頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

マンガ『ソラニン』浅野いにお

2010-04-30 | books

マンガ「ソラニン」浅野いにお 小学館 2006年~

OL、だったけどやめちゃえ、の芽衣子。その彼氏はバンドやってたけどやめて、イラスト描きのバイトしてる種田。でもバイトやめて音楽やりたい。やめたい仕事やめたい現実、恋愛、仲間、音楽の狭間で揺れ動く青春青春青春・・・

読み慣れると実に味のある絵に思えてくる。「素晴らしき世界」のときより絵のキレが良くなってきた。意外性があったりなかったりするストーリーもだんだん気に入ってきた。映画化されるのも納得。芽衣子は宮崎あおいさんよりちょい個性的というかあんなに美形じゃないけど、雰囲気は似てる。小生意気なガキと大人の女性の間。

音楽を趣味でやっていてプロになりたいけど諦めて、別の世界に進むんだけど、後で後悔して・・・は良くある話。なのに読ませる。

しかし、どうして<音楽>ばかりがこのパターン(プロになりたい→でも諦める→でも後悔)にハマるんだろうか。

小説部で仲間たちと一緒に小説書いて青春していた人・・・なんていないし、スポーツの世界は自分たちとトッププロの違いが明白に分かるからプロになろうとは思わない。音楽の場合、プロの楽曲と自分たちの楽曲の根本的なレベルの違いは見えにくいし、デモテープを送ってとかライブハウスで頑張っていれば→デビューというステップは実際にプロたちが通ってきた道だから、その道を自分たちが歩いていれば同様にプロになれると思うのだろう(そう思う事が悪いなどと言ってないし思ってもいない)

ただなんで<音楽>がいつもこのパターンにうまくハマるのだか気になる。

「ソラニン」というのは登場する曲のタイトルだった。

そして、ぜひ映画を観たいと思った(おい、まだ観てないのかよ)






ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)
浅野 いにお
小学館

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マンガ『素晴らしき世界』1・2巻 浅野いにお

2010-04-29 | books

「ソラニン」の作者による2巻読みきり。バンドをやめ就職活動をする者、大学をやめバンド活動にあけくれ・・・るのに失敗する者、組織の金を奪った者と一緒にいる女の子、話が続くのもあるし、そうでないのをある。これがいわゆる浅野いにおワールドなのだろうか・・・

うむ。なんとも不思議な感じ。我々の生き様というかライフというか、そのようなものをあまりリアルになりすぎないように、いや、内容はリアルなのに絵のテイストによってそのリアルさを巧く消している。ビッグコミックスピリッツが始まったばかりの頃同じような印象を持つ作品が多かった。と記憶しているが、調べてみたらどこ作品だかよく分からなかった。御免。

村上春樹の世界のおけるコミットメントとデタッチメントが同じようにここでも見られると思う。何かに真剣に正面から向かい合わないといけない(=コミットメント)ということは時に面倒でつらい事で、ということが「素晴らしき世界」で描かれ、と同時にそこから距離を置いたほうがよりよく生きられるよ(=デタッチメント)もまたここで描かれている。

例えば無様にあがきもがく「最強伝説 黒沢」の黒沢がいて、生死の関わりすら飄々とかわす「へうげもの」の古田織部がいて、そんな熱い奴がいると、浅野いにおのような作品があるとホッとする自分がいる。

 以上、第一巻を読んでの感想。以下第二巻。

第二巻の真ん辺り13th program(=第十三話)おやすみなさい、でおじさんをややリアルにややキモク描いていていてこれがなかなか巧い(いてが一回多い。)そしてオチもいい。なんだこれは、実はこの「素晴らしき世界」全体がそれだったのか。それ=癒しと言っても特にネタバレにはならないと思う。そうか癒しだったのか。全てがストンとうまく嵌った。

一番最後にこんな文章が出て来て、うなってしまった。

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彼女もついに発病してしまった。

考えることのいっさいを
やめてしまう
新しい流行病。

現代人にとって
ある意味とても
都合のいい病気。
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うーむ。巧いぞ、浅野いにお。(しかしどんなペンネームやねん)





