頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『煩悩ウォーク』岡宗秀吾

2020-01-30 | books
フリーのテレビディレクターが過去を振り返るエッセイ。服飾専門学校の話や、大阪から神戸に帰る快速電車内で白い粉を見つけた話、元気が出るテレビの豪快さや、神戸の震災の話。

面白かった。

実家は神戸で、震災発生時はなんと、尼崎のラブホテルで3Pしていたという話が読ませる。

 

今日の一曲




Simon & Garfunkelで、"The Sound of Silence"





では、また。


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『その手をにぎりたい』柚月麻子

2020-01-28 | books
バブル期に不動産会社に転職した女性は銀座の高級寿司店の味に惚れ板前さんに惚れる。彼女の一年ごと十年の成長、挫折を描く。

1983年から1992年の流行が描かれていて懐かしいけれど、それよりも彼女の内面の変化やストーリーが気に入った。

ひっくり返るほど面白いわけじゃないけれど、秀作。

 

今日の一曲

Mega Shinnosukeで、"O.W.A."



では、また。


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『極夜行前』角幡唯介

2020-01-26 | books
「極夜行」の前、準備段階ノンフィクション。一日中日が差さない極夜を、GPSなし衛星電話なしの状態で旅しようとする。自分がいる場所は、六分儀で測り、移動は犬橇で。

星の位置と水平線によって自分の位置が分かる六分儀。今一つ原理は分からなかったけれど、こんな原始的なものを使うことの大変さはよーく分かる。

犬橇用に選んだ犬と練習に旅するがうまくいかない。その過程で犬に暴力をふるってしまった。そのことを隠さずに書くのは勇気がいるだろうし、読んでて心が痛む。

興味がない人には全く面白くないだろうけれど、私のような「自分では探検しないけれど、探検するハウツーには興味がある」者にはとても面白かった。

 

今日の一曲

柴田淳で、「あなたが泣いてしまう時は」



では、また。


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店名にツッコんでください232

2020-01-24 | laugh or let me die
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2021年冬ドラマちょいとレビューその3

2020-01-22 | film, drama and TV
「ケイジとケンジ」・・・高校教師をやめ刑事になった桐谷健太。やや傲慢な検事が東出昌大。担当の検察事務官は比嘉愛未で桐谷の妹。空き巣事件の容疑者が桐谷の教え子だと分かり・・・桐谷と東出が反発しながら時間を解決する。東出のキャラにイラッとさせられたり、桐谷にも感情移入するのは難しい。面白いんだかそうでもないんだかよくワカラン。

「病室で念仏を唱えないでください」・・・僧侶をしながら救命救急医をする伊藤英明。考え方が合わず反発する同僚中谷美紀。二人を中心にしながら「生きる」こと、「死ぬ」ことを考える。今期は4つも医療ドラマがあるがどれも微妙。これは物凄く面白いというほどないけどまだ観る。

「心を癒すということ」・・・柄本佑は悩みながら医学部に入り神戸で精神科医になる。というところまでが第一話。この後震災が起きるらしい。実在の安克昌という人の話だそう。震災の後はPTSD研究の第一人者になったとか。悪くなかった。

「麒麟がくる」・・・若き明智光秀が長谷川博己。野盗が見た事のない武器鉄砲で襲ってきた。主君である本木雅弘演じる斎藤道三に、鉄砲がどんなものか見に行きたいと頼む。その過程で吉田剛太郎の松永久秀に出会う。王道の大河に戻った感じ。道三の演技が無理に大物演じようとして無理がある気がしたけれど、それ以外はナイス。

「テセウスの船」・・・父親鈴木亮平は警官で殺人犯。息子の竹内涼真は苦しい思いで暮らしていた。そして30年前にタイムスリップし、本当に父親が犯人なのか確かめそして、殺人を食い止めようとする。30年前は自分は母のお腹にいた頃。暗い顔しか見たことのなかった母(榮倉奈々)の明るい顔、兄、姉の小さかった時代。こういうシリアスなドラマは今期珍しい。そして推理するドラマも珍しい。面白かった。誰かを救おうとすると過去を改変してしまい、それが未来を改変してしまうことになるけれど、その辺もうまく処理してる風。「グッド・ファイト」とこれが今期とりあえずベストか?

