「車は急に止まれない」という、昔からある標語を真似て、新たな標語を作りたいわけではない。米国での公聴会のことだ。
その中で、恐怖体験を語らせて、何て酷い車なのかを証言させたかったのであろう。だが、妄信してやまない、愚かな消費者の言い分を全て聞いて、全員を納得させるのは甚だ困難な作業であるということを、米国議員は理解するべきだろう。
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「トヨタは恥を知れ」 急加速体験の女性、米公聴会で証言 写真3枚 国際ニュース : AFPBB News
「恥を知れ」というセンセーショナルな部分だけを切り取って、メディアが煽動を行うことは可能。ただ、米国マスメディアがこの証言を聞いた後でも、「やはりトヨタ車は危険だ」と本気で言えるとすれば、それは「神の領域」の事柄なので人知を超えた現象であり、メーカーにはどうしようもできないだろう。このような証言者を用意すれば、メーカー側の言い分を論破できると考えている議員がいるということなのだろうか。その議員は、この証言を聞いた時に、冷静に考える能力を失っていたとしか思えない。
正確な事故原因は不明だ。だが、このご婦人の証言からすると、オカシイと考えられる部分が多いのであり、その点においてはNHTSAの対応は普通であったとしか思われないが。以下、個別の論点を見てゆくことにしよう。
①バックギアに入れた
100km/h超の速度でバックギアに入れたら、ギアボックスは破壊されるだろう。というか、レクサスであれば、そういうギアに入らないように安全策が講じられているかもしれない。普通の車であればギアは壊れ、何かに激突したかのような減速状態みたいになってしまうのではないかな?やったことがないから、正確には分からないけど。
自転車で走っている時に、前輪のスポークに棒を挟んだみたいな感じになってしまうのでは。
レクサス車では、そうした誤った操作を防ぐようになっているのかもしれないが、まずレバー位置をNに入れないことの理由が不明ではあるよね。バックギアに入れるよりは、ギアを抜くことをまず試すんじゃないのかな。
②サイドブレーキを引いた
これも、よくあるテクニックで、スピンターンでもやろうということなんだろうか。うまけりゃ、できるかもね。150~160km/hという高速でやったらどうなるか、というのは、分からないのだけれども。コントロールを失って、ガードレールに激突しなかったのが幸運だったのかも。
③夫に電話をかけたら減速した
このお陰でパニック状態が緩和されたか、解除されたということなのでは。
彼女が必死で踏み続けたのは、”ブレーキ”ではなくアクセルペダルであった可能性がある。だが、夫と電話で話して泣いたりしている時に、偶然にも足の力が弱まったということなのではないかな。ブレーキと錯覚してアクセルペダルを死ぬほど踏みつけていた足が、夫との会話で弱まった、ということなんじゃないのか?
ブレーキとアクセルの踏み間違い事故はよくあるのであり、彼女は両足でブレーキペダルを踏んだというようなことを言っていたと思うが、それは疑問である。ブレーキペダルを左足で踏む習慣のある人なんかであると、特に危険性は増すだろう。
大体、神の力で車が止まると思うのか?(笑)
彼女が、自分の過失や勘違いとか思い込みを認めたがらない性格の持ち主である場合、いかに説得を試みようとも「自分は間違った操作なんかしてなかった」と頑強に主張し続けることになるだろう。そうした傾向は、学歴が高いとか社会的地位が高いとか金持ちとか、そういったタイプの場合によく見かけるものだ。自らの過ちを受け入れられない、ということ。そうして、必ず他の「誰か、何か」という理由を探し出そうとするのである。
果たして、そういうことではなかった、と米国マスメディアの人たちは、本当に言えるのだろうか?
「恥を知れ」と言われねばならないのは、本当にメーカー側なのか?
④安全対策として
こういうパニックに陥りやすい人が存在する、ということは、事実としてある。日本国内でも、歩道に乗り上げた事故でパニックに陥り、ブレーキを踏むべきところ、誤って更にアクセルを踏み続け、被害をより一層拡大して建物などに激突してようやく停止した、というような事故があった。それも1件ではないのだ(やや年配の女性ドライバーにありがちかも)。
パニックに陥った際の、「エンジン緊急停止ボタン」のような装置を付けておく方がよいのかもしれない。それか、免許を与える際には、もっと厳しい基準を課すべきではないのかな。米国の運転免許の基準を高くするべきではないか。