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詩的断章「ごはんだよー」







ごはんだよー





わたしにむけられた この言葉を
いったい 何回 聞いただろう
そう思って 
数えてみたことがある
そして すぐに止めた
それは 生きてきた日の数と
ほぼ重なる

五十四年八カ月

一万九千九百七十一日

二万回は越えているだろう
二万回の「ごはんだよー」は なかなか である

一万九千九百七十一日

あんなことも こんなことも そんなことも
この数字の中にあるのだが
あのひとも あの子も あいつも
あの野郎も あの馬鹿も 
この数字のどこかにいるのだが

このわたしだけが いない
二万回も呼ばれたのに
わたしは
まだ
応えていない
夢の中では
わたしは
いつも
だれかほかのひとなのである







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