頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『海が見える家 逆風』はらだみずき

2023-05-30 | books
四部作の三作目。父が遺した千葉の家で空き家管理や農業を始めた文哉。台風で打撃を受ける。罠猟師との出会い、旧友との再開。生きていくとは何か・・・

相変わらず良かった。文章が巧いからかすらすら読める。晴耕雨読の生活。文哉に憧れてしまう。

 

今日の一曲

ATARASHII GAKKO!で、「青春を切り裂く波動」



では、また。


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『白ゆき紅ばら』寺地はるな

2023-05-28 | books
母と子を支える施設から逃げ出したが、10年後戻ってみると。支配しようとする人、酒浸りの人、依存してばかりの人に気づく。

暗い。ひたすら暗い。これを読んで癒やされる人は、癒やされ指数の高い人だと思う。他人のために生きる人生について考えさせられる。

 

今日の一曲

ずっと真夜中でいいのに。で、「不法侵入」



では、また。


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『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈

2023-05-26 | books
西武大津店が閉店することになった。同級生成瀬あかり(14)はこの夏は西武に捧げると言い出す。閉店まで毎晩通い地元のテレビに映ると言う。それに付き合う島崎。超個性的マイペースの成瀬とその周囲の人達を描く連作短編集。

超面白かった。成瀬が巻き起こす台風のタイプが予測不能な面白さ。漫才とか恋愛とか受験とか、ずっと会えてない友達とか。自分だったら成瀬のことを好きになるのか?なるかもね〜ならないかもね〜

 

今日の一曲

Superflyで、"Farewell"


では、また。

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『オール・ノット』柚木麻子

2023-05-24 | books
(喜劇なのか?悲劇なのか?ユートピアなのか?ディストピアなのか?)スーパーの試食コーナーの出来る女性の話→苦学生の話→横浜の成金の話など。90年代から近未来まで、同性愛や格差など様々なテーマをぶっ込んでくる。

奇作。女性の助け合いがテーマの一つになっているけれど、もっとずっと複雑な話。面白かった。

 

今日の一曲

ドラマ「かしましめし」の主題歌、KIRINJIで、"nestling"



では、また。


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『新・教場』長岡弘樹

2023-05-22 | books
犯罪者につけ狙われてるため、警察学校の教官となった風間。自殺やブラジリアン柔術が得意な者、総代候補の女性などの生徒が起こす不正行為を発見する。

なかなか面白かった。それぞれの生徒の事情、事件、そしてそれに気づく風間。あまり強引さがなくナチュラルに入って来た。


 

今日の一曲

Extremeで、 "Banshee"



では、また。



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『それでも旅に出るカフェ』近藤史恵

2023-05-20 | books
「ときどき旅に出るカフェ」の続編。コロナ禍、苦境に立つ、世界の珍しい菓子を食べさせてくれるカフェ・ルーズ。料理の話を織り込みながら、姉妹関係や謙遜、マンスプレイニングなど人間の機微を描いた連作短編集。

前作同様に良かった。偉そうに語るおじさんの客がやって来る「抵抗のクレイナ」から始まるラストの三篇は続き物で、これが抜群にいい。

 
 

今日の一曲

清 竜人で、「トリック・アート」



では、また。


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『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒

2023-05-18 | books
音楽著作権連盟の職員橘は、音楽教室にスパイとして潜入を命じられる。教室で使用されてる楽曲から使用料をとるために実態を調査するため。昔やっていたチェロには深いトラウマがあるが仕方なく習うことにした。他人と関わるのが苦手だったのに、講師や他の生徒と交流するようになり・・・

素晴らしく良かった。ヤマハとJASRACの事件が元になってるそう。静かでちょっとシリアスで、ハートウォーミングだった。

 

今日の一曲

高木里代子トリオで、"TAKE FIVE"



