小ネタですけれども、一応記しておく。
年金の問題というのは、今の状態で既に解決されたとは思っていませんが、「これでいいのだ」(バカボンか?)という意見もあるかもしれません。それはそれで1つの意見でしょうから、別にいいと思います。私は「所得代替率50%」がデマゴギーとしか考えていませんが、信じたい人は信じている限り幸せに過せる(?)のでメリットはきっとあるでしょう(笑)。
参考記事:
所得代替率という「ゴマカシ」
年金の専門家?故なのか判りませんが、「年金」制度のことをだけではなく、もっと全体像を見てものを言って欲しいな、と思わないではありません。この前公務員共済の問題を少し取り上げましたが、「共済」というひと括りを不満に思ったのかどうかは知りませんが、誰も「私学共済」の話なんか取り上げていないし、私学共済の保険料推移の歴史なんて日経の記事でも取り上げられていませんね。
大体「私学共済」の積立金なんて全然大したことないんじゃありませんか?3兆円くらいの話でしょ。それは共済全体に対してごく一部でしかなく、1割にも満たない水準なのではありませんか(6%前後くらい)?他の国家公務員・地方公務員共済の問題とは関係ないですし、積立金の問題ではほぼ無視できる程度でしかない、ということです。そんな私学共済の話を援用して共済全部を語られても、私学共済と公務員共済が同じではないのであれば、よく知らない人に誤解を与えるだけなのではないかと思います。
公務員共済であっても年金・健康保険の保険料を事業主と折半で払うというのは厚生年金なんかと同じなわけですが、公務員共済全部ではないにせよ、折半でなんて払っていない公務員はずーっと存在してきたわけです。要するに事業主負担を多くして、自分たちの保険料を少なくすることが可能である、というのは、公務員以外からすると「お手盛り」としか見えないのですよね。違うというのなら、「公務員共済において、”お手盛り”は一切無かった」と断言してほしいもんです(笑)。
年金の仕組みというのは、私のような一般人から見ると大変複雑で中々理解が難しいので、ごく簡単な例で考えてみることにします。
ある国に年金制度が1つしかなく、とある共済組合が運営するものとします。今の日本の公務員共済と制度が同じようなものであるとしましょう。極めて単純化すれば、次のようになるとしましょう。
・収入:
①労働者が払う保険料
②事業主が払う保険料
③税金による一部補助
・支出:年金給付
①と②は折半で、同額です。③というのは、今の年金制度でいうと「基礎年金の国庫負担」のようなもので、給付に必要な一部分が公費によって賄われている、ということになります。ある時点で調べると、年金給付額は300億円、①と②は125億円、③が50億円でした。この何年か経過後に、従来とほぼ同じような給付水準を維持するとした場合に必要な年金給付額を調べると、受給者数が増加した為に必要額は400億円と算出されました。さて、この場合、不足分の100億円をどのようにしたらよいか、ということになるわけです。
考えられる方法としては、
ア) ①と②を増やす=保険料率を上げる
イ) ③を増やす=増税する
ウ) 受給者一人当たりの受給額を下げ、300億円給付する
というものでしょうか。
保険料率を上げれば、①と②の負担を各50億円増やし、400億円を賄うことは可能です。上げられた方は文句が出るかもしれませんけれども。③を増やすと、直接税か間接税かなどで文句の出る層は変わるかもしれませんが、増税ということですね。ウ)の場合であれば、現役世代からの文句は回避できますが、受給者たちの不満は大きくなりそうですね。でも、いずれかを選択しない限り、年金制度を維持できません。積立金が多額にある場合には、積立金取り崩しによって賄うことも考えられますが、どの程度それが可能なのかは、積立金の額にもよるでしょう。年金改革で行われたのは、ア)とウ)であり、保険料を上げるとともに給付額を抑制し、どちらか一方だけであると影響が大きいから、ということかと思います。
しかし、公務員共済のやったような方法を取れば、いくらでも可能です。それはどのような方法か?
