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詩的断章「鳥の言葉」







鳥の言葉



人間の言葉に飽きちゃった
もごもご言うのを
聴き返すのもめんどくさいし
卑屈と高慢を聴きとるのも
馬鹿馬鹿しい
鳥の言葉がいい
純粋で
高らか
尊敬語も丁寧語も謙譲語もない
階級がないんだから
語尾でニュアンスを出すなんて
くだらない芸当も不要だし
第一 言葉に嘘がない
鳥の言葉がいいや
ただ
わたしは話せないのが
残念である
聞いても
人間語に翻訳しているから
本当の鳥の世界はわからない
もともと言葉は翻訳なのだと
ベンヤミンは言ったが
モリッシーは 自然は言語だと言ったが
本当のところ
どうなのだろう
こうやって
初秋の畳の上で
大の字になって
鵯の言葉を聴きとっていると
ふいに
世界の秘密がわかるよ
存在は音なんだって



初出『浜風文庫』






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一日一句(1238)







さびしさに悪もいろいろ草の花






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