駒田万智子、24歳。鳥取から大阪に出てきて税理士事務所で働いている。ひょんなことから、ウエディングドレスを作る女性円城寺了子の手伝いも兼務するようになった。内向的で自分の見た目や内面にコンプレックスを持っていた万智子が、了子たちとの出会いを通して少しずつ変わる。男性と付き合ったことがなかったがいいなと思う人が出てきた。しかし…
久しぶりに、読み終わりたくない、ずっと続いて欲しいと思った。
万智子の融通がきかないが真っ直ぐな性格がいい。丁寧な内面描写がいい。万智子が感じる周囲に対する違和感が大いに納得できるものだったり、あるいは周囲に言われてハッとするようなこともまたこちらもハッとする。
「なんで受け流さなあかんの。受け流せないことやから、万智子は何年もずっと覚えていたし、気にしてたんやろ?」
早田さんと一緒にいるあいだは、反省や探求をする余裕がない。もともとわたしは反射神経に難がある、相手が言ったことにたいして当意即妙の言葉が返せない。
昔からショップの店員さんがなんとなく苦手だった。試着するのはもっとだ。
異性との交際経験がないこと、心が純粋であることは、同じではないはずなのに。
「真実でも、正論でも、相手の状況いかんによっては、受け入れてもらえんこともあるしな。ぜんぶ話せるのがいい関係やとは、私は思ってない」
「恋愛の上澄みだけ掬って味わうなんて、許さへんで」
「なにかが正しいとか、自分はこうするとかっていう方針はぜったい持っておかないといけないものだと思ってた。でも、それはただ自分が歩くための靴なんだよね。他人を殴るために使っちゃいけないんだって、バスの中で考えてた」
万智子の内面や出会いというツールを使いながら、さりげなーく「気持ちのいい生き方」を教えてくれた。
今日の一曲
あいみょんで、「裸の心」
では、また。