頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『ストーカーとの七〇〇日戦争』内澤淳子

2019-06-29 | books
「飼い喰い 三匹の豚とわたし」などの著作がある内澤は、小豆島に移住しヤギと暮らしていた。Yahoo!パートナーを通して付き合うようになった男性は、内澤の言うことを聞き入れず、仕事中に何度もメッセージを送り、電話をかけ続けてきた。別れようとすると、嫌がやらせが始まった。警察に相談すると、知ってる名前は偽名であることと、前科があることを知る。被害届を出したりして、さらに彼を激昂させるのは怖い。どうしたら良いのか・・・

週刊文春で連載されてるときにたまに読んでいて、単行本にならないかなと思っていた。

警察とどういう会話をするのか、どう対応してくれるのか、弁護士はどうか、あるいは他の行政機関はどうなのかを、リアルに、そして読みやすく書いてくれている。(不謹慎かも知れないけど)超面白本だった。

警官も検事も弁護士も、玉石混交。優秀な人もいるし、そうでもない人もいる。国家資格を持ってるから、全てを任せられるとは限らないと知った。

まさか自分がストーキングされるなんてことがあるわけないと皆思ってるだろうけれど、自分がストーカーになることだって充分あり得るとも知った。


 

今日の一曲

あいみょんで、「今夜このまま」



では、また。


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『文系と理系はなぜ分かれたのか』隠岐さや香

2019-06-27 | books
文系とは何か、理系とは何か。そもそもそんな風に二分できるものなのか。理系に男性が多いのはなぜか。17世紀ヨーロッパや、近世以降の日本を振り返り考える本。
 
素晴らしい労作。一冊に情報がパンパンに入ってる。
 
面白いなと思ったのは、「抗生物質の効き目を説明せよ」というようなあらかじめ知ってる知識を応用したり数学的な定式を減少に当てはめるような問題は男子が得意。ある病気について観察した文書から原因を解明するような、現象から科学的な問題を見つける場合、女子の方が得意だというもの。そうなのかー。
 
理系=男性、文系=女性の傾向の原因は、生まれつき、生活環境など様々因子が関わっていて何が原因かハッキリとは分からないらしい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今日の一曲
 
なんか最近聴きたくなる。Everything But The Girlで、"Rollercoaster"
 
 
では、また。
 
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『泥の銃弾』吉上亮

2019-06-25 | books
都知事狙撃事件の容疑者として難民が逮捕されたが冤罪ではないかと調査するジャーナリスの闘いと中東の内戦の過酷さを描く。

悪くないのだけれど、言葉の使い方が合わないのかやや読みにくかった。そして長かった。


 
 

今日の一曲

杉山清貴的なビジュアルがステキな、サカナクションで、「忘れられないの」



では、また。


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店名にツッコんでください217

2019-06-23 | laugh or let me die
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『ふたつのオリンピック』ロバート・ホワイティング

2019-06-21 | books
1952年府中の米軍基地で勤務を始めた著者。除隊し、英会話の先生をしたり、フリーライターになったり。当時の六本木の不良外人やヤクザの話、東京オリンピック渡辺恒雄、石原慎太郎、アニメ「巨人の星」、日本のプロ野球、力道山、プロレス、バブルの話など、ここ50年の日本の話。

これは激しく面白かった。

知らないことも多かったし、知ってることでも自分とは違う見方があって読んでいて全く飽きない。

知り合いのヒロキ・アレンが以下のように言ったそう。なぜ東京がこんなに上手く機能しているかの理由の一つとして、「単一文化的だから。欧州やアメリカで多文化が共存する試みがうまくいってないのと対照的に。日本は独自の文化を守っている。日本国民を改宗させるよりも中東全域をキリスト教に改宗させる方がまだ可能性がある。仏教や神道が浸透してるのではなく、"日本"という独自の宗教を確立してるのだ」

本来多様な文化を受け入れる多文化社会の方が「人に優しい」はずなのに、必ずしもそうとも限らないのかも知れない。



 

今日の一曲

Men At Workで、"Overkill"



では、また。


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『あなたの人生、片づけます』垣内美雨

2019-06-19 | books
片付けのスペシャリスト、大庭十萬里が「片付けられない事件を片付ける」連作短編集。

・社内で不倫関係にある男性に嘘をつかれながらストレスを抱え、片づけられないOLの話・・・「清算」
・妻を亡くした後気力を失ったおじいさんの話・・・「木魚堂」
・田舎の豪邸に暮らす78歳おばあさんは、孫がいつか来るだろうと思い、あっても仕方ないものが捨てられない・・・「豪商の館」
・溺愛する長男を事故で亡くし、娘や夫のことを構わなくなり、片付けられなくなった主婦の話・・・「きれいすぎる部屋」

どれも素晴らしい。単に部屋を片付けるのではなく、人生を片付けてくれる。特にラストの話が印象深い。

「最近は面と向かって言ってくれる人がいなかなりました。いつの間にか、みんな相手の機嫌を損ねないことしか言わなくなった。誰だってわるものになりたくないですからね。でも、恨まれてもいいから本当のことを言ってあげるのが本当の親切ではないでしょうか」



 

