頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

店名にツッコんでください171

2017-09-29 | laugh or let me die
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『人参倶楽部』佐藤正午

2017-09-27 | books
スナック「人参倶楽部」をめぐる連作短編集。水商売を17年もやっているオーナー兼バーテンのいさむ。女に目がなく、妻子がいても様々な女に手を出している。店にやって来る、ホステスの話や客の小説家の話などが、うまくつながって…

必ずしもいさむの目線ではなく、短編によっては客の女性の手紙だけだったり、女性の電話の会話だけだったりする。これでもかと工夫されていて、飽きない。

佐藤正午作品の主人公は女性にだらしないケースが多いようだが、今回も同じ。女性にだらしないということはどういうことか考えるというより、むしろ最初から決まった「衣装」のようなものの気がしてきた。つまりそのこと自体については特に判断しない。

小粋な大人の恋愛小説とも言えるし、ラストの章なんかはホラーとして読むこともできる。いさむもそれ以外の登場人物も、「こういう人っているよなー」「こういう事件てありそうだよな」と思わせてくれるリアル生活小説とも読める。

特に評判になってはいないよう(直木賞を取ってから、佐藤正午作品がずらっと並んでいるのと書店で見かけるが、この作品はなかったような気がする)だけれど、評判になってないのに、こんなに面白い作品があるとは。正午、侮りがたし。

人参倶楽部 (光文社文庫)

今日の一曲

曲と言うより、ダンス。最近話題だった、登美丘高校ダンス部のパフォーマンス。



初めて観たとき、ぶっ飛んだ。では、また。
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映画「ローグ・ワン」

2017-09-25 | film, drama and TV
NHKで放送していた「ダウントン・アビー」 最終回の一つ前の放送、機械の故障なのか、録画できていなかった。それからしばらくそのまま、最終回だけは録画できているけれど状態のまま放置していた。再放送の予定がないようなので、TSUTAYAで借りようと行ってみた。2年ぶりに。するとあるにはあったけれど新作なので、7泊8日で669円もかかると言う。更新もしないといけないので、合計1000円はかかるではないか。なんつーことだ。しかししかし、新作でも4枚か5枚借りれば、1000円だと言うではないか。おーまいがっ。ということで、ダウントン以外にも借りることにした。知り合いが良かったと言うので、「ローグ・ワン」を。

今さら、「ローグ・ワン」を。

スターウォーズではエピソード3と4の間らしい。ストーリーは、みなさんの方がお詳しいだろうから、割愛。

なんつーか、どの場面をとってもスターウォーズっぽい。ものすごくリアルなCGを入れるとSWっぽくないのだけれど、あえてそれを避けているからなのか、全面的にSWっぽい。そういう世界観を創り出したってことがスゴイ。生まれて初めて見たSWで、R2D2が映写したホログラムに、「こんなスゴイことが映像化できるのか!」と心躍らせた中学生だったワシも今では、もう米寿になってしもうた。

主人公ジン・アーソ役=フェリシティ・ジョーンズがなかなか可愛らしいと思っていたら、オクスフォード大卒でもう33歳。彼女が出ている他の映画も観よう。

12月には次のSWが公開とのこと。いつものように、公開2週目辺りに行く予定。

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

今日の一曲

The Maríasで、"I Don't Know You"

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では、また。
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『十三階の女』吉川英梨

2017-09-23 | books
公安の巡査部長、黒江律子。尋常でない気力で新左翼によるテロ阻止に日夜立ち向かっている。しかし、致命的なミスを犯してしまい、謹慎処分になってしまった。そして北陸新幹線の爆破事件が勃発… この事件の真相解明と、そして新たな事件のためにまた立ち上がる。そんな律子と公安VSテロリストの死闘…

おー。これは良かった。とっても良かった。

公安やスパイを描くドラマや小説は最近ちらほらと登場するようになった。それでも英国や米国よりはずっと少ないと思う。(前にも書いたような気がするけれど、英国ドラマ「MI-5」(原題"Spooks")は死ぬほど面白いので観た方がいいです)

