米国では、政府機関が恣意的に特定企業を狙い撃ちするのが常識のようだ。
運輸省が情報を小出しにして、トヨタの問題だけを取り上げるというのは、明らかに意図的な情報操作である。同じ問題をしつこく取り上げ、不確実な情報をマスコミに何度も流すことによって、問題をクローズアップすることに成功したということだ。
①フロアマットの問題
フロアマットが原因と推測される、という理由から、マットのズレで事故が起こったということ、それは追加的に用いられたマットに一因があったのではなく、あくまで製造メーカーの責任である、という論法が、米国では主流のようだ。米国の一般国民には、一体何が事故の原因なのか、トヨタ車の何が問題なのか、というのが、一切不明にされていただけ。そのように仕向けたのは、「トヨタ車を運転するな」という偽計業務妨害に匹敵する妄言を吐いた、ラフード長官だ。
最も卑怯な点は、米国運輸省は、フロアマットが原因と推定される事故の全てを情報開示していないことだ。本当に、トヨタ以外のメーカーでは、フロアマットが原因の事故は「1件たりとも」起こっていなかったのか?
運輸省は「なかった」と断言すべきだ。
GM、フォードやヒュンダイでは、ただの1件も発生してなかった、というのであれば、その情報を開示せよ。情報を出せないとすれば、それは特定企業狙い撃ちの陰謀説をより強化するだけであろう。少なくとも日本では、「複数メーカーで起こっていた」ということは言える。トヨタに特異的な事故ではない。
ところが米国では、そうした事故情報の全体像は隠されたままだ。フロアマットを理由とするなら、その他メーカーにも同等のリコール要求をするのが当然なのではないのか?まあ、かの国では、自国利益を守る為なら、どんな煽情報道さえも許される、ということなのだろう。
②急加速の苦情は他メーカーでなかったのか?
日本の情報が開示されたのが非常に遅かったのだが、トヨタ車で38件の苦情があったということだ。だが、これも当然他のメーカーでもあるわけで、96件がトヨタ以外である。台数の割合からすると、大体その水準、ということらしい。
38/134という苦情が、果たして多いのかどうかのか、ということはあるだろう。事故の原因を調べるということは大切だ。そのことと、トヨタの事例だけを殊更取り上げて、大騒ぎすることは全く違う。
米国では、トヨタだけが「急加速」の事故や苦情があり、他社では起こってない、ということを運輸省が証明してくれさえすればいい。他社では「1件も苦情は入ってない」と断言すればいいだけだ。
③今になって電子制御を取り上げたのは何故か?
もし本当にそういう分析を行っているのであれば、「再現可能な」指摘をするべきだろう。当方で書いた回生ブレーキの記事(
ハリアー(ハイブリッド)ユーザーとしての雑考、
ハイブリッド(HV)車のブレーキ問題について)は、そういう視点で書いているものである。それはあくまで「ハイブリッド車」ということを言っているわけで、他の通常のガソリン車で起こる現象を言っているのではない。
米国人のいう「急加速」という苦情は、推定される原因があって、それと同等の現象が「条件を揃えれば再現できる」というものとは違うように思われる。大体、「神が止めた」という現象を、どこの誰が再現できるというのか?
運転者が主張する苦情内容について、完璧な説明を求めるということなのかもしれないが、いくら論理的で現象と整合的な説明をしようとも、本人が「いや違う、納得できない」みたいに言い張れば、それはもう説得が無理という話だな。
それに、電子制御が問題なのだ、という主張をするのであれば、最初からその線を調べるべきである。何故、「フロアマット」や「アクセルペダル」などを取り上げる必要があったのか?
要するに、評判を落とせることができれば何だっていい、ということだ。その目的をもって、トヨタ問題にターゲットを絞ってやってきたからだ。
米政権が利用しているのではない、ということを今更になって言っている向きもあるが、最初はそういう圧力の目的でやってきたら、途中からは炎上具合が「当初の方向」から離れていって、単なるヒステリックな過熱報道になっていっただけのようにしか見えないが。
「フロアマット」と「急加速」の苦情について、もし他社でもあるとすれば、全メーカーを呼びつけて公聴会をやるんだろうな?
もし、これがやらない、ということになれば、完全な不公平の存在が全世界中に知られることになるだろう。
トヨタの苦情だけは、公聴会と司法当局の捜査、他社であれば「野放し」の無罪放免だそうだ。
世界のマスコミの人たちは、米国のこういうやり口をよく見ておくとよい。