「告白」湊かなえ 双葉社 2008年
今年最大の収穫だとか、とにかくやたらと評判がいい(モノに限ってロクなモノがないことよく知っている)信頼できる腐女子兼本読みのB子が「これは面白いよ!読んだ方がいいよ!」と言うので読んでみた。
中学1年の終業式の後の教室における女教師の台詞から全てが始まる。生徒に話しかける形式をとっているが、この作り方がなかなか巧い。てっきり長編作品だと思っていたら、奥付近辺を見てみると「小説推理」に連載した短編と書き下ろしの混合作品。第一章「聖職者」のラストでストンと落ちる ↘
ところが悪夢は第二章「殉教者」へと繋がってゆく。クラスの女の子が第一章の後を語るのが第二章。第一章で事件を起こした子の姉、そして母の日記で構成されるのが第三章「慈愛者」この悪夢の連鎖は永遠に続くのだろうか。いわば「告白」という形式をとって続く連鎖のようだ。
いやいや。まいったね。巻置く能わざるとはこのこと。読み安いはずなのにそんなに高スピードで読めない。飛ばし読みできる箇所がないのだ。それだけ作りがタイトになっている。巧妙に張られた伏線の嵐。後で見返したら赤線だらけになっているノートのようだ(俺の予備校時代の話か?)(予備校なんて行ったっけ?)
登場人物が、なぜそうしたのか分からない。なぜそう思うのか分からない。それがクリアすぎるほどクリアに伝わってくる。次の章で。読み進めていくと前で不明だった点がクリアになるとともに、また不明な点が出てくる。
世間が言うほどの大傑作かどうか判断が難しい。第一章のラストが一番後頭部蹴りくらい度は高かった。もちろん最終章のラストも「そうきたか・・・・・・」なんだけど。例えば今年の作品なら「フロスト気質」とどっちが良かったときかれても、全く異なる作品なので答えられない。マイルス・デイヴィスとラフマニノフとジャック・ホワイトのどれが一番かと言われても答えられないのと同じ。
まあそんなわけで、ついに12月に突入。師走。December クリスマスの季節 → クリスマスイブに誰もつきあっている人がいないなんてあせる → 結局いないままイブに → あれ?それって去年と同じだ。 なんてことのないように今からがむばりませう。命短し恋せよ乙女。男なら咲かせませうぜ恋の花。じゃ、また。
「少女」のレビュー
「贖罪」のレビュー
「Nのために」のレビュー
「夜行観覧車」のレビュー
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今日の教訓
告白ってやつは
たいてい
されるより
する方が楽
確か、湊さんは最初の章だけを書いて一つの作品にしていたのに、後で別の章を
足して長編にしたときいたような記憶があります(違っていたらすみません)
長編作品の場合、最初の章だけで完結しているのは極めて稀であり、後への
布石になっている「捨石」のようなもののはずですが、この作品では捨石どころか
一個の読ませる作品となっており、さらに後につながる作品にもなっているという
実はミステリー作品史上でも稀な作品だと思っております(言いすぎ?)
しかし、先日新作「少女」が出ました。「告白」が傑作であることは認めますが
湊かなえが「書く本は全部読もう」作家の仲間入りするかはこれを読むまで保留
としようと思っています。(一作だけで終わる人が実に多いですからね)
奥が深いですね。私も1冊だけでなく、他の作品もよんでみようと思います!ありがとう
本の世界は入り口は広く、底は果てしなく深い
入ってしまったら2度と出ることの出来ない穴
なのかも知れません。
いやいや。えらそーですみません。
私もつい書評に釣られて読んでしまいました。
次回作が勝負かなぁ?
もちろん読むつもりです!
優香が王様のブランチで褒めると、売り上げが急上昇するそう。
知り合いは「優香でも読めるんだからあたしでも読めると思う」と言ってました。
告白はその優香効果と宣伝効果とミステリーのランキング上位に入ったこと
の全てがいい方向に働いてのバカ売れなのでしょう。
最新作「少女」が面白ければすごい作家だと思いますが
デビュー後2作連続で面白いということはめったにないことなので
どうなることやら。
私個人的にはこの本、大傑作です。
完読して一週間も経たずにまた読み返してしまう本は中々現れませんもん。
1.まず、私は巻置く能わざるとした上で、大傑作かどうか「わからない」と書いています。大傑作では「ない」と受け取られたようですがそうではありません。また、私はAかBか判断が難しいことを分かったようなふりをしてBであるとは言いたくないのです。
2.世間が認めたのなら別にいいのでは?とおっしゃられていますが、別によくはありません。世間が大傑作だとしているからと言ってそう思わない人を排斥するような考え方には私は与しません。
3.私はこの本をすごく面白かったと思っているので、Unknownさんが一週間以内にまた読み返したということに「なるほど。なるほど。確かにその気持ちは分かりますねえ」と感じました。
湊かなえさんは告白と夜行観覧車を読みました。
告白は本屋大賞でしたね。
容赦なく報復していく。
意表をつく展開。
私は読後感が良くなくて、あまりいいとは思わなかった。
今後 この作家は人の暗い部分を浮き彫りにした話しを“告白”以上のクオリティで書けるかな?と考えてました。
筆が早いのか、どんどん本が出てましたね。
夜行観覧車も、なぁ。
吉田修一の悪人読んだあとでは、力の差を感じてしまって。
湊さんには きっと嫉妬してるんです。
私は小説書きたくても書けないですからね。
同年代でベストセラーですからね。