頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『圓朝』奥山景布子

2019-03-29 | days
江戸の終わりから明治時代に活躍した落語「中興の祖」と呼ばれる三遊亭圓朝。新しい噺を考えたり、弟子について考えたり、金銭面で悩んだりする伝記的小説。

なかなか面白かった。

「真景累ヶ淵」や「塩原多助」の誕生秘話的な話あり、幕末、維新の大激変の時代の雰囲気あり、当時の風俗もあり。

落語を知らなくてもほとんど関係ないように書かれてるし、とても読みやすい。圓朝については興味があったので、なおさら良かった。


圓朝
奥山景布子
中央公論新社



今日の一曲

back numberで、「クリスマスソング」



では、また。
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『彼女のかけら』カリン・スローター

2019-02-27 | days
アンディ31歳、惰性で生きている。目の前で男が二人の女性を殺害した。すると母親のローラが犯人のナイフ素手で受けて制圧し殺した。その後、ローラは襲撃されそうになり、その際にアンディは逃げるように言われた。メールも電話も一切自分からはしないように、貸倉庫の場所や逃げる方法も指示され。携帯電話や大金があった。平凡な女性だと思っていた母の過去を辿ると・・・

うーむ。そんなに悪くはないのだけれど
他のカリン・スローターの珠玉の名作と比べるとちと落ちる。

主人公アンディにいまひとつ魅力が感じられないのが大きい。同一作者によるウィル・トレントには魅力が感じられるのに。

2018年の現在と1986年の過去が交互に語られる。過去にローラが直面した問題は読み応えがあるのだけれど、長いのとややこしいのとが合わさって、読んでいてのワクワク感がやや薄くなってしまった。母ローラの「過去」そのものは面白いのだけれど、「ローラ自身」にはあまり同情できなかった。この話の展開なら、ローラ可愛そう、アンディ可愛そうと思わせないと、という気がする。


彼女のかけら 上 (ハーパーBOOKS)
カリン・スローター
ハーパーコリンズ・ ジャパン
彼女のかけら 下 (ハーパーBOOKS)
カリン・スローター
ハーパーコリンズ・ ジャパン




今日の一曲

先日平井大のラジオで流れていた。Debargeで、"I Like It"



では、また。
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『死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ドニー・アイカー

2019-02-23 | days
1959年、ソ連ウラル山脈で、9名が遭難死亡。しかも別々の場所で、ろくに服も着ておらず、ほとんどみな靴を履いていなかった。死因は6人は低体温症だが、3人は頭蓋骨骨折などの重度の外傷。そして衣服からは高濃度の放射能が検出された。50年経った今でもネット上で論議がされる事件の真相を、アメリカ映像作家が解くドキュメント。

こんな謎があった事も知らずボォーと生きていた。チコちゃんに叱られてしまう。

不気味な事件のディテールをこれでもかも掘り起こし、そして、マンシ族の攻撃、雪崩、強風、武装集団、兵器実験などの説を一蹴した上で、これが原因だと教えてくれる。スゲー、スゲーぞ。

細かい固有名詞などはすっ飛ばして読んだので、分厚い割には早く読めた。極上のミステリーのように面白かった。


死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
ドニー・アイカー
河出書房新社



今日の一曲

Steve Winwoodで、"Higher Love"



では、また。
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『杏の気分ほろほろ』杏

2019-02-21 | days
女優杏が朝日新聞デジタルで連載してたエッセイ。(朝日新聞デジタル料金払ってるけど、3年以上一度も読んだことなかった。おい、朝日新聞、なんかくれ)

NHKの朝ドラ「ごちそうさん」や「花咲舞が黙ってない」「デート」などの裏側、苦労などが中心。「杏のふむふむ」とは違って現在進行形の話が多かった。あっちの方が時間を経て寝かせた感じが、深い味を生み出していたような気がする。こっちは浅漬け。

でも浅漬けも美味しい。杏ちゃんは、人柄が何とも言えないほど滋味深いので何を書いても面白くなるのだと思う。


杏の気分ほろほろ
朝日新聞出版



今日の一曲

Keith Jarrett Trioで、"I Fall In Love Too Easily"