エ) 「打ち出の小槌」という別な財源から調達する
というものです(笑)。名称は悪趣味な冗談ですけれども、実態としてはこういうことと同じです。
決めるのは官僚たちですから、現役世代が払う保険料を上げたくはない、ということで、①と②の負担を増やすということにはならないのです。で、受給者側というと、官僚OBの国会議員たちなんかがたくさんいるし、他にもウルサイOBなんかがゴロゴロいるので、怖くて受給額を下げることもままならない、と。そういうわけで、増税くらいしか残らないのですが、それは他の国民からの反対があるので無理。最後に残るのは、公務員共済の為だけに別な財源―すなわち「打ち出の小槌」というサイフ―を確保するということなのです。これは「国庫」から別口でお金が持ち出されるのであり、上記架空の年金制度であるならば、不可能な手法を取っているわけです。厚生年金制度の場合に、給付が大幅に上回ってしまえば、「積立金取り崩し」「保険料率アップ」「年金給付額抑制」などで対応せざるを得ないのに、公務員共済の場合であれば「他のサイフ」から金を調達している、ということです。当たり前だわな。他に「打ち出の小槌」なんて何処にも存在しないのですから。
にもかかわらず、公務員共済は「自助努力によって積立金を多く積んできた」などという、トンデモナイ理屈を出してこられた日にゃ、呆れて何も言えんね。
年金の基本システムとしては、「現役世代の払う年金保険料」を年金給付に充当するので、年金制度というのは破綻せずに持続可能性は元来問題など有り得ないのである、ということを、学者さんなんかが太鼓判を押してくれているわけです(笑)。なので、まあそうなんでしょうね、とは思いますが、私には到底信じることはできませんね。
国家公務員共済であれば、上記①と②はそれぞれ約5000億円ちょっと、③に該当するのは公経済負担約1500億円、ということでしょうか。これだけで賄える給付額を決定しておくか、給付水準を維持していくのであれば保険料率を上げるしかないのであるが、公務員共済では「追加費用」として国庫から金を持っていくのである。これが約5000億円くらいだったのだが、その後にやや減少してきている(4800億円くらい?)。給付額を決定するのは「お手盛り」でやっているだけであり、「現役世代が払った保険料を年金給付に回しているに過ぎない」というのは真っ赤なウソとしか思えないのである。一体どこに、こんな年金制度があるのか?(笑)追加費用の額を決めるのも、お手盛りでやってきたに過ぎないのである。
上記架空の年金制度を考える時、不足分を①~③以外の「謎の財源」から充当ということで設計可能であるなら、そりゃいくらでも持続可能だわな(笑)。不足分は「謎の財源」に求めればいいわけで。積立金を取り崩す必要もありませんからね。公務員共済のやってきたことというのは、まさにこういうことだろ。「謎の財源」とは、エ)の「打ち出の小槌」のこと、つまりは税金なのだ。
国家公務員共済は受給者と保険料支払者の割合が1:1にかなり近いけれども、年金制度というのは1:1であっても永遠に支えきれるのだろ?(爆)ならば、単独で運営したらいいんだよ。追加費用分の5000億円程度取り崩しても、積立金は約8兆7千億円くらいあるから、20年くらいは行けそうだよね?(数字的には17.4年だけど、もっと延ばせるかな、と)追加費用分はいずれ完全に消えてなくなるわけだし。現役世代と受給世代が1:1で支え続けてあげたらいいんじゃないですか?