そんな中で、ど真ん中ストレートに公安の世界を描いている(ような気がする。)

そしてどんでん返しに次ぐどんでん返し。やはりスパイ小説はこう来なくっちゃいけない。

そして律子の内面。葛藤&葛藤&葛藤。心理サスペンスでもあったりする。「孤狼の血」の柚月裕子しかり、女性がこういうハードな作品を書いてくれるようになった。とても嬉しい。

十三階の女

今日の一曲

カッコいいオンナ。と言えば、椎名林檎で、「流行」



一緒に登場しているのは、RHYMESTERのMummy-Dだと思う。二人ともメッチャカッコいい。そして林檎様のあちこちから色気がこぼれ落ちてしまっている。では、また。
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『童貞物語』佐藤正午

2017-09-21 | books
31歳、野呂光、父が急死したあと、居酒屋の後を継いだ。彼が思い出すのは13年前、1973年、高校三年生だったとき。甲子園目指して野球に打ち込んだ、夏。進学校なので、受験勉強のことばかり言う担任。一緒にふざけた友人たち。そして恋…

うーむ。青春のちょっと甘くて、でもほろ苦い感じを絶妙なタッチで描く。読んで、自分が高3だったときを思い出さない人はいないだろう。

作者の佐藤正午自身が1955年生まれなので、ちょうど光と同じ歳。自身が経験したこともたくさん織り込まれているのだろうと想像する。しかし、こういう「自分の過去を思い出す」小説を読むと驚くのは、その記憶力。そんなに細かいことをよく覚えているものだ。
そう言えば、やたらと昔のことを覚えている友人がいるが、もしかすると忘れたい過去も忘れられないとしたら、ちょっと大変なのかも知れない…

読んでよかった、青春小説。佐藤正午の作品はこれからも読んでいこう。

童貞物語

今日の一曲

何となく、小説に近い曲。RCサクセションで、「トランジスタ・ラジオ」



では、また。
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『渇きと偽り』ジェイン・ハーパー

2017-09-19 | books
オーストラリア・ミステリー。少女を殺したのではないかと疑われながらも、父親と街を出てメルボルンで警官になった主人公アーロン・フォーク。20年も経過してから故郷の街に帰ってきた。親友だったルーク・ハドラーが妻子をショットガンで射殺し、自殺したというのだ。そしてルークの父親からこの事件について調べるように命じられた。地元警官と一緒に捜査していると…20年前の事件の謎も…

早川のポケミスは長い。366頁もあって2段組だから、単行本2冊読んだような感じがする。長編は基本的に好きなのだけれど、長ければよいというものではなく、ポケミスは長いなー、なかなか読みおらないなーと思うことが多い。

本作も読むのに時間がかかった。ただ、冗長なわけじゃないし、アメリカの南部辺りが舞台の場合に頻発する情景描写みたいなものもそれほど多くないので、中身が詰まっている感じがした。

犯人は意外な人物であって、謎が解けるとスカッとする。その辺はミステリーとしてよくあるパターン。しかしそれよりも、オーストラリアの田舎の人たちの偏狭さが最大の読みどころだと思う。殺人の容疑者と思われた人物が20年ぶりに帰って来ると、どういう行動に出るか… うーむ。

渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)

今日の一曲

KIRINJI feat RHYMESTERで、"The Great Journey"



では、また。
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店名にツッコんでください170

2017-09-17 | laugh or let me die
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『老猿』藤田宜永

2017-09-15 | books
ホテルに勤め、もうすぐ役員になれると思ったら、リストラされた主人公は中里。離婚し、死んだ父が遺した軽井沢の別荘に住むことにした。近所に住む感じの悪い老人。猿に似ているので勝手に「老猿」と読んでいる。もう一人は不動産会社の社長。愛人と一緒にたまに別荘にやって来る。社長の奥さんにバレて、奥さんが乗り込んできたので、愛人が中里の家に匿ってもらいに来た。綺麗な中国人女性だった… 決して深入りしてはいけない危険な臭いのする女。そして「老猿」こと、岩熊老人の過去…