今日の一曲

Red Hot Chili Peppersで、"Californication"



では、また。


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『ワニの町へ来たスパイ』ジャナ・デリオン

2019-06-17 | books
CIAのレディングはやり過ぎたため武器商人に命を狙われることになった。長官から、ルイジアナの田舎の大伯母の遺産を相続するすることになった姪になりますして、隠れていろと命じられる。そこに行けば遺体を発見してしまうし、結局目立ってしまう。超閉鎖的な村を仕切るのは、婆さんたち。事件の謎を解くのにレディングと対立するのか協力するのか。

これはかなり面白かった。

先がどうなるのか読めない筋。そして魅力的な人物たち。特に、ガーティとアイダ・ベルの二人とおばあちゃん。強烈なキャラクターで、唖然とする。

ただ大笑いするだけじゃなく、終わりかたもとても納得できるものだった。続編翻訳強く希望。



 


今日の一曲

Buckcherryで、"Lit Up"



では、また。


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『夢見る帝国図書館』中島京子

2019-06-15 | books
上野の図書館の歴史と、それを小説にしようという話と、おばあさんと、30代女性との触れ合いなどを描く。

あまり好みではなく、ザザッと飛ばして読んでしまった。テーマが何であるのか良く分からなかったからかも。


 

今日の一曲

Commodoresで、"Still"



では、また。


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『妻が椎茸だったころ』中島京子

2019-06-13 | books
アメリカの知り合いの家に行き、帰ろうとしたらバスが動かない。たまたま知り合った女性に優しくされ、、という話や、あまり親しくない男性の植物の世話を頼まれる話、妻に先立たれた男が料理を習う話など、シュールな短編集。

オチがハッキリしているのは面白かったけれど、そうでないものはあまり楽しめなかった。


 

今日の一曲

ビッケブランカで、"Ca Va?"



では、また。


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『三千円の使いかた』原田ひ香

2019-06-11 | books
独身女性や彼女のいる男性や73歳女性たちが、お金に関してさまざまに考えたり、行動したりする、連作短編集。そんなにシリアスではなく、まだそんなにお金のことを意識させないので、説教臭さがなく読みやすい。登場人物全員が三千円の使い道を考えるのかと思ったら、関係なかった。


 

今日の一曲

Dr. Johnで、"Such a Night"



では、また。



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店名にツッコんでください216

2019-06-09 | laugh or let me die
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『信長の原理』垣根涼介

2019-06-07 | books
信長や秀吉、明智らが何を考えて戦略を立てていったのか。内面を掘り下げる小説。読むのに時間がかかったけれど、すごく面白かった。傲岸なイメージの強い信長がいかに気を遣っていたか。明智光秀や秀吉の優秀さ、柴田勝家らの頭の固さなど、人間ドラマとしても面白いし、歴史ものとしても、この時代のことが頭の中で整理できて、収穫だった。


 

今日の一曲

そろそろ梅雨入りなのか、それとも空梅雨になるのか。矢沢永吉で、「レイニー・ウェイ」


では、また。


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『おっぱいマンション改修争議』原田ひ香

2019-06-05 | books
有名建築家が設計した奇抜なマンション。老朽化してきて建て替えるか、文化財として保護するがもめる住人たち。亡くなった建築家の娘や住人たちの目線で描く・・・

タイトルがキャッチーだけれど、胸部と中身は関係ない。たまたまそういうデザインだっただけで、「ゴキブリマンション」でも別に構わないだろう。

すごく面白いというわけでもなく、つまらないというわけでもなかった。ストーリーよりも登場人物の内面に重きを置いているようだった。


 

今日の一曲

Stereophonicsで、"Maybe Tomorrow"



では、また。



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『ザ・プロフェッサー』ロバート・ベイリー

2019-06-03 | books
アラバマ大ロースクールのマクマートリー教授は学部長の策略で大学を追われそうになる・・・そして元彼女から依頼が。彼女の夫と子供が交通事故で亡くなったが、衝突した相手のトラック運送業者を訴えたいとのこと。自らが癌であると分かったマクマートリー。弁護士として推薦しようと考えているのは、自分に暴力を振るったのがYouTubeに載ってしまった元生徒のドレイク・・・

これは大変面白かった。

証人に証言させないようにする悪辣な被告、嫌な感じの被告側弁護士、息を飲むような裁判のシーン。どれも素晴らしい。人間ドラマ+勧善懲悪+法的なテクニック。

アメリカのAmazon.comでは平均評価が4.6ととても高いのも頷ける。

続編もあるそうなので、和訳が出るのが楽しみだ。



 

今日の一曲

Billy Joelで、"A Matter of Trust"



では、また。


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『地下道の少女』アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム

2019-06-01 | books
ストックホルムで、バスに乗せられた43人の子供が放置される。病院の地下では女性の遺体が。地下道で暮らす者たちとの関係は・・・

同一作者の「三秒間の死角」「死刑囚」と比べると落ちる感じがする。

子供たちが海外から連れて来られた話は実話らしく、動機は興味深い。しかし地下道で暮らす者たちの話が冗長に感じられた。


 

今日の一曲

TOTOで、"Hold The Line"



では、また。


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