長年勤めた石油会社を定年退職した、65歳庄司常雄。博打をやるわけでもなく、借金することわけでもなく、家族に暴力を振るうわけでもなく、夫として、二人の子の父親として、まあまあ無難に過ごしてきたと思っていた。しかし、妻の様子がおかしい。自分と一緒にいるのを避けているようだ。まさか「夫源病」なのか。息子夫婦の小さな子供の保育園のお迎えをするようになってから学ぶ、「3歳神話」の誤りや、「妻とはこうあるべき」という考えがいかに間違っていたか・・・
おじさんを、女性の目から揶揄するだけのドタバタコメディーだと思って読んでいたけれど、これが意外なほど面白かった。たしかに、おじさん(おじいさん)は揶揄されているけれど、過度に戯画化されているわけではなく、妙にリアリティーがある。
そして、考えさせられることも多い。
身につまされることも多いのだけれど、それはおじさん的な、「女はこれをやるべき」という考えが誤りということだけではなく、広く「他人の気持ちは、ある程度汲みとらねばならぬね」というようなこと。汲み取り過ぎはあかんけれど、全く汲み取らないのもあかんということなのでしょう。
今日の一曲
ストーリーや設定は面白いのだが、長澤まさみの演技が必ずしも役柄にフィットしていないような気がしなくもない、ドラマ「コンフィデンスマンJP」の主題歌、Official髭男dismで、「ノーダウト」
では、また。
おじさんを、女性の目から揶揄するだけのドタバタコメディーだと思って読んでいたけれど、これが意外なほど面白かった。たしかに、おじさん(おじいさん)は揶揄されているけれど、過度に戯画化されているわけではなく、妙にリアリティーがある。
「母親というのは、あのときああしてやればよかった、あんな言い方をするんじゃなかったって、後悔を死ぬまで引きずるらしいです」
「それは大変だな」
「子育ての責任を一人で背負わされていると、そうなるんでしょうね」
「え?そうか……そうなのか」
「自分には知らない世界がたくさんあるらしい。想像もしたこともない感情がある。
「それは大変だな」
「子育ての責任を一人で背負わされていると、そうなるんでしょうね」
「え?そうか……そうなのか」
「自分には知らない世界がたくさんあるらしい。想像もしたこともない感情がある。
「パリ子のダンナは何て言ってるんだ?」
「もちろん賛成よ。どこでも好きなところへ行っておいでって、いつも言ってくれてるらしいわ」
俺もついて行きたいのだが…
「だって、パリ子のご主人は男らしいもの」
「え?男らしいっていうと?」
「女の後ろを金魚の糞みたいについてきたがるような男じゃないもの」
「もちろん賛成よ。どこでも好きなところへ行っておいでって、いつも言ってくれてるらしいわ」
俺もついて行きたいのだが…
「だって、パリ子のご主人は男らしいもの」
「え?男らしいっていうと?」
「女の後ろを金魚の糞みたいについてきたがるような男じゃないもの」
そして、考えさせられることも多い。
「たぶん大正時代からじゃねえがと思う」と兄が腕組みをして宙を睨んだ。「子育ての全責任を母親になすりつけるようになったのは」
兄は学歴はなくとも、物知りで教養溢れる人物だった。
「ちょうど日本にも資本主義が導入された頃だべさ。それまでは、日本人の八割が農業やってたんだけんども、男が勤め人になって女が家事育児に専念するようになったのっさ。そういうのが会社側には好都合だったんだ」
「んだな。男を朝から晩までこき使うためには、家で家事育児全般を引き受けてくれる女が必要だったってこどだろ?」
兄は学歴はなくとも、物知りで教養溢れる人物だった。
「ちょうど日本にも資本主義が導入された頃だべさ。それまでは、日本人の八割が農業やってたんだけんども、男が勤め人になって女が家事育児に専念するようになったのっさ。そういうのが会社側には好都合だったんだ」
「んだな。男を朝から晩までこき使うためには、家で家事育児全般を引き受けてくれる女が必要だったってこどだろ?」
身につまされることも多いのだけれど、それはおじさん的な、「女はこれをやるべき」という考えが誤りということだけではなく、広く「他人の気持ちは、ある程度汲みとらねばならぬね」というようなこと。汲み取り過ぎはあかんけれど、全く汲み取らないのもあかんということなのでしょう。
今日の一曲
ストーリーや設定は面白いのだが、長澤まさみの演技が必ずしも役柄にフィットしていないような気がしなくもない、ドラマ「コンフィデンスマンJP」の主題歌、Official髭男dismで、「ノーダウト」
では、また。