頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『杏のふむふむ』杏

2019-01-29 | days
女優杏のエッセイ。子供の頃に飼っていた犬、ハリーの話。陶芸を泊まり込みで習う話、文楽、共演者堺雅人の話、信長好きな歯医者の話など多彩。

内容も興味深いことだらけでとっても面白く読んだけれど、それ以上に文章から彼女の人柄が伝わってくる。

なんて感じのいい人なんだー。偉ぶらず、だからと言って卑屈でもなく、自分の失敗や至らなさを客観的に見られている。ある種の「理想の女性」のように思った。いい人だからと言って、演技が上手とか限らないわけだけれど、彼女が出るドラマはやっぱり観てしまう。(矛盾?)

エネルギッシュな黒柳徹子について、

「情報というのは、所詮その人が見たいと思った情報のみ、その人に見えたり、吸収されるのだ」

確かに。目をしっかりと見開いて、好奇心を持って街を歩けば、見たいものが見え、街を歩いていても、心が閉じていれば何も入ってこないのだろう。

個人的には犬のハリーの話が一番染みた。確かハリーの子供が、三谷幸喜が飼っていたとびではなかったろうか。



杏のふむふむ (ちくま文庫)
筑摩書房




今日の一曲

杏で、オジリナル・ラブのカバー「接吻」



では、また。
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『ゴールデン街コーリング』馳星周

2019-01-27 | books
80年代、北海道から横浜市立大に入学した坂本が、ゴールデン街のバー「マーロウ」でバイトをしながら体験したことを描く自伝的小説。

多分ほとんどが実話のように読める。馳星周自身がゴールデン街の「深夜プラス1」で働いていたし、作中で「本の雑誌」でライターデビューするとあるけれど、それも自身のこと。本名の坂東齢人を坂本に変えたのと、オーナーでコメディアンで書評家の内藤陳さんが、顕さんに変わっているけれど。

顕さん(=陳さん)が凄まじく酒癖の悪いことに驚く。何度となく描写されるのに飽きないのは表現が巧いからか。

一応殺人事件があってその謎を解くという体裁はとっているけれど、ミステリーというよりとも青春小説という感じ。なかなか面白かった。

昔、「深夜プラス1」に行ったことがある。時期的に既に馳星周氏は辞めてしまった後らしい。何回か行ったけれど、陳さんも一度も見かけなかった。バーテンの男性と何か最近読んだ本の話をしたような記憶と、ボトルを入れた時の名前を呉一郎にしたことは覚えてる。(この店はボトルの名義はハードボイルド小説の登場人物にしなければいけない。「ドグラマグラ」がハードボイルドかという問われれば違うだろうけど、大抵の有名な小説の登場人物は全員既に使われているので仕方ない。)

話を本に戻すと、坂本青年の恋の話がなかなかだった。妙にリアリティがあるので、実話じゃないかと思うのだけれど、どうなのだろう。


ゴールデン街コーリング
馳星周
KADOKAWA




今日の一曲

昔よく聴いていた。Fourplayで、"Bali Run"



では、また。
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『罪人のカルマ』カリン・スローター

2019-01-25 | books
苦悩の刑事ウィル・トレント。女性の行方不明、殺人事件の捜査の過程で、殺人犯として刑務所にいるはすの自分の父親と手口が似ていることに気づく。そう、父親は仮出所していたのだ。まさかあの男が・・・1975年のアトランタ警察。現在はウィルの鬼上司であるアマンダは当時は駆け出しで、しかも女性はひどく差別されていた。同僚のイヴリンとともに男性刑事たちが自殺と断定した売春婦の死亡事件を調べる。現在の事件と関係があり・・・

非常にややこしく、読むのに時間がかかってしまった。「小説宝石」で書評家北上次郎氏は2018年の翻訳ミステリーとして1位にしていたけれど、ややこしさがやや得点を下げる。(ややこしいと思うのは私の頭脳の問題か)

しかし、70年代の警察。セクハラやパワハラは日常茶飯事。真っ当な捜査をしようとしても、妨害される。この時代にアトランタで女性刑事をしていたら、さぞかし毎日濃い苦渋を舐めていただろう。

