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『兇弾』逢坂剛

2010-02-26 | books

「兇弾」逢坂剛 文藝春秋社 2010年(初出別冊文藝春秋2008年7月号~2009年11月号)

「禿鷹の夜」「無防備都市 禿鷹の夜II」「銀弾の森 禿鷹III」「禿鷹狩り 禿鷹IV」の四部作で完結したのかと思っていたシリーズ。しかし・・・

悪徳刑事界に金字塔を打ち立てたハゲタカこと禿富警部補は死んだ。しかし、神宮署の裏帳簿の行方はまだ分からない。「兇弾」はここから始まる。渋六興業の水間や野田、神宮署の嵯峨と御子柴刑事、バーみはるのマヤ、ボニータ、警察庁の松国、岩動寿満子らシリーズのキャラクターがみな登場してのバトルロイヤル。さてさてどうなることやら・・・

むむむむむ!これはタマラン!ハゲタカシリーズは大好きだったが、まさか死んだ後にこんなに話を膨らませられるとは、参った。冒頭報告書が握り潰され、とあるヤクザが殺害され、一体どういう話になっていくのか全く先が読めない。結局は太い軸を中心に進んでゆくので登場人物が多くても翻訳ミステリーのように読みにくくはない。

ネタバレしないように気をつけながら、○○○が食わせ者だとは分かっていたが、まさかXXXがこんなに重要な働きをするとは。腹立たしい悪キャラとスカッとする善役のコントラストが分かりにくいのもまたいい。西部劇のような壮絶なラストが待っている。しかしラストのラストにそう来たか。そうですかそうですか。

逢坂剛が他に書いていたシリーズと言えば、公安警察シリーズとWikipediaには書かれていたが、別名「百舌シリーズ」はどうなったんだ?「岡坂神策シリーズ」は?百舌シリーズほどドキがムネムネする小説群もあまりないと思うし、私が子供の頃からなりたいと憧れていたのは仮面ライダーではなく岡坂神策なのだよ。

まあそんなわけで逢坂さんにはぜひ時代ものだけじゃなく、スペイン内戦ものと公安警察シリーズを書いて貰いたいと強く願う。


↓あまりツッコミどころのない我が書棚






追記:後で読み返してみてなんとショボイレビューだと頭が痛くなった。すまぬ。調子が悪いらしい。いや永遠に調子が悪いのか。






兇弾
逢坂 剛
文藝春秋

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百舌シリーズは全6作。第一弾、第二弾が以下に。

裏切りの日日 (集英社文庫)
逢坂 剛
集英社

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百舌の叫ぶ夜 (集英社文庫)
逢坂 剛
集英社

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岡坂神策シリーズは全8作。短編集に初登場する。

クリヴィツキー症候群 (講談社文庫)
逢坂 剛
講談社

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水中眼鏡(ゴーグル)の女 (集英社文庫)
逢坂 剛
集英社

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これも面白かった。
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