頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

英国ドラマ「証拠は語る~誰が母を殺したのか?」

2020-04-27 | film, drama and TV
科学捜査研究所に就職が決まり、スコットランドの故郷に戻って来たエマ。16年前に母が殺された事件はいまだ未解決。しかし研究所が作った学習用の動画が母の事件と似てることに気づく。火災事件発生、違法建築が原因か。関係者と知らない間にエマが交際していて・・・

非常に面白かった。

日本のドラマを観ていると、先に人気俳優をキャスティングしておいて、後で脚本が付いてくる感じがすることが多い。英米のドラマでは、脚本に合う俳優を選んでいるような感じがする。都知事風に言うと、役者ファーストなのか脚本ファーストなのか。
 
主人公や上司の教授、刑事、父親などのキャスティングが無理なく役にはまっている。私は「脚本ファースト」が正しいと思っているので、基本的には英米のドラマが正しいと思うことが頻繁にある。でもNetflixもHuluにも入ってないのだから意味不明。

話を本筋に戻すと、展開が非常に巧妙で、ミステリーとして上手だった。

↓予告編

では、また。

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『花桃実桃』中島京子

2020-04-25 | books
実家を出て20年以上経つ。職場の居心地がよくなくなり、死んだ父が遺したアパートを相続し管理人になった花村茜。おかしな入居者たちどのやり取りを描く連作短編集。

爆笑する感じではないし、翻弄されるほどのストーリー展開でもないけれど、絶妙にジワジワ来る。

三階ではハルオが斉藤和義の『ずっと好きだった』をインストでソロ演奏していたが、例の如く信じがたいほどの哀調を醸し出しているために、聴いているものにとってはオリジナルの楽曲を忘れてしまいそうなほど悲しく響いた。

 

今日の一曲

桃なので、大塚 愛で、「桃ノ花ビラ」



では、また。


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英国ドラマ「ナイト・マネージャー」

2020-04-23 | film, drama and TV
元英国軍人は、カイロでホテルのナイトマネージャーをしているジョナサン。顧客の女性から、交際相手が武器の密輸にかかわるという情報を得たので大使館へ知らせる。すると彼女は殺されてしまう。その事を忘れないまま別のホテルで勤務し、事件の裏にいる武器商人の犯罪を明らかにすべく英国の担当部署と連携しようとする。しかしそこに妨害が入り・・・

観終わってから1週間ほど経ってしまいディテールはやや適当。しかし面白かった。めちゃくちゃ面白かった。

原作はスパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレ。もちろん読んでない。

ジョナサンが危険な目にあいながらドキドキする。英国の担当者も危険な目にあう。MI-6が汚れてるため信用できない。この辺の塩梅が凄く上手。誰が信用できるのか信用できないのかギリギリの闘いが素晴らしい。

 
 
 
Amazonプライムで観られるらしい。↓予告編


では、また。
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『熱源』川越宗一

2020-04-21 | books
19世紀の終わり以降、ロシアに支配されたり日本に支配されたりする激動の樺太に生きる者たちの物語。北海道へ移住して痛い目にあう者あり、ポーランド人で樺太に流刑になった者あり。

熱く重厚な物語、じっくり堪能させてもらった。

近代文明を取り込んでいかないのいけないのか、そうするとアイヌではなくなってしまうのではないかというジレンマ。ポーランドの独立などがリアルに伝わってくるところもあり、歴史を学ぶ的な小説でもあった。太平洋戦争終結直後までを描いてる。登場人物欄に、金田一京介や探検家の白瀬の名前があるのも愉快だった。

 

今日の一曲

サンボマスターで「花束」



では、また。


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『<あの絵>のまえで』原田マハ

2020-04-19 | books
日本の美術館にある絵に絡ませた短編集。うまくいかない就職活動や外国に修行に行ってしまう彼氏の話や、高校の美術部にいた話など。

ほのぼのするけれど、物凄く心に突き刺さるまではいかなかった。

しかし美術館も博物館もずっと閉館している。こんな日が来るとは。

 

今日の一曲

深夜のテレビで紹介されていた、久しぶりにYoutubeを観て「いいじゃん」と思った。Vaundyで、「東京フラッシュ」



では、また。


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店名にツッコんでください238

2020-04-17 | laugh or let me die

店名にツッコんでください238

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『雑談藝』いとうせいこう・みうらじゅん

2020-04-15 | books
おじさん二人が森羅万象について雑談するだけなのに、実に面白い。こんなに語り合える人がいれば恋人も配偶者もいなくてもよいのでなかかろうか。


いとう「ジョン・アーヴィングが原作の『ホテル・ニューハンプシャー』って映画見てない?実のお姉さんを好きになっちゃった弟が、あえてものすごい時間お姉さんとセックスしちゃんうんだよね。で、した挙句、お姉さんへの執着が解けるんだよ。それに似てない?愛しすぎるものから離すためには、大量に与えればいいんだっていう」


二人が語る「見仏記」も読みたくなった。

 

今日の一曲

オペラTurandotのアリア、Andrea Bocelliで、"Nessun dorma"



では、また。

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『ヘミングウェイで学ぶ英文法』倉林秀男・河田英介

2020-04-13 | books
ヘミングウェイの短編を使って文法のお勉強する本。強制使役じゃないmakeとか、willとbe going toの違いとかが問題になっていて、それを考えつつ、またストーリーについても深く考えさせてくれる。

ヘミングウェイを英文で読む機会(学生の時以来ない)なんてなかなかないので、いい機会だった。解説も素晴らしい。短編を軽く読み飛ばしていたら分からないことばかりだった。

 

今日の一曲

Beckのカバー、Pomplamooseで、"Everybody's Got to Learn Sometime"



では、また。




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『探検家とペネロペちゃん』角幡唯介

2020-04-11 | books
探検家37歳、娘誕生。この子が可愛くて仕方がない。4歳になるまでを、リアルにそして哲学的に表現したエッセイ。

べらぼーに面白かった。

「胎児がお腹のなかにいる感覚って、どんなんなの?でっかいウンコがある感じ?」すると妻は思いもよらない答えを口にした。「うーん、そんな感じかな」私は愕然とした。え、そんなもんなの?だとしたら、だとしたら、オレ、けっこう毎朝そんな感じなんだけど・・・

胎児=ウンコ?マジですか?妊娠したことないけど、ひどい便秘ならあるぞ。

「オトウチャン、おちんちん、小さいね」いったい誰のと比べて?それとも相対的にではなく、もう絶対的に小さいわけ?

