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貸金業の上限金利問題~その5

2006年04月27日 14時19分38秒 | 社会全般
いつだったか、朝日新聞の武富士からの資金提供疑惑などが既に報じられたりしていたが、今のマスメディアの体質は「オコボレ利益」獲得の為には口をつぐんでしまうらしい(笑)。まあ、当たり前なんだろうね。テレビも新聞も雑誌も、みんな「貸金業界」からの巨額宣伝広告費が入ってくるもんね。それが一気に縮小されては、自分たちの「うまみ」がなくなるからだろ?日本の報道というのは、そういうレベルなのさ。自分たちに都合の悪いことには、黙ることにしているんだそうですよ。何がジャーナリズムだ。

そういう訳で、メディアも上限金利引下げには暗に「反対」、若しくは消極的に「不支持」という態度らしい。


上限金利問題で、私は勿論与謝野大臣を支持するし、当然懇談会の意見も賛成の立場だ。



現在の貸出体制や審査、信用情報については、ザル状態ですね。余りにヌルイんですよ。


貸金業の免許は、銀行免許と同じような感じで予備免許を1~2年とかにして、本免許はその後に適正な営業状態の業者だけに与えるとか、そういう絞込みを行うべきですね。既に認可済みの業者については、経過措置として金融庁(或いは都道府県?)検査を受け入れたら、本免許とするべき。それを拒めば、自動的に免許は失効することにした方がいい。そうなれば、優良な業者にとっては有利に働くはずで、顧客も獲得可能となるだろう。


それと、銀行系や信販系業者などは貸し倒れになるような債権の場合、被害が拡大する可能性が高いと思うのですけど。闇金に払っているのは、主にクレジットカード会社とかあんまり厳しい取立てじゃないような穏やかな貸金業者だろうね。「上限金利引下げで貸し出されなくなる人が出てくると、そういう人はみんなヤミ金に行ってしまう」って、これも仕方ないでしょうね(笑)。


よく考えてみて下さい。
闇金が怖れるのは、債務者がすぐ飛ぶことですよ。自己破産されたら、回収できないし、非合法貸付だから債権申立もできないでしょうよ。普通ね、闇金が取り憑くのは、飛ぶはるか手前の多重債務者たちとか、名前も聞いた事のないような業者にうっかり引っ掛かってしまったりする初期債務者などであろう。一円もどこからも借りられないような人に闇金が貸すと思いますか?闇金が貸して、他の貸金業者やカードの返済なんかに回されようものなら、ヤミ金はどうやって回収すんのよ?たとえ給料を押さえてみたって、他の債権が延滞になれば早い段階で法的処理に移行するに決まってますよ。給料20万円で月々10万円以上を返済しているような債務者がヤミ金から借り入れたとしても、せいぜい数ヶ月しか持たないでしょうよ。そんな人に闇金が貸して、速攻で飛ばれでもしたら、それこそ大損なんですよ。あくまで仮定ですけど、もし私がヤミ金業者であったら絶対に貸さないね。


闇金がウマイと思う相手というのは、まだクレジットカード発行が受けられるとか、他の貸金から借入可能とか、そういう「貸出枠」が残ってる人に決まってるんですよ。なので、多重債務の整理と称して手数料と称してぼったくったり、クレジットカードを作らせ換金可能な商品券・ビール券・新幹線回数券なんかを買えるだけ買わせ、目一杯キャッシングさせたり、他の貸金を回らせてヤミ金に優先的に返済させたりしてるのでしょう。こういうのは、全て他の貸金業者かクレジット会社が代わりにヤミ金に支払っていることと同じようなものなのです。要するに、「貸出枠」が残されている人じゃないと、闇金は商売が成り立ちません。まともな貸金業者たちやクレジット会社たちと競合的に貸し込んでいって、他よりもいち早く回収し、更に上乗せをトコトン狙うということに他ならないのですよ。密着で取り立てるわけですから、債務者だって他がちょっと延滞になったとしても、ヤミ金にだけは先に払ってしまったりするのですよ。ヤミ金は債務総額の加速度的増大に手を貸しているだけなのです。


