頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

Lドラ『かりゆし先生ちばる!』

2009-06-30 | film, drama and TV

昨日6月29日13時テレビ東京系列で放映が始まった。

満を持して録画して観た。なぜ昼ドラを録画までして観るかと言えば、そこに国分佐智子が主演しているからだ。他に理由などありゃしない。私の永遠の脳内彼女である佐智子について熱く語りたいところだが、過去にも語ったし誰も興味なかろうから今回だけは大目に見てやる。

さて、ドラマそのものである。国会議員である国分が汚職疑惑で議員を辞職。しかしマスコミの追求が厳しいため知り合いの紹介で、小浜島の小学校の代用教員となる。となれば子供に心を洗われるとか癒されるとか、逆に反発をくらうとかそのような展開が想像できる(がその通りになりそうである)

ドラマは可もなく不可もなくである。そんなにヒドクはない。MR.BRAINよりはまだいい。しかしNHKのスタジオパークとかごきげんようの同時間帯では、

誰が観るのだろうか?

まあいい。しばらくはこの昼ドラ毎日録画して極力その日の内に観る。なぜならそこに国分佐智子がいるから。

私の中で「タイプ度」第一位国分佐智子 第二位片瀬那奈、第三位水川あさみだった。三人とも無名だった頃から応援しているという共通点がある。第二位と第三位はやっと知名度が高くなった(私の応援の成果であることは言うまでもない)しかし国分佐智子はたいてい誰に言っても「誰それ?」と言われる。このドラマもたぶんあまり観る人がいないからやはり知名度はそれほど高くならないのだろう。ファンとしてはいとしこいしである。いや痛し痒しである。


オフィシャルサイトはここ
国分佐智子オフィシャルグッズといういまだに買う勇気が出てこないのはここ


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『街場の中国論』内田樹

2009-06-29 | books

「街場の中国論」内田樹 ミシマ社 2007年

全体として若干の違和感と言うかフワフワとした感じを覚える。著者ウチダが中国の専門家ではないからかと思うが分からない。内田樹の著作は「街場の教育論」、「ためらいの倫理学」(ブログ始める前に読んだのでレビューがない)や今読みかけの「街場の現代思想」など結構読んだけれど、その中では「そうそうそうなんだよな」と机を叩く回数はやや減る。それでもそこはさすがと言うか面白いんだけど。

内田氏は、日本の首相の靖国参拝について文句を言うのなら、それがアメリカならまだ分かると言う。東京裁判で裁かれたのはVS米国戦であるのとA級戦犯という言葉もアメリカが作った言葉だからだ。しかしアメリカが首相靖国参拝に何の文句も言わないのは、放置した方がタクティカルにアメリカに得になるからであって、日本と中国、韓国の感情が上手くいってしまって、儒教圏の大連合のようなことになると都合が悪いからだと言う。なかなか面白い。

第4講では、アヘン戦争以降、1840年から約100年間ずっと列強に食い物にされてきた中国という存在があって、どうして日本がそういう「不幸」なことにならなかったかについて、土方歳三やアーネスト・サトウら個人に帰しつつ、日本は270もの藩があって、そこでそれぞれ一国の王になるべく教育を受けていた者たちがいたことが大きいと内田は言う。日本=リゾーム的国体のあり方がデンジャラスな時代にはよく機能すると言うのにはへぇと思った。

その他、文化大革命についてや、台湾との関係など中国について広く論じている。凡百の中国論よりよほど面白かった。







街場の中国論
内田 樹
ミシマ社

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正直な私は

2009-06-28 | days






雨の日の交差点。ガガガという大きな音。ビッグスクーターが左折しきれずに横転。

ちょっとだけ、ざまあみろと思った。

倒れたスクーターを起こしてあげにいかなかった。

私ってちょっと悪い人だ。

ビッグスクーターが嫌いなのではなく、ビッグスクーターに乗っている奴は嫌いだ。

嫌いだから助けない私はちょっと悪い人だ。


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映画『ザ・マジックアワー』

2009-06-27 | film, drama and TV

DVDで観た。設定の時代・場所ともに不明。昭和30年代の門司港っぽい。ヤクザ西田敏行の情婦、深津絵里を寝取った妻夫木聡は、伝説の殺し屋デラ・富樫を探して連れて来れば許してやると言われる。売れない役者佐藤浩市をデラ・富樫の役を演じさせることでなんとか誤魔化そうとする。ハチャメチャな展開の行方は?

