頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『鎌倉駅徒歩8分、空室あり』越智月子

2023-02-27 | books
父が亡くなり、娘香良が一人でカフェを経営。友人三樹子が離婚したと言って転がり込んで来た。それからシェアハウスにすると・・・


読みやすく、慰められるところもある。ここ何年か女性の書く小説を沢山読んできた。その中ではなぜかそれほど心に響かなかった。たぶんフックに引っ掛からない、サラッとし過ぎてるからだと思う。

 

今日の一曲

水曜日のカンパネラで、「アリス」



では、また。


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『真珠とダイヤモンド』桐野夏生

2023-02-25 | books
1986年証券会社福岡支店に入社した者たち。伊東水矢子は母子家庭で大学に行く金を貯めに入社。小島香那はフロントレディになって稼ぐために。他人の気持ちが汲み取れない望月は太客を掴んで出世するため。バブル到来に浮かれて・・・

失礼な言い方だけど、意外と読みやすく、意外と面白い。

バブル期の証券会社のやり口についてはある程度は知っているつもりではいたけれど、NTT株の裏にはそんなインチキがあったとは。

参考文献が何一つ挙げられていないのが相変わらず残念。

 
 

今日の一曲

幾田りらで、「蒲公英」



では、また。



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『海が見える家』はらだみずき

2023-02-23 | books
もうすぐ閉店になる八重洲ブックセンターに行くと、最も売れた小説として平棚にあった。ブラック企業をすぐに辞めてしまった文哉。ずっと疎遠だった父芳雄は、仕事を辞め千葉で一人暮らしをしていた。父が死んだと知らせがあり、残された千葉の海の近くの家を整理しようとした。近所の人たちから知らされる意外な父の姿。

なかなか良かった。父のしていた仕事を引き継ごうか迷う辺り、近所の人たちの描写などしみじみとする。ある意味芳雄のような生き方に憧れる。


 

今日の一曲

水曜日のカンパネラで、「赤ずきん」



では、また。



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『警鐘』リー・チャイルド

2023-02-21 | books
ジャック・リーチャーを探しに来た探偵は殺された。世話になったガーバー将軍は誰かに頼まれて自分を捜していたらしい。その将軍も亡くなった。昔好きだった将軍の娘ジョディ再会、弁護士になっていた。フックはヴェトナムに行ってきた元兵士で今は悪どい金貸しをしている。今度は経営者に金を貸し、会社を乗っ取ろうとしている。リーチャーが向かう先とフックがぶつかり・・・

めちゃくちゃ面白かった。フックという悪役キャラ、筋、ロマンス、そして真相。すべてが好みだった。


※ネタバレ


ヴェトナムで息子ヴィクターが行方不明になった親から捜索を依頼されたガーバーはリーチャーに頼もうと思った。ガーバーはヴェトナムで遺体捜索をさせ、アメリカに遺体が移送されることになった。その結果、ヴィクターは死んでいてことが分かる。殺人犯の兵士アレンはヴィクターに成りすまし、アレンの認識票をヴィクターの死体の首にかけた。そのことがバレないようにリーチャーを殺そうとする。アレンは片手を失ってフックと称して金貸しになる。ずっと成りすましがバレるかと思いながら。

 
 

今日の一曲

Alexander 23で、"How To Drive"



では、また。



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『デッドマン』河合莞爾

2023-02-19 | books
連続殺人事件発生。男性の頭部を切除し残りを放置、あるいは胴体を切除し残りを放置、足、腕・・・(島田荘司の「占星術殺人事件」を思い出す)警視庁鏑木警部補はこの謎を解けるか?

めちゃくちゃ面白かった。「豪球復活」が面白かったので、過去作を漁ってみたら、傑作に出会った。

トンデモないアイデア+キャラクター+文章の巧さすべてがキレッキレだった。

 

今日の一曲

NOAで、"Purple Sky"



では、また。


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『情熱のナポリタン BAR追分』伊吹有喜

2023-02-17 | books
昼は美味しいごはん、夜はバーになる店シリーズ第三弾。脚本家を目指す男や劇団の人の話など。自然薯、メロンパン、ナポリタンなど美味しそうなもの多数登場。

相変わらずの高クオリティ。食べたくなるものだらけで、空腹になった。

 