素晴らしい世界 (1) (サンデーGXコミックス)
浅野 いにお
小学館

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のだめなんて知らないって言ったのに

2010-04-29 | laugh or let me die

私「よーし!のだめ全巻買ってあげるぞ」

彼女「いらない!」

私「んだとー!」

彼女「ふん」

私「ふんとか言うな!おんにゃのこだろうが!糞とか言うな!」

彼女「うるさい、ぼけじじい!おまえだって糞するだろうが!」

私「わかった。わかった。のだめはいらないんだな?あれ結構面白いんだが」

彼女「のだめなんて知らねえよ。なんだよそれ。現金持って来いよ」

私「嗚呼。お前はなんてプラグマチックな女なんだ。現代女性のうつす悪の鏡なのか」

彼女「プラスチックな女ってなんだよ!あたいはアンドロイドか!フィギアか!」








係員「のだめカンタービレの着ぐるみが来てますよーー!」











のだめの着ぐるみ







お前、知らねえって言ってたじゃねえか。










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今回の展開、あれと似てる?

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マンガ「チェーザレ 破壊の創造者」惣領冬美 1・2・3巻

2010-04-28 | books

マンガ「チェーザレ 破壊の創造者」惣領冬美1~3巻 講談社 2006年~

前から気になっていた、チェーザレ・ボルジアの物語。

主人公は世間に疎い、でもいい奴のアンジェロ・ダ・カノッサ。1491年ピサのサピエンツァ大学に入学する。自分の入学を支援してくれたのはメディチ家なので、ジョヴァンニ・デ・メディチ率いるフィオレンティーナ団に入れられる事になる。大学はチェーザレ・ボルジア率いるスペイン団等派閥が大きく幅を利かせており、大学の外の教皇、枢機卿たちのパワーゲームにも影響を受け・・・

いやいや。これは面白い。チェーザレをアンジェラの視線から描くという手法をとっている、超リアル歴史コミック。こういう少女マンガ的な顔立ちに最初は違和感を感じたけど、すぐに慣れてしまった。(マンガ、漫画、コミックどの表記が良いのかいまだに迷う)

巻末に参考文献が載っていてその数にも驚くのだが、和訳のないイタリア語の原書が多くあって、むむむ?と思った。原基晶という人が監修者として名前が載っていた。誰かと思ったらダンテ研究の学者さんで、この「チェーザレ」に大きく関わっているそうだ。第二巻では原さんの「ルネッサンス世界の教養学 第一回講義 ダンテ『神曲』」と、原さん・惣領さんの対談が巻末にある。

しかし、読むのに時間がかかる。字が多いのとストーリー、人物の関係が複雑なので。だからこそ、噛み締めるように楽しめてそれがいい。「バガボンド」のような絵を鑑賞するようなマンガがあって、本作のように字を読むようなマンガがあって、それでバランスがとれていいのだろうと思う。読む方からすればだけど。

ミケランジェロがシスティナ礼拝堂に天地創造を描く前がこの話の時点だそうだから、それ以前の天井を見る事が出来る。この時代の人のファッションなどそこまで時代考証するかというほどの作品だ(ということがあとがきで分かった)

そして3巻の終わりでマキャヴェリが登場する。その意外な登場の仕方に思わず「あっ」と声を出してしまった。地下鉄車内で同じ空気を吸った皆様、ごめんなさい。







チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス)
惣領 冬実
講談社

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『マドンナ・ヴェルデ』海堂尊

2010-04-27 | books

「マドンナ・ヴェルデ」海堂尊 新潮社 2010年(初出小説新潮2009年3月~2010年2月)

「ジーン・ワルツ」の続編、同じ事象を別の人物の観点から描いているらしい。しかし肝心のジーンを読んでない。ま、いいか。

産婦人科医の理恵は代理母について積極論者。自分が子供を産めない体になってしまったので、自分の母親みどり(55歳)に代理母になって自分の卵子とアメリカに行って戻って来ない夫の精子の母親になって欲しい。みどりは悩みつつ、代理母になると決意する。しかし色んな事が腑に落ちない。最大の問題は娘理恵の考え方・・・

