頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『真理の探究 仏教徒宇宙物理学の対話』佐々木閑 大栗博司

2019-11-22 | books
仏教の学者と素粒子の学者の対談。ビッグバン、相対性理論、量子力学。科学者のような釈迦、四諦、三宝。基本的な話とやや難しい話がうまくブランドされていてとっても面白かった。

・キリスト教やイスラム教では唯一の神がいるが、釈迦は神ではなく法則を発見した。
・この世は苦に満ちているが、消す方法はある。
・修行ではなく、スーパーパワーにすがるのが好都合な大乗仏教が中国で主流→日本へ入ってくる。
・一般相対性理論と量子力学がブラックホールで矛盾するのを証明したのがホーキング。


 


今日の一曲

Eurythmicsの"Sweet Dreams"とWhite Stripesの"Seven Nation Army"の Mashupを演奏するPomplamoose ft. Sarah Dugas



では、また。


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『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』デイヴィッド・グラン

2019-11-20 | books
19世紀、アメリカ。ネイティブアメリカンのオセージ族は広大な土地を所有していたが、トーマス・ジェファーソン大統領に数百万エーカーの土地を手放すよう命じられ、カンザスへと移った。その後、結局政府は土地を割り当てることにした。その中でオセージ族が代わりに割り当てられたオクラホマの土地から、石油が出ることが分かった。裕福になったオセージ族を襲うのは、1921年から関係者が24人も殺害される事件。発足当初のFBIは解決できるのか。

めちゃくちゃ面白いドキュメント。殺人事件の謎を解く過程も面白いけれど、アメリカの狂ったような歴史も非常に興味深い。

19世紀、チェロキー族の保有地の一部を政府が買い上げ、4万2千の区画に分割し、なんと1893年9月16日正午に一番乗りしたものに与えると発表した。何日も前から何万もの人垣が出来、殴り合いながら突進して行ったそうだ。クレージー。

また、20世紀初頭、汚職まみれ、能力不足の警察や保安官に代わって、推理し尾行ししていたのは私立探偵だった。(ピンカートン探偵社は知っていたけれど、まさか捜査の補完をしていたとは)

というような歴史の話がてんこ盛り。そして事件の謎が解かれていくプロセスも良かった。ありそうでない、ドキュメント+ミステリーだった。


 


今日の一曲

フジファブリックで、「若者のすべて」



では、また。


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『ノワールをまとう女』神護かずみ

2019-11-18 | books
江戸川乱歩賞受賞。西澤奈美は元総会屋の原田のもとで企業のトラブルシューティングを生業にしてる。医薬品メーカー美国堂にトラブル発生。韓国の企業を子会社化し、その社長林を日本の本社の常務にした。すると9年前、林が日本の戦争責任を問うスピーチを行なってる動画が表に出て来た。すると「美国堂を糾す会」が不買運動、デモを始めた・・・

設定が物凄くいい。非常に現代的なテーマ、奈美のストイックな生き方など興味を引く要素が多い。

しかし、中だるみしてしまった。中盤が長い。案件一つで読ませるのは難しかった。

最初と最後は抜群に良いので、別の案件を加えながら解決していくか、連作短編集のような形式だったらもっとさらに良かったと思う。


 


今日の一曲

℃-uteで、「Crazy 完全な大人」



では、また。
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『廃墟の白墨』遠田潤子

2019-11-16 | books
明石ビルのオーナー女性明石、娘の白墨、賃借人たち。1970年代、起こった悲劇。50年経って分かった真実とは。

遠田潤子は大好きな作家。でもこれは読むのが時間の無駄になってしまった。

可哀想なキャラがそれほど可哀想に思えず、意外な展開にそれほど驚けない。誰が殺してもまあいいかと思ってしまった。


 


今日の一曲

Led Zeppelinのカバーで、尾崎亜美と小原礼と奥田民生による" Rock and Roll"



では、また。


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『べらぼうくん』万城目学

2019-11-14 | books
小説家万城目学の、大学受験失敗、浪人生活、京都大学法学部学生時代、繊維会社へ就職、小説が書きたいのに書けない苦悩といった小説家になる「以前」のことを書いたエッセイ。

「週刊文春」に連載されていたもので、とっても読みやすく面白い。 

自分には無職の才能があって、自由な時間を手に入れてもいっさい不安を感じなかった、という表現など、自虐的なようでいてそれが過剰でなく、しかしどこかで自分をほんのりとリスペクトしているのうな絶妙な配合がとてもここちよかった。(ドラマ「俺の話は長い」で、生田斗真演じる主人公の、共感できない言い訳とは対照的だった)


 


今日の一曲

Haley Reinhartによるカバーで、White Stripesの"Seven Nation Army"



先日ラグビーワールドカップでファンゾーンにてイングランド対ニュージーランドの試合を観ていたら、背後にいたウェールズのサポーターが何度もこの曲を歌っていた。

では、また。


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『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』南杏子