では、また。
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『杏のふむふむ』杏

2019-01-29 | days
女優杏のエッセイ。子供の頃に飼っていた犬、ハリーの話。陶芸を泊まり込みで習う話、文楽、共演者堺雅人の話、信長好きな歯医者の話など多彩。

内容も興味深いことだらけでとっても面白く読んだけれど、それ以上に文章から彼女の人柄が伝わってくる。

なんて感じのいい人なんだー。偉ぶらず、だからと言って卑屈でもなく、自分の失敗や至らなさを客観的に見られている。ある種の「理想の女性」のように思った。いい人だからと言って、演技が上手とか限らないわけだけれど、彼女が出るドラマはやっぱり観てしまう。(矛盾?)

エネルギッシュな黒柳徹子について、

「情報というのは、所詮その人が見たいと思った情報のみ、その人に見えたり、吸収されるのだ」

確かに。目をしっかりと見開いて、好奇心を持って街を歩けば、見たいものが見え、街を歩いていても、心が閉じていれば何も入ってこないのだろう。

個人的には犬のハリーの話が一番染みた。確かハリーの子供が、三谷幸喜が飼っていたとびではなかったろうか。



杏のふむふむ (ちくま文庫)
筑摩書房




今日の一曲

杏で、オジリナル・ラブのカバー「接吻」



では、また。
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『国宝』吉田修一

2018-10-06 | days
長崎の暴力団、立花組の組長権五郎は絶頂期を迎えていた。新年会には金をかけ、九州一帯の組長や家族を招き、料亭を貸し切って行なっていた。人気歌舞伎役者の二代目花井半二郎も招いていた。しかし当日対抗する組織が組長を殺しに来た・・・組長の息子は中学生の喜久雄。荒れた時代を経て、半二郎に預かってもらうことになった。半二郎の息子は、俊介。芸事のライバルとなっていった。二人のライバル、歌舞伎の世界を鮮やかに描く長編・・・

国宝というタイトルなので、人間国宝になるまでを描くのかなー、と思いつつ読んでしまうのだけれど、そういう「邪念」が特に読者を邪魔しない。こうなるだろうという予想にはあまり意味がないぐらい波乱万丈な展開をしていく。

歌舞伎には全く詳しくなく、「本朝廿四孝」とか「阿古屋」とか言われても何のことだか分からない。ということはほとんど関係ないというか、知らなくても十分楽しめる。最低限のことは説明してくれているので。

特に「女形」の演技が主題になるのだけれど、

簡単に口では立女形に必要な絶対的な威厳などと申しましたが、では実際にはどのようなものなのか、もちろん喜久雄自身もそれをきちんと言葉にすることはできません。ただ、たとえばこの武士が楽屋の廊下に立っているのいたしましょう。先輩役者に呼ばれるのをただ待っているのか、それとも単に暇を持て余しているのかわとにかく壁に寄りかかって退屈しのぎに足を揺らし、その目は汚れた床に向けられております。言ってみれば、からっぽでございます。何かを見ているわけでもなく、何かを考えているわけでもないからっぽの体。しかしそのからっの底が、そんじょそこらのからっぽの底とは違い、恐ろしく深いことが誰の目にも明らかなのでございます。生前、先代の白虎はよく言っておりました。女形というのは男が女を真似るのではなく、男がいったん女に化けて、その女をも脱ぎ去ったあとに残る形であると。

こんな風に、優しい語り口で説明してくれる。このナレーションがあるからこそ、歌舞伎の世界が柔らかく伝わってくる。

何でこんなスゴイ話を吉田修一が書けたんだろうと驚きつつ、歌舞伎の世界のスゴさと深さを存分に浴びつつ、物語の芳醇さをこれでもかも味わった。歌舞伎なんて興味ないという人こそ、読むべき。(興味のない私が、ぜひ歌舞伎を観たくなったぐらいだから)


国宝 (上) 青春篇
吉田修一
朝日新聞出版

国宝 (下) 花道篇
クリエーター情報なし
朝日新聞出版



今日の一曲

CHVRCHESで、"Do I Wanna Know?"