ふむ。悪くない。うん、悪くない。海堂尊は「チーム・バチスタの栄光」が凄く面白かった(出てすぐ読んだ)のに続編の「ナイチンゲールの沈黙」がちっとも面白くなかった。のでそれから読まないでいたら、ドラマにはなるは映画にはなるは、その後大量の作品を生み出していて、すっかり時流から乗り遅れてしまった。

専業作家でもなかなか出せないペースで新作を世に放出していて、しかも現役の医師(確か前は外科医だったけど今は病理担当でしたっけ?)だというのだから驚く。サラリーマンでありながら質の高い作品を出していたと言えば、博報堂の社員だった逢坂剛とか、漫画家しりあがり寿とかを思い出す。

本作は悪くないんだけど、そして「ジーン・ワルツ」を読んでなくても充分楽しめるんだけど・・・でも何かが引っかかる。何だろう?

ワンオブゼムの感じだろうか?そこそこ悪くない作品を読んで、その作家のデビュー作であるとか、寡作な作家の作品の一つであるとするととても大切にしたくなる。譬えは悪いかも知れないが、ある女の子が私の前には誰とも付き合った事がなくて、彼女は以後の人生では誰とも付き合えない事がメフィストフェレスとの約束で決まっているとしたら、彼女をとてもとっても大切にするだろう。彼女がどんな女性であるという事とは別に。(別に?)

しかし、私という存在が彼女にとって<数多ある男の内の一人>=ワンオブゼムだったら、きっと大切にしないだろう。それと同様に、海堂尊が書いた膨大な数の作品の一つに過ぎないので、ワンオブゼムにすぎないので、残念ながら丁寧に丹念に読もうとあまり思わなくなってしまうのさ。

作品原理主義の立場からすれば射殺されるような事態なんだけれども。

なんだかグダグダ語ったけれど、悪くないけどどうも引っかかる。その原因が明確ではないんだけれど、、読みやすすぎるのもまた、なんだかなー、てな貫地谷なわけ、いやてな感じなわけさ。

たくさん喋ると一つ一つの言葉の重みがどんどん希薄になるけど、寡黙あるいは言葉数が少ない方が、言葉を聞く人からは大切にしてもらえる。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるじゃダメなんじゃねえか?と寺門ジモン、いや自問自答する夜であった。





マドンナ・ヴェルデ
海堂 尊
新潮社

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眠れない夜にヘルシーメニュー也

2010-04-26 | laugh or let me die



深夜二時半のフェスティバル。からだには良くない。それは分かっている。

ので、

キムチ、納豆そしてもずく

を喰ってみた。

翌朝とても気分よく起きられた、わけがない。



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『天国旅行』三浦しをん

2010-04-25 | books

「天国旅行」三浦しをん 新潮社 2010年(初出小説新潮2008年6月~2009年8月)

心中を共通のテーマとした短編集である。

<森の奥>富士の樹海で死のうと思う男が出会った人は・・・
<遺言>妻との出会いから最後までを夫の視線から描く、妻へのメッセージとは・・・
<初盆の客>ばあちゃんが死んだ。初盆にばあちゃんがじいちゃんと知り合う前に生んだ子の子(=孫)であるという男性が現れる。彼が語るおばあちゃんとは・・・
<君は夜>中学生だった私は夢見がち。なぜか夢の中では私はお吉で小平さんと恋仲。全てが時代がかっている。段々と夢を見なくなった私は現実で夢と同じような報われないよな恋をして・・・
<炎>女子高生の私の憧れの先輩が焼身自殺をする。その真相とは・・・
<星くずドライブ>(たぶん筑波大学)で彼女と半同棲な大学生の僕。でもどうやら彼女は死んでしまったらしい。幽霊が見える僕は・・・
<SINK>一家心中の生き残りの私。放っておいて欲しい。孤独に生きようとしているのに地元の友達がおせっかいを焼いて・・・

