藝術大学の様々な学生に会い、彼らがどんなことをしているかを教えてくれるノンフィクション。

非常に面白かった。

ノミなど道具は自分で作る・・・ ガスマスクや指揮棒が生協で売っている・・・ 命取りになる機械しか置いてない、鍛金の研究室・・・ ものすごく深い打楽器の世界などなどなど。あまり書くとネタバレになってしまうので書かないようにしよう。しかし、藝大、すごすぎる。すごすぎだぜ。

何しろ、建築学科の入試問題が「自分の仮面を作りなさい。それを装着し、装着したときのつぶやきを100字以内で書きなさい」だったりする。

ある学生が「藝大は大人の幼稚園だ」と言っていたけれど、まさにそんな感じ。

芸術関係を大学で専攻しようかと考えてる人は必読。そうじゃなくても音楽や美術、工芸品に興味がある人なら楽しめると思う。いや、読んだ方がいい。

最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

今日の一曲

本とは関係なく。ドコモのCMで綾野剛がアヤノサンドロスになっている、Alexandrosで、"Buzz Off"



では、また。
コメント

『東京クルージング』伊集院静

2017-03-14 | books
作家伊地知は当時ニューヨーク・ヤンキースにいた松井秀喜を特集したテレビのドキュメント番組の制作でディレクターの三阪に会う。とても好感が持てる青年だった。三阪には、15年前大学生だったときに付き合っていた女性がいた。しかし彼女は突然失踪した。そしていまだに彼女のことが忘れられない・・・ 後半は、その彼女はどこで何をしてたかを描く・・・

前半は臭い。猛烈に説教臭い。よくこんな説教臭い小説書けるなと思いながら読んでいた。しかし、公判になったら思わず前のめりになって読んでしまった。

「そう。日本だけじゃなくて、世界中に”天使のわけまえ”はあるんです。たとえば春になって美しい桜が咲きはじめますよね。毎日、それを眺めていて、或る朝、その前夜がとても風が強い夜だったとするでしょう。朝、目覚めて桜を見に行くと、半分近くが散ってしまっているとするでしょう。それを眺めて、悲しんだりせずに、きっと昨夜、天使たちが花見をしに来たんだろうって。私たちは自分だけが美しいものを見ることができれば、それでいいと考えがちですが、そうじゃなくて、世の中には理屈だけで片付かないものがたくさんあって、そういう時に、前向きで考えられるかどうかが大切なんだと思うんです」


白石一文の小説によく出て来るファンタジーが含まれている、いわゆる「いい話」だった。何かに打ちのめされていたり、何かに癒されたいと願っている人に、オススメ。

東京クルージング

今日の一曲

東京クルージング、ということで、Basiaで、"Cruising For Bruising"



では、また。
コメント

『人生を変えてくれたペンギン』トム・ミッチェル

2017-03-12 | books
1970年代を描くノンフィクション。英国で生まれ育った著者。23歳の時に外国に行きたいと願った。ちょうどよくアルゼンチンの寄宿舎学校の教師を募集していたので応募したら見事合格。見るもの聞くもの初めての南米での生活。アルゼンチンだけなじゃく、チリやウルグアイ、パラグアイにも行った。ウルグアイの浜辺に行くと、数百羽のペンギンが重油にまみれて死んでいた。そのうちの一話だけがもがいていた。なんとかこの一羽だけでも助けようと、アルゼンチンへと連れて行くことにした。ドキドキする国境越え、自分の部屋ではたしてペンギンが飼えるのだろうか・・・

うーむ。うーむ。これはよかった。非常によかった。

マゼラン・ペンギンのファン・サルバドール(のちにファン・サルバドと呼ばれる)が猛烈にかわいい。まるで人間の会話に耳を澄ませているかのような仕草。学校の生徒たちにも愛されるようになる。ただかわいいだけじゃなく、ある一人の生徒の人生を変えるようなことにもなったりするし、著者の世界観も変える。