「やめるときも、すこやかなるときも」・・・彼氏には重いとフラれ、結婚パーティーで知り合った男藤ヶ谷大輔の家に泊まるが何もされなかったことにショックを受ける奈緒。親の借金を返したのに父親には暴力を振るわれる。後日藤ヶ谷に会うと自分のことを覚えていない。悲惨な感じを軽めに描く。ライトにシリアスなラブストーリー。窪美澄の原作を読んだことをすっかり忘れてしまっていた。ドラマは面白いかまだ不明。

「病院の治し方〜ドクター有原の挑戦」・・・東京の大学病院にいた小泉孝太郎。父親が前の院長をしていた長野の病院が経営難に。病院を身売りしようとすると元院長の叔父に反発し大学を辞めて副院長に。薬の卸業者の談合などコストを上げる要素を排除すべく尽力するが、強い抵抗勢力に会う。小平奈緒が所属する相沢病院がモデルになってるとのこと。上記の二つとこれ合わせて三つが今のところベスト。


今日の一曲

Frankie Goes To Hollywoodで、"Two Tribes"



では、また。

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『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』夏川草介

2020-01-20 | books
安曇野の病院に研修医としてやって来た桂正太郎。ここでは入院患者は老人ばかりで胃瘻など終末期医療について悩む。月岡美琴は3年目の看護師。無茶を言う患者家族や事なかれ主義の上層部に噛みつく。


とっても面白かった。


「神様のカルテ」とは別のシリーズだけれど流れる哲学は同じ。


回復の可能性のない老人を生かし続ける事の意味や、医者に任せるだけで考えようとしない患者家族など色々かんがえされられる。


「テレビや小説では"劇的な死"や"感動的な死"ばかりが描かれる一方で、地味で汚くて不快な臭気を発する"現実の死"は、施設や病院に押し込んで黙殺する。そういう現代の医療が直面している闇の一端が、社会の縮図が、桂の前に立ちはだかっている問題なのである」


続編をぜひ読みたいけれど、連載が3年もかかっているので、いつになることやら。

 

今日の一曲

曲は結構聴いているはずなのに、動画は初めて観た。しびれた。ギターもドラムもベースもボーカルもすげえ。Led Zeppelinで、"Babe I'm Gonna Leave You"


では、また。
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『もつれ』ジグムント・ミウォシェフスキ

2020-01-18 | books
ワルシャワ、精神科のグループセラピーの参加者の一人が眼に串を刺され殺された。検察官のシャツキが捜査に関わる。セラピーはコンステレーションという参加者が他の参加者の家族を演じるというものだと分かる。しかし動機がなかなか分からない。

三部作の第一作。長いし、そしてラストの謎解きもとっても分かりにくい。なのに何故か読み進んでしまったのは、シャツキの内面や街の描写などストーリーとは直接関係無いところが良かったからか。それと第ニ作、三作の評判がいいから我慢したのもあり。

 

今日の一曲

ヨーヨーマで、バッハの「無伴奏チェロ組曲1番」


では、また。


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2020年冬ドラマちょいとレビューその2

2020-01-16 | film, drama and TV
「トップナイフ」・・・脳外科医天海祐希。院長が勝手に雇った医者はは天才だけど人格に問題があったり、あるいは研修医だったりして苦労する。初回はDV夫が脳腫瘍で優しくなった場合、腫瘍をとったら元の性格に戻るのかという話があってこれは面白かった。

「シロでもクロでもない世界でパンダは笑う。」・・・気弱な囲碁棋士清野菜名は大学病院の精神科に通院。そこの学生横浜流星に催眠術(?)をかけられて、ミスパンダとして悪をやっつけるという破天荒な設定。ラスト近辺で、依頼人はM法務大臣であることや、横浜流星の父親は警官で遺体で発見された事などが急に明かされて、とても気になる。