アマンダとイヴリンの戦いの方が、平行して描かれる現在の事件よりも読ませるようか気がする。このシリーズは、まだまだ描かれていない過去があって、それが今後登場していく期待感がある。楽しみ。


罪人のカルマ (ハーパーBOOKS)
カリン・スローター
ハーパーコリンズ・ ジャパン



今日の一曲

70年代っぽい曲。Thin Lizzyで、"Whiskey In The Jar"


では、また。
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2019年1月ドラマちょいとレビュー3

2019-01-23 | film, drama and TV
「初めて恋をした日に読む話」・・・東大に落ち、お嬢様女子大を経て塾講師をする深田恭子。仕事も恋を半端。偶然出会った不良を担当する話。やる気がないキャラにあまり見えなかったりして、深キョンのキャラ設定にいまいちリアリティが欠ける。好感を強く持てるとか応援したくなる、と言う感じになれない。でもまあ一応観る。

「ハケン占い師アタル」・・・イベント会社にて。真面目だけどのろい志田未来。新しく派遣で来たのは杉咲花。杉咲は働くのは初めてと言いつつ、特殊能力で人の心が分かることでトラブル解決。杉咲の過去は「リング」の貞子的なものだろうと想像させる辺りは巧い。しかしそれ以外のキャラ(他人本位の部長=及川光博、偉そーに振舞う=小澤征悦、早く帰る=野波麻帆、いい顔をする=板谷由夏)が余りにも、型通りすぎる。まだ、観るけれど。

「デザイナー渋井直人の休日」・・・主演光石研、デザイナー52歳、独身。モテるような、仕事がうまくいってるような / 使えないアシスタントがいたりとか、大御所に振り回されたりとか。ストーリーよりも、光石研のダッフルコートがすごく似合ってることに驚き。今まで一度も着たことないけど、ダッフルコート買っちゃおうか、などと思ってしまった。

「トクサツガガガ」・・・平凡なOL小芝風花は特撮ヒーローもののオタク。しかし会社の人にはそれを言えない。頑張ってカミングアウトしようしたりする話。中身はどうでもいい感じなのだけれど、小芝風花が凄まじくかわいい/キレイ。朝ドラ「朝が来た」のときとは別人だった。

「イノセンス 冤罪弁護士」・・・放火の冤罪事件に挑む、坂口健太郎。ちゃんと観てなかった(新聞読みながら横目で観てた)分際で言うことなのかって話ですけれど、地味。特筆事項なし。



今日の一曲

Daryl Hall & John Oatesで、"I Can't Go For That"



では、また。
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『無痛の子』リサ・ガードナー

2019-01-21 | books
女性の皮膚が無数に剥がされた遺体、連続殺人。D・D・ウォレン刑事は捜査の過程で怪我をし、痛みのコントロールのため精神科医アデラインにかかる。その医者は無痛症であり、父親ハリーは連続殺人鬼で既に死んでいる。そした姉シェイナも殺人犯として長年刑務所にいると分かった。そして今回の事件は40年前のハリーが起こした事件と似ている・・・

おぞましい。久しぶりに激しくおぞましい話を読んだ。

これの続編が「棺の女」だそうなので、翻訳は出るのが逆になってしまっているけれど、あまり問題はないように思う。

父親も姉も殺人犯であるアデラインの苦悩たるや。かなり我儘なシェイナのキャラクターもいい。一つの時間が本人たち以外に、周囲にも深い影響を与えるんだなーと深く思った。下にネタバレあり。


無痛の子 (小学館文庫)
リサ・ガードナー
小学館



今日の一曲

Siaで、"Breathe Me"





※ネタバレ


真犯人は、40年前の被害者のいとこ、チャーリー。ゲイでいとこに襲いかかり殺してしまったが、シェイナのせいにした。今回の事件は、昔の事件で本を書いて金を稼ごうとして起こした。

では、また。
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店名にツッコんでください206

2019-01-19 | laugh or let me die
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2019年1月ドラマちょいとレビュー2