学校の掃除と洗濯担当のマリアは言う。

「わたしは幸せになれるものさえあればいい。世間の人は幸せになれないものをほしがりすぎるよ」

当時のアルゼンチンの状況も読んでいてとても興味深い。猛烈なインフレ。買い物中にかごに入れて店内を歩いている間に値段が上がったりする。あるいは就労ビザをとるのに10日も並ばないといけなかったりする。

日常的にテロの脅威にさらされていると、人間は自分のことしか考えなくなる。誰もがそうなったら、この世には当てにできることがなくなってしまう。商店はいつ開くのか、列車は運行するのかしないのか予測できず、電気はいつ止まるのかわからない。無理もない話だが、誰も自分の身を守るのに精いっぱいなのだ。だから、平時のようにきちんと出勤したり働いたりしない。仕事どころでなくなる。イザベル・ペロン政権は法と秩序の維持どころか、政府として最低限の義務も機能も果たせなかった。

今、自分の周囲にあって当たり前なものが「ない」ときにどうなるか想像できる。

ペンギンが癒してくれるだけじゃなく、色々考えさせてくれる素晴らしいノンフィクションだった。

人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日

今日の一曲

本とは関係なく。なぜか懐かしい感じのする。back numberで、「高嶺の花子さん」



では、また。
コメント

店名にツッコんでください154

2017-03-10 | laugh or let me die
コメント (4)

『謀略の都(上下)』ロバート・ゴダード

2017-03-08 | books
1919年、パリ講和会議の最中、英国の外交官サー・ヘンリーが死んだ。警察の見立てでは、愛人に会いに行きそのアパートから転落し事故死だとのこと。第一次大戦で空軍の戦闘機乗りとして活躍した次男のジェイムズはそんなはずはないと独自の調査を始める。パリ警視庁総監のザマロン、英国の内務省秘密検察局員のアップルビーは協力してくれない。亡き父の知り合いたちを当たると、出てくる出て来る怪しい話。逃走中のドイツのスパイ組織のリーダー、フリッツ・レンマー、帝政ロシアを復活させようとしているグループなどなど・・・果たして真相は・・・

さすがロバート・ゴダード。この手の話を書かせたらやはり並ぶ者がいないほど。

ゴダードは、現在と過去を行ったり来たりする作品が多かった(と記憶している)けれど、これは1919年の話しかない。それ以外はゴダードっぽいと思う。

歴史的なネタがちょいちょいと放り込まれていて、それがとても効果的だし面白い。大津事件(後にロシア革命で処刑されるニコライ二世が皇太子だった時に、日本で狙撃された事件)は頭のおかしい男による犯行ではなく、実は裏にドイツがいたとか(本当か!?)アメリカのウィルソン大統領の十四か条の裏側、寺内首相からドイツの外相ツィンメルマンに宛てた秘密の書簡、講和会議の日本の代表西園寺公望の愛人などなど。

あとは、主人公のキャラクター。妨害や脅迫にもめげない真っすぐな男。自分にはないものを持ち、軸がぶれないが清々しい。

とっても面白かったのだけれど、これが三部作の一部でしかないのに驚く。3月に第二部、5月に第三部が出るそうだ。

謀略の都(上) 1919年三部作 1 (講談社文庫)謀略の都(下) 1919年三部作 1 (講談社文庫)

今日の一曲

ロバート・ゴダードなので、Robert Milesで、"Children"



ロバートしかあってへんやん。では、また。
コメント

映画「ラ・ラ・ランド」

2017-03-06 | film, drama and TV
オーディションになかなか受からない女性。古きよきジャズをやりたいのに、やりたくない音楽をやらされてるピアノストの男性と出会い、恋に落ちる。ただそれだけの話に歌と踊りを加えたミュージカル。

ミュージカルはほとんど観たことがない。どちらかと言うと食わず嫌い。しかし、映画評論家の町山智浩氏が薦めていたので観てみたら、これがなかなか。いやなかなか以上に楽しめた。

