本日の写真は今回の主役、光源氏と朱雀院・冷泉帝が並んでいるところです。
光源氏は、桐壺帝の第二皇子として生まれたのですが、母の身分が更衣であったことと、「この子が帝王になったら国が乱れる。」という予言などにより臣籍に降下し、「源」の姓を与えられたのでした。そして三十代半ばで太政大臣に昇り、人臣の位を極めたのでした。
一方、桐壺帝と藤壺の宮の間に生まれた皇子ということになっている冷泉帝は、母親が中宮という身分のため皇位に就くことができたのですが、ふとしたことから自分の出生の秘密、自分は実は光源氏の子だということを知ってしまいます。
つまり、冷泉帝は父親を飛び越えて皇位に就いたということになるわけですね。そのためにこのことで深く悩み、先例を調べたりしていたのですが、ついに「自分は退位しよう。そして、光源氏に皇位を譲ろう。」と決心したのでした。
しかし光源氏は「自分はそのような器ではない。」と、皇位につくことを断ってしまいます。
そこで冷泉帝が考えたのは、光源氏を准太上天皇にして上皇待遇にすることでした。
「源氏物語」の「藤裏葉」に描かれた朱雀院・冷泉帝の行幸は、光源氏が准太上天皇になったのを記念して行われたものだったのでしょう。
写真を見ておわかりかと思いますが、光源氏は、朱雀院・冷泉帝と同じ高さの御座に座っています。皇位についたことのない光源氏が、帝や上皇と同じ高さの御座に座ることは異例中の異例です。「源氏物語」本文によると、光源氏は最初は遠慮をしてお二人よりも一段低い御座に座っていたのですが、「高さを同じにするように。」という帝の宣旨によって、帝や上皇と同じ高さの御座に座ることになった……とのことです。
冷泉帝は、実の父である光源氏を准太上天皇という上皇待遇にすることができたことで、ほっと胸をなで下ろしていたと思います。
しかし、朱雀院の心情は複雑だったのではないでしょうか。
この行幸のあと間もなく、朱雀院は出家をしてしまうのです。そして、自分の最愛の娘である女三の宮を光源氏に降下させることになります。
光源氏にはその頃、紫の上という最愛の妻がいました。なので光源氏は最初は断ったのですが、最後にはどうしても断り切れなくなってしまい、女三の宮の降嫁を承諾するのです。
女三の宮の降嫁は、光源氏の生涯に波瀾を巻き起こします。紫の上は心労が重なって倒れ、光源氏はその看病に気を取られている間に、柏木(光源氏の親友太政大臣の長男)に女三の宮と密通をされてしまうのです。女三の宮は柏木の子を妊娠し、光源氏は二人の間に生まれた子を自分の子として抱くことになるのでした。
六条院に行幸した朱雀院は、光源氏の立派さや六条院の華やかさを見て、「この人に娘を託そう。」と、この時点で密かに決心していたのかもしれませんね。
しかし朱雀院のこの判断は、結果的には女三の宮を不幸にしてしまったのですが…。
そんなことを考えるとこの六条院行幸の場面は、これからおこる光源氏一家の不幸へのプロローグだったのかもしれません。そして、光源氏も朱雀院も、そのことに全く気がついていないのですよね。
それはともかくとして、今回のこの場面の展示は大変華やかで見どころが多く、観ていて時間を忘れてしまいました。献上品の魚を捧げ持った左近衛少将と、鳥を捧げ持った右近衛少将など、物語の細かい部分までが再現されています。庭に敷いてある白砂もとてもリアルに感じられて、ここでもまた感動してしまいました。
光源氏は、桐壺帝の第二皇子として生まれたのですが、母の身分が更衣であったことと、「この子が帝王になったら国が乱れる。」という予言などにより臣籍に降下し、「源」の姓を与えられたのでした。そして三十代半ばで太政大臣に昇り、人臣の位を極めたのでした。
一方、桐壺帝と藤壺の宮の間に生まれた皇子ということになっている冷泉帝は、母親が中宮という身分のため皇位に就くことができたのですが、ふとしたことから自分の出生の秘密、自分は実は光源氏の子だということを知ってしまいます。
つまり、冷泉帝は父親を飛び越えて皇位に就いたということになるわけですね。そのためにこのことで深く悩み、先例を調べたりしていたのですが、ついに「自分は退位しよう。そして、光源氏に皇位を譲ろう。」と決心したのでした。
しかし光源氏は「自分はそのような器ではない。」と、皇位につくことを断ってしまいます。
そこで冷泉帝が考えたのは、光源氏を准太上天皇にして上皇待遇にすることでした。
「源氏物語」の「藤裏葉」に描かれた朱雀院・冷泉帝の行幸は、光源氏が准太上天皇になったのを記念して行われたものだったのでしょう。
写真を見ておわかりかと思いますが、光源氏は、朱雀院・冷泉帝と同じ高さの御座に座っています。皇位についたことのない光源氏が、帝や上皇と同じ高さの御座に座ることは異例中の異例です。「源氏物語」本文によると、光源氏は最初は遠慮をしてお二人よりも一段低い御座に座っていたのですが、「高さを同じにするように。」という帝の宣旨によって、帝や上皇と同じ高さの御座に座ることになった……とのことです。
冷泉帝は、実の父である光源氏を准太上天皇という上皇待遇にすることができたことで、ほっと胸をなで下ろしていたと思います。
しかし、朱雀院の心情は複雑だったのではないでしょうか。
この行幸のあと間もなく、朱雀院は出家をしてしまうのです。そして、自分の最愛の娘である女三の宮を光源氏に降下させることになります。
光源氏にはその頃、紫の上という最愛の妻がいました。なので光源氏は最初は断ったのですが、最後にはどうしても断り切れなくなってしまい、女三の宮の降嫁を承諾するのです。
女三の宮の降嫁は、光源氏の生涯に波瀾を巻き起こします。紫の上は心労が重なって倒れ、光源氏はその看病に気を取られている間に、柏木(光源氏の親友太政大臣の長男)に女三の宮と密通をされてしまうのです。女三の宮は柏木の子を妊娠し、光源氏は二人の間に生まれた子を自分の子として抱くことになるのでした。
六条院に行幸した朱雀院は、光源氏の立派さや六条院の華やかさを見て、「この人に娘を託そう。」と、この時点で密かに決心していたのかもしれませんね。
しかし朱雀院のこの判断は、結果的には女三の宮を不幸にしてしまったのですが…。
そんなことを考えるとこの六条院行幸の場面は、これからおこる光源氏一家の不幸へのプロローグだったのかもしれません。そして、光源氏も朱雀院も、そのことに全く気がついていないのですよね。
それはともかくとして、今回のこの場面の展示は大変華やかで見どころが多く、観ていて時間を忘れてしまいました。献上品の魚を捧げ持った左近衛少将と、鳥を捧げ持った右近衛少将など、物語の細かい部分までが再現されています。庭に敷いてある白砂もとてもリアルに感じられて、ここでもまた感動してしまいました。