頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

超絶映画「由宇子の天秤」

2021-09-29 | film, drama and TV
テレビのドキュメント番組の監督をする由宇子。女子高生自殺事件の真相に迫るため、彼女の父親の取材をする。学校側はいじめを隠蔽しようとして教師と関係を持っていたと主張。生徒と教師は関係を持っていたのか・・・由宇子の父親は学習塾を経営していて、由宇子はそちらの手伝いをしている。すると具合を悪くする女子生徒がいて・・・取材の件と、塾の件がクロスオーバーしていく・・・

観客がほとんど誰も微動だにせず観ていた。すごい緊迫感。映画が終わった瞬間、観客の誰も何も音を発しなかった。こんなことは初めて。

最初はこうだったと思っていたら、由宇子がどんどんと真実に迫っていき、どんでん返しが何度もある。しかも真実が何だか分からなくなっていく。今までに観たことのないすごい映画だった。

何もバックグラウンドに音楽がなく、ドキュメント番組を観ている感じ。由宇子は瀧内公美が演じているが、ほとんど出ずっぱり。言わば瀧内公美を観る、彼女の内面を想像する、彼女の揺れる天秤を感じる、そんな映画だった。

↓予告編


では、また。
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『スーツケースの半分は』近藤史恵

2021-09-27 | books
青いスーツケースが色々な人の所に渡ってゆき、幸運のスーツケースと呼ばれるようになる。それぞれの、旅のエピソードを描く連作短編集。

ニューヨークに行きたいのに、夫になんだかんだいちゃもんをつけられてなかなか行けない妻の話や、バックパック的旅行がしたいのに、それを許さない彼氏とか、贅沢な旅行をしてるけれどそれを人に言えない人とか、旅に関する話ばかり。

楽しんで読ませてもらった。近藤さんは、グルメでも旅行でも本当に巧い。

「まるで人生は掌みたいだ。なにかをつかみ取るためには手の中のものを捨てなければならない」

のようなドキッとするような言葉多数あり。

 

今日の一曲

aikoで、「食べた愛」



では、また。



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『とにもかくにもごはん』小野寺文宜

2021-09-25 | books
休業してしまったカフェを無料で借りて、こども食堂を始めた。そこでバイトする大学生や、出入りする子供たち、その母親など複数の目線で描く連作。

ストーリーに、目を剥くような何かがあるわけじゃないのに、なぜか次々と頁をめくってしまう、そんな作品だった。

 

今日の一曲

YOASOBIで、「大正浪漫」



では、また。


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『誘拐の日』チョン・ヘヨン

2021-09-23 | books
韓国ミステリー。元妻から誘拐しろと命ぜられてミョンジュンは、病院長の娘で天才少女ロヒを誘拐しようとして車ではねてしまう。誘拐するとロヒは記憶喪失。ロヒにこき使われるミョンジュン。身代金を要求しようとするが、なんとロヒの両親は殺されていた・・・

確か韓国ミステリーを読むのは初めて。読みやすい&面白い。

二転三転するストーリー、まさかあの人が!正統派のどんでん返しがここにあった。

 

今日の一曲

ヨルシカで、「ただ君に晴れ」



では、また。



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『やさしい猫』中島京子

2021-09-21 | books
ミユキは、偶然知り合ったスリランカ人クマさんと恋に落ちる。ミユキには娘がいて、陽気なクマさんにすぐに馴染む。しかし、クマさんは勤務先から解雇されてしまった。その事を言い出せないまま、時は流れ、クマさんのオーバーステイが問題になってしまった・・・

うーむ。素晴らしい小説だった。

非人道的と言える入管システム。犯罪者ではないのに、ビザが切れた者を刑務所のような所に閉じ込める。病気になっても救急車も呼んでもらえない。


また外国人に対する差別意識。外国人と結婚すると言うと、騙されてるのじゃないかと言われる。しかし日本人の夫だって暴力を奮ったりするわけで、日本人なら安心というのはオカシイ。

というような事を色々考えさせられるだけでなく、エンターテインメントとして充分に面白い。ラスト、審判はどう下るのかドキドキした。そして魅力的な登場人物たちもとても良かった。

 

今日の一曲

Bob Segerで、"Shakedown"



では、また。



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『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』タラ・ウェストーバー

2021-09-19 | books
後にケンブリッジで博士号をとり、研究者になるアメリカ人女性。実はアイダホで、反政府主義者の父親の元、学校に行かせてもらえず、医療も受けさせてもらえなかった。そんな著者の死闘を描くドキュメント。

素晴らしかった。アメリカには進化論を教えない学校があるとか、トランプ前大統領を支持する反知性主義があるとは聞いてはいたが、当事者(被害者?)の声を聞くのはまた別格の体験。

頑迷な人間の心を変えるのは不可能なのだろうか、、、個人的には後半、学校に行ったことのない子がブリガム・ヤング大学に入り、初めてホロコーストという言葉を知ったり、そして猛勉強して、奨学金をとって無料でケンブリッジに入る、というサクセス体験に救われた。

 

今日の一曲

THE FIRST TAKEのバージョン。ポルノグラフィティで、「サウダージ」



では、また。



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店名にツッコんでください270

2021-09-17 | laugh or let me die
店名にツッコんでください270
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『ヴィオラ母さん 私を育てた破天荒な母・リョウコ』ヤマザキマリ

2021-09-15 | books
ラジオ「安住紳一郎の日曜天国」にヤマザキマリさんが何回かゲスト出演して話してくれているのである程度知ってる話ではあったが、それでもやはり面白過ぎ&考えさせられた。

東京の会社に勤めていたリョウコが、札幌にオーケストラが出来るので、ヴィオラ奏者として転職した。その後マリさんを産み、色々、色々あり過ぎてシングルマザーとなり、マリさんと妹を育てる。その破天荒な生き方を、これでもかと描写する凄いドキュメント。

そこの貴方、自分の親をこれだけ克明に描けるだろうか?単に覚えてるかだけじゃなく、客観的に親の事を評価できるだろうか?