イヤイヤながら、無理に統合せんでもいいでしょうよ。相対的に多い積立金が惜しいでしょう?じゃあ、統合しないで、公務員共済は単独ということで、学者さんの仰る通りに、「現役世代の保険料+公経済(国庫)負担」を年金受給に回すように設計しておけばよろしい。これで持続可能、ということで。
<ちょっと話が少し変わりますが、職域加算があるのは当然ということを企業年金と同列で語っている人がいるわけですが、3階部分のある労働者というのは、大多数ということではありません。多くは「なし」です。労働者6千数百万人のうち、1割程度しか3階部分を持っていませんから、世間の標準とは「なし」ということだろうと思うのですが、どうやら「自分たちの世界」では「あり」が標準と思っている人もいるかもしれません。「公務員は大企業と同じレベルでなければならない」ということを多くの国民が認めなくないと思っているのであれば、それは仕方のないことですね。相対的に恵まれた待遇という人々に、更に公金から出すことの必要性が感じられないということではないかと。それとも、仕事の結果が悪すぎて、そんなに金を出したいとは思えない、という人が多いのかな?なぜそうなってしまったかということは、当事者が一番よく知っているのではないかと思います。>
年金の問題というのは、今の状態で既に解決されたとは思っていませんが、「これでいいのだ」(バカボンか?)という意見もあるかもしれません。それはそれで1つの意見でしょうから、別にいいと思います。私は「所得代替率50%」がデマゴギーとしか考えていませんが、信じたい人は信じている限り幸せに過せる(?)のでメリットはきっとあるでしょう(笑)。
参考記事:
所得代替率という「ゴマカシ」
年金の専門家?故なのか判りませんが、「年金」制度のことをだけではなく、もっと全体像を見てものを言って欲しいな、と思わないではありません。この前公務員共済の問題を少し取り上げましたが、「共済」というひと括りを不満に思ったのかどうかは知りませんが、誰も「私学共済」の話なんか取り上げていないし、私学共済の保険料推移の歴史なんて日経の記事でも取り上げられていませんね。
大体「私学共済」の積立金なんて全然大したことないんじゃありませんか?3兆円くらいの話でしょ。それは共済全体に対してごく一部でしかなく、1割にも満たない水準なのではありませんか(6%前後くらい)?他の国家公務員・地方公務員共済の問題とは関係ないですし、積立金の問題ではほぼ無視できる程度でしかない、ということです。そんな私学共済の話を援用して共済全部を語られても、私学共済と公務員共済が同じではないのであれば、よく知らない人に誤解を与えるだけなのではないかと思います。
公務員共済であっても年金・健康保険の保険料を事業主と折半で払うというのは厚生年金なんかと同じなわけですが、公務員共済全部ではないにせよ、折半でなんて払っていない公務員はずーっと存在してきたわけです。要するに事業主負担を多くして、自分たちの保険料を少なくすることが可能である、というのは、公務員以外からすると「お手盛り」としか見えないのですよね。違うというのなら、「公務員共済において、”お手盛り”は一切無かった」と断言してほしいもんです(笑)。
年金の仕組みというのは、私のような一般人から見ると大変複雑で中々理解が難しいので、ごく簡単な例で考えてみることにします。
ある国に年金制度が1つしかなく、とある共済組合が運営するものとします。今の日本の公務員共済と制度が同じようなものであるとしましょう。極めて単純化すれば、次のようになるとしましょう。
・収入:
①労働者が払う保険料
②事業主が払う保険料
③税金による一部補助
・支出:年金給付
①と②は折半で、同額です。③というのは、今の年金制度でいうと「基礎年金の国庫負担」のようなもので、給付に必要な一部分が公費によって賄われている、ということになります。ある時点で調べると、年金給付額は300億円、①と②は125億円、③が50億円でした。この何年か経過後に、従来とほぼ同じような給付水準を維持するとした場合に必要な年金給付額を調べると、受給者数が増加した為に必要額は400億円と算出されました。さて、この場合、不足分の100億円をどのようにしたらよいか、ということになるわけです。
考えられる方法としては、
ア) ①と②を増やす=保険料率を上げる
イ) ③を増やす=増税する
ウ) 受給者一人当たりの受給額を下げ、300億円給付する
というものでしょうか。
保険料率を上げれば、①と②の負担を各50億円増やし、400億円を賄うことは可能です。上げられた方は文句が出るかもしれませんけれども。③を増やすと、直接税か間接税かなどで文句の出る層は変わるかもしれませんが、増税ということですね。ウ)の場合であれば、現役世代からの文句は回避できますが、受給者たちの不満は大きくなりそうですね。でも、いずれかを選択しない限り、年金制度を維持できません。積立金が多額にある場合には、積立金取り崩しによって賄うことも考えられますが、どの程度それが可能なのかは、積立金の額にもよるでしょう。年金改革で行われたのは、ア)とウ)であり、保険料を上げるとともに給付額を抑制し、どちらか一方だけであると影響が大きいから、ということかと思います。
しかし、公務員共済のやったような方法を取れば、いくらでも可能です。それはどのような方法か?