いやいやいや。これはいい。面白いし読ませるし。三浦しをんはどうしてこんなに人の心の裏側を知り尽くしているのだろうか。一文一文が立ち上がってくる。知り合いのMちゃんは3編ぐらい読んで面白くないと言っていたけど、むしろ彼女好みじゃないかと思って再度読むように薦めた。彼女いわくは細切れにちょっとずつ読んだからかもとのこと。短編をさらに細切れにしたら短冊になってしまふ。再読したら、特に4本目以降から凄く面白くなったと言っていた。

私は短編は基本的には好まない。村上春樹の長篇は面白いなと思うけど、短編はやや苦手。なのでちょっとしか読んでいない。ジェフリー・アーチャーとジェフリー・ディーヴァーのジェフリー兄弟は短編が千切れるほど面白いので、短長イケる人もいる。他に夢野久作や逢坂剛など両刀面白い人も数多くいるけど、長篇作家は長篇が面白くてナンボだし、そもそも私は長篇小説が好きなので、読むのもそちら中心になる。中学生の頃星新一、筒井康隆に耽溺していたこともあったのに、諸行無常也。

本作「天国旅行」はビックリするほど気に入った。特に、女子高生が江戸時代(のような時代)に自分がいる夢を見るという描写が実に巧い「君は夜」と頭が良く性格も良い先輩がなぜ死んだかその謎が解かれるプロセスにぞくぞくする「炎」は絶品だ。

腐女子の中の腐女子、三浦しをんがまさかこんなにバケルとは、長生きはするものだ。








天国旅行
三浦 しをん
新潮社

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やはりモノクロームが好き

2010-04-24 | days

総天然色の映画を観ていると、目がチカチカすることがある。たまにモノクロの映画を観ると安心するというか、安定するような気分になる事がある。カラーがフルだと、眼に飛び込んでくる<前へ前へ出る>感じがウザったく感じる事があるが白&黒の場合<もし良かったら見てください>的な控えめな感じが良いのかも知れない。

女性と映画の共通点だ。まあ私の好みにすぎないが。

あるいはモノクロの場合、自分から何かを探して見るようなところがあってそれもまたよいのかも知れない。おおそれも女性との共通点か。

原色でギラギラしたひとより確かにモノトーンで落ち着いたひとの方がいいな。それは内面についても言える。

などとモノクロがいい。白黒がいいと言っていたら、あいつがこっちをガン見していた。













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金曜ドラマ「ヤンキー君とメガネちゃん」第一回

2010-04-24 | books

高校生にギリギリ見える成宮寛貴くん=姉ちゃん(大和田美帆)にいじめられ、父ちゃん(古田新太)に鍛えられ強くなっていまい、特に望まないのに不良になってしまった。奇跡的に合格した進学校、紋白高校で同じ2年A組では、学級委員長になりたくて仕方ない仲里依紗=メガネちゃん=足立花。彼女のプラスのオーラに巻き込まれてゆく話。

ふむ。意外と悪くなかった。マンガの原作、脚本、演出と全て女性が手がけているとのことだが、だから、不良を妙に美化しようとする昨今のドラマに感じる違和感を感じないのだろうか。

知り合いと最近どうして不良ドラマが多いのかという話になって、「不良というのは最近の若者にとって決してなれない世界なので憧れが強いんですよ。だからウケルんですよ」と言われた。そんなものなのだろうか。よく分からない。

上野樹里と仲里依紗の二人は凄いと思う。役になりきるというかカメレオンと言うか。仲さんはメガネちゃん&時をかける少女&ゼブラ・クイーンだものね。鼻がつんと上を向いていて、昔だったら主役になれなかったかも知れない顔立ちなのにどこか魅力的だ。そして彼女がどんなに魅力的でもゼブラーマンは全く観る気になれないのもまた凄いと思う。

さて、長く続いたドラマ初回レビューもそろそろ終わりになるやに思います。お疲れ様っしたー(誰が?)