では、また。
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『戦争の日本中世史 「下剋上」は本当にあったのか』呉座勇一

2018-03-11 | days
話題の本「応仁の乱」、読んでいるうちにこんがらがってしまったので、積んでおいた。同じ著者のこっちの方がよみやすそうだったので、ザザッと斜め読み。

元寇、悪党、南北朝時代などを、やや専門的に説明してくれる。概説書というよりは、一般にはこう理解されているけれど、実はこうなのではないかという別の解釈を教えてくれる感じ。

面白いとかそうじゃないとか、何とも言えない。興味のあるところだけさらっただけなので。申し訳ないっす。

戦争の日本中世史: 「下剋上」は本当にあったのか (新潮選書)

今日の一曲

Stevie WonderとJeff Beckで、"Superstition"



では、また。
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2017年元旦

2017-01-01 | days
追記&訂正 : 今年じゃなくて、去年だった。
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謹賀新年

2016-01-01 | days
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2014年に見つけた美味い店

2015-01-09 | days
と言うほどグルメではないのですが、昨年見つけた飲食店で、特に良かったのを。

1位 仙人小屋(八ヶ岳)

熊や鹿の肉を食べさせてくれます。熊は食べ切れそうになかったので、鹿とキノコの天ぷらを食べたのですが、バカうま。昼の10:30に行ってもう並んでいるのですが、並ぶ価値ありです。今年また行くつもりです。今度は熊と川魚の刺身定食を食べたいです。

2位 きじ(丸の内)

今までで食べたお好み焼きの中でベストオブベスト。たぶん山芋が入っているのではないかと思うのですが、ふわっとした感じが堪らないです。ビブグルマンの星を獲得したとか。

3位 第一亭(横浜野毛)

横浜は地元であるにもかかわらず知らなくて、ドラマの「孤独のグルメ」で知りました。庶民的な中華料理店で、豚のありとあらゆる部位を食べさせてくれる、値段も手頃で、しかもおいしいお店です。チート(胃)の生姜炒めや裏メニューパッタン(麺をニンニクに絡めただけ)、ビーフン、全て激うまです。雰囲気もたまりません。

4位 まるた小屋(横浜中華街)

中華街のはずれにある、小さなお店。肉を焼いたものをテイクアウトさせてくれるのが目立つのですが、脇の方から入ってテーブルでオーダーして普通のお店のように飲食できるスペースがあります。たいてい行列しているのですが、並ぶ価値充分にあります。安くて美味い中華のオンパレード。何を頼んでも美味いです。(横浜人としては、食べ放題の中華はオススメしません)

昨年見つけたわけではないのですが、京都のパン屋さんのル・プチメック、湯河原のパン屋さんブレッド&サーカスは(パンよりご飯好きなはずの)私の後頭部を鈍器で殴打するぐらいのインパクトのあるパンを食べさせてくれます。この二店のパンを食べてから、パンの好みが根底から変わりました。

と、以上なぜか丁寧語でお送りいたしました。
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2015元旦

2015-01-01 | days


謹んで新春のお慶びを申し上げます
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プレゼントした本

2014-12-24 | days
青山ブックセンターの本店がすごくいい。押している本に気合が入っていて、ついつい長居してしまう。(有隣堂の本店と真逆。ただ売れる本と適当に並べているだけ…) 先日長時間立ち読みしてしまったので、悪いから何か買って帰ろうと思ってうろうろしていたら、見つけたのが「Say Hello!」 家人へのプレゼントとして買った。

糸井重里さんちのジャックラッセルテリアのブイヨンがまだお母さんや姉妹と一緒に暮らしていた頃に飼い主さんが取った写真を集めた写真集。

Say Hello! あのこによろしく。 (ほぼ日ブックス)


