「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」万城目学 ちくまプリマー新書 2010年
小学校1年生になったばかりのかのこちゃん。かのこちゃんとお父さんとお母さんと家には犬の玄三郎、猫のマドレーヌがいる。かのこちゃんの視線からみた日々の驚きに満ちた生活、マドレーヌの視線からみた猫の生活。万城目ワールドはまるで童話のようになって・・・
いやいやいや。これは子供に独占させては勿体無い。童話っぽいけれど、新書じゃなくして装丁も変えれば内容は充分に大人向けの小説だ。なんと言ってもかのこちゃんがかわいい。小学校1年生の女の子ってこんな風なんだなー。ふむふむ&じわじわと染みこんで来る。文章も瑞々しい。
猫のマドレーヌから見た世界が描かれるのだからそこは吾輩は猫である的なモノであろうと予期していたら、だいぶ違う。いい意味で期待を裏切ってくれた。犬の玄三郎との触れ合いとか、近所の猫たちとの集会とかほのぼのを超えて、なんて言えばいいのか、ほのぼののー!(なんて日本語だ)猫ってそれほど好きじゃなかったのに、ちょっと好きになってしまったよ。
ちょっとした現実を離れた部分はファンタジーなんだけど、ファンタジーという言葉から連想する勧善懲悪な部分は全くないし、自分の思い通りを妄想するということでもないし。妙にリアリティがあって妙にリアルから飛躍してしまっている作品として元祖天才バカボンを連想した。読後感は似ていると思う。かのこちゃんを思い浮かべると、となりの晩御飯じゃなくて、となりのトトロのメイちゃんぽいなあなどとも思った。
万城目学はかれこれ5冊の本をレビューした。天才とはこういう人を言うのかも知れない。
「鹿男あをによし」
「鴨川ホルモー」
「ザ・万歩計」
「ホルモー六景」
「プリンセス・トヨトミ」
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意味が全く分かりません。
スパムだとして削除すべきか迷います。
真面目なコメントだとすればどこか別の所へコメントするのと間違えたのでしょう。
では、ごきげんよう。
万城目さん、いいですよね~。私も大好きです。同じく本書で6冊目でした。
>天才とはこういう人を言うのかもしれない。
御意。
この本は孫に薦めたいですね。
孫がいればですけどね。
出れば必ず読む作家は最近少なくなってしまいました。
その内の一人が万城目さんですね。
薄くて表紙がかわいいので油断してたら、最後の一文で、大泣きでした。
>猫ってそれほど好きじゃなかったのに、ちょっと好きになってしまったよ
私もそうです。縁側で日向ぼっこしてる猫を撫でていたい…
童話っぽいけど哲学的な薫りがするマドレーヌ夫人から、大島弓子さんの『綿の国星』を連想しました。
自分が読んだのが2年前だったのですね。もっと前かと思っていました。
壮大なホラ話もそうでない話も読ませる腕は、さすが万城目学ですね。
「綿の国星」は未読です。