2019-01-17 | film, drama and TV
「人生が楽しくなる幸せの法則」・・・確か「ちょうどいいブスのすすめ」というタイトルが変更になったとか。イマイチな人生を送るOLたちに神様が降臨する。ありきたり過ぎで、20分で脱落。

「フルーツ宅配便」・・・デリヘルの店長見習いになった男、濱田岳の話。初回ゲストは内山理名、DV被害者。今ひとつ彼女(内山)に入れ込む彼(濱田)の気持ちが分からなかった。今後のゲストが豪華らしいので一応まだ観る。

「ゆうべはお楽しみでしたね」・・・オンラインゲーム上では女性の振りしてた男性。ゲーム上で仲良くなった男性が住むところがなくなったので、自分の家の使ってない部屋使っていいですよ、と待ち合わせたらやって来たのが、美女(本田翼)だった。「翔んだカップル」を彷彿とさせる。さほど面白くないけれど、「わにとかげぎす」より、本田翼から目が離せなさいのでまだ観る。

「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」・・・生放送でアイドルグループの一人が他の子を突き飛ばし、ネットで炎上。竹内結子、水川あさみ、斉藤由貴のチームが解決へ。テンポが良く、説明が最小限で(それぞれのキャラの背景説明ゼロ)、オチも良かった。

「グッド・ワイフ」・・・検事の夫唐沢寿明の汚職と不倫。妻常盤貴子が16年ぶりに弁護士に復帰。ネットテレビのジャーナリストによる発言によっての自殺事件の損害賠償。解決法がなかなか良かった。夫の件は続くらしい。唐沢=悪人かも?面白かった。

今のクールではないけれど、見逃していたけれど、」正月に一挙放送していた「おっさんずラブ」少しずつ観ていたら、これがなかなか面白かった。


今日の一曲

ナンバーガールで、"OMOIDE IN MY HEAD"



では、また。
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『ツ、イ、ラ、ク』姫野カオルコ

2019-01-15 | books
関西のどこか。小学生たちは集い、反発し、人を好きになり、中学生へ、高校生へと成長してゆく。多くの小学生の中で、スポットライトが当たるのは、森本隼子。もっと美形の子はいるのだけれど、なぜか人気がある。隼子は上級生と付き合いながらも、教師河村と関係を持ってしまう。そう禁断の恋。その恋と前と最中と後を濃密に描く。

うーむ。面白い。面白すぎる。

最初は多数の小学生が登場し、中学生になってゆくが、誰が誰のこと好きでとか、仲が良いとか悪いとか群像劇的に描かれる。

その中から森本隼子が飛び出してゆくのだが、彼女、教師、周囲の心の機微が、尋常でないほど絶妙なタッチで表現される。あー、なんでおらの中学時代のごどごんなにわがんのだー、と思わず故郷の言葉が出てしまった。

男と女はちがう、こうちがう、と展開する随筆が、なかば世界の伝統芸的に人気があるから、すでに先人がのたまわれているだろうか。女は下半身の煩悩をほかの女と共感するより、上半身のそれを共感することで友情を感じ、男は上半身のそれより、下半身のそれをほかの男と共感するとき、友情を感じる、と。

うーむ。たしかにそうかもしれない。

以前からあまり教師のことはよく言わない三ツ矢が意外にも河村を褒めたので、末摘花(外見)の六条御息所(性格)に、さらにルクレチア・ボレジア(技術)が加わった。

末摘花の外見に六条御息所の性格!なるほど。

交換とは、実に発音のとおり、交歓である。指輪よりもノートをかわしあうほうが、「たかだか中学生」だったときのこの交歓のほうが、「たかだか」でなくなった年齢になっておこなった交歓よりもはるかに熱く官能的だったではないか。

作内では「交換ノート」になっているけれど、我が中学生時代の「交換日記」の甘酸っぱい記憶を思い出してしまった。嗚呼どうして女の子はいつも(以下省略)