いやいや。笑った笑った。馬鹿馬鹿しい設定なのに、ストーリー展開に意外なほど無理がない。前に張られた伏線が後でちゃんと生きてくる。脚本の水準の高さを感じさせる。そして何より佐藤浩市の演技。彼って本当に凄いなー凄い役者だなーと再認識した。特に妻夫木と佐藤は「髪型をいじるだけでどうしてこれだけカッコいいオーラが消えてしまうのだろう」かと思った。それが出来るのが一流の役者なのだろう。佐藤の役を唐沢寿明や江口洋介は出来るかも知れないが、残念ながら織田裕二には無理じゃないかななど思った。

シカゴじゃなくて守加護(シュカゴ)という街にするとか、シトロエン2CVが出てきたり、赤木圭一郎とかその辺の映画とルパン3世の世界とチープな舞台の世界とが一体となってえもいわれぬ作品となった。

三谷作品はサンシャイン・ボーイズの舞台は見ていないが、映画ドラマはたぶん全部観ていると思う。舞台も「オケピ」は絶品だった。番組の宣伝がしつこすぎて観る気が失せてしまっていたザ・マジックアワーであるが、観てみれば結局面白いのだ。

佐藤浩市から学んだカッコいいオーラを消す方法を会得できたので、明日から私もそのように生きて、寄って来る女子を排除していきたい(嘘)








ザ・マジックアワー スタンダード・エディション [DVD]

ポニーキャニオン

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マイケルが死んだ

2009-06-26 | music

マイケル・ジャクソンが死んだというニュースが世界を駆け巡った。私は物凄くマイケル・ジャクソンファンというわけではないし、ゴシップを常に撒き散らすマイケルにややエイリアンを見るようなまなざしで見ていた。でも、死去の知らせになぜか喪失感がある。なぜだろう。

米国の新聞をネットで読んだりしたが、英国のタブロイド誌THE SUNの文章が好きだ。


HE THRILLED THE WORLD

NOT since the death of Princess Diana or the day John Lennon was shot has a story shocked the world like this.

I was simply lost for words when I first heard Michael Jackson had suffered a fatal heart attack.

The ripple of shock spread across the world like wildfire following the tragic death of the world's most famous musician.

Within an hour of hearing the first reports my phone went into meltdown as friends, colleagues and the world of showbiz realised the King of Pop could be on death's door.

This is the story of a human being robbed of his childhood. His life has unfolded in the spotlight from an incredibly early age, with all those precious childhood memories we take for granted completely alien to him.

以下は

http://www.thesun.co.uk/で。


久しぶりにマイケルの動画を見てみた。





THRILLER





BILLE JEAN 音源はあまりよくないが、ダンスのキレが一番のライブバージョン。パンツの裾の短さがまさにマイケルだ。



オフ・ザ・ウォール

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

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賛否両論はあろうが、私はこのアルバムが一番好きだ。今日はiPodに入れたマイケルをリピートで聴くつもりだ。もちろんムーンウオークしながら・・・



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モチベーションが上がらないのは

2009-06-25 | days

最近仕事に対するモチベーション(+他のいくつかのことに対するモチベーション)が著しく下がっている。また欲求の形が以前とは変わっている。これはもしかしたらdepression(うつ)かも知れないと、DSM (The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)-VIで自分がうつか診断してみる。この定義はネット上のあちこちで見かけるので特にリンクは貼らない。




以下の症状のうち 5 つ (またはそれ以上) が同じ 2 週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも 1 つは、(1) 抑うつ気分または (2) 興味または喜びの喪失である。
注:明らかに、一般身体疾患、または気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない。

1. その人自身の言明 (例:悲しみまたは、空虚感を感じる) か、他者の観察 (例:涙を流しているように見える) によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
注:小児や青年ではいらだたしい気分もありうる。
2. ほとんど 1 日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退 (その人の言明、または他者の観察によって示される)。
3. 食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加 (例:1 カ月で体重の 5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。
注:小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ。
4. ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。
5. ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止 (他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)。
6. ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。
7. ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感 (妄想的であることもある。単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)。
8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる (その人自信の言明による、または、他者によって観察される)。
9. 死についての反復思考 (死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。





