頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『十三階の血』吉川英梨

2019-12-29 | books
公安の古池は、三里塚闘争で亡くなった警官の孫。辺野古で暗躍する左翼グループの捜査の過程で出てきた国会議員の裏側。かつて古池を激しく愛したスパイ愛花が必要になった。そして公安メンバーとして鍛えた黒江律子は辞めたと上司は言うが、やはりスパイとして仕事をしていた。

面白い!スパイ同士の結婚とか、とんでもないストーリーがグルグル回る。

アダルトな描写、グロテスクな描写がかなり多いのが若干過剰かなと思わなくもないが、兎に角どんでん返しの嵐に翻弄された。

 

今日の一曲

鬼束ちひろで、「月光」



では、また。


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『黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続』宮部みゆき

2019-12-27 | books
自分の体験した怪異を語り捨てにする、三島屋シリーズ。以前よりさらに面白くなってる気がする。

憑いた女性がしてはいけないことをする「泣きぼくろ」、女性は花見に参加できない「姑の墓」、妻子を亡くした男「同行二人」。異空間に迷いこむ表題作は長大で、かつ考えさせられる事多し。
 

今日の一曲

BABYMETALで、"DA DA DANCE"



では、また。


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店名にツッコんでください230

2019-12-25 | laugh or let me die
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映画「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」

2019-12-23 | film, drama and TV
ネットで席予約しようとしてもサーバーがダウンしてなかなか繋がらなかった。前作の内容を忘れたので前夜のテレビ放送の録画を早送りで鑑賞し参戦。IMAX 3Dにして正解。戦闘シーンの迫力さがやはり違う。

ストーリーはネタバレするのもあれなので触れないようにするけれども、最終回らしくちゃんと終わった感がある。ラストは賛否両論ありそうだけれど、私は良かったと思う。

最近スターウォーズについて話した二人の男性は、片方が割と最近結婚したのだけれど、奥さんが一度も観たことがないので、教育すべく全て一緒に鑑賞したそうだ。別の男性は、奥さんが全く興味がないので、一人でDVDで鑑賞してるそう。また別の家族は、父と次女は大好きで、母と長女は興味がないのだそう。こんな風に、全て観る派か全く観ない派に大きく分かれているのかも知らない。

基本的に爆音がしていることが多いので気付かなかったけれど、静かなシーンになったら、おじさんの大きないびきが聞こえてきた。あんなにうるさいのに寝れるとは。

あとは、レジスタンス軍は、男性、女性、白人、黒人、アジア系、さらには宇宙人もいて多様性を積極的に受け入れていこうという制作側の意図を感じる。またレイの修行のシーンは、少し仏教的なものを感じた。



↓ 過去の作品を復習してる動画。観る前に観れば良かった。



では、また。


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『11月に去りし者』ルー・バーニー

2019-12-21 | books
フランク・ギドリーは、ニューオーリンズのマフィア組織に属している。ケネディ大統領の暗殺のほんの一端を担うと、その秘密を知る者を消してしまえとボスから命を狙われる。シャーロットは、夫の酒癖が悪いのに嫌気がさし娘二人と逃げる。フランクとシャーロットは逃亡の途中で出会う。

書評七福神の何人もがベストに挙げているだけあって、物凄く面白かった。

なぜ逃げなきゃいけないのか、どうやって逃げるのか、具体的で読みやすく、二人それぞれに感情移入してしまう。いい物語とは、殺し屋が迫ってきたら、「何とか逃げ切ってくれー」とつい叫んでしまうものなんだと思う。当作がまさにそれ。


 
今日の一曲

石崎ひゅーいで、「さよならエレジー」



では、また。


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『暗約領域』大沢在昌

2019-12-19 | books
鮫島は薬物捜査の過程でヤミ民泊施設を監視していた。そして遺体が。やくざによって支配されている施設の実態。そしてもっと奥には、公安、北朝鮮が絡むややこしい案件が。

長い。けど抜群に面白い。

殺人事件、公安マター、引かない鮫島。全てが絶妙な配合。物凄く楽しませてもらった。次作を早く読ませてくれ。




 今日の一曲

鈴木愛理で、"Break it down"



では、また。
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『ザ・ロイヤルファミリー』早見和真

2019-12-14 | books
栗須栄治は、ひょんなことから人材派遣業を経営しつつ競馬の馬主をする山王のマネージャーになる。競馬という未知の世界。馬主、ジョッキー、調教師、魑魅魍魎たち。山王の愛人の子が登場し、また栗須の昔の恋人は北海道で馬を育てている。山王と栗須はG1を制覇出来るのか・・・