ほぼ毎晩のように眺めている。貰った方よりもあげた方が楽しんでいるかも知れない。

かわいいということだけじゃなくて、子犬たちが遊んでいる姿から色々と思いつくことがあったりもする。

でも、かわいいのだけれどね。いや、ほんとかわいいね。個人的には四女のヨンコが好き。

ちょっと前に出た本があっと言う間に手に入らなくなってしまう昨今。2004年に出たこの本がまだ買えてよかった。

今日の一曲

そのものずばり。Deep Dishで"Say Hello"



では、また。
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好き嫌いせずに食べましょう

2014-11-20 | days
ベランダに出ると、

雌のカマキリが雄を喰らっていた。



ムシャムシャという音も聞こえていた。

交尾の後、自分の身体を、栄養として雌に捧げる雄。

死後なんの役にも立たない人間の雄よりも、ステキな人生だ。

翌朝、



合掌。

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便利ってさー

2014-10-27 | days
>便利になって、長生きするようになって、手にした時間はどこに…

「日本景観論」という本のレビューに対して、パールさんという方に、上記のようなコメントを頂戴しました。コメントについて考えているうちに、長くなったので、返信込みで以下に書いてみます。


海外に情報を伝える方法として、船で手紙を送るしかなかった時代。1857年、英国統治下のインドでシパーヒーの反乱がインドで起こりました。その情報が英国本国に届くには時間がかかり、反乱の収拾は遅れました。その後、英国はモールス信号を使った電信に注目し、インド英国間にはケーブルが引かれました。情報戦争で他国の一歩先を行ったという感じでしょうか。

その後、電報、電話が発明され、ファックス、電子メール、など伝えたいと思った情報を遠くにいる相手に伝えるスピードは飛躍的に速くなりました。

さて、情報を伝える側や受け取る側、100年前と今現在と較べて幸福なのはどちらなのでしょうか。情報が相対的に速く早く伝えられるようになったことは、イコール幸福なことなのでしょうか。

移動手段はどうでしょう。たとえば商社マン。アメリカに出張に行くには、昔は船。たしか1か月近くかかったのではないでしょうか。飛行機が登場したら、LAまでアンカレッジ経由かかった時間は20時間ぐらいでしょうか。それが今では10時間ぐらい。ずいぶんと速くなったものです。

さて、商社マンくん。船で出張しなくてはいけない時代に、「もしアメリカまで10時間で行けたら、どう?」と尋ねたら、「そりゃ、さぞかし楽だろう。今の激務から解放されるし嬉しいね。未来はそんななの?」と言うでしょう。さて、彼の仕事は楽になり、昔よりも暇ができているでしょうか。過労死とは昔の言葉で、今は死語なのでしょうか。

「便利」さとは、何かをすることが短時間でできることだと思いますが、短時間でできることがすなわち「とっても良いこと」なのでしょうか。

「便利」なって幸せになれるはずでした。でも、毎日会社のパソコンに膨大なメールがやって来て読んで返信するだけで1時間もかかる状態になる人もいます。A地点からB地点へ簡単に移動できるようになっていまった代わりに、途中の景色を全く知らないまま過ごしてしまう人もいます。カーナビに頼ることで、地理感覚も失ってしまった人もいます。(私の事です)

物事には必ず裏と表、2面があります。便利の裏側には何があるのか。我々が便利さを得た代りに何を失ったのか。考える時が来たのではないでしょうか。

(ここでバンと演台を叩く)

便利さの裏側には、我々がみな自分の時間を無駄遣いし、そして他人の時間を無駄遣いする。そんな現象が隠れているのです。

浮いた時間をそれほど有効に活用できない、そんな愚かな生き物が人間なのです。せっかくもらったお小遣い。そして、わかっちゃいるけどめられない、それが人間なのです。

今よりも情報の伝達が速くできるようになるとすると、近未来には、相手の脳に直接言いたい事を伝えられるようになるかも知れません。そんな時代が来て欲しいですか……

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以上、弁論大会中学生の部風でお送りしました。

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はじめての〇〇

2014-10-20 | days
はじめてのおつかい、とか、はじめてのお見合い、はじめてのお泊り、など色々と人生の初体験はございますでしょう。

しかし、








2回目の人はあまりいないかと…


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