では、また。


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『うつけ者 俄坊主泡界1 大坂炎上篇』東郷隆

2023-05-16 | books
私腹を肥やし民を疲弊させる官僚、大商人に鉄槌をくらわす大塩平八郎。共感する は泡界という坊主になり、大衆を煽るかわら版を配布。大塩や一味を殺そうとする役人たちとの熾烈な闘いを描く。

かなり面白かった。書評家杉江松恋氏が推すだけのことはある。いわゆる勧善懲悪型の小説だが、主人公の内面や当時の風物の描写と相まって、極上の読み物となった。

 

今日の一曲

Pet Shop Boysで、"Minimal"



では、また。


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『黄色い家』川上未映子

2023-05-14 | books
スナックで働いていた母の知り合いの黄美子と暮らすことにした花。三軒茶屋でスナックをやることになり・・・犯罪に加担することにもなり。

面白かった。現代のリアル犯罪ドキュメントとしても読めるけれど、主人公花の内面描写が突き刺さる。金への執着、頑張る人頑張らない人の対比など。


 

今日の一曲

Jason Mrazで、 "Pancakes & Butter"



では、また。


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店名にツッコんでください311

2023-05-12 | laugh or let me die
店名にツッコんでください311
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『夜空に浮かぶ欠けた月たち』窪美澄

2023-05-10 | books
メンタルクリニックの患者たちを描く連作短編集。大学に行けなくなった女性、ADHD、不眠症、育児とパニック障害など。

とても良かった。誰にでも起こりうる心の不調のリアルさ、ストーリー展開、どちらも。


 

今日の一曲

水曜日のカンパネラで、「金剛力士像」



では、また。


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『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』鈴木忠平

2023-05-08 | books
2004年シーズンから中日ドラゴンズの監督に就任した落合。不振の川崎憲次郎を開幕投手にしたり、鉄壁の二遊間だった荒木と井端をコンバートしたり。多くを語らない落合は何を考えていたのか、選手たちは何を感じたのか。

すごく面白かった。スポーツは試合を映像で観ないと意味がないのではないかと思っていたが、文字でも充分手に汗握る。昔は相撲や野球をラジオで観戦していたわけだから、文字情報だってエンターテイメントになり得るわけである。


 

今日の一曲

Phoebe Bridgersで、"I Know The End"



では、また。



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『ダンデライオン』河合莞爾

2023-05-06 | books
シリーズ3作目。東京西部の村で放置されたサイロから発見された女性の遺体はまるで空を飛んでいるようだった。ホテルの屋上で議員秘書の焼死体。公安まで出張って来た。

荒唐無稽なのに読ませる。面白かった。

 

今日の一曲

Everything but the Girl - Run a Red Light



では、また。


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『嘘と聖域』ロバート・ベイリー

2023-05-04 | books
マクマートリー教授四部作に続く新シリーズ。検事長ヘレンが元夫ブッチを殺したとして逮捕される。マクマートリーの弟子ボーセフェスは失意の日々を送っていたが、ヘレンから弁護を頼まれる。状況証拠は有罪判決を示しているが。


面白い!法律や裁判の知識やテクニックよりも人間ドラマが前に来る感じ。




※自分用ネタバレ


ヘレンは38年前に中絶していたのを秘密にしていた。保守的な南部では検事長選挙に不利になる情報。元夫は、友人ザニックのレイプ事件を取り下げないとバラすと脅す。だからヘレンが殺したとして、逮捕。ブッチは友人たちと売春宿を経営していて、そのことをバラすと友人たちを脅したので、殺した→本当はヘレンが殺していた。サイコのザニックは実はヘレンの息子。中絶せずに養子に出していた。彼は大金持ちになって、母親とゲームをするために越してきていた。

 

今日の一曲

Pet Shop Boysで、"The Lost Room"



では、また。


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『好きになってしまいました』三浦しをん

2023-05-02 | books
以前読んだ、はっちゃけてるエッセイと比べると、だいぶいい子になってしまった、あちこちに書いた短いエッセイを集めたもの。

 

今日の一曲

高木里代子トリオで、"Time Warp"
 


では、また。


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