ヤンキー君とメガネちゃん(1) (講談社コミックス)
吉河 美希
講談社

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ドラマ「同窓会~ラブ・アゲイン症候群」

2010-04-23 | film, drama and TV

木曜21時録画して観たが・・・

30年ぶりに中学の同窓会で会う男女。高橋克典は刑事、仕事に忙しすぎる。黒木瞳は夫がリストラされたのでパートで働く、子供二人、夫(吹越満)ロクデナシ。三上博史は雑誌編集長、自称バツイチ、でもまだ離婚成立していない、何かの持病あり。斉藤由貴は金持ちの夫の有閑マダム、でも子供は愛人が産んだ。尾美としのりは国土交通省の官僚・・・

いやいやいや、驚いた。全く面白くないということに。同窓会でラブがカムバックするという極めてありきたりの食材に全く新しい調味料が降りかけられていない。

尾美としのりが同じ同級生と駆け落ちするという謎がメインに置かれているようだが、そもそもこの二人がどれだけ過去に駆け落ちするような関係だったのか、駆け落ちに至るプロセスはなんなのか、駆け落ちしても仕方ない状況なのか、あるいは駆け落ちしたら困る家族たちの姿はどんな風なのか、何一つ描写されない。がゆえに、駆け落ちされても、観ている方は何とも思わない。そりゃそうだろう。感情移入させておくれよ。

黒木瞳がスーツを万引きするほど金に困っている。旦那はヒドイ奴で、何もしないくせにプライドばかり高いという所が目を惹いた。旦那が「俺慶応の経済出てるんだから、そんなことできないよー」という台詞がこのドラマで一番良かった。あまりにも可哀想な黒木瞳さんが、高橋克典とたぶん不倫関係になるという今後の展開へのプロローグになった。

しかしそれだけを観るために来週また録画する事はないと思う。初回のドラマはなるべく録画してでも観るという事を自分のプチ義務としていたが、今回の義務は苦行の域にまで達してしまった。



<他> 知り合いの若者が「MOTHER」面白いっすよ。松雪泰子メッチャいいですよーと言っていた。22時からの「素直になれなくて」はやはり面白くなかった。玉山鉄二がEDであるのが、渡辺えりに先週接吻させられて泣いていたのが、彼がゲイであるのが理由なのかもという辺りはちょっと面白かったが。ツイッター発のドラマが単なるフツーの青春恋愛ドラマになってしまっているのが残念。その他新党ブームやら子ども手当てやら火山灰による飛行停止やら英国二大政党制の崩壊という信じられない事態やら草刈民代のヌードやら色々と語りたい事はあるけどまたの機会に。いやーここ、ドラマブログじゃないんですよ、一応。でも何ブログだか分からないんですけどね。


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ドラマ「IRIS アイリス」第一回

2010-04-22 | film, drama and TV

水曜21時から放送。

まさかゴールデンタイムに韓流ドラマが放映されるとは・・・

キム・ヒョンジュン(イ・ビョンホン)は軍隊で訓練を受けながら通う大学でチェ・スンヒ(キム・テヒ)と出会う。講義は現代史。JFK暗殺、湾岸戦争を扱っている。その後ヒョンジュンはNSSにリクルートされ、日本人テロリスト(白竜)による大統領候補暗殺を防ぎ、一年後には(ハンガリーのブダペストらしき場所で)北朝鮮の首脳の暗殺を命じられるまでになる。狙撃には成功するが北朝鮮のチームに追われる。負傷し、上司に助けを求める電話をかけるが拒絶され・・・スンヒとの恋は・・・

いやいや。キム・テヒが尋常でないほどかわいい。軍の精鋭の訓練の様を美しく描かれると映画トップガンを思い出す。戦争・紛争を美化しているという意図があるわけじゃないだろうが、戦争のための道具を磨く様がそう描かれるということは結果としてそういう事になるのだろう。戦争を美化しようが悪者に描こうが面白ければ私はいいのだが。