以上。3の著しい体重の増減であるが、ここ数週間で3キロ減ったのはオーバートレーニングによるものなので関係があるとは言えないだろう。7のアパシーな感じとかアナーキーな感じがないわけではないが毎日ではないし、健全な若者が持つ厭世観と変わらないように思う。すると、いちおうこれだけで判断すればお前はうつではないということになる。ご自分がうつではないかと思われている方は、これでチェックしてみると良いのかも知れない。

よく考えてみたら、モチベーションが上がらないからと言って特に困ってはいないんだった。





今日の教訓




モチベーションとかけて、
天ぷらととく。
そのこゝろは、
アゲすぎちゃダメ。


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『ジョーカー・ゲーム』柳広司

2009-06-24 | books

「ジョーカー・ゲーム」柳広司 角川書店 2008年(初出野生時代2007~2008年+書き下ろし)

昨年とても評判が良かった本作。「このミス」でも上位にランクインしていた。戦前、(いやいつを戦前とするかはちと悩む。第二次世界大戦はドイツがポーランドに侵攻した1939年が定説であるが、柳条湖事件もしくは盧溝橋事件が第二次大戦が始まった瞬間であると考え「てもいい」と思っているので、1931年もしくは1937年に第二次世界大戦が始まったと考えると、戦前がいつなのかその定義が危うい。麻生首相は真珠湾攻撃=第二次世界大戦の始まりであると言ったそうであるが、こんなお茶目な首相がいるなんて日本はステキな国だ) いや、そんなことどうでもいいか・・・

で、戦前、D機関というスパイ養成学校が作られ、そこ出身のスパイをめぐる連作短編集である。かなり読ませる。

「ジョーカー・ゲーム」 東京在住のアメリカ人にスパイの容疑が。その証拠を押さえに彼の家に行くが、見つからない。焦る日本人佐久間。憲兵隊、上司との丁々発止。

「幽霊」 横浜にいる英国総領事にスパイ容疑。出入りのテーラーの店員になり、彼のチェスの相手をする蒲生。状況証拠ではクロ、心証ではシロ。さて真相は。

「ロビンソン」 ロンドンで当局に逮捕されたスパイ伊沢。機密を漏らさずに脱出することが出来るのだろうか。

「魔都」 上海で日本人を狙ったテロが続く。及川憲兵大尉宅にも爆弾が。しかし真相を探っていくうちに意外な結末が。

「XX」 ドイツ人スパイが東京で自殺。しかし彼はソ連との2重スパイである。自殺であると断定されると困る日本当局は真相をつかむ。

以上、こんな感じ。設定が古びているのでどうかと思いつつ読んだら、設定が戦前の日本であるだけで、内容は多少ハードボイルドの香りがするエスピオナージだ。私個人はエスピオナージ(スパイ)小説は昔から好んで読んできた。ル・カレ、グレアム・グリーン、ブライアン・フリーマントルなど。しかし最近はご無沙汰だったので、久しぶりに何とも良い気分にさせてもらった。

スパイを描くときにスパイがスパイである苦悩をどう描くかが一つの鍵になる。その鍵を作者は上手く扱っている。また本作が面白いと思った人と、ジェームズ・ボンドは観ている分には悪くないけど、本当のエスピオナージ活動ってもっと地味なんでしょ?って思っている人にはぜひフリーマントルのチャーリー・マフィンシリーズをオススメする。騙されと思って初期のとても読みやすく、かつガツンと来る「消されかけた男」と「別れを告げに来た男」を読んでみて欲しい。

先日、湊かなえの「告白」について、私が大傑作かどうかわからないと書いたところ、それに反論するようなコメントがついていた。繰り返さないが間違いなく大傑作の一つであると私が思うのは、チャーリー・マフィンシリーズである。「告白」は足元にも及ばない。







ジョーカー・ゲーム
柳 広司
角川グループパブリッシング

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消されかけた男 (新潮文庫)
ブライアン フリーマントル
新潮社