読みやすい。わりに、奥深さがある。

宮本輝とか白石一文作品に似た、「イケてる、もてるおじさん」小説なんだろうと思って読んでいたのだけれど、途中から冒険小説的にもなって来て、単純に○○小説だとはまとめにくくなった。

「或る作家が、女好きをふたつのタイプに分類している。地理派と歴史派」
「どういうことです?」
「つまりだ、地理派は広く浅く、いろんな女と関係を持つが、歴史派は付き合った女の数は地理派に比べると少ないが、その都度、関係性を深め、女の何たるかを会得していくんだ」

「男というのは自分を中心とした絶対性を求めるから、歳を取ると恋をしたくなくなるんだ」

いちおう、「モテるおじさんのプチ冒険小説」ということにしておこう。なかなか面白かった。

老猿 (講談社文庫)

今日の一曲

たまたまラジオで耳にした。DAOKOと米津玄師で、「打上花火」



では、また。
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『ブラインド・サイド』マイケル・ルイス

2017-09-13 | books
「マネー・ボール」のマイケル・ルイスが記すアメリカン・フットボールの世界。

メンフィスで、親には育てられず、里親のところをたらい回しにされ、小学校を11回も転校した黒人のマイケル・オアー少年。たまたま出会った白人の裕福な家庭に受け入れられる。マイケル少年は、身長196センチ、体重154キロもあるのに、非常に素早く動くことができた…

NFL(アメリカのアメフトのプロリーグ)で、ニューヨーク・ジャイアンツのローレンス・テイラーという選手が注目を集めた。ラインバッカー(ディフェンスの選手で、クオーター・バック(=QB オフェンスでボールを持って、パスしたりするリーダー的な選手)に襲いかかる役目をしているのだが、大きくて速く、何人もクオーター・バックを病院送りにしていた。すると、右サイドのラインバッカーやディフェンシブエンド(どちらもオフェンスの左側から襲いかかる。右利きのQBの場合、左側に背中を向けるので、そちら側が「ブラインド・サイド」になる。)によって、左サイドが襲われるので、左サイドにいてQBを守ることのできるレフトタックルの選手が重要になって来る。結果このポジションにいる優秀な選手の年俸が高騰した…

もう一つは、戦術の変化。アメフトは元々は、ラン(QBが、すばしっこいランニング・バックにボールを渡して前へ走り抜けてもらう)が通常の戦術だった。しかし、後にジョー・モンタナのいるサンフランシスコ49ナーズでヘッドコーチをするビル・ウォルッシュが、パスの方が実は確実に点を取れることを証明した。パスを主体にすれば、テイラーのような選手に襲われる危険も出て来るので、レフトタックルの重要性はやはり増すということになる…

というアメフトの近年の戦術の変化と、マイケル・オアーがどう成長していくかの話…

これは面白かった。ものすごーく面白かった。

アメフトは、昔よくテレビで観ていた(大橋巨泉がBSで解説やっていた頃)のだけれど、最近は全然観てない。ジョー・モンタナがいた49ナーズが東京ドームで試合をやったのは観に行った。ルールぐらいは分かるけれど、戦術については全く分からない。

これを読んだら、アメフトの試合が観たくなった。

オアーは、数学も英語もろくに学習していないため、高校を卒業するのすら危うい。ある程度以上の成績を取れないと、大学でアメフトをするのが許されないのだそうだ。そのために、養父と養母たちが奮闘する様も面白い。

アメフトなんて興味ないという人にこそ薦めたい。

ブラインド・サイド  しあわせの隠れ場所 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

今日の一曲

何となく、SUPERCARで、"Lucky"



