頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『怖い絵』中野京子

2011-04-30 | books

「怖い絵」中野京子 朝日出版社 2007年

ずっと読みたいと思っていてやっと読めた、西洋絵画を怖く解釈する本。キワモノな本(キワモノってどう説明したらいいんだ?東スポ的とか)だと思っていたらそんなことなかった。静かな筆致とアカデミックは文体。とても良かった。

クノップフの見捨てられた街という絵。なんだか感じる違和感。よく見ると遠近を微妙にずらしているのだが、言われてみるまで分からなかった。建物の下のラインと歩道は平行なはずなのに、歩道の方が左に行くにしたがって広くなっているのだ。







この絵の凄みは絵だけにあるのではなくて、画家の人生、生活によるものだと分かるとさらに凄みが増してきた。この「見捨てられた街」という絵とその解釈が一番印象に残った。

作品は音楽でも何でもそれ単体で楽しむべきであるという考えがある。確かに。作品を製造した者がどんなに邪悪でも作品は美しければそれでいい。確かに。

しかし作品製造者のこと、背景を知るとさらに楽しめることもある。確かに。

私は音楽については何者が作ったかはあまり気にしないが、小説、絵画、映画については気になる。


ゴールデンウイークが昨日から始まりました。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

では、また。



怖い絵
中野京子
朝日出版社
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久しぶりにブログ読み耽り

2011-04-29 | digital, blog & twitter


最近誰かのブログをちゃんと読むことがほとんどなくなってしまった。一日の中でブログを読む時間が5分程度しかない。ツイッターも5分以内だけど。

そんな中たまたま見つけた OL 時々 グラップリングというブログ。

こりゃ面白い。過去記事も結構読んでしまった。元ダンサーで今OLで32歳で、総合格闘技を昨年始めたきくたえりという人が書いている。言葉の使い方とがほんと巧い。読んでいると少し恋してしまいそうだ。

面白かったエントリーは例えば、

こういう女に車語って欲しくない
とか

週刊きくた家の今

男子読むべからず

無難だね

30代独身女子のペーソス(死語か)に溢れる素晴らしいブログである、

という言い方では表せない。お時間のある方は読んでみればいいさ。

では、また。

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『花の鎖』湊かなえ

2011-04-28 | books

「花の鎖」湊かなえ 文藝春秋社 2011年(初出別冊文藝春秋)

謎のKという人物から贈られる花束。祖母の手術のお金がかかる、勤務していた英会話学校がつぶれた女性による語り。幸せな結婚をしている女性による語り。このパラレルに語られる二人の女性…

うーむ。勿体無い。私の想像でしかないのだが、湊かなえは最初にネタを考えて(=最後のオチ)、そのネタに収束するように計算して計算して書いているように思う。宮部みゆきは逆で、書き始めから最後どういう結末になるか計算せずに書いている(と本人がインタビューで答えていた。)湊=帰納法、宮部=演繹法的といって当たっているだろうか。

湊はその収束の過程が硬く、ゴツゴツしている。スラスラ読めればいいってもんでもないけど、ネタが売りの作品ならばある程度スラスラ読ませないといけないと思う。文体とか会話が売りの作品ならば別だけど。

この「花の鎖」は最後で分かる真実がすごくいい。ずっと謎だったKの正体や、二人の女性の関係が分かったときは、おーとうなった。だからこそ、そこに至るまで読みにくいのが気になる。

とか何とか言いながら出版された全作品とたぶん読んでいるので、湊かなえ作品が嫌いではないんだろう。こんなに読んでいるし。

「告白」「少女」
「贖罪」「Nのために」
「夜行観覧車」「往復書簡」


本作も文章が読みにくくても(読みにくいと思うのは私だけか?)、ネタはとても良いので、そういう意味では(読みにくくないと思う人には)薦められる作品だ。

では、また。




花の鎖
湊かなえ
文藝春秋
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アニメ「もしドラ」#1#2

2011-04-27 | film, drama and TV


女子高生がドラッカーを読んだらどうなるかというくらくらするような設定の原作「もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」は読んでいないし、ドラッカーの本も読んでない。コトラーの「マーテティング・マネージメント」なら読まされた記憶ならあるが読んだ記憶はない。

おいおい。どうでもいい前置きはやめましょう。

高校の帰宅部の女子が野球部マネージャーの親友が入院したというので代わりにマネージャーをすることになった。彼女は昔野球をやっていたのだが嫌いになってしまっていた。しかしそうも言ってはいられないので、本屋さんで「マネージャーの本は?」ときいたら薦められて買ってしまったのが「マネジメント」 それから、彼女がドラッカーの言葉を野球部をマネージすることに応用ゆく日々が始まる。

