goo

西行全歌集ノート(34)




限りあれば衣ばかりは脱ぎかへて心は春を慕ふなりけり

西行 山家集 上 夏

※ この春を強く慕う気分は、よくわからない。陰暦4月1日の更衣の心を詠んでいると注にはある。西行の春は、櫻の春であろうから、むしろ、「限りあれば衣ばかりは脱ぎかへて心は花を慕ふなりけり」と詠んだ方がすっきりすると思うのだが、春全体を言いたかったのだろうか。いずれにしても、過去を回想し過去に囚われる心が、季節の移り行きに抗っていて興味深い。


まがふべき月なき頃の卯の花は夜さへさらす布かとぞ見る

西行 山家集 上 夏

※ 「さらす」は、陽の光に当てること。夜でも干してある布に卯の花を喩える。布を晒す目的は、何回も水洗いし日に干して、白くすることにある。卯の花の白さが、夜の中で際立つ。しかも、新月。夜のしんとしたみどりの気配の中で卯の花を見てみたい気がしてくる。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 一日一句(1051) 一日一句(1052) »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。