単なる少女ビカム大人の女ばなしではないし、禁断の恋オンリーでもない。「恋愛大河小説」といった感じ。最終章で明らかになる、その後がまたすごく良かった。




ツ、イ、ラ、ク (角川文庫)
姫野カオルコ
角川書店(角川グループパブリッシング)
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2019年1月ドラマちょいとレビュー1

2019-01-13 | film, drama and TV
とりあえず観たものを。

「いだてん」・・・ オリンピックに賭ける者たちの話。面白いようなそうでもないような。純粋なエンターテイメントとしてはビミョウ。歴史を学ぶような気持ちで観ればいいのか。ビートたけしが古今亭志ん生を演じているけれど、ほぼ似ていない。

「3年A組 今から皆さんは、人質です」・・・ 高校教師が生徒を人質にして教室に立てこもる。(と観た瞬間に、いじめ自殺事件を謎を解くんじゃないだろうなと思ったらその通りだった、のは玉に瑕) 突拍子もない設定なのに無理がない。今後に期待。

「トレース 科捜研の男」・・・ 最初は背景など説明せず、高速で進んでいくので面白いと思っていた。しかし、最初の30分を過ぎたらストーリーが遅々として進まない。挙げ句の果てに、犯人は隣人だと。それまでの伏線が張られていないような解決をするとは。ガッカリ。

「家売る女の逆襲」・・・ 前のシリーズと同じテンション。相変わらず面白い。まさか屋代課長(仲村トオル)とサンチー(北川景子)が結婚するとは。そしてサンチーの方から夜の営みをリクエストするとは。ストーリーと関係ないことが気になってしまった。千葉雄大と松田翔太のBL臭を感じさせる演技に意味はあるのか。

「メゾン・ド・ポリス」・・・ 退職した警察官の住むシェアハウスで捜査の相談をする話。すごくつまらなくもなく、すごく面白くもなく。おじさん達の話が付け足しされてる感あり。

あまり豊作ではない時期かも知れない。

今日の一曲

Creamで、"Strange Brew"



では、また。
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『光まで5分』桜木紫乃

2019-01-11 | books
姫野カオルコの「ツ、イ、ラ、ク」があまりにも面白くスイスイと進んでしまうので、途中に別のを挟もうと手に取った。

ツキヨは北海道から沖縄に流れ、風俗の仕事をしている。虫歯を治してくれたタトゥーの彫り師とその友人と親しくなり、一緒に暮らすようになる・・・

正直、まったく面白くなかった。桜木紫乃には高いレベルを求めてしまうのもあるのかも知れないけれど、読了した彼女の作品の中では最も駄作と言って差し支えないと思う。

流されていく女、男の悲哀のようなものが描かれているけれど、ただでさえ薄い本に、あまり意味のない叙情的な表現が多いのと、ストーリーそのものに読ませる感がない。

大好きな桜木紫乃作品だから、たまたま今回は、と思いたい。


光まで5分
桜木紫乃
光文社




今日の一曲

正月の番組だったらしい。Yellow Magic Orchestraで、"Firecracker"



では、また。
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『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき

2019-01-09 | books
探偵杉村三郎シリーズ。

<絶対零度> 27歳の娘が自殺未遂をし入院した。娘の夫は娘に会わせてくれない。あなたが毒母だからと。そんな覚えはなく、探偵に依頼。

<華燭> 結婚式に出席すると、ドタキャン騒動が。その裏には何があるのか。

<昨日がなければ明日はない> 他人に依存するばかりのワガママな依頼人朽田美姫。男関係があちこちにあり、離婚で手放した息子をネタに金をせびろうとしている。

このシリーズはずっと読んでいるけれど、そんなに好みではなかった。みゆきストなので読むのが義務かのように思っていた。何と言うか、甘ったるいというか優しすぎと言うか。

しかし、本作は当たりだった。嫌な感じの人物、嫌な感じのストーリー。全編に渡って毒に満ちている。語り口はソフトなのだけれど。

「わたし、うちの祖母が言ってたことを思い出しました。お酒を飲まなければ、ギャンブルさえしなければ、浮気さえしなければいい人っていうのは、それをやるから駄目な人なんだって」
「至言ですね」と私は言った。