では、また。
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『マインドフルネス最前線』香山リカ

2017-09-11 | books
精神科医香山リカが、哲学者、スリランカ上座部仏教の長老、宗教人類学者、心療内科医と、マインドフルネスについて尋ねる対談本。

哲学者は永井均。趣味でずっと座禅をやっており、2年前からヴィッパーサナー瞑想(マンドフルネス)を始めた。長老は著作も多い、スマナサーラ師。宗教人類学者は京都大の准教授の永沢哲。瞑想と脳の関係を科学的に解き明かそうとしている。心療内科医は早稲田の教授熊野宏昭。内科医としてマインドフルネスを活用している。

色々と興味深い話が書いてあったのだけれど、特にスマナサーラ師の話が面白かった。

 ・脳は様々な捏造をする。そのことを知らないといけない。

 ・仏教で昔からやっていたことを、仏教臭を取り払って「マインドフルネス」だけを取り上げるのは、仏教から盗んでいると言えなくもない。マインドフルネスとヴィッパーサナー瞑想は違う。前者はただ日常生活を気持ちよく生きるだけのもの、後者は人間が人間であることを乗り越えることが目的。

 ・人の感情をコピーしてはいけない。同情も共感もいけない。こちらがダメージを受けてしまう。

香山の話では、なぜアメリカでマインドフルネスが流行ったかと言うと、保険の問題が大きいそうだ。何回かかるか分からないカウンセリングには適用しにくいけれど、全8週間など期間が決まっているマインドフルネスだと保険会社がカバーしてくれる、そんな事情があるそうだ。なるほど。

マインドフルネス最前線: 瞑想する哲学者、仏教僧、宗教人類学者、医師を訪ねて探る、マインドフルネスとは何か? (サンガ新書)

今日の一曲

特に理由もなく。SHE IS SUMMERで、「とびきりのおしゃれして別れ話を」



では、また。
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『彼女について知ることのすべて』佐藤正午

2017-09-09 | books
鵜川は小学校教師。女と組んで誰かを殺そうとしている(という導入部から始まる)… 鵜川は同僚の笠松三千代と付き合っている。そろそろ結婚という時期に差し掛かっている。しかし三千代はややキレやすい女。文句ばっかり言っている。鵜川にどういうわけか、看護師の遠沢からアプローチが。彼女とそういう関係になってしまう…

うーむ。

文庫解説で、作者の佐藤正午へ読者(女性)から届いた手紙が紹介されている。その中で、佐藤が描く主人公は「第一に優柔不断で、第二に中途半端で、第三に軽薄で、第四にめめしくて、第五に自己中心で、第六に冷たくて…」と書いてあったそうだ。

当たっている。完璧に当たっている。そう。そういう主人公だからこそ読みたいのだ。優柔不断じゃない奴の話なんて読みたくない。

そしてまるで、自分のことが書いてあるんではないかと思うぐらいの親近感。そして罪悪感。鵜川に対する嫌悪感はそのまま自分への嫌悪感へと続く。

そしてさらに、ストーリー。時間軸をうまく前後に揺らして、何が起こったのか、簡単に分かるようで分からないようになっている。あの人とどうなったのだろうと思ったら、別の人との話。簡単にまとめてしまうと、女にだらしない男の話ってことになってしまうけれど、そんなに簡単にまとめてはいけん。いけんのじゃ。もっと奥深いものがあるんじゃー。

彼女について知ることのすべて (光文社文庫)彼女について知ることのすべて(新・死ぬまでにこれは観ろ! ) [Blu-ray]
↑映画にもなっているそうだが観てない。

今日の一曲

先日の「24時間テレビ」で走らされたらしい(全く観てないけれど)ブルゾンちえみのネタの元。Austin Mahoneで、"Dirty Work"