初回は「野球部の定義」野球部の顧客とは誰か?という話で、2回目は野球部員それぞれから話を聞くという「マーケティング」の話だった。

ふむふむ。へぇって感じ。内容は悪くない。でもなあ…

経営学と野球部マネージャー学を結びつけるなんて実に斬新だし誰も書いたことがない視点だと思う。その強引な手腕を観るのは楽しみ。しかし、近頃アニメを観ていなかったせいなんだろう。女子高生の髪の色が、紫だったり金髪に近い茶色だったりなのと、萌え系とでも言うのだろうか、女の子の顔と声が妙に良すぎるのが気になる。いや、正直気持ちが悪い。アニメ好きの人たちはこういうのがお好きなのだろうか…「渡る世間は鬼ばかり」の中に「もしドラ」の世界を入れられても困るけれども。

あと、原作は売れているようだし、映画にもなるそうだけれど、誰が買っているのかちょっと不思議である。アニメ好きなのか、経営学をちょっとつまみ食いしたい人なのか。あるいはそういう枠を越えた新しい読者を開拓したのだろうか。だとすればすごい。

では、また。






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ドラマ「鈴木先生」#1

2011-04-26 | film, drama and TV

月9が今ひとつ、NHKの「ディープ・ピープル」が裏番組(卓球の話のときはもっと裏話をききたかった)そんな月曜22時テレビ東京系列

FC東京の旗があったので、たぶん調布界隈の中学校が舞台。国語の鈴木先生は、普通の生徒が集まるとクラスがつまらなくなるという定説が間違っていることを証明するために自分が担任をする2年A組に自分の望む生徒を集める。

初回は、中学生男子が同じクラスの男子の妹(小学校4年生!)と性行為をしてしまった、ということが彼女の母親にバレ、学校にねじ込まれてきた。さて、鈴木先生はどう対処するか…

おっと。これ、結構面白かった。今までにありそうでなかったドラマだと思う。特に鈴木先生の言動が。さらに、<事務所が売りたい役者>が見あたらないし=無駄にかわいかったり、イケメンだったりがいない。教師も典型的な<いい先生&感じ悪い先生の職員室組み合わせパターン>がない。

とりあえずビジュアルで目を惹こうという気がないのがとてもいい(小川という生徒が美少女という設定だがそれほどでもないのがまたいい。)つまり、脚本で見せていこうってことなんだろう。マンガが原作だそうだが、そっちは読んでない。

正義とは何なのか、サンデル教授から学ぶのもいいが、鈴木先生から学べることもあると思う。

余談ながら一つ思ったのは、生徒が性行為をした場合、それは担任の先生and/or学校がその責任をとらないといけないことなのだろうか?万引きの場合は?強盗は?そんなことを言っていたら、何でもかんでも学校が責任を取らないといけなくなるけれど。

逆に家庭(保護者)には何をする責任があるのだろうか?ご飯食べさせて寝るところを与える責任なのだろうか。モラルを教えることに責任があるのは、学校と家庭のどちらなんだろう… まあ両方なんだろうけど、責任のなすりあいが始まった場合はどうなるんだろう、なんて思ったりした。

では、また。

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ドラマ「マルモのおきて」#1

2011-04-25 | film, drama and TV

阿部サダヲ=文具会社のお客様相談室勤務 高校野球部時代の仲間が亡くなり、彼の双子の子供と暮らすことになる。出来のいい女の子=芦田愛菜と、泣き虫で味噌汁こぼしてばかりの男の子。なぜか言葉を喋る犬までアパートに転がり込んでくる。

うむ。ほのぼのしていて安心して観ていられる。ボロアパートの割りに風呂がついてるなんてとか、二人は小学校行かなくていいのだろうかとか、昼間何してるんだろうとかツッコミどころはあるけれど。マルモというのは護(まもる=阿部)という名前をマルモと男の子が呼んだことから来ている。

同時間帯が「JIN-仁」なので視聴率はあまり高くないのだろう。ドラマの視聴率がなかなか高くならない最近だからこそ頑張って楽しませて欲しい。

しかし、「タンタンの冒険」が3D実写版になるとはおどろきおどろき。


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『青春を山に賭けて』植村直己

2011-04-24 | books

「青春を山に賭けて」植村直巳 文藝春秋社 1976年(文庫)1971年

子供の頃、よくテレビで見かけた植村さん。いわゆる「偉人」として見ていた。大人になってから植村さんのエッセイは面白いよと何度も言われながら一度も読んでいなかった。

山岳エリートとはほど遠い明治大学山岳部時代の話、ヨーロッパアルプス、キリマンジャロ、エベレストを攻める話、アマゾンをいかだで下る話、金を貯めるのに苦労した話、それらがずっと朴訥と飄々とした文体で綴られていく。

