江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

悼  南風カオル師匠

2009-06-01 00:48:27 | 日本の文化について
ナンプウカオルと読む。
ある芝居がやりたくて役者を捜しているとき、知人が紹介してくれた。
昨年秋のこと。
新宿のスナックに行ってみると、身体の小さなおじいさんがいた。
イメージが違うかな、それが最初の印象だった。
人形に興味を持ってもらえた様子にホッとする。

今年2月の公演には、残念ながら都合が悪かったそうだ。

そして2週間ほど前、知人から突然のメール。
師匠が4月に急逝されたとのこと。
言葉が出なかった。
不義理していたと、後悔ばかりでてくる。

一昨日の土曜日、用事があって新宿に出た帰り、ふとそのスナックが気になり
寄ってみる。
扉を開けると、なんとカウンターの上にお骨箱が供えられてあった。
昨日の日曜に納骨するとのこと。
間に合って良かったと、正直安心した。
苦しむことなく亡くなったそうだ。

師匠のビデオを見る。
芸の確かな人だと分かる。
変な彩などつけない。そぎ落とされた台詞や動きの中に、華がある。
大衆演劇のような観客に媚びることもなければ、お高く留まることもない。
そして何より芸に品がある。
「身体の小さなおじいさん」?
舞台の上では、決してそうは見えない。
うまい役者だなと、唸ってしまった。
この人と共演できたら、きっと大きな勉強になっただろうに。

惜しい人を亡くしてしまった。
つくづくそう思った。
ただただご冥福を祈るばかり。
享年78歳。
コメント
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