では、また。
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『さらさら流る』柚木麻子

2017-09-07 | books
大学生になるまで男性と仲良くなることがなかった主人公菫。東京名所探求会というサークルで知り合った光晴と付き合うことになった。就職しても交際が続いていたが、彼の暴言によって別れた… そして28歳になった菫。コーヒーチェーンで宣伝の仕事をしている。たまたまネットで見つけてしまったのは、自分の裸の写真。彼に昔撮られた写真が、リベンジポルノのサイトに載っていたのだ…

うーむ。リベンジポルノというグロテスクなネタなのだから、徹底してグロテスクに描くいて欲しかった。もしくは、とっても爽やかに、軽く描いてくれるか。そのどっちにも付かず、中途半端な感じになってしまった。

さらさら流る

今日の一曲

素敵に不思議なドラマ、「下北沢ダイハード」のエンディング曲、雨のパレードで、"Shoes"



では、また。
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店名にツッコんでください169

2017-09-05 | laugh or let me die
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『禅の教室』藤田一照 伊藤比呂美

2017-09-03 | books
詩人が僧侶に尋ねる、「禅とはなにか?」「どういう風に座禅すればよいのか?」「座禅にはどんな意味があるのか?」 遠慮ない質問に、丁寧に答える対談。

禅とか座禅について、何となくよく分かったような気がする。マインドフルネスと混同していたけれど、あちらは「気づき」、こちらは、無になる(無になるという表現はされてないけれど)ことだだろうか。

座禅はどうやらとてもいいもののようなので、自分でもやってみようかという気になった。(実際にやるのは7年後かも知れないが)

知らない言葉が出て来た。「ポイエーシス」と「テクネー」というギリシャ語。前者は自然が隠している豊かなものを自発的に外に持ち出す働きで、後者は、様々なテクニックを使って、自然に内在するものを無理矢理引っ張り出す営みのこと。なるほど。原子核の中に秘められたエネルギーをを突っついて引っ張り出すのが原子力か。当然前者の方が良いことってことなのだろうな。対人間に対しても、自発的に持ち出すのと、無理矢理引っ張り出すのでは、効果が違うかも知れない。

禅の教室 坐禅でつかむ仏教の真髄 (中公新書)

今日の一曲

不思議なドラマ「下北沢ダイハード」の不思議な主題歌、凛として時雨で、"DIE meets HARD"



この、何言ってるかわかんない感がいい。では、また。
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『5』佐藤正午

2017-09-01 | books
小説家、津田伸一は直木賞をとったにもかかわらず、書いてはいけないことを書き、2回も謹慎処分… サラリーマン、中志郎は、行きたくないのに妻とバリ旅行。妻からの夜の誘いはずっと断っていた。そして出会った不思議な女性、不思議な体験… 津田はバツ2。凝りもせず、ネットで知り合った何人もの女性と関係を持っていた。そのうちの一人が、中の妻だった… 重なり合う津田と中の人生…

うーむ。面白いと思う人と、苦手だと思う人に大きく分かれると思う。私は前者。

男性も女性も妙なリアリティ(もしかするとリアルじゃないのかも知れない。その辺が「妙な」リアリティ)で描く。

あちこちにまた絶妙な表現の数々。

肝心なのは、仮に、この女がひとりの女として微妙にバランスの感覚を欠いているとしても、それが微妙にという点である。極端であれば薄気味悪いが、微妙なら媚薬にもなる。

「必ず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ」
「真理だ」
「その心理がくつがえるのです」


中志郎の猫の話と、高校時代すごく好きだった女性の話には、「わかるー」とつぶやいてしまった。

奇妙な味のする小説だった。その奇妙な味が、パクチーだったり、山椒がききまくった麻婆豆腐だったり、魚の内臓のように、私の味覚とマッチした。女好き小説+超常現象もの、という単純な足し算ではなかった。

5 (角川文庫)

今日の一曲

たまたま見つけた。津田が見たら、かわいいと言うのかキレイと言うのか。Fazerdazeで、"Lucky Girl"



では、また。
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