みたいな話があちこちにあり、海外に長期いる時に娘とスカイプして、通信費に20万円も使ってしまったとか。娘に可愛くいて欲しいと思う父親の心理には何があるのかとか、父親になったことで人生のver1.0からver2.0人変わったとか、硬軟取り混ぜた話がある。

男親はこんな風に親バカであると、小説家や脚本家がフィクションとして描いているのは多数目にした。リアルな友達の男親が語るのは、「可愛いとか、面倒くさい」とか「奥さんとばかり仲良くする」程度のどうでもいい話ばかりだった。

そんな話よりも、もっと深く普遍的な考察をかます、実はありそうでなかった凄い本だった。


 

今日の一曲

Zara Larssonで、"Don't Worry Bout Me"



では、また。


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『地球の履歴書』大河内直彦

2020-04-09 | books
(確か青山ブックセンター本店の平台で見かけて興味を持ったような記憶) 地球を様々な観点から見る科学的な本。深海、海底、白亜紀、南極、塩、地中などを説明してくれる。

なんと言ったらいいか。ちょうど絶妙に知らない事と知ってる事の狭間を埋めてくれる、読んだ事のない面白本だった。物理とか化学とかの苦手でよく分からない分野とはちがって興味はあるのが地学。そっち方面を、ど素人には分からないけれど、専門家に読ませるほどでもない、まさに自分のレベル程度に書かれていた。

 

今日の一曲

Lady Gagaで、"Stupid Love"



では、また。


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『流浪の月』凪良ゆう

2020-04-07 | books
更紗9歳、父母に捨てられ伯母の家で暮らす。居心地が悪い。家に帰りたくないと言うと自宅に連れて行ってくれたのは19歳佐伯文。大人の女性を愛せない。二人で仲良く暮らす日々も長くは続かず、世間では女児誘拐事件として騒がれていて・・・

おー!2021年ベスト級が来た!

ロリコン男と少女のほのぼのした日々小説ぐらいに思っていたら違った。意外なストーリー展開にやられる。

彼女と彼の内面描写が痛いほど心をえぐる、グリグリと。

物事は見た目通りとは限らないことをこれでもかと教えてくれる。テーマは、DVやストーカーなどなのだけれど、ネタバレしたくないのでもっと深いテーマについては書けない。下にネタバレを書いておこう。

 

今日の一曲

The Killersで、"Caution"



※以下ネタバレ

文は第二次性徴を迎えず、女性を愛せないから更紗に性的なことは何もしてない。医療少年院を出た後、実家の離れで暮らし、カフェを開く。更紗はファミレスで働きながら男性と同棲するが、DV男だった。逃げて行った先は文。マンションの隣の部屋に住んだ。実は文も更紗のことを求めていた。性的なことは何もないのに深くお互いを必要とする二人だった。ある意味、究極のラブストーリーだった。

では、また。


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『時をかけるゆとり』『風と共にゆとりぬ』朝井リョウ

2020-04-05 | books
自転車で東京から京都に行ったり、SEの振りをしたり、眼科医と闘ったりというような日常を描くエッセイ。

笑った、笑った。爆笑した。自分よりもこんなにも「ダメ」な人がいるんだなーと安心したりもした。痔の壮絶な話と作家柚月麻子と芸を披露する話が一番の読みどころ。

何やら心がざらつく日々が続くけれど、そんな時にオススメ。一応、続き物的側面が多少あるため、「時をかける」を先に読んだ方がよいです。

 
 

今日の一曲

The Weekndで、"Blinding Lights"



では、また。


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店名にツッコんでください237

2020-04-03 | laugh or let me die

店名にツッコんでください237

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『魔女の組曲』ベルナール・ミニエ

2020-04-01 | books
セルヴァズ警部は病気療養中。ホテルの鍵が送られてきた。そこで女性が自殺していることが分かる。何者かが自殺ではない、捜査して欲しいと思っているのだろうか・・・クリスティーヌはラジオのキャスター。自殺するという人から手紙が来た。局には自殺を放置したと非難の電話、そして、セクハラメールを送ったと糾弾されるが、送った覚えはない・・・


翻訳ミステリーシンジケートの書評七福神の選ぶ今月の一冊で多くの人が選んでいた。すごく期待してしまったけれど、正直それほどではなかった。

何者かが何らかの理由で、人を自殺させようとする。それは誰なのかについては意外性があって面白い。クリスティーヌがどんどん追い詰められていく様もなかなかにスリリング。だけれど、なぜかなかなかという以上のレベルではなかった。ストーリーと直接関係のない描写が多く、長くなってしまいちょっとダレてしまった。

1980年代から90年代にかけてトゥルーズ警察では、他殺にしか見えなのに自殺として扱われたケースが多数あったという話が書いてあって、マジかよとのけぞった。

 
 

今日の一曲

河内REDSで、「時計じかけのオレたち」



では、また。


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