今日の一曲

大橋トリオで、「生きる者」


では、また。

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『語学の天才まで1億光年』高野秀行

2023-02-15 | books
どの著作も面白い脅威の打率を誇るエンタメノンフィクションの旗手が、コンゴやブラジル奥地、中国とミャンマーの間にあるワ州でケシの採集に参加した20代。現地の言語の学習方法、あるいは失敗した方法を赤裸々に描く。

非常に面白かった。言語を学ぶメソッドをそのまま読者が真似できるとは限らないが、彼の信じられないような体験談や文化人類学的な考察など、読み物として抜群に読ませる。


 

今日の一曲

a子で、「愛はいつも」


では、また。

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店名にツッコんでください306

2023-02-13 | laugh or let me die
店名にツッコんでください306
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『声の在りか』寺地はるな

2023-02-11 | books
家事を手伝う気のない夫、やや鈍い小学生の息子と暮らす希和。群れたがるママ友たちのは気が合わない。学童保育で働くことにした。

なかなか面白かった。母、妻としての成長物語。感じの悪い母親たちの偏見など、あるあると思わせる箇所多数。


 

今日の一曲

The Petersensで、"Take Me Home, Country Roads"



では、また。


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『狼の領域』C・J・ボックス

2023-02-09 | books
ワイオミング山中、ハンターが仕留めたエルクの肉を抜き取られる事件。狩猟管理人のジョーがパトロールしていると謎の二人組に攻撃される。ずっと山の中で暮らしていて、ジョーは重症。しかし謎の女性に助けられる。数年前にオリンピック代表候補のランナーが山中で消えた。大金持ちの父親が必死になって探している。

すごく面白かった。ネタも好みだし、表にいる奴らも影に隠れている悪い奴らの造形も良かった。


※ネタバレ


二人組はミシガンで広い土地を所有する一家の息子。上院議員が無理矢理この土地を接収して、行方不明になってる女性の父親に開発させた。二人組は政府と銃撃戦になり、他の家族は殺された。そして山中に逃亡。ランナーの女性も父親から逃げていた。


 

今日の一曲

Jethro Tullで、"Bourée"



では、また。



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『薬も過ぎれば毒になる 薬剤師毒島花織の名推理』塔山郁

2023-02-07 | books
ホテルマン水尾爽太はたまたま薬剤師の毒島花織と知り合う。彼女の薬に関する知識、真摯な態度、そしてビジュアルに惹かれる。皮膚科で誤診されたり、水筒に睡眠薬を入れられたと言う従業員、薬が少ないと言い張る患者、ホテルの部屋で薬が無くなったと言い張る客、インチキな医者。

すごく面白かった。解かれる謎もいいし、キャラもいい、読みやすい。そして薬、薬剤師、医者に関する知識もとてもためになる。作者は薬剤師なのではないかと思うぐらい。

 

今日の一曲

The Byrdsで、 "Mr. Tambourine Man"




では、また。


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『婚活中毒』秋吉理香子

2023-02-05 | books
結婚相談所で紹介された男は理想的だった話、マニュアルに従って街コンに参加した話、データを駆使して婚活番組に参加する話、親が代理で婚活する話。

面白かった。ラストで強烈なオチが来る。そのオチが好みだった。

 
 

今日の一曲

大滝詠一で、「夢で逢えたら」



では、また。



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『オムライス日和 BAR追分』伊吹有喜

2023-02-03 | books
BAR追分第二弾。ねこみち横丁振興会の管理人になった宇藤。脚本家志望なのだけれどなかなか書けない。学生時代の知り合いが訪れたり、フリーマーケットがあったり、猫に助けられたり。

安定して楽しめる。大きな驚きとかカタルシスが得られるわけじゃないのに、こういう小説を読むのは、疲れているからだろうか。

 

今日の一曲

imaseで、"Have a nice day"



では、また。


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『腐葉土 望月諒子』

2023-02-01 | books
老人ホームで富裕な老女笹本弥生が殺される。祖母に寄生しながらも険悪の仲である孫健文が怪しい。祖母はヘルパー会田に全財産を遺すとした遺言があるかも知れない。2億の借金がある弁護士が2億の現金とともに事故死するという謎の事件。大学の考古学部での詐欺事件。様々な謎が繋がっていて・・・

かなり複雑なストーリーで人間関係もややこしい。しかし真相が分かると、なるほどと納得できる。万人にはオススメできない、ホヤの刺し身みたいなものか。

 

今日の一曲

カネコアヤノで、「気分」


では、また。


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