「グッドファイト」・・・アメリカドラマ。「グッドワイフ 」は観てないのだけれど、その一年後を描く。弁護士事務所の代表のダイアナはフランスに家を買い、2週間後引退することにした。入って来たばかりの新人マイアの教育に集中することにした。今は警官が暴行した件で郡の代理を務めている。ダイアナはマイアの父親の運営するファンドに投資してきたら、何と詐欺だったと分かり全財産を失う。マイアは詐欺師の娘だと言われ困惑する。前作を観てなくても問題なく楽しめた。

「恋はつづくよどこまでも」・・・修学旅行で訪れた東京で、倒れた女性を目の前にしていた上白石萌音。近くにいた医師佐藤健に助けてもらい一目惚れ。彼と同じ病院で働くため看護学校に行き、そしてその病院勤務の初日、佐藤に告白する。先日、妹の上白石萌歌がMCをするA-Studioにゲストで出演した上白石。すごく感じのいい人だなと思ってた。ドラマの方はややコテコテだけれどまだ観る。


今日の一曲

King Gnuで、"Teenager Forever"



では、また。


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映画「パラサイト 半地下の家族」

2020-01-14 | film, drama and TV
仕事がなくWi-Fiの電波すら他人のを盗んで使う、半地下に暮らす貧しい四人のキム一家。浪人中の長男が、ソウル大学の卒業証書を偽造し大金持ちのパク家の女子高生の家庭教師になることが出来た。そして、妹は偽美術教師、父は運転手、母は家政婦と、その家で働く者を次々と追い出して、四人とも仕事を得た。高給を受け取って幸福な生活が続くと思っていたら、クビになった家政婦が深夜にやって来た。そこから始まるのは・・・

すげー面白かった。スターウォーズを超えたかも知れない。

コメディ、ファミリードラマ、ホラー、サスペンス、アクション全て詰め込まれてるのに、ストーリーが破綻しておらず丁寧に描かれていて、すごく好み。先が全く読めないのもいい。

役者もいい。パク家の奥さんは美人で子供を甘やかす系、娘は勉強より恋に夢中な女子高生、キム家の気の強い娘、同じく気の強い母。女性陣たちが特に上手だったと思う。

IT企業の社長の一家と半地下の一家。テーマは「格差社会」なのか、あるいは・・・?

ネタバレしてしまうと全く面白く無くなってしまう。特に後半については何も知らない方がいい。私は観ると決めたからは何も情報を得なかったので「貧乏人が金持ち一家になりすます」のだろうと勘違いしていたけれど、かえって良かった。何も情報を知らずに観ることを強くオススメします。


↓といいつつ予告編を



では、また。


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2020年冬ドラマちょいとレビューその1

2020-01-12 | film, drama and TV
「ランチ合コン探偵」・・・ランチ合コンの間に、相手から聴いた謎を解く山本美月。山本のショートヘアーはあまり似合わない、と思ってたらラストに精神科医か心理カウンセラーとのセッションのシーンがちょっとだけあって思わせぶり。ストーリーはそれほどでも。

「絶対零度」・・・途中で離脱。

「知らなくていいコト」・・・週刊誌記者の吉高由里子、スクープを狙う一話完結。プラス実は父親が殺人犯だったという話が続く。母親が死ぬ寸前に「あなたの父親はキアヌ・リーブスなの」と言ったのには笑った。二話以降観ないと面白いかまだ不明。

「ゆるキャン△」・・・福原遥が一人キャンプをする、プラス誰かと知り合う。最近一人キャンプが流行しているのか、三浦貴大主演のドラマでも同様のがあった。気が合わない他人と一緒にいるぐらいなら一人の方が良いと思う人が増えているということが背景にあるのか、ワカラン。

「来世ではちゃんとします」・・・ブラックなCG製作会社に勤める内田理央には5人のセフレがいて、でもそのうちの一人に好きな人が出来たと言われたり、恋愛に興味がないという同僚がいたり。かなりぶっ飛ばしているドラマ。内田の事務所がよくOKしたなとも思うし、この役に違和感ないなとも思う。

「アライブ がん専門医のカルテ」・・・腫瘍内科医の松下奈緒が誠実にがんに向き合う。腫瘍内科は特に抗がん剤治療がメインらしい。地味だけれど丁寧に作られていいドラマだった。外科医の木村佳乃が他の病院からわざわざやって来る動機は半分くらいしか分かってない。(罪滅ぼしか?)