何と言うか、観てると踊りたくなる、歌いたくなる、そしてハッピーな気分になる。最近ちょっと嫌な気分になることが少なくなかったので、それが払拭されたような感じがした。(人間とは愚かなもので、根本の原因が解決されなくても、別の快感で代替としてしまったりする。)劇中で彼が歌う「シティー・オブ・スターズ~♪」が劇場を出た後ずっと脳内を流れていた。とても新鮮な体験だった。

3日前にネットで席の予約をしたときは一番乗りだったが、前日にはほぼ席は埋まっていた。音楽を大きめの音で楽しめるといいような気がするので、映画館で観るのがオススメのような気がする(が映画にはあまり詳しくない)

ライアン・ゴズリングがキーボードで参加する、ザ・メッセンジャーの音楽は彼には不満だったようだが、ライブで披露された歌は、個人的には結構好きだった。リードボーカルの顔、どっかで見たことあると思ったら、John Legendだった。そりゃ巧いに決まってる。

今日の一曲

John Legendで、"Love Me Now"



では、また。
コメント

『片翼の折鶴』浅ノ宮遼

2017-03-04 | books
医科大学をめぐる連作短編集。貧血が治らない患者。まさか自分で血を抜いているのだろうか・・・<血の行方> 
大学の講義で「海馬の病変が消えたのはなぜか?」という問いに対して生徒たちが答える・・・<消えた脳病変>
末期がんの妻を死なせてあげたい夫・・・<片翼の折鶴> 他2編

すばらしい。すばらしく良かった。

メディカルミステリーは、ドラマ、映画、小説でたくさん描かれている。基本的に(ドラマHOUSEのように)「病名は何か?」と考えるミステリーなのだけれど、人の心もとってもうまく織り込まれている。

「皆も真剣に考えてみて欲しい。自分に医師の素質があるのかどうか、と。そして医師としての素質に欠けている、少しでもそう感じるなら決して患者の治療にはかかわるな。君たちの希望など二の次だ。これは医療に限った話ではないが、向いてない者が人の命を預かる職に就くことほど恐ろしいことはないと私は思う」

第11回ミステリーズ!新人賞を受賞した「消えた脳病変」がなかでも特に良かった。
続編強く希望。

片翼の折鶴 (ミステリ・フロンティア)

今日の一曲

医者の歌。The Rolling Stonesで、"Dear Doctor"



では、また。
コメント

『襷を、君に。』蓮見恭子

2017-03-02 | books
中学時代はソフトボール部にいたが、卒業前に駅伝大会に出場し、駅伝にハマってしまった倉本。。陸上の強豪校港ヶ丘高校に進んだが、陸上部には入れないことが分かった。入学前にすでにセレクトされた者だけが入部できるのだ。自主練に参加して、顧問の先生やコーチにアピールし、やっと入部が許された。優秀な上級生南原、畑谷、と、癖のある双子の栞と稔、そして中学時代に抜群な成績を残したのに、彼女の父親がコーチをする兵庫の高校には行かず、なぜか福岡のこちらの高校に入学した蒲池瑞希。瑞希はなぜか練習に参加していない・・・ 貧血になったり、なかなか速くならない歩。念願の駅伝に出られるのだろうか・・・

よかった。とてもよかった。

女子スポ根ものという範疇に入れるべきか、さわやか青春スポーツものに入れるべきか。たぶんその中間ぐらいかと思う。

厳しいコーチ、優しい顧問、同級生とのトラブルと友情。自分がさわやかからほど遠いからか、さわやかさが何とも心地いい。

努力は(ある程度は)報われるというようなことをあらためて読むのも悪くない。(先日ドラマで「努力は報われないのよ」と言うセリフがあったが、それもまた正しいのかも知れない)

襷(たすき)を、君に。

今日の一曲

走りながら聴きたい曲。Pharrell Williamsで、"Come Get It Bae"



では、また。
コメント