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お祭り好きなのよねん

2009-06-23 | days


先日の豚インフルの騒ぎ。しかし嵐が過ぎてしまったら後に残るのは「あれはなんだったんだ?」という疑問。こんな風に考えるのはどうだろう。

我々はお祭り好き。騒ぎ騒動は基本的に乗っかって騒いでおかないと。首相が漢字読めなかったらそれを会社で家庭で話題にする。パンデミックだと言われたらミックジャガーがパンを食う、パンでミックだ!と叫ぶ(人はいない) いや、例えば株価でも金利でも外国為替でも上でも下でもいいからとにかく動けと市場参加者は願っている。だからどっちかに振れる要素があれば、たとえちっちゃくてもそれに乗っかって買い(または売り)価格を上げ(または下げ)る。それと同じで、我々=話題という市場に参加している者であるから、何か話題が出ればなるべくそれに乗っかって一騒ぎしようとするのではなかろうか。

特に日本人に限ったことでもないけど。

だからインフルエンザの騒動にさんざ乗っかっておいて、後であれはなんだったんだ!と感じるのは=お祭りを充分に堪能している正しいあり方なのだ。私のようにマスク増産したら後で余るだろうなーなどと考えるのは全くお祭り参加者として正しくないのだ。お祭りはお祭りらしくただ楽しめればそれで良いのではなかろうか。相場の上下から利益を得るという意味での市場参加者よりも、エレガントかも知れない。特に利益が出るわけではないから。とお祭り好きを擁護してみた。

お祭り嫌いに対しては、先日のTBS系列「情熱大陸」で映画美術監督の種田洋平さんが「流行ものには飛びつかない。いい年して流行りものに飛びつくのはダメだ」とおっしゃっていた。インフル=流行ものと言ういうより、流行の話題ではあるが、そういうモノに飛びつかないことにもまた美しさがあるということなのだろう。関係ないけど種田さんが描くラフスケッチがあまりにもキレイで欲しいと思ってしまった。

まあインフルに限らず作品やファッションなど広く言えることかと思いますですね。以上、お祭りを肯定する立場、否定する立場双方から書いてみた。では、また。



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『煉獄の使徒』馳星周

2009-06-22 | books

「煉獄の使徒」(上下)馳星周 新潮社 2009年(初出週刊新潮)

怪しいヨーガ教室の主宰戸邊が左翼を追われた弁護士幸田と組んで作った宗教団体、真言の法。戸邊は十文字源皇と名乗るようになる。邪魔な弁護士を殺害し、事業を拡大し、覚せい剤を使って信者を騙し、富士山の麓に総本部を作る。どっかで聞いた事ある話が多い。なぜかと言えばオウム真理教を下敷きにしたノンフィクション・ノベルだから。

面白いかつまらないか判断に困る。地下鉄サリン事件や坂本弁護士殺害事件などについて何も知らなかったらこれほど面白い作品はないと思う。ところが、知っていることが多いので、(だからと言ってつまらないわけでもなく)先が読める感と既視感を持ちながら読んだ。但し、登場人物の一人、公安刑事についてはこれがフィクションなのかそうでないのか分からなかったのだが。面白いorつまらないのどちらかで評価は私にはできない。タイトな文体と緊迫感はものすごく高いレベルで続いていたことは確か。

これは今、判断しないで20年後に読んで判断するか、あるいは事件を知らない者が読んで判断した方が的確な判断が出来る作品ではないのかと思った。だからと言って今楽しめないということではないけれど。

ヒトラーあるいはナチスの存在が、英国では大物スパイ、キム・フィルビーの存在が後の文芸作品、映像作品に多大な影響を与えたのと同じように、オウムの存在も後の小説に、これから影響を与えるのかも知れない。






煉獄の使徒〈上〉
馳 星周
新潮社

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煉獄の使徒〈下〉
馳 星周
新潮社

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某書店のトイレにて

2009-06-21 | days

洗面台のすぐ上にこのような表示がある。

髪を本屋で洗う人がいるのかという疑問もあるがそれはおいておいて、

ここの男子トイレには大個室が一つしかない。大きい方を放出したくていくと、いつも使用中なのだ。どっちかと言えば、大用個室に長時間の引きこもり禁止と表示してもらいたい。