なので、他の業者が全く貸してくれないような状態になった人に、闇金が貸してくれるはずなどないと思えます。勿論貸してもいいですよ。でも、単に回収不能になるだけでしょうね。せいぜいが、親兄弟など親族等の連帯保証を付けろ、とか、そういう罠くらいしか残らないのではないかと思いますけど。内緒で勝手に書いたりした偽造書類であれば、闇金が取り立てることは不可能だし、ヘタに親族から取り立てようとして警察や弁護士の元に駆け込まれても困るし。親族に相談して連帯保証を付けるなら、普通の業者であっても貸せるかもしれないですよね。債務者以外の人間に知られると、別な知恵が浮かんだり、バレやすくなりますし。大抵、誰にも相談できない、というような状況の人が、罠に陥るのだろうと思いますよ。


そういう訳で、「上限金利が下げられれば信用力不足で借りられなくなる人たちがヤミ金にいく」ということで、仮にその通りになったとしても、闇金がそれ程貸せるとは思えないのですね。一体どこからどうやって回収する積もりなのでしょう?もしも、他の債権が延滞したりせず、ヤミ金にも返すことが出来たとしたら、厳しい監督・取立てのおかげで他の債務が縮小していくことになるので、最終的には闇金だけにつきまとわれることになるかもしれないけれども、闇金がそこまで個人の再生プランに積極的とも思えないですけど(笑)。


まだ「貸出枠」が残っている人=正常な業者が貸し出せるので、ヤミ金に行く必要がない
もう「貸出枠」が残っていない人=どこも貸してくれないのでうまみがなく、ヤミ金も貸さない

ということだと思いますね。となれば、上限金利引下げは、貸出枠ボリュームの間接的制限として働き、破綻債権額は減少させられるかもしれない。多重債務者に取り憑くヤミ金への資金還流も減らせる。


現在のクレジット会社が受ける貸し倒れによる被害額のうち、かなりの部分がヤミ金への支払いとなっている可能性があり、その額を減少させられるのであれば、貸金業者たちの利益が減ったとしても、クレジット会社は助かることになるはずです。現在資金業者たちが30%近くの金利で貸し出しているのに対して、クレジット会社は商品の販売代金なので、貸金業者に比べれば圧倒的に不利な貸出となっています。自己破産の債務残高が年間1兆円規模である時(一人500万円×20万人)、数百~数千億円規模の損害を被ってしまうのではないでしょうか。貸金業者たちの多くは、回収が進んでいる割合がクレジット会社に比べると高いのではないかと思われます。だって、初めから金利が倍くらいの水準でフカされているはずだからです。で、利息の成長スピードも圧倒的に貸金の方が有利なのに、管理債権となってしまえば、債務残高に応じて分配されることになってしまうでしょうから、クレジット会社はどう見ても不利ですね。しかも、飛ぶ直前には、クレジットカードで満額の買い物(多くは現金化の為)だとか、キャッシングをされてしまっていることが殆どなのではないかと思いますね。カードの発行も、重複して発行されている場合もあるのではないでしょうか?通常、提携カードの場合が多いと思うので、一人に対して数種類(例えば「~~・JCB」カードみたいに)あっても不思議ではないように思います。


そういう意味では、貸金業者にとっては不利に働く部分はあると思うが、クレジット会社にとっては有利に働くと思う。その経済効果の大きさは正確には判りかねますけれども。


追加:

前に書いた記事(ある貸金業者を想定してみる)では、完全自由化された状態を大袈裟に書いてますが、引っ掛かる人がいても不思議ではなさそうかな、と思って出してみました。


貸出条件を順に見ることにします。普通に判断できる人たちであれば、直ぐに仕組みが理解できるし、損か得かもパッと判断できるでしょうが、世の中そんな人たちばかりとも限りません(笑)。で、「釣り」にまんまと引っ掛かるというのは、そういう判断が正しくできないからに他ならないということなのです。


1)金利負担は元金1万円につき、一日当たり「たったの10円!」(1万円のわずか0.1%)、少ない負担で済みます。
(但、借入元金20万円まで)
(参考:○社年利700%、△社年利1500%)