競馬には興味がないのにもかかわらず、「シービスケット」や「優駿」には痺れた。本作も、競馬を特に馬主から見た素晴らしいドラマにしてくれた。

何かに本当に、全身全霊費やす者の物語はやっぱり読ませる。

 
 
 
 

今日の一曲

miletで、"Drown"



では、また。


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『生者と死者に告ぐ』ネレ・ノイハウス

2019-12-12 | books
オリヴァー&ピアのドイツミステリー第七作。連続射殺事件発生。遠距離から正確な射撃。関連性が見つからなかったが、どうやら被害者は臓器移植に関わった者の近親者らしい・・・

長い。明かされる真実は意外なものであり、おぞましいものではあるけれど、そこへと至る過程が(個人的好みからすると)長いと思う。すごく現代的なテーマを扱っていて良いけれど、文庫600頁も費やすほどなのかとも思う。(個人的に読まなければならない本が山積みになってるから焦ってるという事情が点を辛くしてるのかも知れない。すまぬ)
 
今日の一曲

King Gnuで、「白日」



では、また。


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『ひみつのしつもん』岸本佐知子

2019-12-10 | books
翻訳家による、不思議+爆笑エッセイ。

運動不足の話、脳内の旅など、相変わらずの切れ味。ニヤリとしたり、呆れたり。

「分岐点」「カバディ性」「裏」「河童」が特に面白かった。

ソムリエが語るワイン蘊蓄。実は無色透明のワインが説明することでその味になるという妄想。もうこの人には敵わない。

 

今日の一曲

Skylar Greyで、"Love The Way You Lie"


では、また

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店名にツッコんでください229

2019-12-08 | laugh or let me die
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『ツナグ 想い人の心得』辻村深月

2019-12-06 | books
「ツナグ」の続編。歩美は玩具メーカーに勤めながら、死者に会いたいという人と死者をツナグ任務を担っている。幼い娘を失った母親や玩具作りの親方を失った娘などを描く連作短編集。

なかなか面白かった。歴史上の人物に会う話が興味深い。もし自分が一度だけ死者に会えるとしたら、誰を選ぶだろうか、なんて思いながら読んだ。やっぱりあの人かなあ(誰だよ)


 

今日の一曲

Dan Fogelbergで、"Rhythm Of The Rain"



では、また


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『平場の月』朝倉かすみ

2019-12-04 | books
青砥35年ぶりに、昔好きだった須藤に会う、病院で。そして、お互いを元気付けるためにちょこちょこと会うようになった。須藤は病院の売店で、青砥は印刷会社で働く。二人の淡い恋は実るのか・・・

ずばり今年ベスト。冒頭、須藤亡くなっていることが分かる。ので、結末は分かっているはずなのに、目頭が熱くなってしまった。

しかしお手軽な感動を生むとか悲しい出来事が描写されるのではなく、かなりリアルに中高年の想いが描かれる。その細かさに、ニヤッとしたり、ハッとしたり、しみじみとそーなんだよーと呟いたり。

「おととい、わたし言ったでしょ。『青砥を元気づけようとしたら、たいへん健全な気持ちになった』って。あれは青砥の不安をダシにして、いいきもちになったわけではないんだ。困っているだれかの気を引きたくて、どうしたらいいのか、自分になにができるのか、つい、ちょっと本気で考えてしまったのが健全だと思ったんだ」

ウミちゃんは、きっと、須藤が死ぬまで答え合わせをするんだろうな。特に悪気もなく。

各章のタイトルも巧い。

第五章は「痛恨だなぁ」 六章は「日本一気の毒なヤツを見るような目で見るなよ」 七章は「それ言っちゃあかんやつ」 九章は「合わせる母がないんだよ」 これを見るだけでもどんな話なのか期待が膨らむ。表現がものすごく巧みで、一気にこの作者のことが好きになってしまった。

これは中高年必読書。40を過ぎた人は予防接種や人間ドックのように、必ず受診することを、強くオススメしたい。


 


今日の一曲

ドラマ「グランメゾン東京」の主題歌、山下達郎で、「RECIPE (レシピ )」



では、また。


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『風神雷神 Juppiter, Aeolus』原田マハ

2019-12-02 | books
天正遣欧使節団のメンバーに俵屋宗達がいたという壮大なフィクション。

上巻は宗達がいかに信長に認められるかが描かれてかなり面白かったのだけれど、下巻のヨーロッパへの航海の話になると失速気味。先がどうなるのかドキドキする感じが薄くなる気がした。


 
 


今日の一曲

The Speakeasy Threeで、"When I Get Low, I Get High"



では、また


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