夫が家からいなくなった。6歳の息子の草介と暮らす泉35歳。駅のホームで飛び込み自殺しそうな女子高生を見つけた泉は声をかけ、そして自殺をとどまらせ、そして仲良くなる。女子高生の名は千代子。お嬢様ではあるが親とはうまくいっていない。泉の家に頻繁にやって来るようになった。そして事件が。千代子にキスされてしまったのだ。そして彼女の愛を受け入れるようになった泉。千代子の親は同性愛を許さない。二人は息子とともに駆け落ちすることにした……
なんて書くと、逃避行の持つ淫靡な雰囲気とか、同性愛の後ろめたさのような感覚が小説のあちこちにばら撒かれているように思うかもしれない。それは全然違う。むしろ、干したばかりの布団のような柔らかくて懐かしい、そんな匂いがする小説なのだ。
田舎に住むという選択をした後は、「田舎で暮らすとはどういうことか」という話もたくさんあるし、草太という「小さな息子が、母親が二人いるという状態をどう理解するか」という話もあるし、彼女たちの家族構成が「どう他人に受け入れられるか」という話ももちろん出てくる。
確かに。禁止されるからやりたくなるということは多い。ゲーム、不倫、ギャンブル、いたずら。隠すから見たくなるものも結構あるのかも。(パンチラに興味を持つ男子が少なくないのもそれか?)
穴だらけで、おちょこのように小さい男、まさに器の小さい私でも何かの存在意義があるのだろうかと思った。なんつって。
しかし、すべてが温かい。本当に温かい。最近寒くなってきたけれど、読むと温まる。とってもいい小説だった。
今日の一曲
上手くいきそうでうまくいかない。ありすぎては困るし、なくては淋しい。それは恋。悲しい恋を歌う、Keisha WhiteのThe Weakness In Me
では、また。
なんて書くと、逃避行の持つ淫靡な雰囲気とか、同性愛の後ろめたさのような感覚が小説のあちこちにばら撒かれているように思うかもしれない。それは全然違う。むしろ、干したばかりの布団のような柔らかくて懐かしい、そんな匂いがする小説なのだ。
田舎に住むという選択をした後は、「田舎で暮らすとはどういうことか」という話もたくさんあるし、草太という「小さな息子が、母親が二人いるという状態をどう理解するか」という話もあるし、彼女たちの家族構成が「どう他人に受け入れられるか」という話ももちろん出てくる。
わたしたちの関係を詮索したりうがった目で見たりする人はいなくなった。つまり人は隠すから、そこに何があるか見たくなるのだ。きっと、誰もが素っ裸で歩いていたら、痴漢をしたり隠し撮りしたりする気持ちだって、失せるのでないかと思う。
確かに。禁止されるからやりたくなるということは多い。ゲーム、不倫、ギャンブル、いたずら。隠すから見たくなるものも結構あるのかも。(パンチラに興味を持つ男子が少なくないのもそれか?)
「人って、生まれてくる時に、同じ量の粘土を与えられているんじゃないかと思うんだ。はじめはさ、丸い粘土の固まりに、親指を突っ込んだだけの、原始的な小さな器なんだけど、それが成長するにつれて、一回り大きなぐい飲みくらいの器になって、更にもっと大きな湯呑茶わんになったりする。人によっては、平べったい皿だったり、汁物を入れられる深めの鉢だったり、いろいろなの。こんなふうに、植木鉢になったりする人もいるかもしれない。常識から言ったら穴は欠点になっちゃうけど、穴が開いているからこそ植木鉢としての役割をまっとうできるの」
穴だらけで、おちょこのように小さい男、まさに器の小さい私でも何かの存在意義があるのだろうかと思った。なんつって。
しかし、すべてが温かい。本当に温かい。最近寒くなってきたけれど、読むと温まる。とってもいい小説だった。
今日の一曲
上手くいきそうでうまくいかない。ありすぎては困るし、なくては淋しい。それは恋。悲しい恋を歌う、Keisha WhiteのThe Weakness In Me
では、また。