イ・ビョンホン萌えする人にはたまらないだろう。そうでない人にとってストーリーで魅せる事が出来るのか気になる。大げさなアクション等ドラマというより映画のような作りだ。スパイアクションモノだという事だから今後はそっちを期待したい。初回は、スパイではなく、暗殺者兼公安だったので。またヒネリにヒネったストーリーにも期待したい。すごく面白かったわけでもなくだからと言ってつまらなくもなかった。評価についてはまだ留保したい。しかしストーリーのこれからには気になるので、来週も録画して観ると思う。なんだかんだ言っても日本のドラマが描けないような作品である。

キム・テヒがたまに見せる表情が尾野真千子さんに似てると思った。しかししかしコリアン・ビューティには美しい人が多い。ちょうど読んでいる途中だった百田尚樹の小説「モンスター」で美しさについて書いてある部分を思い出した。主人公はとてつもないブスで故郷を捨て、東京に出て苦労して金をためて美容整形を受けて生まれ変わり復讐をするという話。そこで短大の心理学の先生が言うのは、古典的は美人というのは平均的な美しさを持っていて、突出したものがないと。確かにグレース・ケリーに際立った個性はない。美は確かに多様化しているけど、コアな部分は脱個性なんだな。

思い出してみると、コリアン・ビューティたちはみな同じような顔をしているような印象がある。時空を超えて普遍的な美しさを持っているのだと言ったら言い過ぎだろうか。


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ドラマ「チェイス~国税査察官」第一回

2010-04-21 | film, drama and TV

NHK総合土曜21時から放送

ガサ入れのプロ、江口洋介は仕事一直線で家庭を顧みない。初回は、ネットカフェのオーナー等へのガサ入れ、そしてレンタカー会社の利益20億を消すために、カリブの手品師と呼ばれる男が暗躍する様を描く。元経団連会長の息子は親の資産6000億円に対する3000億の相続税を何とかして支払わないようにしたい。そこへ手品師は、タックスシェルターを利用したレバレッジド・リースで利益を消去させようとする。ドラマはどうやらその3000億がメインストーリーで、サブとして今回のようにレンタカー屋の20億をガンで余命短い知り合いの命と引き換えに・・・

いやいや。これは意外と面白い。拾い物だなんて言い方は失礼なぐらい良かった。脱税/節税の手口は古臭いように思うが、殺人の手口が古いからと言って聞いた事があるからと言って知っているからと言ってそのミステリーがつまらないという事にはならないだろう。それと同様に手口そのものではなく、それを取り巻く人間たちの描写そしてストーリーが実に良い。

最近コミックは小説原作のドラマ・映画が多いように思うが、本作のようにオリジナル脚本の方が私は「だったらじっくり観てやろうじゃねえか」と思うし、同時に面白い確率も高いような体感がある。数えたわけじゃないけど。

24日に再放送があるそうだから見逃して、かつご興味がある方はどうぞ。

「脱税はこの国で一番困難な犯罪なんです。証拠を揃えてわざわざ申告しにいくんですから。殺人の方がまだ簡単ですよ」



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店名にツッコンでください14

2010-04-20 | laugh or let me die



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ドラマ「新参者」第一回

2010-04-19 | film, drama and TV

東野圭吾による原作は読んだ。昨年12月のレビューはここ。滅法面白かった。短編一本一本にちゃんとオチがあるのに(それだけでも十分読ませるのに)連作として謎がちょっとずつ解決してゆく。長く本と親しんでいるがこんなアクロバティックな作品、私は初めて読んだ。

ドラマも原作同様日本橋人形町を巡る。新しく赴任してきた加賀刑事(阿部寛)がじんわりとしっくりとスパッと謎を解決してゆく。事件のメインは原田美枝子が殺された事であるが、猫が死んでおばあちゃんは事故に会うというエピソードがあったりする。原作を読んだ方なら覚えているだろうか、保険の営業マンが香川照之。初回は殺人事件の容疑者が香川だというお話。