実年齢の若さと、若々しく見えるということは別だ。目の前の朽田美姫は、二十九歳には見えなかった。四十歳ぐらいの女性が、二十歳の女の子ののふりをしているように見えた。それも普通の女の子ではなく、ランジェリーパブでアルバイト中の女の子だ。

女の子にとってはロールモデルの母親とうまくいかず、縁あって姑となった女性からも嫌われる。朽田美姫はそれが不満で、「自分は不満だ、もっと認めてほしい、思いやってほしい」という気持ちを、悶着を起こすことで示しているのだ。不器用で愚かで、子供っぽい。彼女の中身はまだ多感な少女なのた。若年出産した女性がみなそうなるわけではないが、朽田美姫は、母親になり損ね、十代で時が停まったままなのだろう。

うーむ。女性に厳しい。宮部みゆきの本音なのか。母親とうまくいかない娘は、後に子供っぼくなるというのは心理学的に、当たっているような気がする。


昨日がなければ明日もない
宮部みゆき
文藝春秋



今日の一曲

ペトロールズで、"Not in service"と"FUEL"



では、また。
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『マイナス・ゼロ』広瀬正

2019-01-07 | books
何年か前に知り合いにこれ面白かったからと本を貸した。いや戻ってきてないので、あげたのかも知れない。最近になってあれ面白かったから再読することにした。すると初めて読むような新鮮な感じ。そう。初めて読んだのだ。こんなバカなことがあるだろか。読んだこともない本を他人に面白いからとあげる。こんなバカな奴がいるだろうか。

1945年、空襲が激化した東京。浜田俊夫中学2年は、美人の娘啓子の父親の大学の先生から18年後にこの場所に来るように頼まれる。先生が作ったのは、タイム・マシンだったのだ・・・18年後、過去からやって来る人がいた・・・そして浜田は31年前の世界へ。戦前、戦中、戦後を前後する時間旅行のたび・・・

うーむ。もしこれを前に読んだことがあったら絶対に覚えている。そんな強烈なインパクトがあった。そして猛烈に面白かった。

昭和初期から1960年代までの風俗がかなり詳しく書いてあって、それを読むだけでも楽しい。

タイム・マシンに関しても伏線が巧みに張られていて、回収される様も見事。出版されたのは1974年だそうだけれど、全く読みにくくない。詳しいわけではないけれど、タイム・マシンものの小説の中で傑作と呼ばれるのがよく分かった。


マイナス・ゼロ (集英社文庫)
広瀬正
集英社



今日の一曲

荒井由実で「翳りゆく部屋」




では、また。
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店名にツッコんでください205

2019-01-05 | laugh or let me die
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『隅田川暮色』柴木好子

2019-01-03 | books
呉服問屋の娘だった冴子。組紐作りの家の息子で大学の教師の悠と駆け落ち同然に東京を後にする。戦争で父を亡くし、東京に戻って来てから、悠の実家に出入りし、自分でも組紐の世界に魅せられていく。悠と幸せに暮らしているかと言えば、そうでもなく、悠には妻子がありずっと別居しており、先方は離婚に応じてくれないまま15年の月日が。昔からの知り合い、紺屋の俊男は優しくしてくれる。平家が厳島神社に奉納した納経の組紐を復元しようという話が持ち上がる・・・

1984年に書かれた、1960年の話。乙川優三郎の小説で紹介されていた。

世間的には言えば日陰の身。悠の祖母にはよく嫌味を言われる。悠は自分のこと優先で必ずしも優しくない。むしろ俊男の方が優しい。そんな揺れる女心が絶妙なタッチで描かれる。

本当に本当に絶妙なタッチで。

こんな小説が楽しめるほど、あたしはおばさんになったのだと実感する。ビバ、おばさんズ・ライフ。


隅田川暮色 (文春文庫)
柴木好子
文藝春秋



今日の一曲

MEYTAL COHENによるSLIPKNOTの"WAIT AND BLEED"のカバー



では、また。
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