かっこよくはないんだけど、ステキな人だなと思った。何年か前にアラスカでマッキンリーを見た。あそこに植村さんが埋まってるんじゃねえかなんて話していたけれど、この本を読んでから行けばよかった。

自分はトレッキング(クライミングとは言えない)をここ何年かやっていて、今年はシュラフとテントを買おうかと思っていた。(その前に車中泊かと思うんだけど、まだ車中で泊ってはいない)なんつーか、お気軽なエンターテイメントの道具程度に思っていたんだけれど、これを読んで真剣は生きるための手段なんだって思った。

震災の影響で欲しいと思ったモンベルのダウンのウルトラライトなんとかかんとかというシュラフは売り切れてしまっている。夏までにはゲットして、はじめてのテント泊してみたい、そう思った。






どういうわけか、未読の植村さんシリーズがあるのでじっくり読みたい。

では、また。






青春を山に賭けて (文春文庫)
植村直己
文藝春秋
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少年の妄想

2011-04-23 | laugh or let me die

おかあちゃん

おかあちゃん

やったよ

やったよ

ぼくのきゅうりに

ぼくのきゅうりに

しんがはえたよ

しんがはえたよ

きゅうりえんぴつになったよ

きゅうりえんぴつになったよ

















おやおや

せっかくのえんぴつ

わぎりにしちゃ

だめでしょ



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おまえもか

2011-04-22 | days

そこには受付はある。そりゃそうだ。当たり前である。

そこの受付嬢はなかなかの美人でしかもスリムで、でもそれより何より性格がとても良い。某40代独身のおっさんが彼女いないと言うので、どういう人がタイプかときいたら、この人の名前を挙げた。そりゃそうだ。その気持ちは分かる。しかし残念。この人はづまひとなのである。ひとづまなのだ。

割と最近、その受付に知らない人がちょこちょこいるようになった。一人は目が大きくてハッキリした顔立ちの美人。たぶんこの人がタイプだよなーって言う男性が多いんだろうと勝手に想像していた。

しかしもう一人の若干地味目の子がいい。清楚というか昭和的というか真面目そうというか。今現在私がそこに行くのは、彼女に会うためと言っても過言ではない。

と思っていて、何となく30代独身の某に「△△より○○がかわいくないか」ときいたら、顔がパッと輝いて「そうそう!」と言われた。30代既婚の某に同じことをきいたら「俺もそう思う!」と言われた。

うーむ。私の恋は、ライバルが多いらしい。そして私の好みは変わっていると思っていたのに、意外なほど普通であることが分かった。

自分が思うほど自分は幸福でもなく、自分が思うほど自分は不幸でもなくて、自分が思うほど自分はまともではなく、自分が思うほど自分は変でない。

おお。ちょっと随筆みたいではないか。

では、また。



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ドラマ「犬を飼うということ」#1

2011-04-21 | film, drama and TV

社内ではリストラ言い渡しというシビアな仕事を担当する錦戸亮。妻は水川あさみ。息子、娘。明るい家庭のように見えるが、水道料金を支払えないほど家計は逼迫。そんな中やって来た犬。犬がこの家を救えるのか…

うんうん。結構楽しく見せてもらった。この手の犬(ポメラニアン?)はそんなに好きなわけじゃないので、犬に惹かれたわけじゃないけど。

保健所(らしき場所)で預かっている捨て犬たち。その中の一匹を自分が捨てた犬なので連れて帰りたいという娘。すると係りの人に、だったら全部の犬を連れて帰れるのかと言われる。

父は会社でリストラしないといけない人(泉谷しげる)の奥さんが重病なのでリストラ対象から外したいと上司に言うと、だったらこのリストにある全員お前が面倒みるかと言われる。

うーん。考え込んでしまった。

自分が良かれと思って一人の人を救っていい気分になっていたとして、もしかすると百人苦しんでいる人の内たった一人を救っているだけにすぎない、なんてこともあるかも知れない。自分がとても良いことをしていると自画自賛していると、視野がせまくなってしまうのかも、なんて思った。

まあ真面目な話はこれぐらいにして、水川あさみがいい。叱り、悩みするお母さんの役にもピッタリだ。娘は久家心という役者がやっているそうだが、どっかで見た顔だと思っていて、それは「グッドライフ」で反町の息子が仲良くしている女の子と同一人物ではないかと思っているんだけど、まあどうでもいいか。

これは録画してまた観よう。


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ドラマ「幸せになろうよ」「グッドライフ」#1

2011-04-20 | film, drama and TV

初回ドラマは録画して観るのが義務シリーズ。


「幸せになろうよ」#1

結婚相談所のアドバイザー香取慎吾。黒木メイサが会員として入会しようとやってくるが、美人で一流企業にお勤めなのにどうしてこんなところに?→父親は失業&離婚、高校生の弟ありという事情があり…