2019-11-12 | books
大きな病院を辞めて実家の病院で内科医として勤務する菜々子。演芸やピアノの演奏、スピーチ、コンサート、太鼓などステージに上がらないといけない者に持病がある場合、そのサポートをすることになったという話。

白血病や糖尿病などの病気にどう対処すべきかというテクニカルなことがとても興味深かった。


 


今日の一曲

Morgan Jamesによるカバーで、Peter Gabrielの"Sledgehammer"



では、また。


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『縁』小野寺文宣

2019-11-08 | books
少年サッカーチームのコーチが少年の母親から言われる→28歳女性が彼氏から、感じが悪いと指摘される→息子が女子高生とホテルに行ったと彼女の親から激昂される→というような話が連作短編で繋がってゆく。

巧い。とっても巧い。面白い。とっても面白い。良い。とっても良い。

最初は独立した短編集かな?それならまあまあぐらいなのかなと思って読んでいたら、すべての話が繋がってる。それも絶妙な繋がり方で。

なんつーか、とにかくいいのだよ。

 「みんな、する話は同じなんだよね。本音は隠すとかそういうことではなく、他人の価値観で話しちゃうんだ。誰かが決めた価値観でね。まあ、これは僕も含めて、ほとんどの人間がそうだけど」

 「五十二歳。お肌の曲がり角を何度も曲がり、もはやどの方角へ向かっているのかもわからない年齢」


中に織り込まれている、「人間てそんなに悪くないよね?」という哲学がいい。人物描写がいい。そして台詞がいい。オススメ。
 

今日の一曲

KIRINJI  feat. 鎮座DOPENESSで、" Almond Eyes"


では、また。
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『堕落刑事 マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ』J・ノックス

2019-11-06 | books
マンチェスター警察のエイダン・ウェイツは、麻薬密売組織への潜入捜査を命じられる。しかし司法大臣に呼び出され、娘が組織の人間と一緒にいて家に帰って来ない、様子を探ってくれと頼まれる。また、10年前に組織に不利な証言をする予定だった女性が行方不明になっている。だらしの無いウェイツは果たして真相にたどり着くのか、警察内で組織と癒着してる者は誰なのか・・・

最初は面白いと思ったのだけれと、途中少ない登場人物が割と同じような展開でもたつく感じがして、ちょっと飽きてきた。しかし、某登場人物が殺される辺りから、グッと引き込まれる。

ウェイツは何度も身が危なくなるのだが、ラスト近辺で本当にヤバくなる辺りは読むのをやめられなくなるほどに緊張感があった。次回作、ぜひ読みたい。


 

今日の一曲

Dua Lipaで、"Blow Your Mind"



では、また。


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『労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱』ブレイディみかこ

2019-11-04 | books
BREXIT国民投票の結果が発表され。まさかの離脱決定。冒頭著者の夫が叫ぶところから始まる。しかし夫は離脱賛成に入れていたというのが面白い。激しく面白かった「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の著者が、英国の労働者階級が何を考えているのか、あるいはここ100年の政治を振り返り、英国社会を考察するという意外と硬い本。

なかなか面白かった。

英国のテレビ番組で、離脱派と残留派の家庭の奥さんを交換して、しばらく暮らしてもらうという企画の話が興味深かった。


 


今日の一曲

Coldplayで、"Orphans"



では、また。


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『死者の国』ジャン=クリストフ・グランジェ

2019-11-02 | books
パリでストリッパーが連続して殺害される。被害者の下着で縛られ、唇の両端は耳まで切り裂かれていた。担当はコルソ警視。パリで最も優秀だが、強引な捜査を行う男。捜査が行き詰まったとき、昔同様の事件があったことを知る。その犯人はフィリップ・ソビエスキ。強盗殺人で刑務所にいたが、出所してから画家として成功していた。ソビエスキにとって不利な証拠や有利な証拠が出て来て・・・

長い。果てしなく長い。ポケミス上下二段組で700頁強、定価3千円。しかし、物凄く面白い。

コルソの無茶苦茶なキャラがいい。ムシャクシャしたから、自分の担当でない銃撃戦に参加したりする。

ゴヤの絵画が重要な場面で使われているのだけれど、その辺も物凄く巧い。

一番は、ソビエスキがやったのか、そうではないのか。凄腕の美人弁護士が頑張るのだが、とにかくどんでん返しに次ぐどんでん返しの行き先は、想像だにしないものだった。

あとそうそう。SMやら変態性交の話が出まくるのでその辺苦手な人には薦められないけれど、大丈夫な人ならぜひオススメしておきたい。下にネタバレあり。


 


今日の一曲

The Strokesで、"Last Nite"




※ネタバレ


弁護士のクローディア・ミュレールが全て仕組んでいた。レイプ魔ソビエスキが犯した女性が産んだのがクローディアや、他の被害者だった。彼に復讐するために、ソビエスキの仕業だと思われるように、彼が描いたゴヤの贋作のモチーフを使って死体に細工をした。ソビエスキに最大限の苦痛を与えるため、事件の担当弁護士になり、一度無罪にしてから後に有罪にしてやろうと計画。しかし彼は獄中で自殺。しかし、同様の事件がまた起こる。被害者はなんとクローディア。ソビエスキは無実だと見せかけての自殺。コルソが彼女の墓に行くと、告白の手紙と、コルソの名が書かれた棺が。実はコルソもソビエスキの子供だとあった。そして、自分のいる「死者の国」でコルソを待っていると。