このトイレの前でもじもじしている人がいたらそれは私かも知れない。

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素晴らしきかな、タンメン

2009-06-20 | days

先日、東京の西の方の某ターミナル駅で乗り換えた。そのとき、駅の外に出て飯を食おうとした。しかし全く土地勘もなく、店も知らない街だった。

仕方ないので何となく混んでるように見えるラーメン屋に入った。そこで断面を頼んだ。いやタンメンを頼んだ。全体的に安くて美味しい雰囲気がしている。

やって来たタンメン。なかなかの味で、三分の一ほど食った。すると、野菜山脈の中に・・・



ブリゴキが。



小さくはあるがどっから見てもゴキブリ。さてさて、私はどういう対応をすべきなのか。

1.穏やかに責任者呼んでもらいますかと言って → 別室へ → 10万ほど頂く
2.叫び、テーブルをひっくり返して → 別室へ → 10万ほど頂く
3.見て見ぬふりをする
4.ゴキだしが出てむしろ美味だと思う
5.ポケットからキンチョールを取り出して噴射する

一人だったら2もありなんだろうか、連れがいたし、店員を呼んで無言でブリゴキを指差した。すると申し訳ありませんと店員は、新しいタンメンを持ってきた。そんなにタンメンばかりたくさんいらねえなと思いつつ、気弱な私は食った。

会計のときに、店長らしきが申し訳ありませんと言いながら、タンメンの分は金を取らなかった。

うーむ。無料でゴキ入りタンメン三分の一と、タンメンのゴキ抜きを一杯食った。

後になって、ゴキ入りのスープを飲んだことを思うと胸がムカムカしてきた。なんか文句言うべきだった。もっと強く言うべきだったなどと思いながらその日の午後は過ぎていった。



アイアムノットアクレーマー

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漫画『MASTERキートン』全18巻

2009-06-19 | books

日本人の父親と英国人の母の元に生まれた平賀・キートン・太一。離婚した母について英国のパブリックスクール、オクスフォードで考古学を学ぶ。在学中に結婚し娘を授かるが離婚。キートンはその後、自分を鍛えなおすため、軍隊に入り、後SAS(Special Air Service 英国特殊空挺部隊)の指導教官になる。しかし考古学への夢を断ち切れず、SASを辞め、大学の講師をしているが、金がないので保険の調査員をしている。

元SASであるという経歴、考古学の知識、何ヶ国語も話せる語学力、洞察力を武器に、難事件を解決していく。

いやいや。面白かった。連載中にはたまに読んだり、床屋やら美容院に置いてあるを読んでたはずなのにほとんどのエピソードは初見だった。キートンの飄々としたキャラクターもいいし、彼がたまに語る人生哲学もいいし、事件解決へのプロセスも、漫画一回の連載で表現できるのは少しであるはずなのに、見事だ。

一回一回のエピソードに勿体無いぐらいのネタが凝縮している。こんなレベルの高い話を描き続けるのは凄いと思う。ネタとしてはヨーロッパの近現代史が多い。ホーネッカーの東ドイツや東西分裂と合併の裏側とか、ナチス、ロシアのニコライの秘宝や、コルシカマフィアなどなど。まあ楽しみながら学べる近現代史という側面はあると思う。また学者キートンの「ヨーロッパ文明の起源はドナウ川流域である」という仮説が何度か出て来るがそれについてはもっと突っ込んだ話が聞きたかった。

そうそう。MASTERをどういう意味で使っているか。最初は単にバスター・キートンとかけているだけかと思っていた。しかしSAS内で最高の教官に与えられる「プロフェッサー」のあだ名は与えられず、「教官」という意味でマスターを使っていたのが一回あった。それと「人生の達人(MASTER OF LIFE)」の「達人」という意味で使われていたのが確か2回あった。

あとは、新刊でこの「MASTERキートン」を買うことは出来ない。増刷されていないのだ。原作者である浦沢直樹と勝鹿北星がもめていてということが一応の原因とされている。それについては検証サイトが詳しい。






MASTERキートン (1) (ビッグコミックス)
勝鹿 北星,浦沢 直樹
小学館

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わたしが一番ブサイクだったとき

2009-06-18 | poetic inspiration

わたしが一番ブサイクだったとき 

            ふる feat.茨木 のり子


わたしが一番ブサイクだったとき
街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした

わたしが一番ブサイクだったとき
まわりの人達がたくさん死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはだじゃれのきっかけを落としてしまった

わたしが一番ブサイクだったとき
だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
女たちはただ、くれとしか言わなくって
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった

わたしが一番ブサイクだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが油に光った

わたしが一番ブサイクだったとき
わたしは負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ワイシャツの腕をまくり
卑屈な町をのし歩いた

わたしが一番ブサイクだったとき
ラジオからはR&Bが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の音楽は嫌いだと思った