うーむ。何と言うか、どうせ香取&黒木がくっつくとかくっつかない話になるんでしょ?と思ってしまう。いい話なんだけど、だからと言ってそれをそんなに観たいと思わせてくれない。

来週からは録画はしないと思う。



「グッドライフ~ありがとう、パパ。さよなら~」#1

妻井川遥に逃げられ、小学生の息子と二人暮らしになった、新聞記者反町隆史。ひとに厳しかった男が息子の病気とともに成長していく物語(だと思った)

うーん。息子、羽雲くんに感情移入できれば結構いいドラマなんだと思う。しかし小学生にもなって甘ったれている<クラスの女子には人気あるだろうけどな>という顔立ちなので、ちょっと。(子役の顔立ちを気にする自分もよく分からないけど)

「幸せになろうよ」と同様なのは先が読める感じ。実際は読み通り進まなくても、もしかすると一度そう思ったら、何があっても<ああやっぱり予想通りだ>と思ってしまうかも。

井川遥は家を出たけれど、生活費はどうしてるのだとか、反町の実家の母親が面倒みてくれないのかとか、鹿賀丈史は不倫相手なのかとか、事情は分からないわけじゃないけど、母親が子供を捨てていくかなあとかツッコミどころはあちこちにあるのでそういう辺りを楽しみに観るのはありなんだろうと思う。

でも、私は来週からは録画しないと思う。


つまらないと思いながら、初回のドラマをせっせと録画してせっせと観るのは、もしかするとまたものすごく面白いドラマに出会えると信じているからかも知れない。

信じている、という言葉がものすごく似合わない顔にて失礼。


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映画「南極料理人」

2011-04-19 | film, drama and TV

DVDにて鑑賞。

南極で観測する基地の8名の隊員たちの日常をコミカルに描く。

これはなかなか面白かった。もっとドキュメントのような作りだと思っていたから、ビックリするくらい笑えて収穫。

料理担当者のちょっとした苦悩と楽しみを演じる堺雅人が巧い。この人のために書かれた脚本ではないかと思うほどはまり役だと思う。きたろう、生瀬勝久ら脇役もいい。なんというか、全ての役がぴったりとパズルのピースがはまったような映画だった。

三食充実した食事を食べさせてもらっているのに、夜中に厨房でラーメンを食べてしまう隊員。その結果ラーメンがなくなっていまう。この顛末が一番印象に残った。

裸で外に出て記念写真を撮ったり、替え歌うたったり、男だけの空間だと男はほんとアホになる。先日のドラマ「名前をなくした女神」で感じた女だけの空間における女の怖さとは逆…なのかな。

だから女より男が好き。

とはならないのもまた面白い。

では、また。




南極料理人 [DVD]
クリエーター情報なし
バンダイビジュアル
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ノイズキャンセリングヘッドホン

2011-04-18 | music


iPod用に使っていたフィリップスのイヤホンSHE-9700が断線して片方が聴こえなくなってしまった。もう3年以上は使っているから十分元は取った。

地下鉄に乗る時に音楽がよく聴こえなくて、音量をかなり大きくして聴いていたのだけど、それって耳によくないのだろう。知り合いがソニーのノイズキャンセリングイヤホンというのを使っていてそれを試し聴きさせて貰った。ノイズをキャンセルしているのかよく分からなかった。しかしどうせ買うならそのタイプがよいだろう。

横浜のヨドバシカメラは節電をしている気配がなく煌々と明るい。なぜノイズキャンセリングタイプのイヤホンがショーケースに入っているのか不明だが、ソニーとオーディオテクニカを試し聴きさせて貰ったら、何となくテクニカの方がよりキャンセルしているような気がしてので、こちらを買うことにした。ATH-ANC3というやつ。5980円。ネット通販で買うともうちょっと安いけどヨドバシのポイントを使いたかったのでまあよし。

しかし、ヘッドホンとイヤホンの違いって、ヘッドホン=頭からかけるでかいやつ イヤホン=耳の穴に突っ込むやつ って思っていたけれど、このATH-ANC3にはヘッドホンて書いてあるんだよね。目に突っ込むやつはアイホンなのかな。

まあいいか。

では、また。






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タイプ

2011-04-17 | days




Vanessa Rayという女優さん。Damageのシーズン3に出てた。殺されてしまったけど。
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近所の桜

2011-04-16 | days








大岡川と長者橋。

何度見てもここからの眺めはよい。

来年も桜の花を見られるようにあと一年頑張って生きてゆこう。

などというポジティブな発言は似合わない。

あなたってポジティブって言葉が似合わないわね

ってそう言ったあのこは今いずこ。



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