では、また。


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『小さなころに置いてきたもの』黒柳徹子

2019-10-31 | books
昔のことをよく覚えてる、徹子さんらしいエッセイ。短いものが沢山ある。とっても面白かった。

様々な人との交流や印象に残ったことが面白おかしく描かれている。お喋りなホロヴィッツや、徹子に恋心?を抱いた赤塚不二夫の話など、へーそーなんだー、と思わず何度も呟いてしまった。オススメ。
 

今日の一曲

椎名林檎で、「公然の秘密」



では、また。


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『わが母なるロージー』ピエール・ルメートル

2019-10-29 | books
パリで爆弾が爆発する。犯人のジャンはすぐに自首する。「第一次大戦の不発弾を沢山拾って、七箇所に仕掛けた、毎日どこかで爆発する、場所を教えて欲しければ、母親の釈放、五百万ユーロをよこせ」と要求した。「その女、アレックス」のカミーユ警部はどこかおかしいと思う。政府を動揺させた事件は・・・

面白かった。全200頁余り。字が詰まってないので、実質150頁ぐらい。あっという間に読み終わる。

ややこしい爆弾事件。ジャンの恋人を殺した罪で刑務所にいる母親を釈放させたいというのがおかしい。しかし、動機が分からない。分かるのは本当にラストのラスト。まさかそういうことだったのか。しかしよく考えるとそれしかないと思い至る。巧い。流石。

 

今日の一曲

MONKEY MAJIKと岡崎体育で、「留学生」



では、また。


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『暗殺者の追跡』マーク・グリーニー

2019-10-23 | books
超優秀な暗殺者コートランド・ジェントリーはCIAに呼ばれてプライベートジェットでアメリカへ。その途中でイギリスに立ち寄ったとき、襲撃事件は巻き込まれる。同乗していた囚人が拉致されてしまった。ロシアのスパイからCIAに鞍替えをする途中のゾーヤはCIAの施設で軟禁状態にあった。そこでロシアの将軍である自分の父親が殺された現場の写真を見せてもらう。それをきっかけに施設から脱走しようとすると、その施設を何者かが襲った。ゾーヤは何とか逃げた。一見無関係の囚人拉致事件とゾーヤの脱走。これらの結びつきが明らかになると・・・

今までのグレイマンシリーズで最も読みやすいような気がした。動機や手段が納得できるものだったからだろうか。

そして、メチャクチャ面白い。面白すぎる。上下巻3日で読んでしまった。

ものすごく大掛かりなテロを行おうとする話なのだけれど、これがまた恐ろしい。今後どこかで実施されるかも知れないと思うと枕を高くして寝れない、、、(ということはない。)

ピンチの創り方とピンチから逃れる術、どちらも絶品だった。

 
 
今日の一曲

miletで、"inside you"



では、また。


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『罪と祈り』貫井徳郎

2019-10-21 | books
警官を定年退官している亮輔の父辰治が殺された。何か過去の出来事が関係してるのではと調べ始める・・・昭和も終わろうとする頃、バブル真っ盛り。不動産屋の手先、地上げ屋が強引な手口で土地を売らせていた。辰治らが住む浅草界隈で同様だった。不動産業者に一泡吹かせようと考えて・・・

ううむ。これは巧かった。

過去の事情が段々と明らかになってゆくその感じがぞくぞくする。そしてその真相に迫ってゆく現代のパートも巧い。
 
大方の事情が分かりつつも、一番肝心な事はなかなか分からない。殺人の動機は何か?ラストで、そういうことだったのかと崩れ落ちた。拍手拍手。

 

今日の一曲

ニガミ17才で、「ただし、BGM」



では、また。


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『ケイトが恐れるすべて』ピーター・スワンソン

2019-10-19 | books
ロンドンで一人暮らしをしているケイト。会ったことのない又従兄弟のコービンが仕事でロンドンに行くので、半年住まいを交換しようと提案され、ボストンに行くことにした。コービンの住まいは三階建てのドアマンがいるような豪華なアパートメント。何人かの住人と知り合いになった。すると、隣人のオードリーが殺されてしまった。住人によるとコービンとオードリーは恋愛関係にあるはずなのに、コービンはそれを否定する。なぜ?殺したのは彼なのか?

ケイトは強迫神経症気味で、周囲に対していつもビビっている。この不安定な語り手の存在がユニーク。それと章を替えて、コービンが語り手になるのだが、真相(なぜ交際を隠したのか)(誰が殺したのか)について明らかになると、思わず、そう来たかっ、とつぶやいてしまった。ちょっと長いかなーとは思ったけれど、なかなかの秀作だった。

 

今日の一曲

Matchbox Twenty - She's So Mean



では、また。


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