わたしが一番ブサイクだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった

だから決めた できれば太く短く生きることに
若くして散った
夏目雅子さんのように大場政夫さんのように
松田優作さんのように円谷幸吉さんのように
ジミ・ヘンドリクスさんのようにブライアン・ジョーンズさんのように
                    ね


と思っていたのになかなか人生上手くいかない
                    ね

と書いている今は一番ブサイクじゃないのか
                    ね




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『夜来香海峡』船戸与一

2009-06-17 | books

「夜来香海峡」(イエライシャンかいきょう)船戸与一 講談社 2009年

東北の農村の嫁不足解消というお題目のもとに設立された怪しいNPO団体国際友好促進協会。蔵田雄介は商社を辞めてからNPO団体を設立した主人公である。彼の視点から物語は描かれる。上手くいっていたはずの「商売」が、暴力団の介入により暗雲が垂れ込め始める。中国でのお見合いツアーを経て、無事結婚した中国人妻が行方不明になる。そこで別の暴力団がいちゃもんを付けてくる。ややこしくも危険な蔵田の旅はそこから始まる。秋田から青森、北海道まで。日本のヤクザ、中国の黒社会、ロシアマフィア、警察と入り乱れてのバトルロイヤル。さてその結末は?

うむ。とても読みやすい。冒頭に蔵田の人物設定、商売の設定を丹念に描き、それを材料にしてどう話が進んでゆくか非常に丁寧に描いてくれる。だから登場人物が多く、登場団体が複雑なのにも関わらず混乱せず読み進められる。この小説の最大の謎は、どうして中国人女性をそれほど執拗に追いかけないといけないのか。それが終盤に判明する。なるほど。それでもまだ分からない謎が残る。殺し屋についてだ。それが後数ページでこの本が終わる407頁でドカンと落ちてくる。これで全てが腑に落ちた。私はこのラスト直前での真相とそしてその後の物語の終焉のさせかたどちらも好みだった。

蔵田が昔世話になったという鉄平という爺、マセラティを異常なほど大切にするヤクザ柏木、調査能力に長けた山沖、蔵田の愛人佐智、魅力的な人物たちと、黒川博行の「国境」を思い出すような展開、そして北方謙三の初期のハードボイルドを思わせるような筆致がそこにある。ハードボイルドの秀作と言ってよいだろう。蔵田が精神的にそれほどタフではないあたりがまた良い。

講談社の創業100周年記念プロジェクト、書き下ろし100冊はなかなか侮れないようだ。その中では白石一文の「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」が今のところベストである。







夜来香海峡
船戸 与一
講談社

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映画『ブラインドサイト 小さな登山者たち』

2009-06-16 | film, drama and TV

盲目にも関わらずエベレストを制覇したエリック・ヴァイエンマイヤ。彼と一緒にチベットの盲目の少年少女6名がエベレストの隣、と言っても2万3千フィートもある山に挑むドキュメント。

驚くことがとても多い。チベットではいかに眼が見えないということが差別の対象になるか。ヒマラヤ山脈はエベレスト以外にも困難が山がいかに多いか。盲目というハンデキャップを持ちながら登山するのがいかに困難か。彼らを指導しながら登ることがいかに困難か。高山病か否か判断するのがいかに困難か。そして、具合が悪くなったら下山するという決断を下すのがいかに難しいか。

昨年初めて富士山登山してヒーヒー言ってた私である。山は面白いし大変だ。と分かっていてもやはり凄い。映像が凄くキレイであることと、少年少女たちの笑顔が可愛らしいこととがこの登山の悲惨さを、なんとか和らげてくれる。

盲目であるというハンデがあっても今回の登山で自信をつけて欲しいと始まったプロジェクトであるが、自信を与えられるのは観た人ではなかろうか。あるいは自信を失ったのも観た人ではなかろうか。五体満足でなくても出来ることは多いと分からせてくれるという意味で自信を与えてくれた。そして、困難を乗越えた先にあるモノとか、自分が本当にやりたいこと、自分の存在意義などずっとずっと探し回っても見つからないのが、私のすぐ目の前に全てがあった。

私こそ明き盲だったのだ。










↑Youtubeにある映画のtrailer




ブラインドサイト 小さな登山者たち デラックス版 [DVD]

ジェネオン エンタテインメント

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