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翻訳詩の試み(14)

旧暦4月2日、金曜日。のち

今日は、柏にインクカートリッジを買いに出た。行き帰りに、オーデンを翻訳で読む。オーデンも苦しんだ人ですな。詩も俳句も勉強したいことや、しなければならないことは、さまざまいろいろある。けれど、究極的には、勉強などできないところが、歴史と交差するんだと思う。飴山實は、どうしたら、俳句が上手になりますか、という問いに、笑いながら、人間が上等になればいいんですよ、と答えたという。オーデンは、イエーツを悼んで、こんな詩を書いている。

だから詩人よ、君は
この暗い夜の底までおりてきて
その晴朗の声を高めてわれらを説き
われらを喜びにみちびいてくれたまえ。

ひとつの詩で耕して
この呪われた土地を葡萄園に変えてくれ
この人間の失敗史について
苦しみの陶酔とともに歌ってくれ

心の乾ききった砂漠のただなかに
それを癒す泉を湧きださせてくれ
彼の時代の牢獄のなかで
自由なる人に、いかに感謝すべきかを教えてくれ。


W.H.Auden「1939年1月に死去せるW.B.イエーツを偲ぶ」部分
加島祥三訳




影の軽み     ヴァレリー・アファナシエフ

影はじっとしていることができない
本体が動いていなくても
四六時中、動き回っている
影はとても神経質
そして影はマイペース
大通りや草地を
弾みながら優雅に横切っていく
その間、本体はパブで話に興じ
ビールやブランデーを飲んでいる
影はニューヨークの摩天楼を
上ったり降りたり
その両腕を翼のように広げて
羽ばたいている
影は死なない
本体は家の中でもだえ苦しんでいる


THE LEVITY OF SHADOWS Valery AFANASSIEV

Shadow can't keep still.
They move about all the time,
even when their originals are motionless.
They have the fidgets.
They are extremely nervous.
And they assert themselves, bounding gracefully
across boulevard and meadows.
Meanwhile their originals talk in pubs and
drink beer and brandy. Shadows
climb up New York skyscrapers
and flapping like wings. They do not die.
Their originals writhe in pain at home.
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