このように他社金利を示しておくことが重要で、当然高い水準の日払い利息を出しているものを選択します。この比較対象が不適当とは言えないでしょう(どちらも日払い方式ですので)。「一日たったの10円」というのは、「安い」という錯覚をもたらすと思います。このような広告は現在の生命・損害保険などでも見られ、「一日当たりわずかコーヒー1杯分の安心」といったような表記が珍しくないからです。「釣り文句」としては普通だろう、ということです。しかも、比率表示は他社が年率表示であり、「0.1%」は単なる割合表示でしかありませんけれども、他社の700~1500%という数字と比べてしまって「少なく感じる」かもね、ということですね。


2)借入元金が20万円を超える場合には、1)の金利の他一日当たり一万円につき50円を加算。

この条件はどうでもいいのですけど、まあ、元金が多くなれば高くなるんだな、という程度ですかね。最大の狙いは、「20万円以下しか借りないならば得なんだな」という誤解を生じさせるかも、とかではなく、他の条項に目が行かないようにする為ですね。先頭項目(前の基本ルール)だけに注目させたい、ということです。


3)延滞の場合1)の他、一日毎に遅延損害金(借入元金一万円あたり5円+返済するべき額の0.0125に相当する額)を支払う。

このルールはある意味罠の肝です。損害金の存在自体は珍しくないし、遅れなければいいのだな、としか考えないと思います。そして、「5円」という表記は安いイメージしかなく、それに「0.0125」を加えるとしても「きっと、5円よりも小さい数字しかこないのだろうな」という思い込みを誘う為です。数字自体が小さいことが重要なのです。しかし、実際には返済予定額の1.25%を払うことになり、高額な利息をむしり取られます(笑)。業者側としては、当然延滞なのですから、高いペナルティを設定することは「延滞防止の為の方策にすぎない」と言い切れますし。


4)返済するべき額が元利合計で50万円を超過する場合には、一日当たり上記金利の他返済するべき額の千分の10相当額を加算。

この条項も、今借りる額が50万円よりずっと少ない(例えば10万、15万円とか)と「50万円までは、はるかに遠い」という油断を誘うものであり、延滞で返済額が成長を始めると猛烈な勢いで増えていきます。そして、50万円を超えると、信じられないような速度で返済額が成長する仕組みになっています。「千分の10相当額」というのは、一般的な印象としては分りにくい表現であり、できるだけなじみの少ない表記にすることで、すぐに相手に理解されることを防ぐ目的があるのです。


そして、最も重要なことは、契約書や約款を相手に渡したとしても、普通の人はあまり注意深く読んだりはしないことです。保険でも、カードでもいいのですが、あの細かく書かれた約款を読んでいる人というのは、極々少ないはずです。つまり、「重要なこと」はこっそり入れておいたとしても、現在の消費貸借契約では有効になってしまう、ということだと思います。「契約書に書いてある」ということと、契約相手が「理解している」こととは全く別のことなのです。なので、罠を仕掛けようと思えば、いくらでも可能になってしまう、ということです。そういうのに引っ掛からないような人は、そもそも多重債務になどならないでしょう。ヤミ金にも嵌められないでしょう。


ですので、不動産契約の時の「重要事項説明」のような厳格な説明義務を課すとかにした方がよいと思えます。例えば、将来返済予定額(一回毎などの)とか返済総額、利息の額、延滞の場合の追加額などを具体的な金額で教えないと、普通はよく判らないと思いますね。そういう「具体的な数字」を見れば、借りる側にも認識ができるはずです。この説明義務を怠った場合には、契約無効とできる、というぐらいの重いペナルティを業者側に課すべきと思います。


また、後で。


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2 コメント

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Unknown (飯大蔵)
2006-04-27 15:52:57
お邪魔します。

いつも拝見しているので、初めてのコメントか分からないのですが、とりあえず始めまして。

一つTBさせていただきました。アイフルの財務状況を少し書いたのですが、営業経費がこんなにかかるのかと、ビックリです。
返信する
いつも有難うございます (まさくに)
2006-04-29 22:27:42
先日記事にも書かせて頂きました。



http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d829385f32347fa736057d34586cd1b4



何故かこちらからTBできないんですよね。私のやり方が悪いんだろうと思います・・・



また宜しくお願いします。
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