加賀が人形焼の店による違いを語ったりして人形町薀蓄など細かい演出がニクい。登場したたい焼き屋さんは比較的新しい店なので老舗の甘酒横丁の柳屋もその内登場するのだろうか。麻布十番の浪花家より私は柳屋のたい焼きが好きだ。(え?誰も訊いてないって?)人形焼の重盛は水天宮の向かいにある。街のガイドドラマという側面が前面に出てるわけじゃないけど、これを観て人形町に行こうと思う人が出て来るだろーなと想像する。登場する店、町並みは作り物じゃなくてそのままだし。常に行列にしている、言わば観光客のお約束、一度は行く(二度は行かなくても)玉ひでも登場するのだろう。いやして欲しい。まつむらというパン屋さんは美味しい。

なんで語っているかと言えば、私個人が人形町とは仕事、プライベートで縁が深い。人形町に引っ越そうと家を探したこともあったくらいだ。今でもまだ未練が残る。東京に引っ越すとしたら、今現在なら人形町か駒込や巣鴨の駅の南側か。渋谷区と世田谷区は好きじゃない。多分魂を盗られるんじゃないだろうか。

ドラマに話を戻すと、原作にかなり忠実に出来ているので、正直集中して観ていなくても原作を記憶しているので分かってしまう。それが逆に気楽に観る気になるという事もあるだろう。気に入った原作は小説でも漫画でも映像化されるのは嬉し悲しである。ハリーポッターや羊たちの沈黙等原作を上回る作品もたまにあるが、下回る事が多いように思う。「新参者」は原作を、上回らず下回らないと思った。過不足無。

そう言えば、ドラマ「ランチの女王」もここ人形町が舞台だった。新参者でよく出て来る甘酒横丁の反対側。伊東美咲は私はこのランチ時のシャキシャキした女の子の時が一番男ごころを擽られた。いやいや。尾篭な話で恐縮。


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映画「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」

2010-04-18 | film, drama and TV

桜木町駅前に先日オープンしたばかりの横浜ブルク13で観て来た。映画を公開初日に観るのは久しぶり。土曜18:30の回。尋常でないほど空いている。400人収容だそうだが、40人ぐらいしかいなかったのではないだろうか。やはり同日に公開が始まったアリス・イン・ワンダーランドに持って行かれてしまったのかも。

前回の続き、千秋先輩に随分と先を行かれてしまったのだめ。RUI(山田優)はラヴェルを千秋のいるオケで演奏しようとやって来るが、その曲はのだめが彼とやりたいと思う曲だった。やはりうまくいかないのだめ。清良(水川あさみ)がコンクールのためパリにやって来る。彼女の応援に峰(瑛太)や真澄ちゃん(小出恵介)もやって来る。清良の結果に、そして他のピアニストの演奏がのだめたちにいい影響を与える。飼い主とペット、主と従の関係だった千秋とのだめ。二人はどうなって・・・

いやいやいや。大いに楽しめた。面白かったぞ。空いていたのが不思議なくらい。

のだめと瑛太が千秋先輩の真似ごっこを始めた時・・・シュトレーゼマンの巨大ポスターを見た時、目覚ましを止めたとき目覚ましが何かを言った時・・・腹の底から笑った。

私のような者がとても幸福なのは、もうこれ以上は無理な最高の出来だった瞬間が人生で2,3回あった事だ。私のような者がとても残念なのは、もうそれ以上に行けないから、それでやめてしまった事だ。

のだめも、これ以上はないという瞬間を経験してしまシンドロームに陥る。そこから脱出するのかしないのか、本作の最大の見所だと感じた。のだめは成長しましたさ。チャンチャン。というような安易な物語じゃない。ラストには賛否あるだろうが、私は賛成に一票。

千秋が急いでタクシーに乗るシーンでは、プラハの町並みを見る事が出来るのだが、プラハがすごくすごくキレイだ。カメラマンさんの技術なのか。プラハ行きたいなーと思わせてくれたのが嬉しい。

上野樹里は本当にいい、うまい役者だなーとまた思ったのと、水川あさみがトレンチコート着てパリに登場した時、あー本当にキレイだなーと思った。結局最後は女性の話をして終わるのは実に私らしい。はっはっは。



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