エ) 「打ち出の小槌」という別な財源から調達する
というものです(笑)。名称は悪趣味な冗談ですけれども、実態としてはこういうことと同じです。
決めるのは官僚たちですから、現役世代が払う保険料を上げたくはない、ということで、①と②の負担を増やすということにはならないのです。で、受給者側というと、官僚OBの国会議員たちなんかがたくさんいるし、他にもウルサイOBなんかがゴロゴロいるので、怖くて受給額を下げることもままならない、と。そういうわけで、増税くらいしか残らないのですが、それは他の国民からの反対があるので無理。最後に残るのは、公務員共済の為だけに別な財源―すなわち「打ち出の小槌」というサイフ―を確保するということなのです。これは「国庫」から別口でお金が持ち出されるのであり、上記架空の年金制度であるならば、不可能な手法を取っているわけです。厚生年金制度の場合に、給付が大幅に上回ってしまえば、「積立金取り崩し」「保険料率アップ」「年金給付額抑制」などで対応せざるを得ないのに、公務員共済の場合であれば「他のサイフ」から金を調達している、ということです。当たり前だわな。他に「打ち出の小槌」なんて何処にも存在しないのですから。
にもかかわらず、公務員共済は「自助努力によって積立金を多く積んできた」などという、トンデモナイ理屈を出してこられた日にゃ、呆れて何も言えんね。
年金の基本システムとしては、「現役世代の払う年金保険料」を年金給付に充当するので、年金制度というのは破綻せずに持続可能性は元来問題など有り得ないのである、ということを、学者さんなんかが太鼓判を押してくれているわけです(笑)。なので、まあそうなんでしょうね、とは思いますが、私には到底信じることはできませんね。
国家公務員共済であれば、上記①と②はそれぞれ約5000億円ちょっと、③に該当するのは公経済負担約1500億円、ということでしょうか。これだけで賄える給付額を決定しておくか、給付水準を維持していくのであれば保険料率を上げるしかないのであるが、公務員共済では「追加費用」として国庫から金を持っていくのである。これが約5000億円くらいだったのだが、その後にやや減少してきている(4800億円くらい?)。給付額を決定するのは「お手盛り」でやっているだけであり、「現役世代が払った保険料を年金給付に回しているに過ぎない」というのは真っ赤なウソとしか思えないのである。一体どこに、こんな年金制度があるのか?(笑)追加費用の額を決めるのも、お手盛りでやってきたに過ぎないのである。
上記架空の年金制度を考える時、不足分を①~③以外の「謎の財源」から充当ということで設計可能であるなら、そりゃいくらでも持続可能だわな(笑)。不足分は「謎の財源」に求めればいいわけで。積立金を取り崩す必要もありませんからね。公務員共済のやってきたことというのは、まさにこういうことだろ。「謎の財源」とは、エ)の「打ち出の小槌」のこと、つまりは税金なのだ。
国家公務員共済は受給者と保険料支払者の割合が1:1にかなり近いけれども、年金制度というのは1:1であっても永遠に支えきれるのだろ?(爆)ならば、単独で運営したらいいんだよ。追加費用分の5000億円程度取り崩しても、積立金は約8兆7千億円くらいあるから、20年くらいは行けそうだよね?(数字的には17.4年だけど、もっと延ばせるかな、と)追加費用分はいずれ完全に消えてなくなるわけだし。現役世代と受給世代が1:1で支え続けてあげたらいいんじゃないですか?
イヤイヤながら、無理に統合せんでもいいでしょうよ。相対的に多い積立金が惜しいでしょう?じゃあ、統合しないで、公務員共済は単独ということで、学者さんの仰る通りに、「現役世代の保険料+公経済(国庫)負担」を年金受給に回すように設計しておけばよろしい。これで持続可能、ということで。
<ちょっと話が少し変わりますが、職域加算があるのは当然ということを企業年金と同列で語っている人がいるわけですが、3階部分のある労働者というのは、大多数ということではありません。多くは「なし」です。労働者6千数百万人のうち、1割程度しか3階部分を持っていませんから、世間の標準とは「なし」ということだろうと思うのですが、どうやら「自分たちの世界」では「あり」が標準と思っている人もいるかもしれません。「公務員は大企業と同じレベルでなければならない」ということを多くの国民が認めなくないと思っているのであれば、それは仕方のないことですね。相対的に恵まれた待遇という人々に、更に公金から出すことの必要性が感じられないということではないかと。それとも、仕事の結果が悪すぎて、そんなに金を出したいとは思えない、という人が多いのかな?なぜそうなってしまったかということは、当事者が一番よく知っているのではないかと思います。>