ガサツでいい加減なのに、娘を、他人と較べることなく生きるようにさせてあげた。素晴らしい。世の中の親がリョウコのようなら、みなの幸福率は著しく上がると思う。

ヤマザキマリさんというめちゃくちゃ話の面白い人がどうやって出来上がったのか、その製造過程を知る意味でも面白かった。


 

今日の一曲

また作曲筒美京平。大橋純子で、「たそがれマイ・ラブ」



では、また。


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『三人屋』原田ひ香

2021-09-13 | books
親が経営していた喫茶店。親亡き後、その店で三姉妹の三女朝日は朝だけ喫茶店をやり、次女まひるは昼だけうどん屋をやり、長女夜月は夜だけスナックをやることにした。そこに通うサラリーマン、近所の鶏肉屋、スーパー店長の人生。そして三姉妹のそれぞれの人生を描く。

いやいや、こりゃ面白かった。不思議な形態の飲食店が話の中心になるかと思ってたら、それは話の一部に過ぎず、三姉妹と彼女ら周辺の人生を描く、さりげない人生ドラマだった。

浮気とか不倫とか離婚とか、駆け落ちとかを描くと同時に、ぜひ食べてみたいモーニングセット、めちゃくちゃ美味そうなうどん、居心地の良さそうでおにぎりが美味そうなスナック。どの店も行ってみたい、出来れば近所にあってくれて、常連になりたいと思った。


 

今日の一曲

また筒美京平作曲。中原理恵で「東京ららばい」



では、また。



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『たまごの旅人』近藤史恵

2021-09-11 | books
海外旅行の添乗員になりたての堀田遥。行くはアイスランド、スロベニア、フランス、中国、そして沖縄。ちゃんとした雨具を持って来るよう指示したのに持って来ない客。文句ばかり言う客。人種差別発言する客。嫌な思いもするが、しかし良い事もあって。

いやー、添乗員さんてホント大変なんだなと思った。こんなにいつもトラブル客がいるわけじゃないだろうけど。

興味を持ったのは、アイスランドの間欠泉やグトルフォスの滝、食べ物。スロベニアのリュブリャナ旧市街、ポストイナ鍾乳洞など。

 

今日の一曲

筒美京平作曲。岩崎宏美で「シンデレラ・ハネムーン」



では、また。


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『うつくしが丘の不幸の家』町田そのこ

2021-09-09 | books
3階建ての一軒家を購入し、一階を改装して、夫婦で理容美容店を経営しようとしていると、近所の人に、ここは不幸の家だと呼ばれていると言われる。確かに最近よくないことばかりだった→その前にこの家に住んだ人の話。娘は家を出て長く帰らない。高3の息子が女性を妊娠させた→その前に住んだ人。行く所がなくなった友達とともに先輩の所有する家に住まわせてもらう。→男性不妊に悩む話などなど。

なかなか面白かった。結局はハートウォーミングなんだけれど、途中までの暗い話もフックが効いてていい。

「あなたしあわせがどうこう言うけれど、しあわせなんて人から貰ったり人から汚されたりするものじゃないわよ。自分で作りあげたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしかできないの。他人に左右されて駄目にしちゃうなんて、もったいないわ」と語るお隣のおばあちゃんがいい。

 

今日の一曲

先日NHKで作曲家筒美京平特集をやっていた。名曲があまりにも多くでビックリ。その中の一曲。太田裕美で「木綿のハンカチーフ」



松本隆から歌詞を受け取って、徹夜で作曲した、と言っていたような気がする。(別の曲のことだっか・・・)では、また。



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『イチローの流儀』小西鷹三

2021-09-07 | books
記者がイチローとのやり取りなどから感じたこと。スポーツ本特集で挙げられていたので読んでみた。

成績は良いのに感じる違和感や、マニー・ラミレスら大物バッターに理論を教えたりなど知らない話が多く面白かった。

絶対に遅刻しないとか、道具を大切にする、頑張りますなどと言わないなど、我々一般人でも手本に出来ること多数あり。

 
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『スクリーム』カリン・スローター

2021-09-05 | books
連続女性連続強姦殺人事件。刑務所にいるネズビットは自分ではない再捜査をしてくれ、その代わりに刑務所内の事件について情報提供すると言う。捜査官のウィル・トレントと検死官のサラ・リントンが挑むのは、サラの死んだ夫が警察署長として捜査したした事件。

長い。こんなに分厚い物語である必要があるかよく分からない。ダレてしまったのは事実。しかし、でも次のカリン・スローターもまた読んでしまうのはなぜだろう。

 

今日の一曲

桑田佳祐で、「炎の聖歌隊」



では、また。



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店名にツッコんでください269

2021-09-03 | laugh or let me die
店名にツッコんでください269
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『三人三昧』清水ミチコ

2021-09-01 | books
清水ミチコが他のゲスト二人とする、「婦人公論」での対談をまとめたもの。

めっちゃ面白かった。知らない話やためになる話や驚く話のオンパレード。

印象に残ったのは、伊集院光のノイローゼや、飾らない酒井順子、川谷絵音の苦痛、ゲッターズ飯田の世界観、携帯を持たない古田新太(芸能界で有名な携帯不携帯な人は他に森山未來と風間杜夫だそう)榎木孝明の至言など。

第一弾の「三人寄れば無礼講」も読みたい。

 

今日の一曲

U2で、"Stay"



では、また。



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