今日の一曲

Janis Joplinで、 "Summertime"



では、また。


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店名にツッコんでください231

2020-01-10 | laugh or let me die
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『僕らのごはんは明日で待ってる』瀬尾まいこ

2020-01-08 | books
ほとんど誰とも交わらない高校生葉山亮太。ひょんなことから上村小春と付き合うことになり、そして何となく大学生になる。他人との距離感が不思議な葉山と含蓄のあることを言う上村の恋はどうなるのか。

すごく良かった。なんつーか、変化球なラブストーリーだった。ラストも抜群。

「今まで周りをよく見ていなかったけど、意外とみんなは競い合っている。俺にしてみれば、定食を食べられるないことや席がないことなど、どうでもよかった」

そう言えば普段から「人より得しよう」とあれこれしてるけれど、あんまり意味のないことだったかも知れない。得の総量よりそのためのストレスの方が多いかも。

「残念ながら、私、昔悪かったって話と、昔不幸だったって話を披露するなって好きじゃないの」

「本当の病気を知らない人間ってなんだかんだ言うだろう?仕事が大事だとか未来だ夢だ責任だとか。だけどさ、僕はここで二十年以上働いているけど、驚いたことに今まで目の前の命より大事なものなんて見たことがない。だったって一度もだよ」

 

今日の一曲

Jimi Hendrixで、"Spanish Castle Magic"



では、また。




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『本屋さんのダイアナ』柚木麻子

2020-01-06 | books
キャバ嬢の母(源氏名ティアラ)に大穴(ダイアナ)と名付けられた子は母に強制的に金髪にさせられるが、内向的で本が好き。小3で仲良くなったのは彩子。優しくて裕福な家庭で育った本好き。二人の友情、恋、別れ、10年後はどんな人生を歩んでいるのか。

うーむ。少女、もしくは元少女が読むものだと思ってだけど、とんでもなく面白かった。ティアラが実は、が分かった時にはしびれた。

ダイアナ以上に、彩子の人生に読み応えあり。

 「どうしてあんたたちは、山の上女学園でうまくやれない人間は、負け組だって決めつけんだよ。あんな小さな世界の優劣で、なんでその人の人生が決まるんだよ」

 「よかった。これであの夜のことは、事件でなくなる。レイプではなくなる。合意になる。記憶は上書きされる」

 「大学というシステムは、人を守るわけでも、育てるわけでもない。もちろん身のある授業は多いけれど、何を選び、どこまで深めるかは個人の裁量に任されている。迷える人間にとって、ここはただの巨大な箱でしかない」

 

今日の一曲

鬱屈としたダイアナに聴かせてあげたい。ONE OK ROCKで、"Stand Out Fit In"



では、また。


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『桃源』黒川博行

2020-01-03 | books
大阪の刑事新垣と上坂は、金持ち逃げ事件の捜査の過程で大掛かりな詐欺事件にぶち当たり、沖縄へ石垣島へ。

かなり面白かった。

新垣には二人恋人がいたり、上坂は食べるのが好きで痛風持ち。食べ物や映画の蘊蓄が楽しい。

事件の真相に迫っていく過程もスリリングで、ハチャメチャな悪徳刑事ものかと思っていたら本格的刑事ものだった。

しかし沈没船詐欺とは、色々思いつくものだ。

 

今日の一曲

と言っても音楽じゃなくて、講談。神田松之丞で、「山田真龍軒」



では、また。


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ご挨拶

2020-01-01 | days

謹んで新春のお慶びを申し上げます

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