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ある貸金業者を想定してみる

2006年04月25日 16時08分33秒 | 社会全般
ある架空の未来の話を書いてみる。その時代には、貸金業者の自由化が進んで、上限金利は完全撤廃されているとしよう。とある貸金業者を勝手に考えてみよう。


まず、この業者における貸出ルールを次のように決めよう。


1)金利負担は元金1万円につき、一日当たり「たったの10円!」(1万円のわずか0.1%)、少ない負担で済みます。
(但、借入元金20万円まで)

(参考:○社年利700%、△社年利1500%)

2)借入元金が20万円を超える場合には、1)の金利の他一日当たり一万円につき50円を加算。

3)延滞の場合1)の他、一日毎に遅延損害金(借入元金一万円あたり5円+返済するべき額の0.0125に相当する額)を支払う。

4)返済するべき額が元利合計で50万円を超過する場合には、一日当たり上記金利の他返済するべき額の千分の10相当額を加算。


ここで、ちょっと悲しいかもしれない、物語を紹介しよう。


ある男がいた。仮にAとしよう。彼は付き合っている彼女がいたのだが、妊娠してしまった。予想外のことだったし、今は育てる余裕も結婚できる状況でもなかったので、中絶することにした。その費用の一部を払って、と彼女に強く求められたので、とりあえず借金をして払うことにした。親になんて言えない、とも思っていた。で、貸金業者から借りることになった。借入は10万円として、不足分5万円は友人たちから借りることにした。

金:「お客さま、こちらは初めてですか?」
A:「ええ、とりあえず10万円借りたいのです」
金:「5日で返せば、500円のワンコインで済みますよ」
A:「もうちょっと先だと思うんですけど・・・」
金:「そうですか、お客様のご職業と現在収入は?」
A:「フリーターで、月12万円です」
金:「他からのお借入もないようですので、本日10万円ご融資できますよ」
A:「期限を一応、次の給料日で・・・」
金:「14日後ですね。わかりました。じゃあ、後は書類の方に・・・」

こうして10万円を借りた。Aの友人たちからも借金をして、彼女の費用はどうにか工面できた。そして、初めの返済期限が近づく。給料から借金を全額払うと友人たちにも返せなくなる。生活も無理だ、どうしよう・・・

A:「今日の返済なんですが、全額用意できなかったんですけど・・・」
金:「そうですか。少々お待ち下さい。店長ー!」

店長が出てきて、Aから事情を聞いた。

店長:「そうでしたか。お兄さんは真面目そうだし、まあ困ってる時はお互い様ですから。まずはお友達を大事にしなきゃ。友達はいいもんですよー?私もね未だに悪友なんかと付き合いが続いてるんですよー。もうガキの頃からの、腐れ縁ってヤツですわ。がはは。ウチへの返済は次の給料日まで延ばしてもいいですよ。でもね、ウチも商売でやってるから、利息は付きますけどね、オーナーが結構キツイ人でね、私も苦しいんですわ。次で完済すれば大丈夫でしょう。給料がまとまって入ってきたら、また来てください」


こうして、Aは友達に5万円を返すこととなり、借金返済の期限を更に30日後にすることにした。だが、Aの給料12万円から5万円を引くと、地獄のように苦しい生活となってしまった。家賃や公共料金などを払ったりすると、給料の残りなんてごく僅かだ。当然の如く、使い切ってしまっていた。そうして、次の給料日がやってきた。返済日だ。

A:「今日全額返済できればいいのですけど、ちょっと無理だと思います・・・」
店長:「そうですか、どうしましょうかね」
A:「次の給料日には、残りを払いますから、とりあえず5万円払います」
店長:「しょうがないですね。まあ、いいでしょう。残りは次の給料日に」
A:「残りはいくらになりますか?」
店長:「ああ、計算してみますね」

<計算結果>
・元金10万円の基本利息14日分(100×14)=1400円
・その後、延滞30日となって、遅延損害金は次の2種類
5(円/万円)×10×30日=1500円
返済予定額101400×0.0125×30=38025円

従って、返済するべき合計額は、140925円


店長:「140925円だから、5万円払っても残りは90925円あるね」
A:「そ、そんなにあるんですか・・・?」
店長:「だって、お兄さんが約束守れなかったんだよ?社会人は守らないとダメだよねー」
A:「・・・・・」
店長:「それとも、何?約束破るの?お兄さんが困っている、払えない、って言うから、私も同情しちゃって、無理を通して待っててあげたんですよ?そんな人の厚意を、そんな風に言うなんて、お兄さんひどくない?こっちもさー、オーナーにこっぴどくヤキ入れられたってのに」
A:「そ、そんな、き、きちんと返しますので、そんなつもりで言ったんじゃなかったんで・・・」
店長:「良かったー、お兄さんを信じてたからね、わたしもね。とりあえず、返済は待っててあげるから。約束守ってよね」
A:「判りました。次には返しますんで」


次の給料日までは、再び地獄だった。先月同様、既に5万円ないことに変わりがなかった。どうにか生活していたが、返済の余裕なんてなかった。だが、返済日が確実にやってくる。


A:「また全額返済は無理みたいです・・・」
店長:「なんだー、お兄さん、また約束守れないの?困っちゃうなー。とりあえず、払える分払っていってよ。先月と同じ5万円ならいけるでしょ?」
A:「最近、あんまり食事もできなくて・・・結構5万はキツイです・・・実は2万円しか・・・」
店長:「そうだよねー、お兄さんの顔色悪いよね、ちょっと。わかってるよ、じゃあ、この1万円はお兄さんに戻しておくからさ。オイシイもんでも食べて元気つけてよ。今月は1万円でウチもなんとかしとくから。なんだったら、私が代わりに1万円立て替えておいて、オーナーには通しておくからさ。ホント、結構キツイんだよねー、ウチもさー」
A:「スミマセン・・・なんか、迷惑かけちゃって」
店長:「気にすることないからさ、次の給料日に待ってるから・・・な、お兄ちゃん」


今月は返済が減って、随分と楽になれた。ここ2ヶ月は本当に限界かと思ったし。溜まってる公共料金も払わないと、止められそうだったし。あの店長さんはいい人なのかもしれないな・・・。オレの分を立て替えてくれるって・・・
そして、再び返済日が近づく。返済金を全額用意することなど不可能だった。いつもと同じように金は底をついてしまう。


A:「払いに来ました。でも、2万円しか・・・」
店長:「えっ?何?また払えないの?困るなー!ウチもね、楽じゃないんだよ。給料バッサリ削られてるんだよ、オマエさんのせいで!この前、ちょっと優しくしたら、図に乗りやがって!約束守るのはさー、社会の常識なわけ。わかる?こんなの当たり前でしょ?常識ってんだよ!お兄さんも、わかるでしょ?こういうの、本当に困るんだよ!それとも、お金借りたのに返さないつもりなの?」
A:「いえ、・・・必ず払います。絶対返しますから。でも、今はこれが精一杯で・・・」
店長:「ダメだなー、これじゃ。お兄さんさあ、親に言ってくれよ。ちゃんと相談しちゃってよ。そうじゃないと、ウチも困るんだよね」
A:「それは、・・・ちょっと、出来ないんですけど・・・でも、オレが何とか払いますから・・・」
店長:「今までもそう言ってて、守れなかったじゃないの、お兄さんはさー。こっちは何度も信じて、裏切られてるワケ。この気持ち、お兄さんにわかる?苦しいのよ、辛いのよ、こっちもさー。そういうの、酷いんじゃないの?払わないヤツが傷つかないで、同情したこっちが深く傷つけられてるんだよ。あんまりだよなー」
A:「本当にスミマセン。何とかして、必ず払いますから。信じて下さい!」
店長:「仕方ないね、こっちもさあ、人間だから。とりあえず今、2万置いていってくんない?それで、何とかしとくから」
A:「わ、判りました。じゃあ、これ・・・次に払えるように頑張りますから・・・」


店長は、Aの返済額を計算してみた。

140925円の返済額のうち5万円払ったので、残額は90925円。元金の減少はまだ9075円に過ぎない。
・元金90925円の基本利息=90.925×30日
・遅延損害金=5×9.0925×30日+90925×0.0125×30日
返済予定額=129113円
入金は1万円だったから、残りは119113円。だが、元金部分は減らない(90925円のまま)。勿論立替なんてするはずもない。

翌月
・基本利息=90.925×30日
・遅延損害金=5×9.0925×30日+119113×0.0125×30日
返済予定額=167872円
入金は2万円、残りは147872円。当然元金なんて減らない。

次の月
・基本利息=90.925×30日
・遅延損害金=5×9.0925×30日+147872×0.0125×30日
返済予定額=207415円
入金は2万円、残りは1807415円

後は放って置いてもスグ三桁(百万単位)に行けるね、ムフフ・・・
50万さえ超えちまえば、こっちのもんさ。もう、あっと言う間。元利合計に一日当たりで1%の利息が付くから、50万円だとしても日歩5000円だ・・・30日後にゃ15万まるまる増える・・・こりゃ笑いが止まんねーな。雪だるまにしといて、後は親に辿り着けばそれでよし、だ・・・それとも彼女に働かせるか・・・


Aは今まで10万円払っていた。しかし、依然として18万円以上の借金が残っていたのだ・・・



ある日、Aが友人とともにやってきた。

A:「今までの支払い分と残額を知りたいんですけど・・・」
店長:「ああ、いいけどね、今日全額清算してくれるのかなー?約束守んないとね、社会人は」

で、計算結果を示した。

友人:「利払いが多すぎじゃないですか?」
店長:「あんた、なに?代わりに払ってくれるの?人の商売にケチ付けるのよしてくんないかなー。人聞きの悪いことを言わないでくんない?契約書にちゃーんと書いてあるでしょ。ホレ、ここに」
友人:「でも、すごく小さくしか書いてないし。それに・・・本人は・・・」
店長:「何言ってんの、あんた。こっちはね、認可受けてやってんだよ、認可。小さくも何も、書いてある以上契約は有効なんだよ。あんたそんなことも知らんのか?それにね、『借入計画の手引き』を渡してるし、それには約款もね、金利の内容も全部ちゃんと載ってんだよ。ホレ、P124~128を見てみろ。それと、契約書にも『契約前に約款をよく理解した上で契約する』って書いてあるし、本人サインもあるんだよ。変な因縁つけないで欲しいね。こっちは正当な商売をやってんだから。それより、全額耳を揃えてサッサと返せよ。約束を破り続けてるのは、Aだろ?こっちは何ヶ月待ってやってると思ってるんだ!払えねえ、とかぬかすから、善意で待ってやってるんじゃねえか!それが、何?この仕打ちは?ダチまで連れてきて、疑ってくるし。人間のやることじゃねえな」
A・友人:「・・・・・・」


店長は思った。

「自由な金利」って、本当にオイシイよね。
経済学的にも、十分正しいんだって。
ひょっとして、経済学って、オレたちの為にあるのかな?
さすが、頭のいい人たちの考えてくれる学問って、素晴らしいよね。
凡人には、そんないい理屈は思いつかないもんね。

これも上限撤廃運動のお陰・・・「ヤミ金」は自動消滅だしね。

金利自由化サイコー!
合法ってサイコー!
誰でもスグ借りられるって、サイコー!




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